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誰一人取り残さない糖質制限へ。たがしゅう先生の提言。
【19/12/31 たがしゅう
誰一人取り残さない糖質制限へ
江部先生

本年も誠にお世話になりました。
今年もブログコメントの形で恐縮ですが、歳末の御挨拶をさせて頂きます。

今年は日本糖質制限医療推進協会の方で、2度も発言の機会を頂き大変有り難かったです。おかげさまで糖質制限に関して思考を深める機会となりつつ、また深めた思考を披露してさらに考え直すという好循環を作るよいきっかけになりました。今後も思考を深めて参りますので、またご縁がございましたらいつでもお声かけ頂ければと存じます。

さて今回の話題ですが、2016年に国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に絡めてコメントさせて頂ければと思います。

SDGsという言葉は方々で見聞きするようになり、ご承知の方も多いかもしれませんが、

環境問題や貧困問題、医療福祉問題など世界の存続を脅かす国際的な課題の解決に世界の人々ひとり一人が、それぞれの立場でできる貢献を具体的に実践し、

今後も末永く持続可能な世界を実現するために定められた17つの目標と169つのターゲットのことを指す言葉をSDGsと言います。

特にビジネスの世界で注目されている印象が強く、「私の企業はSDGsの17つのゴール中のうちの、2,3,8,9,14を意識して活動しています」などとアピールすることで持続可能な世界を意識した優良活動を行っているイメージを与えることができるメリットがあるそうです。

ただ、この手の目標は一般的にはきれい事と言いますか、絵に描いた餅、机上の空論になりがちな側面がありますが、

今回のSDGsで私が注目している最大のポイントは「誰一人取り残さない」という視点があるという点です。

例えば貧困問題に取り組むといっても、特定の集団にお金をばらまくような手法ではどこまで行っても不公平を生じるので、SDGs的には取り残されている人が生まれてしまうのでアウトということになりますが、

先日不幸にもお亡くなりになった中村哲医師のように、食べ物のない地域へ水を引き食料の育て方を教えるというアプローチは誰一人取り残さないの発想により近い具体的な行動になるのではないかと思います。

こういう事を皆それぞれが考えましょうというのがSDGsが促していることなのではないかと私は思うのです。

ひるがえって糖質制限について考えると、糖質制限のことを伝えることは、17の目標の中の3番目「すべての人に健康と福祉に」という目標に合致する行動なのではないかと思います。

医療を取り巻く状況がどうであろうと、糖質制限食は本人さえその気になって主体的に取り組みさえすればその恩恵を受けることができるという点で「誰一人取り残していない」と言えると思います。

2019年は先生のおっしゃるようにADAが糖質制限食がエビデンスが最も豊富だと示したことが最大のニュースであったように私も思います。その意味で大きな追い風となっています。

ただ一方で私の目で臨床現場を見ていると少数派ではありますが、糖質制限食を実践するも逆に何らかの体調不良を訴える人がいるという事実も目に入ってきます。

勿論、本当に糖質制限食の実践が原因で体調を崩したのか、先生がよく指摘なさるカロリー不足などの別の要因が実はあってそうした不調が引き起こされているのかという点については十分に検証されきれていない部分があるとは思いますが、

「誰一人取り残さない」の視点を大事に想うなら、こうした声に真摯に耳を傾けることはとても大事なことなのではないかと思います。

その意味で今年3月の日本糖質制限医療推進協会の東京講演会で、糖質制限の困難症例について発表者を募集されていたのはとてもよい試みだと感じました。

来年も2月に大阪で、4月には再び東京で同様の機会が設けられるとも伺っております。是非とも糖質制限を誰一人取り残さない解決策へと昇華させていくために、これらの議論を深める機会を今後も積極的に作って頂ければ有り難いです。

私も私でその目標へ近づけるように微力を尽くして参りたいと思いますので、今後ともどうぞ御指導御鞭撻をお願いしたいと存じます。

令和元年を迎え、早くも令和二年へと変わろうとする中で気持ちの中で節目を迎えておられる方も多いのではないかと思いますが、

今後も先生に切り開いて頂いた糖質制限食の世界がますます発展していくことを願って歳末の御挨拶とさせて頂きます。来年も何卒宜しくお願い申し上げます。】



こんばんは。

たがしゅう先生から、毎年お正月恒例の「ロング コメント」を頂きました。
たがしゅう先生、ありがとうございます。

まずは、持続可能な開発目標(SDGs)、通称「グローバル・ゴールズ」
についてですが、詳しくは、(☆1) を参考にして頂ければ幸いです。

『今回のSDGsで私が注目している最大のポイントは「誰一人取り残さない」という視点があるという点です。』

仰る通りと思います。
中村哲医師は、アフガニスタンのクナール川からガンベリー砂漠まで
総延長25kmを超える用水路を完成させて、
約10万人の農民が暮らしていける基盤を作られました。
まさに「誰一人取り残さない」という視点を持っておられたのだと思います。


『糖質制限について考えると、糖質制限のことを伝えることは、17の目標の中の3番目「すべての人に健康と福祉に」という目標に合致する行動なのではないかと思います。』


こちらも、ご指摘通りです。
糖質制限食は本人が選択して主体的に取り組みさえすれば、
糖尿病や肥満や様々な生活習慣病の改善が得られます。
さらに現在は病気が無い人においても、AGEsの蓄積予防という意味で
糖質制限食実践で未病の段階で対応(糖化や老化の予防)ができます。
まさに「誰一人取り残していない」スタンスです。


『ただ一方で私の目で臨床現場を見ていると少数派ではありますが、糖質制限食を実践するも逆に何らかの体調不良を訴える人がいるという事実も目に入ってきます。』


<糖質制限食と注意>
・診断基準を満たす膵炎は対象とならない。→糖質制限食は高脂質食。
・肝硬変も適応とならない。→糖新生ができない。
・長鎖脂肪酸代謝異常症も適応外。→脂肪の利用が上手くいかない。
・尿素サイクル異常症も適応外。→蛋白質の利用が上手くいかない。
・慢性腎臓病も適応とならない。→糖質制限食が無効と思われる。
・糖尿病の経口薬を内服している人やインスリン注射をうっている人は、
 低血糖発作予防のため糖質制限食開始前に必ず医師と相談すること。

・腎機能eGFR60ml/分までは、日本腎臓病学会CKDガイド2018に従いOK。
・糖尿病腎症は、米国糖尿病学会2013年の声明を考慮し個別対応。
・糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂質食。
・糖尿病・肥満・メタボ・生活習慣病などが対象。
・1型、2型を問わず、インスリンの減量が可能。

まず、上記の糖質制限食の基本的な注意があります。
また、カロリー不足などの要因がないのに、糖質制限食実践で
体調不良を訴える方も少数例おられます。
糖質制限食は「誰一人取り残していない」という基本スタンスではありますが、
明らかな禁忌や注意事項も存在します。
つまり、万能ではないのは当然として、
単純に「合う、合わない」もあると思います。
その場合は、アドラー的な視点で、自分の頭で考えて、
糖質制限食を選択するか否かを決定して頂くこととなります。

高雄病院では、医師・看護師・栄養士などが連携して糖質制限食を指導し、
患者さんをサポートしています。
サポートチームがあると、1人で実践する場合に比べて
効果も良く不調も少ないように思います。


(☆1)
国連開発計画(UNDP)
駐日代表事務所
https://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sustainable-development-goals.html

持続可能な開発目標(SDGS)とは
持続可能な開発目標(SDGs)、通称「グローバル・ゴールズ」は、貧困に終止符を打ち、地球を保護し、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動を呼びかけています。

これら17の目標は、ミレニアム開発目標(MDGs)の成功を土台としつつ、気候変動や経済的不平等、イノベーション、持続可能な消費、平和と正義などの新たな分野を優先課題として盛り込んでいます。ある目標を達成するためには、むしろ別の目標と広く関連づけられる問題にも取り組まねばならないことが多いという点で、目標はすべて相互接続的といえます。

SDGsは、パートナーシップと実用主義の精神に基づき、いま正しい選択をすることで、将来の世代の暮らしを持続可能な形で改善することを目指します。すべての国がそれぞれの優先課題や、全世界的な環境課題に応じて採用できる明確なガイドラインやターゲットも設けられています。SDGsは包摂的なアジェンダとして、貧困の根本的な原因に取り組むとともに、人間と地球の両方にとってプラスとなる変化の実現に向け、私たちを団結させるものとなっています。アヒム・シュタイナーUNDP総裁は「2030アジェンダの支援は、UNDPにとって最優先課題のひとつです。SDGsは貧困、気候変動、紛争など、私たちの世界が抱える喫緊の課題のいくつかに取り組むための共通の計画とアジェンダを私たちに提供しています。UNDPには、前進の原動力として、各国が持続可能な開発に向けた道を歩むための支援ができる経験とノウハウがあります」と呼びかけます。




江部康二

コメント
いつも拝見させていただいています
いつも楽しく拝見させていただいています。
自分も糖質制限を始めて4年目を迎え、脂肪肝が原因の各種数値も適正値になり、糖質制限を始めた当初は高めだったコレステロール値も正常値に収まり始めています。
ブームと言われた糖質制限も定説となりつつあると思っていますが、そんな折にこのような記事を見つけました。ご参考までにと思い、記載いたします。

「糖質制限を実施の肉マイラー死去 極度な糖質制限は健康への危険性あるか」
https://news.livedoor.com/article/detail/17619567/

キャッチーなタイトルが目について読んでみたのですが、記事内容は糖質制限を全否定するようなものではありませんでした。ただ「過剰な糖質制限の危険性」についての説明がおなざりな気がします。それこそ、今回の江部先生のブログ内にある<糖質制限食と注意>がレベルで注意喚起されているならば問題ないでしょうが、斜め読みすると若干の不安も憶える内容な気もします。

今や認知度が高い糖質制限ですが、未だ否定的な意見もよく耳にします。正しい知識で楽しく美味しく糖質制限が続けられる人が増える事を願ってやみません。乱文失礼いたしました。
2020/01/06(Mon) 19:53 | URL | TAK | 【編集
私は、「生還、覚醒、再覚醒、」しているのだが!!
都内河北 鈴木です。

本日記事もTAKさんのコメントも、
私の「生還、覚醒、再覚醒、」は医療デ~タ存在している9年目の事実です!!

私以外に「糖質制限理論」食生活10年以上の方も多数おられます!!
私の糖尿病21年の重症化が、
江部先生「糖質制限理論」理解把握実践で、
3か月足らずでインスリン増量投与者が自主離脱して「ヘモグロビン正常化」して「生還」しました事も医療デ~タ存在の事実です!!

以降は後遺症「眼、脳梗塞、」が、「覚醒、再覚醒、」している事実!!

何故この事を何度も書くかと申しますのは、
日本医療の専門組織に医療費支払い、改善無策だと、隠蔽されている事に気付かずに悪化が、
「覚醒、再覚醒、」している事実は、
江部先生「糖質制限理論」の真理・食生活理論だとの改善効果だと、
コメントしかできませんが申している事です!!

日本医療界の専門組織「日本糖尿病学会」という組織の改善皆無・理論の無能さを知り、
そこから既成概念打破しなければと考えます!!

江部先生には、「生還、覚醒、再覚醒、」でき、感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具


2020/01/07(Tue) 00:54 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
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