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インスリンの役割
1)
基礎分泌インスリンは、ヒトの生命維持に必要不可欠です。

2)
スーパー糖質制限食でも、食後は基礎分泌の2~3倍レベルのインスリンは追加分泌されますし、追加分泌インスリンも必要不可欠です。

3)
インスリン注射で、1型糖尿病患者の命が助かるようになり、近年、寿命が延びてきました。

4)
しかし、過剰なインスリンは、酸化ストレスとなり、
がん、老化、動脈硬化、糖尿病合併症、アルツハイマー病などのリスクとなります。



こんにちは。

今回はインスリンの役割について考察してみます。

インスリンには、24時間継続して少量出続けている基礎分泌と、
糖質や蛋白質を摂取したときに出る追加分泌の2種類があります。

タンパク質摂取でも少量のインスリンが追加分泌されますが、
脂質摂取では、インスリンは追加分泌されません。
タンパク質摂取時には、グルカゴンも同時に分泌されるので、
健常人や2型糖尿病では、効果が相殺されて、通常は血糖の上昇はありません。

基礎分泌インスリンが存在しているということは、
食物を摂取していないときでも、人体の代謝には、少量のインスリンが必須ということです。

このインスリンの基礎分泌がなくなったら、人体の代謝全体が崩壊していきます。

つまり、基礎分泌インスリンがないと、全身の高度な代謝失調が生じ、生命の危険があります。
実際、1921年のインスリン登場までは、1型糖尿病と診断されたら
平均余命は、半年しかありませんでした。

例えば「運動をしたらインスリン非依存的に血糖値がさがる」といっても、
インスリン基礎分泌が確保されているのが前提のお話です。

もし、基礎インスリンが不足している状態で運動すれば、運動で血糖値はかえって上昇します。

また、肝臓で行っている糖新生も、基礎インスリンが分泌されていなければ制御不能となり、
空腹時血糖値が300mg/dl~400mg/dl、或いはこれ以上にもなります。

また、糖質を食べて血糖値が上昇したとき、追加分泌のインスリンがでなければ、
高血糖が持続します。

高血糖の持続は糖毒といわれ、膵臓のβ細胞を傷害し、インスリン抵抗性を悪化させます。


急激に発症するタイプの1型糖尿病であれば、短期間でインスリン分泌がゼロになるので、
基礎分泌も追加分泌もなくなり血糖値が急上昇して、
随時で250~500mgとか600mg/dl以上1000mgにもなります。

細胞はブドウ糖を利用できないので、脂肪の分解産物のケトン体が急上昇し、
エネルギー源にしますが、酸性血症となり意識障害を生じ、放置すれば死に至ります。

インスリン作用が欠落・不足しているときの血中ケトン体上昇は病態であり、極めて危険です。

上述のインスリン作用欠落による糖尿病ケトアシドーシスは、
インスリン作用が確保されていてケトン食や糖質制限食や断食で
生理的にケトン体が上昇する場合とは、まったく異なる病態です。


さてブドウ糖が、細胞膜を通過するためには、特別な膜輸送タンパク質が必要です。

それが糖輸送体(GLUT)であり、現在GLUT1~GLUT14まで確認されています。

GLUT1は赤血球・脳・網膜などの糖輸送体で常に細胞の表面にあり、
血流さえあれば即血糖を取り込めます。

これに対して筋肉細胞と脂肪細胞に特異的なのがGLUT4で、
基礎分泌のインスリンレベルだと、通常は細胞内部に沈んでいます。

GLUT1~GLUT14の中で、インスリンに依存しているのはGLUT4だけで特殊です。

筋肉細胞と脂肪細胞にあるGLUT-4は、
インスリン追加分泌がないと細胞内に沈んでいるのでブドウ糖を取り込めません。(☆)

インスリンが追加分泌されるとGLUT-4は細胞表面に移動して血糖を取り込むのです。

このようにインスリンは、生命の維持に必須の重要なホルモンであることが確認できました。

また近年、1型糖尿病患者の寿命は延びています。

以下、糖尿病ネットワークから一部抜粋。
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016/024725.php

1975年に米国で行われた調査では1型糖尿病患者の寿命は、
健康人に比べて27年短いとされていました。

スコットランドのダンディー大学が2万4,691人の1型糖尿病患者を対象に行った調査では、
20代前半の糖尿病患者の予想される平均余命は、
健康な人に比べ男性で11.1年、女性で12.9年短いという結果になりました(2015年1月報告)。

このようにインスリンの使用法や種類が改善されたことで、
1型糖尿病患者の寿命はかなり改善されてきています。

インスリン注射が、おおいに役に立っているわけです。

(☆)
運動をして筋肉が収縮した場合は、インスリンに非依存的に、GLUT-4が、
筋細胞表面にトランスロケーションするので、血糖を取り込むことができます。




☆☆☆インスリンの作用

インスリンは、グリコーゲン合成・タンパク質合成・脂肪合成など、栄養素の同化を促進し、筋肉、脂肪組織、肝臓に取り込む。同化ホルモンである。
T、 Bリンパ球の機能を増強する作用もある。

インスリンが作用するのは、主として、筋肉(骨格筋、心筋)、脂肪組織、肝臓である。

1)糖質代謝
*ブドウ糖の筋肉細胞・脂肪細胞内への取り込みを促進させる。
*グリコーゲン合成を促進させる。
*グリコーゲン分解を抑制する。
*肝臓の糖新生を抑制し、ブドウ糖の血中放出を抑制する。

2)タンパク質代謝
*骨格筋に作用してタンパク質合成を促進させる。
*骨格筋に作用してタンパク質の異化を抑制する。

3)脂質代謝
*脂肪の合成を促進する。
*脂肪の分解を抑制する。



江部康二
コメント
ロキソニンと血糖値について
先週、手首が偽痛風と診断され、箸も持てないほどの痛さでロキソニンを3日ほど服用したところ下記のように服用3日目の金曜日から早朝空腹時血糖値がいつもに比べて極端に低くなりました。また、耐糖能の改善?により食後血糖値も上がりにくくなっています。

しかし、この血糖値の変化は、耐糖能が改善したわけではなく、ロキソニンによる肝臓への負荷によって糖新生の活性度が下がったのではないかと考えていますが、ほかにも考えられることはあるでしょうか。

早朝空腹時血糖値(カッコ内はリブレの値)
日113( 92)
月115(103)
火106( 99)←夕食後ロキソニン服用開始
水105( 97)
木106(100)
金 76( 68)←昼から服用中止、血糖値低下
土 88( 70)
日106( 77)←血糖値回復
2019/12/22(Sun) 15:19 | URL | 西村典彦 | 【編集
本日の「インスリンの役割」に感謝です!!
都内河北 鈴木です。

本日の「インスリンの役割」記事を
「日本糖尿病学会」信奉医は、理解把握して指導しているのかと、
3年半インスリン増量して投与していた私は、
インスリンの効果、改善への専門医としての知識として知り得ていたのかと、
疑問が隠せません!!

江部先生ブログを読むたびに、
「日本医療界」の専門組織の「日本糖尿病学会」は、
改善皆無なのに、上から目線の医療指導で、改善皆無どころか殺されかけた
1患者として後遺症も「眼、脳梗塞、」にある患者として、
「覚醒、再覚醒、」している患者として、
2005年江部先生「糖質制限理論」発表以降も現状も行われている
「改善皆無の医療指導行為」に、
怒りが隠せません!!!

<私の発言は、江部先生「糖質制限理論」での改善医療デ~タを基にしています!!>

私は昨日の御二方同様に、
「改善の感謝報告が日増しに増えてゆく事を願います!!」

私は、江部先生「糖質制限理論」で、
「生還、覚醒、再覚醒、」でき、感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具
2019/12/22(Sun) 16:22 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
Re: ロキソニンと血糖値について
西村典彦 さん

いろんな薬剤で低血糖になり得ますが、ロキソニンなどNSAIDsもその一つです。

薬物による低血糖の機序としては
インスリンの過剰分泌
あるいは
インスリン拮抗ホルモン作用の低下や糖新生の低下

が考えられます。
ロキソニン内服して、4日目に血糖が30mg下がっていますね。
中止して、3日目に血糖が回復しています。

参考になります。
ありがとうございます。

血糖に関する厚生労働省のサイトです。
https://www.info.pmda.go.jp/juutoku/file/jfm1104010.pdf
2019/12/22(Sun) 17:43 | URL | ドクター江部 | 【編集
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