2008年08月11日 (月)
こんばんは。今日も暑いです。
京都市内で8日、最高気温が30度を超える真夏日が39日間連続し、ここ10年の最長記録を更新したそうです。その後も真夏日ですからまだ記録更新中です。ややうんざりですね。σ(=_=;)ヾ
京都って何だか、夏は暑くて冬は寒いです。 (*_*)
さて今回はnorion さんから、コメント・質問をいただきました。
『08/07/29 norion
HbA1cと血糖値について
初めまして、江部康二先生。
norionと申します。よろしくお願いいたします。
私は都内で大学生をしており、DM歴12年の経歴を持っております。ここ10年ほどまったく治療することもなく、病気を悪化させてきましたが、今年の4月から本格的に治療を始めました。
治療当初、HbA1cは11.5でしたが、食事制限と運動療法のみで
5月 HbA1c 11.5
6月 HbA1c 8.0
7月 HbA1c 6.6
*8月の結果が出ましたらまたご報告させて頂きます。
とすることができました。しかし、早朝時血糖値(平均110)や食後2時間値の血糖値(平均130)の下降に限界を感じ、様々な文献・資料を探っていたところ貴ブログを発見し、炭水化物 60g/dayの糖質制限食を始めました。
その結果、この2週間で早朝血糖値(平均100),2時間値(平均 110)となり、糖質制限食の偉大さを感じるばかりです。
さて、先生にご質問が2点あります。
1.HbA1cと血糖値の関係について
過去数ヶ月の血糖値の平均がHbA1cの値となることは分かったのですが、例えば、
血糖値平均
食前 98
食後1時間 200
食後2時間 98
食後3時間 96
のようになった場合(いわいるグルコーススパイクの状態)、HbA1cは食後1時間の高血糖、それともそれ以降・以前の血糖のどちらによって決定されるかということをお聞かせください。
HbA1cは早朝血糖値によって決定されるときいたことがあったのですが、いかがなのでしょうか?
2.糖質制限食について
先日サンドイッチ(炭水化物30g)とフライドチキン(炭水化物12g)を食べましたところ、
食後1時間 200
食後2時間 98
食後3時間 98
となりました。インスリンの遅延性過大反応はあるものの糖質制限食のおかげでインスリンの分泌が戻ってきたようにもおもわれます。現在は炭水化物 80g/dayですが、将来的には120g/dayを目指しています。そのためには1日1食主食をとるようにして徐々に体をならしていった方いいのか、それともある程度の期間3食主食抜きの糖質制限食を続けるべきなのでしょうか?3食主食を抜くことに抵抗は全くありません。治療にとっていい方を選択したいとおもっています。先生のご意見をお聞かせください。
ご多忙の中、申し訳ございませんが、アドバイスお願いいたします。』
norionさん。コメントありがとうございます。
炭水化物 60g/dayの糖質制限食実践されて
その結果、この2週間で
早朝血糖値(平均110→100),
2時間値(平均 130→110)
と改善、おめでとうございます。v(o^0^o)v
1.HbA1cと血糖値の関係について
HbA1cは過去1~2ヶ月間の平均血糖値を示す指標です。
食前 98
食後1時間 200
食後2時間 98
食後3時間 96
これらは、全てその時点の断面の血糖値を示しています。HbA1c*は、断面ではなく連続した血糖値の平均です。
一日の範囲で考えると、24時間連続してブドウ糖と結合したヘモグロビンはどのくらいの割合か、ということです。それの1~2ヶ月分です。
血糖値が高い時間帯が長ければ、ヘモグロビンとブドウ糖が結合したHbA1cは多くなります。血糖値が低い時間帯が長ければ、ブドウ糖と結合したヘモグロビンは少なくなるので、HbA1cは少なくなります。
2.糖質制限食について
先日サンドイッチ(炭水化物30g)とフライドチキン(炭水化物12g)を食べましたところ、
食後1時間 200
食後2時間 98
食後3時間 98
確かに現在は、食後2時間血糖値が98mgなので、正常人のパターンです。仰る通り、インスリン分泌能もかなり回復したと考えられます。
しかし、食後1時間血糖値が200mg/dlと、180mgを超えているので、糖質を摂取する通常の食生活だと、将来、再び糖尿病になる確率が高いです。
まあ、もともとnaorinさん、HbA1cが11.5%と立派な糖尿人でしたよね。 従いまして、このままスーパー糖質制限食を続けられる方がよろしいかと思います。一日一回主食を食べるなら、運動をしっかりして血糖コントロールするのが良いでしょう。
*HbA1c
赤血球の中に含まれているヘモグロビンは、鉄を含む赤色の色素部分のヘムと、蛋白部分のグロビンでできています。ヘモグロビンはグロビン部分の違いによりHbA、HbA2、HbFの3種類に分けられます。成人では、HbAが97%を占めています。
血液中には、赤血球や糖類やその代謝産物が流れていて、お互いに結合する傾向があります。赤血球中のヘモグロビンと、血中のブドウ糖など単糖類が結合したものが、グリケーティッドヘモグロビンです。
これを略してグリコヘモグロビンですが、HbA1とほぼ同義語として使用されています。グリコヘモグロビンは、元のヘモグロビンとは電気的性質が異なるため、検査により識別することができます。
HbA1は、さらにHbA1a、HbA1b、HbA1cなどに分けることができます。このうち糖尿病の検査の指標として汎用されているHbA1cはヘモグロビンA(HbA)にグルコース(ブドウ糖)が結合したものです。当然、血糖値が高値であるほど、ヘモグロビンと結合しやすいのです。
HbA1cの生産量は、Hb(ヘモグロビン)の寿命と血糖値に依存します。赤血球は骨髄で作られ、血液中を循環し寿命は約120日間ですから、HbA1cは過去4ヶ月(120日間)の血糖値の動きを示しています。
より詳しく分析すると、HbA1c値の約50%は過去1ヶ月間の間に作られ、約25%が過去2ヶ月、残りの約25%が過去3、4ヶ月で作られます。
従いまして、HbA1cの値は通常は過去1、2ヶ月の平均血糖値を反映していると考えればよいことになります。
江部康二
京都市内で8日、最高気温が30度を超える真夏日が39日間連続し、ここ10年の最長記録を更新したそうです。その後も真夏日ですからまだ記録更新中です。ややうんざりですね。σ(=_=;)ヾ
京都って何だか、夏は暑くて冬は寒いです。 (*_*)
さて今回はnorion さんから、コメント・質問をいただきました。
『08/07/29 norion
HbA1cと血糖値について
初めまして、江部康二先生。
norionと申します。よろしくお願いいたします。
私は都内で大学生をしており、DM歴12年の経歴を持っております。ここ10年ほどまったく治療することもなく、病気を悪化させてきましたが、今年の4月から本格的に治療を始めました。
治療当初、HbA1cは11.5でしたが、食事制限と運動療法のみで
5月 HbA1c 11.5
6月 HbA1c 8.0
7月 HbA1c 6.6
*8月の結果が出ましたらまたご報告させて頂きます。
とすることができました。しかし、早朝時血糖値(平均110)や食後2時間値の血糖値(平均130)の下降に限界を感じ、様々な文献・資料を探っていたところ貴ブログを発見し、炭水化物 60g/dayの糖質制限食を始めました。
その結果、この2週間で早朝血糖値(平均100),2時間値(平均 110)となり、糖質制限食の偉大さを感じるばかりです。
さて、先生にご質問が2点あります。
1.HbA1cと血糖値の関係について
過去数ヶ月の血糖値の平均がHbA1cの値となることは分かったのですが、例えば、
血糖値平均
食前 98
食後1時間 200
食後2時間 98
食後3時間 96
のようになった場合(いわいるグルコーススパイクの状態)、HbA1cは食後1時間の高血糖、それともそれ以降・以前の血糖のどちらによって決定されるかということをお聞かせください。
HbA1cは早朝血糖値によって決定されるときいたことがあったのですが、いかがなのでしょうか?
2.糖質制限食について
先日サンドイッチ(炭水化物30g)とフライドチキン(炭水化物12g)を食べましたところ、
食後1時間 200
食後2時間 98
食後3時間 98
となりました。インスリンの遅延性過大反応はあるものの糖質制限食のおかげでインスリンの分泌が戻ってきたようにもおもわれます。現在は炭水化物 80g/dayですが、将来的には120g/dayを目指しています。そのためには1日1食主食をとるようにして徐々に体をならしていった方いいのか、それともある程度の期間3食主食抜きの糖質制限食を続けるべきなのでしょうか?3食主食を抜くことに抵抗は全くありません。治療にとっていい方を選択したいとおもっています。先生のご意見をお聞かせください。
ご多忙の中、申し訳ございませんが、アドバイスお願いいたします。』
norionさん。コメントありがとうございます。
炭水化物 60g/dayの糖質制限食実践されて
その結果、この2週間で
早朝血糖値(平均110→100),
2時間値(平均 130→110)
と改善、おめでとうございます。v(o^0^o)v
1.HbA1cと血糖値の関係について
HbA1cは過去1~2ヶ月間の平均血糖値を示す指標です。
食前 98
食後1時間 200
食後2時間 98
食後3時間 96
これらは、全てその時点の断面の血糖値を示しています。HbA1c*は、断面ではなく連続した血糖値の平均です。
一日の範囲で考えると、24時間連続してブドウ糖と結合したヘモグロビンはどのくらいの割合か、ということです。それの1~2ヶ月分です。
血糖値が高い時間帯が長ければ、ヘモグロビンとブドウ糖が結合したHbA1cは多くなります。血糖値が低い時間帯が長ければ、ブドウ糖と結合したヘモグロビンは少なくなるので、HbA1cは少なくなります。
2.糖質制限食について
先日サンドイッチ(炭水化物30g)とフライドチキン(炭水化物12g)を食べましたところ、
食後1時間 200
食後2時間 98
食後3時間 98
確かに現在は、食後2時間血糖値が98mgなので、正常人のパターンです。仰る通り、インスリン分泌能もかなり回復したと考えられます。
しかし、食後1時間血糖値が200mg/dlと、180mgを超えているので、糖質を摂取する通常の食生活だと、将来、再び糖尿病になる確率が高いです。
まあ、もともとnaorinさん、HbA1cが11.5%と立派な糖尿人でしたよね。 従いまして、このままスーパー糖質制限食を続けられる方がよろしいかと思います。一日一回主食を食べるなら、運動をしっかりして血糖コントロールするのが良いでしょう。
*HbA1c
赤血球の中に含まれているヘモグロビンは、鉄を含む赤色の色素部分のヘムと、蛋白部分のグロビンでできています。ヘモグロビンはグロビン部分の違いによりHbA、HbA2、HbFの3種類に分けられます。成人では、HbAが97%を占めています。
血液中には、赤血球や糖類やその代謝産物が流れていて、お互いに結合する傾向があります。赤血球中のヘモグロビンと、血中のブドウ糖など単糖類が結合したものが、グリケーティッドヘモグロビンです。
これを略してグリコヘモグロビンですが、HbA1とほぼ同義語として使用されています。グリコヘモグロビンは、元のヘモグロビンとは電気的性質が異なるため、検査により識別することができます。
HbA1は、さらにHbA1a、HbA1b、HbA1cなどに分けることができます。このうち糖尿病の検査の指標として汎用されているHbA1cはヘモグロビンA(HbA)にグルコース(ブドウ糖)が結合したものです。当然、血糖値が高値であるほど、ヘモグロビンと結合しやすいのです。
HbA1cの生産量は、Hb(ヘモグロビン)の寿命と血糖値に依存します。赤血球は骨髄で作られ、血液中を循環し寿命は約120日間ですから、HbA1cは過去4ヶ月(120日間)の血糖値の動きを示しています。
より詳しく分析すると、HbA1c値の約50%は過去1ヶ月間の間に作られ、約25%が過去2ヶ月、残りの約25%が過去3、4ヶ月で作られます。
従いまして、HbA1cの値は通常は過去1、2ヶ月の平均血糖値を反映していると考えればよいことになります。
江部康二
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