2019年11月18日 (月)
おはようございます。
2019年
第45週 (11月4日~11月10日)
2019年11月13日
現在
国立感染研究所によれば、
2019年第45週(11月4日~11月10日)
全国的なインフルエンザの流行に入ったとのことです。
流行期に入るのは、例年より数週間から1か月ほど早く、
統計を取り始めて以降で2番目の早さです。
専門家は早めのワクチン接種などの対策を呼びかけています。
そのインフルエンザワクチンですが、
副作用は重篤なものは極めて少ないようですが、
肝腎の有効性はどうなのでしょう。
インフルエンザワクチンを接種した人も接種してない人もいると思いますが、
是非知っておいてほしいのは、インフルエンザワクチンは万能ではないということです。
すなわち感染防御力は基本的になくて、
重症化を防ぐことが期待されるていどの効能です。
ワクチンを打っている人も打っていない人も、
手洗い、うがい、マスクがインフルエンザ予防の基本ですね。
特に、手洗いが思った以上に有効です。
ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、
自分の手にもウイルスが付着している可能性があります。
外出先から帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。
咳やくしゃみで飛んだ飛沫が服についても、数時間で感染力を失うとされています。
外出から帰宅したら着替えすることも予防に役立ちます。
以下の青字は、厚生労働省サイトの記載です。
インフルエンザの予防にはみんなの
「かからない」、「うつさない」という気持ちが大切です。
手洗いでインフルエンザを予防して、かかったら、
マスク等せきエチケットも忘れないでください。
インフルエンザにかかった人は、
必ずマスクをして他人にうつさないように配慮が必要です。
<インフルエンザワクチンの有効性>
インフルエンザワクチンは、A型にもB型にも対応しています。
しかし、実は現行のインフルエンザワクチンには、
水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。
感染した後、重症化を防ぐ効果が期待されるという程度なので、過信するのは禁物です。
理論的に考えても、ワクチンを接種することにより
IgG抗体が血液・体液中に産生されますが、
粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、
咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、
はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。
欧米では、鼻への噴霧ワクチンで、粘膜面のIgA抗体をつくる試みもされていますが
あまり上手くいっていません。
IgA抗体を充分量増やす技術が難しいようです。
下記の青字は国立感染研究所のホームページからの抜粋です。
http://www0.nih.go.jp/niid/topics/influenza01.html
【7.インフルエンザワクチンの問題点
(2)「現行ワクチンの感染防御効果や発症阻止効果は完全ではありませんので、
ワクチン接種を受けてもインフルエンザに罹患する場合があり、
この場合には患者はウイルスを外部に排泄し、感染源となります。
従って、集団接種を行っても社会全体のインフルエンザ流行を
完全に阻止することは難しいと考えられます。」
(6)「現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。
しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、
インフルエンザウイルスの感染防御に中心的役割を果たすと考えられる
気道の粘膜免疫や、
回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。
これは、インフルエンザウイルスの感染そのものを防御すると言う面では
大きな短所であると考えられています。
しかし、この様な欠点を持ちながらも、先に述べたように、
ハイリスク群に対する現行インフルエンザワクチンの効果は明らかに認められています。
また、ワクチンの皮下接種でも血中の抗体産生は十分に刺激できるので、
インフルエンザに続発する肺炎などの合併症や
最近問題となっているインフルエンザ脳炎・脳症の発生を抑えることには
期待出来ると考えられています。」】
<集団感染>
東京都内で、今シーズン(2019年9月2日以降)において、
都内の学校や社会福祉施設等で発生したインフルエンザ様疾患の集団感染事例は、
9月22日までで、すでに55件報告されています。
これらの集団感染において、少なくとも社会福祉施設では、
ほとんどの人はインフルエンザワクチンを接種しています。
このような事例で証明されたと言えますが、
感染防御にはインフルエンザワクチンは、
実際にまったく無力だったことが明らかとなりました。
そもそもインフルエンザワクチンは
「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」ということが効能です。
感染を防ぐためには、「手洗い、うがい、マスク」が必須です。
<誤解>
ところが、相変わらず多くの患者さんや医師が、ワクチンを接種していれば、
水際で感染防御できると誤解しておられるのです。
私は、過去長年、友人の医師などに、
感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、
皆なかなか信じてもらえませんでした。
どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。
ここ数年、新聞などでもやっと、
「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。
逆に言えば、過去長年にわたり、
あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、
そのことに関して自己批判も反省もないのは如何なものでしょう。
インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、
私はこのことを説明して、
「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、
ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」
と付け加えます。
<必要性>
別に私は、ワクチンが無意味といっているのではありません。
65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、
糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、
インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、
生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。
若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、
接種する意味はありますね。
<感染防御>
①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。
診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。
マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクをして乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクをする。
その一人は、違う部屋で寝る。
⑥咳で飛沫が飛ぶのは約1mであるので当事者から距離を取る。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは、
できればノンタッチごみ箱に廃棄すること
ブログ読者の皆さん、インフルエンザワクチンを接種している人も、
感染防御効果はないことをしっかり認識して、
上記①~⑦を励行してくださいね。
これが実行されていれば、上述のような院内感染が猛威をふるうことはなかったでしょう。
<終わりに>
インフルエンザワクチン接種に、賛成の人も反対の人もあると思います。
ブログ読者の皆さんには、
インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて今回記事にしました。
江部康二
2019年
第45週 (11月4日~11月10日)
2019年11月13日
現在
国立感染研究所によれば、
2019年第45週(11月4日~11月10日)
全国的なインフルエンザの流行に入ったとのことです。
流行期に入るのは、例年より数週間から1か月ほど早く、
統計を取り始めて以降で2番目の早さです。
専門家は早めのワクチン接種などの対策を呼びかけています。
そのインフルエンザワクチンですが、
副作用は重篤なものは極めて少ないようですが、
肝腎の有効性はどうなのでしょう。
インフルエンザワクチンを接種した人も接種してない人もいると思いますが、
是非知っておいてほしいのは、インフルエンザワクチンは万能ではないということです。
すなわち感染防御力は基本的になくて、
重症化を防ぐことが期待されるていどの効能です。
ワクチンを打っている人も打っていない人も、
手洗い、うがい、マスクがインフルエンザ予防の基本ですね。
特に、手洗いが思った以上に有効です。
ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、
自分の手にもウイルスが付着している可能性があります。
外出先から帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。
咳やくしゃみで飛んだ飛沫が服についても、数時間で感染力を失うとされています。
外出から帰宅したら着替えすることも予防に役立ちます。
以下の青字は、厚生労働省サイトの記載です。
インフルエンザの予防にはみんなの
「かからない」、「うつさない」という気持ちが大切です。
手洗いでインフルエンザを予防して、かかったら、
マスク等せきエチケットも忘れないでください。
インフルエンザにかかった人は、
必ずマスクをして他人にうつさないように配慮が必要です。
<インフルエンザワクチンの有効性>
インフルエンザワクチンは、A型にもB型にも対応しています。
しかし、実は現行のインフルエンザワクチンには、
水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。
感染した後、重症化を防ぐ効果が期待されるという程度なので、過信するのは禁物です。
理論的に考えても、ワクチンを接種することにより
IgG抗体が血液・体液中に産生されますが、
粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、
咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、
はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。
欧米では、鼻への噴霧ワクチンで、粘膜面のIgA抗体をつくる試みもされていますが
あまり上手くいっていません。
IgA抗体を充分量増やす技術が難しいようです。
下記の青字は国立感染研究所のホームページからの抜粋です。
http://www0.nih.go.jp/niid/topics/influenza01.html
【7.インフルエンザワクチンの問題点
(2)「現行ワクチンの感染防御効果や発症阻止効果は完全ではありませんので、
ワクチン接種を受けてもインフルエンザに罹患する場合があり、
この場合には患者はウイルスを外部に排泄し、感染源となります。
従って、集団接種を行っても社会全体のインフルエンザ流行を
完全に阻止することは難しいと考えられます。」
(6)「現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。
しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、
インフルエンザウイルスの感染防御に中心的役割を果たすと考えられる
気道の粘膜免疫や、
回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。
これは、インフルエンザウイルスの感染そのものを防御すると言う面では
大きな短所であると考えられています。
しかし、この様な欠点を持ちながらも、先に述べたように、
ハイリスク群に対する現行インフルエンザワクチンの効果は明らかに認められています。
また、ワクチンの皮下接種でも血中の抗体産生は十分に刺激できるので、
インフルエンザに続発する肺炎などの合併症や
最近問題となっているインフルエンザ脳炎・脳症の発生を抑えることには
期待出来ると考えられています。」】
<集団感染>
東京都内で、今シーズン(2019年9月2日以降)において、
都内の学校や社会福祉施設等で発生したインフルエンザ様疾患の集団感染事例は、
9月22日までで、すでに55件報告されています。
これらの集団感染において、少なくとも社会福祉施設では、
ほとんどの人はインフルエンザワクチンを接種しています。
このような事例で証明されたと言えますが、
感染防御にはインフルエンザワクチンは、
実際にまったく無力だったことが明らかとなりました。
そもそもインフルエンザワクチンは
「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」ということが効能です。
感染を防ぐためには、「手洗い、うがい、マスク」が必須です。
<誤解>
ところが、相変わらず多くの患者さんや医師が、ワクチンを接種していれば、
水際で感染防御できると誤解しておられるのです。
私は、過去長年、友人の医師などに、
感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、
皆なかなか信じてもらえませんでした。
どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。
ここ数年、新聞などでもやっと、
「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。
逆に言えば、過去長年にわたり、
あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、
そのことに関して自己批判も反省もないのは如何なものでしょう。
インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、
私はこのことを説明して、
「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、
ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」
と付け加えます。
<必要性>
別に私は、ワクチンが無意味といっているのではありません。
65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、
糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、
インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、
生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。
若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、
接種する意味はありますね。
<感染防御>
①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。
診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。
マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクをして乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクをする。
その一人は、違う部屋で寝る。
⑥咳で飛沫が飛ぶのは約1mであるので当事者から距離を取る。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは、
できればノンタッチごみ箱に廃棄すること
ブログ読者の皆さん、インフルエンザワクチンを接種している人も、
感染防御効果はないことをしっかり認識して、
上記①~⑦を励行してくださいね。
これが実行されていれば、上述のような院内感染が猛威をふるうことはなかったでしょう。
<終わりに>
インフルエンザワクチン接種に、賛成の人も反対の人もあると思います。
ブログ読者の皆さんには、
インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて今回記事にしました。
江部康二
インフルエンザ後の肺炎は稀ではなく、是非基礎疾患のある方、高齢者ではインフルエンザのワクチンを接種していただきたいです。
以前糖質制限ダイエットをして20キロ痩せて41キロをキープしているとこちらのコメント欄から先生へ質問し病気に掛かる可能性が高いから46キロまで太った方がいいとアドバイス頂いた者です。やはり先生のおっしゃる通りなのかもしれません。現在、帯状疱疹を発症し治療中です。口角炎も治療中です。昨年は胃の病の機能性ディスペプシアを発症しました。元々免疫力が低い体質なのですが、現在は引きこもりがちな生活を送っており全然疲れてないし食事もヘルシーな食品を中心とした物です。なのに免疫力低下してしまいました。朝起きて夜寝る、規則正しい生活もしています。運動不足は痩せる前からそうです。帯状疱疹が出るのは体が弱っている証拠だと聞きました。やはり痩せすぎと栄養不足が原因でしょうか?食事は朝食のみで糖質200g位取っています。現在は糖質制限と言える程制限はしてないのですが。
2019/11/18(Mon) 14:31 | URL | ルクルク | 【編集】
としの さん
コメントありがとうございます。
私も同感です。
コメントありがとうございます。
私も同感です。
2019/11/18(Mon) 15:18 | URL | ドクター江部 | 【編集】
ルクルク さん
『食事は朝食のみで糖質200g位取っています。』
米国糖尿病学会の定義では、糖質130g/日以下の摂取を糖質制限食としています。
従って、ルクルクさんの食事は、定義的には糖質制限食ではないと思います。
1日1食で、41kgという体重は痩せすぎていると思います。
摂取エネルギー不足で、痩せすぎていると、免疫力低下を始めとして、体力そのものが低下すると思います。
『食事は朝食のみで糖質200g位取っています。』
米国糖尿病学会の定義では、糖質130g/日以下の摂取を糖質制限食としています。
従って、ルクルクさんの食事は、定義的には糖質制限食ではないと思います。
1日1食で、41kgという体重は痩せすぎていると思います。
摂取エネルギー不足で、痩せすぎていると、免疫力低下を始めとして、体力そのものが低下すると思います。
2019/11/18(Mon) 15:27 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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