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蛋白質、脂質、糖質と血糖値。1型糖尿病、2型糖尿病。
【19/11/14 もーりー
初めまして!
江部先生の事は何年も前から知ってますが、初めてコメントさせて頂きます。
私は1型糖尿病です。
CGMを見ながら、色々な事をやるのが好きです。
例えば、朝昼晩全く同じ物を食べた時の血糖変動です。
今回は「脂質でどれくらい血糖変動があるか?」を見てみたくなりました。
(私の通院している病院では脂質での上昇に注目しているからです。)

本日、朝昼晩に各マカダミアナッツ100gを摂りました。
1回の食事で糖質7g、脂質76gです。
結果は、血糖変動はなく、CGMのグラフは横ばいでした。
ステーキや焼肉を食べると長時間血糖値の上昇を引っ張るイメージがあります。
この長時間引っ張る原因が脂質だと思っていたのですが、違うのでしょうか?

ふと思ったのが、ある程度の糖質と脂質が合わさると引っ張るのかな?と思いました。
もしそうだとしたら、スーパー糖質制限を実施している1型の方は、CGMも横ばいなグラフなのでしょうか?

教えて頂けるのであれば宜しく御願いします。】



こんばんは。
1型糖尿病のモーリーさんから、蛋白質・脂質・糖質と血糖値上昇に関して
コメント・質問を頂きました。

まず、米国糖尿病学会によれば、
血糖値に直接影響を与えるのは糖質だけで、蛋白質・脂質は影響を与えません。
直接という言葉を使用しているのは、
1型糖尿病や2型でもインスリン分泌能が一定以上低下している場合には
蛋白質が間接的に血糖値を上げるからです。

【朝昼晩に各マカダミアナッツ100gを摂りました。
1回の食事で糖質7g、脂質76gです。
結果は、血糖変動はなく、CGMのグラフは横ばいでした。】


脂質は直接的にも、間接的にも、
血糖値をあげませんし、インスリンも分泌させません。

蛋白質はインスリンとグルカゴンを両方分泌させるので
摂取しても、健常人や軽症糖尿人では血糖値を上昇させません。

【ステーキや焼肉を食べると長時間血糖値の上昇を引っ張るイメージがあります。】

1型糖尿病で、内因性インスリン分泌がなくて、グルカゴン分泌能が普通に
残っている場合は、グルカゴンによる糖新生で、
蛋白質が間接的に血糖値を上昇させますが、数時間以上持続します。
また2型糖尿病でも『 グルカゴン分泌 > インスリン分泌』の場合は
蛋白質が間接的に血糖値を上昇させます。


江部康二



以下のブログ記事も参考になりますので再掲します。

蛋白質と血糖値
2019年02月10日 (日)


【19/02/09 しらねのぞるば
蛋白質だけを食べた場合の血糖値
すぱ郎さんが面白い実験をされてますね.

[血糖値386からの挑戦状]
https://suparou386.blogspot.com/2019/02/blog-post_4.html
https://suparou386.blogspot.com/2019/02/blog-post_7.html

低脂肪の牛ランプ肉だけを,調味料など一切使わず,
つまりほぼ蛋白質だけを食べた場合,食後血糖値がどうなるのか,という実験です.
この実験の貴重なのは,すぱ郎さん(糖尿人)と奥様(健常人)とで,
まったく同じものを同じ時間で食べている点です.
めったにこういうケースはありません.

その結果は,糖尿人では食後1~4時間にかけて,血糖値が30mg/dlほど上昇したが,
健常人はまったく変化なし,というものでした.
やはり糖尿人は,蛋白摂取でも血糖値が応答してしまうようです.

そこで,自分の過去のデータとも比較してみたところ,
私の場合は純粋に牛肉だけに近い食事をした場合(2例あり)は,
食後1時間で20ほど上昇,しかし食後2時間ではほぼ食前に復帰,というものでした.
すぱ郎さんのようにランプ肉ではないので直接の比較はできないのですが,
同じ糖尿人でも微妙な差がありそうです.

更に考えてみると,これは自分の糖尿病の程度が測定できる(糖負荷試験以外の)「もう一つの指標」になるのではないかな,
と思いました.
牛肉だけでなく他の蛋白質でも実験されているので,
皆様ご覧になると興味深いと思います.

実験にご協力いただいた,すぱ郎さんの奥様,
トウシツセイゲニストを代表してお礼申し上げます.】


こんにちは。
しらねのぞるばさんから
蛋白質摂取と血糖値に関して、とても興味深い情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。

血糖値386からの挑戦状
すぱ郎さん(糖尿人)と奥様(健常人)が比較してあり、とても参考になります。
https://suparou386.blogspot.com/search/label/%E8%A1%80%E7%B3%96%E5%80%A4%E6%B8%AC%E5%AE%9A%E5%AE%9F%E9%A8%93


牛ランプ肉100g中に、蛋白質21.6g、脂質3g、炭水化物0.5gですので、
糖質はほとんどなしですね。
脂質は、血糖値にもインスリン分泌にも、影響を与えません。


以下の緑文字の記載は、高雄病院で検査した、蛋白質摂取と血糖値の変化の
2型糖尿人と1型糖尿人のデータです。

2型糖尿病のAさん。60代男性。
2017/2/23(木)
          血糖値    インスリン     グルカゴン
8:30      139       8.0                         151
ささみ200g摂取 210kcal。46.0gのたんぱく質。糖質ゼロ。脂質1.58g。
30分後       140    7.7                         190
60分後       151    23.3                      257
2時間後       147    26.2                     195
3時間後       137    7.5                         144
4時間後       127    5.7                         100


1型糖尿病のBさん。インスリン強化療法中。10代男性。
ささみ。200g。210kcal。46.0gのたんぱく質。糖質ゼロ。脂質1.58g。

2017/2/17(金)
          血糖値     CPR         グルカゴン
8:30      115   0.6(1.5~3.5ng/ml)   128(70~174pg/ml)
ささみ200g摂取。210kcal。46.0gのたんぱく質。糖質ゼロ。脂質1.58g。
30分後       160    1.0         229
60分後       176    1.3         186
2時間後       193    1.3        154
3時間後       167    1.2         173
4時間後       159    0.9         122


2型糖尿人Aさんは、内因性インスリンはある程度分泌されていますが、グルカゴンの方が優性です。
そのため蛋白質摂取60分後がピークで、12mg血糖値上昇ですので、1gの蛋白質が、0.26mg血糖値を上昇させています。
HbA1cは、5.7%~5.9%くらいで、コントロール良好です。

1型糖尿人Bさんも、内因性インスリンが少しだけ分泌されていますが、グルカゴンの方がはるかに優性です。
そのため蛋白質摂取120分後がピークで、78mg血糖値上昇ですので、1gの蛋白質が、1.7mg血糖値を上昇させています。
HbA1cは、6.0~6.5%くらいで、GAは18から19.5%くらいで、コントロール良好です。

このように、たんぱく質は、直接血糖値を上昇させることはありませんが、
グルカゴンによる糖新生によって、間接的に血糖値を上昇させることがあります。
その場合、以下のA)B)C)の3つのパターンがあると思います。
A)は確定ですし、B)C)はそれに準じると考えられます。

A)1型糖尿病で内因性インスリンがゼロレベルの人は、たんぱく質摂取でグルカゴンだけが分泌され、
インスリンは分泌できないので、グルカゴンによる糖新生で、間接的にかなり血糖値が上昇する。
高雄病院の1型の患者さん数人の検査で、個人差はあるが、
1gのたんぱく質で、1.0~3.6mg/dl上昇した。

B)2型糖尿病でも、内因性インスリン分泌能がかなり不足している場合は、
たんぱく質摂取で『グルカゴン分泌量 > インスリン分泌量』 となり、
血糖値が上昇することがあると考えられる。

C)ロイシン、アルギニン、リジンなどの摂取刺激によって、
体質的に、相対的にインスリン分泌量よりグルカゴン分泌量が多いタイプがあれば、
2型糖尿病でインスリン分泌能が残っていても、たんぱく質摂取で血糖値が上昇すると思われる。



今まで、2型糖尿病では、基本的にB)パターン以外には、
たんぱく質が間接的に血糖値を上昇させることはないと考えていましたが
C)パターンがあることが明らかとなりました。
頻度がどのくらいあるかは、まだよくわかりませんが、ブログコメントなどを参考にすると
結構おられるように思います。

なお正常人では、蛋白質摂取で
インスリンとグルカゴンが同程度分泌されて、効果が相殺されるので
すぱ郎さんの奥様のように、血糖値上昇がないと思われます。

日頃、摂取糖質量に比し、血糖値が上昇し過ぎるという2型糖尿人は、
上述の様な、
ささみ実験をして、「たんぱく質と血糖上昇」に関して調べてみては如何でしょう。


江部康二
コメント
ありがとうございました!
今まで脂質で上がっていたと思っていたのは、実はタンパク質だった!と言う事かもですね!
ログが切れた後からジワジワ上がってきていた時、脂質が原因だと思っていましたが、明らかにつじつまが合わない食事内容だった事が多々ありました。
先生の話を聞いて納得しました!
私は高タンパク食を好みますので、ジワジワ上がっていたのもつじつまが合います!
スッキリしました。
ありがとうございましたm(*_ _)m
2019/11/16(Sat) 18:24 | URL | もーりー | 【編集
今週のNHKで少し気になる番組があるようです
あさイチはおそらくNHKスペシャルの番宣のための特集と思われるので
内容はかぶるかもしれません

あさイチ
11/20(水) 8:15~9:55
理想の食とは!? 糖質の新常識

スーパーやコンビニには「糖質オフ」の食品が並び、
飲食店では麺なしのラーメンや米なしのすしが登場するなど、
すっかり社会に定着した感のある「糖質制限」。
みなさんの周りにも、糖質制限で体重が減った、
という人がいるのではないでしょうか。
でも、極端な糖質制限を続けると、
死亡率が高くなるという衝撃の研究が!
健康のためには「とるべき糖質の量」があることが分かってきました。
(詳細は以下)
http://www1.nhk.or.jp/asaichi/archive/191120/1.html


NHKスペシャル 食の起源 第1集「ご飯」~健康長寿の敵か?味方か?~
11/24(日) 21:00~21:49

第1集のテーマは、ニッポンの主食「ご飯」。
日本人のソウルフードでありながら、
糖質が多いご飯は「肥満の元凶」され、
“ご飯抜きダイエット”もはやっている。
ところが最近、「糖質を減らすと寿命が縮む」という衝撃のデータが!
ご飯は健康長寿の敵なのか、味方なのか?
人類と糖質の関係を起源までさかのぼると、
ご飯には日本人の遺伝子や腸内細菌を変えてしまう、
すごいパワーが秘められていることが分かってきた。
あなたのご飯を見る目が、きっと変わる!
(詳細は以下)
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20191124
2019/11/17(Sun) 22:14 | URL | 貧乏知識 | 【編集
Re:NHKスペシャル 食の起源 第1集「御飯」~健康長寿の敵?か味方か?
都内河北 鈴木です。

貧乏知識さんの、
江部先生「糖質制限理論」は、敵?か味方?か論争ですが、

私の糖尿病21年間が、「糖質制限理論」理解把握実践での、
3か月足らずでインスリン増量投与者が「生還、」!!

以降に後遺症「眼、脳梗塞、」の「覚醒、再覚醒、」している9年目の
「日本の糖尿病学会」に悪化から殺されかけた1患者の意見として改善結果をみても、
「糖質制限理論」の健康長寿が否定的に何故とらえられるのかを、
番組提議発言者に、問いたいです!!
<改善・医療デ~タ全て存在しています!!>

そんな事より「日本糖尿病学会」の信奉している
「カロリ~制限理論」の21年間の悪化から殺されかけた1被害者として、
その「カロリ~制限理論」事の正当性を明言してみろと言いたいです!!

2005年発表、江部先生「糖質制限理論」を、
2019年11月現在も日本医療界」は、受容していない事が問題です!!

「糖質制限理論」理解把握実践で、
「生還、覚醒、再覚醒、」している現在も、
益々、体調快調に成っています!!

江部先生には、感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具
2019/11/18(Mon) 00:16 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
追加情報
NHK総合とEテレは同じ内容です

先どり きょうの健康「食欲の秋!食と健康SP “糖質”ってどうなの?」
NHK総合 11/22(金) 10:40~10:55

きょうの健康 食欲の秋!食と健康スペシャル「“糖質”ってどうなの?」
Eテレ 11/25(月) 20:30~20:45

主食やおやつとしてなじみの深い糖質。体のエネルギー源として大切だが、
食べ過ぎると…?特にごはんとラーメンなどの「糖質の重ね食い」や、
食事を減らす代わりに「丸ごとケーキ」といった食べ方だと体の中ではあることがおこり、
将来の病気にもつながってしまうのだ!
糖質を減らす長所とは?短所とは?どれくらい糖質をとればよいのか?。
食べ方のコツは?第一線で活躍する専門家が最新研究も交えて徹底紹介する。
【講師】慶應義塾大学医学部教授…伊藤裕

https://www4.nhk.or.jp/kyonokenko/x/2019-11-25/31/11328/2137899/
2019/11/18(Mon) 06:32 | URL | 貧乏知識 | 【編集
Re: タイトルなし
貧乏知識 さん

情報をありがとうございます。

【「糖質を減らすと寿命が縮む」という衝撃のデータが!】

この結論の根拠となった論文に対しては、すでに本ブログで反論しています。
2019/11/18(Mon) 15:13 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
貧乏知識  さん

こちらも情報をありがとうございます。

視聴してみたいと思います。
2019/11/18(Mon) 15:16 | URL | ドクター江部 | 【編集
食後運動
妊娠糖尿から境界型になりました。
運動なし。食事普通。a1c5.6 体重56 160センチ BMI21
から2か月後、糖質制限。運動エアロバイク30分×3回
体重41 BMI 16.8
a1c5.9
と悪化してしまいました😭
リブレつけて、運動後下がりますが、その後2時間ずっと下がらず爆上がりリバウンドします。
仕事で動いてもあがります。
運動したら血糖値は下がるのでは?
2019/11/26(Tue) 16:58 | URL | とんち | 【編集
Re: 食後運動
とんち さん


まずは、痩せすぎです。
厚生労働省のいう『推定エネルギー必要量』をしっかり確保して
BMIをせめて20くらいまで戻しましょう。


普通の食事のHbA1cは、血糖変動の大きい、ものです。
正常人や境界型でも、食後血糖値は結構上昇し、夜中に血糖値が60~70mgとか下がったりします。
すなわち質の悪いHbA1cです。


糖質制限食でのHbA1cは、血糖変動が少ない質の良いHbA1cです。


心拍数の上がるていどの運動は、アドレナリンが出て一旦血糖値が上昇します。
2~3時間くらいで、運動効果で運動前より下がってきます。
2019/11/27(Wed) 10:58 | URL | ドクター江部 | 【編集
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