2019年10月27日 (日)
こんにちは。
今回は、インスリン、Cペプチド、「インスリン分泌指標」や「インスリン抵抗性指標」について
検討してみます。
早朝空腹時のインスリン(IRI)や血糖値を測定することで
いろんな指標が計算できます。
【インスリン、Cペプチド】
インスリン
早朝空腹時の血中インスリン(基準値は3.5~15μU/mL)を測定すれば、基礎分泌能力がわかります。
Cペプチド
通常は、血液中のインスリン(IRI)そのものを測定しますが、
インスリン注射中の糖尿人は、C-ペプタイド(CPR)というものを調べます。
IRIの測定は、注射したインスリンの影響を受けますので不正確になりますが、
CPRの方は、外から注射したインスリンとは無関係の、
内因性インスリンの分泌状態を示しています。
早朝空腹時血中CPR(基準値は1.5~3.5ng/mL)を測定することで、
インスリンの基礎分泌能力がわかります。
蓄尿して一日尿中のCPR(基準値は17~181μg/day)を測定することは、
一日の内因性インスリン分泌総量(基礎分泌+追加分泌)の指標となります。
以下に、臨床上役に立つ
インスリン分泌指標、インスリン抵抗性指標をまとめてみます。
【インスリン分泌指標】
HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/(空腹時血糖値(mg/dL)-63)>
空腹時の検査であるが経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関する。
空腹時血糖値130mg以下なら信頼度高い。
正常値:40-60
30%以下は軽度、15%以下は顕著なインスリン分泌低下。
インスリン使用中の患者には使えない。
インスリン分泌指数
インスリン追加分泌のうち初期追加分泌能はインスリン分泌指数で見る。
Insulinogenic index(⊿IRI/⊿BS)
=(負荷後30分IRI値-負荷前IRI値)/ (負荷後30分血糖値-負荷前血糖値)
0.4以上は初期追加分泌能維持。2型では0.3以下が多い。
SUIT指数
空腹時CPR(ng/ml)×1485/<空腹時血糖値(mg/dl)-61.8>
50%以下は軽度、20%以下は顕著なインスリン分泌低下。
30%以下だとインスリン治療が必要。
Cペプチドインデックス(CPI)
空腹時CPR(ng/ml)×100/空腹時血糖値(mg/dl)
1.2以上は正常。0.8以下でインスリン分泌低下。
1.2以上の場合は食事や経口薬治療、0.8未満の場合はインスリン療法を選択。
空腹時血糖値140mg/dl以上なら、CPIのほうが、HOMA-βやSUIT指数より信頼度が高い。
【インスリン抵抗性指標】
<HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405 >
1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり。
空腹時血糖値140mg以下なら信頼度高い。
江部康二
今回は、インスリン、Cペプチド、「インスリン分泌指標」や「インスリン抵抗性指標」について
検討してみます。
早朝空腹時のインスリン(IRI)や血糖値を測定することで
いろんな指標が計算できます。
【インスリン、Cペプチド】
インスリン
早朝空腹時の血中インスリン(基準値は3.5~15μU/mL)を測定すれば、基礎分泌能力がわかります。
Cペプチド
通常は、血液中のインスリン(IRI)そのものを測定しますが、
インスリン注射中の糖尿人は、C-ペプタイド(CPR)というものを調べます。
IRIの測定は、注射したインスリンの影響を受けますので不正確になりますが、
CPRの方は、外から注射したインスリンとは無関係の、
内因性インスリンの分泌状態を示しています。
早朝空腹時血中CPR(基準値は1.5~3.5ng/mL)を測定することで、
インスリンの基礎分泌能力がわかります。
蓄尿して一日尿中のCPR(基準値は17~181μg/day)を測定することは、
一日の内因性インスリン分泌総量(基礎分泌+追加分泌)の指標となります。
以下に、臨床上役に立つ
インスリン分泌指標、インスリン抵抗性指標をまとめてみます。
【インスリン分泌指標】
HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/(空腹時血糖値(mg/dL)-63)>
空腹時の検査であるが経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関する。
空腹時血糖値130mg以下なら信頼度高い。
正常値:40-60
30%以下は軽度、15%以下は顕著なインスリン分泌低下。
インスリン使用中の患者には使えない。
インスリン分泌指数
インスリン追加分泌のうち初期追加分泌能はインスリン分泌指数で見る。
Insulinogenic index(⊿IRI/⊿BS)
=(負荷後30分IRI値-負荷前IRI値)/ (負荷後30分血糖値-負荷前血糖値)
0.4以上は初期追加分泌能維持。2型では0.3以下が多い。
SUIT指数
空腹時CPR(ng/ml)×1485/<空腹時血糖値(mg/dl)-61.8>
50%以下は軽度、20%以下は顕著なインスリン分泌低下。
30%以下だとインスリン治療が必要。
Cペプチドインデックス(CPI)
空腹時CPR(ng/ml)×100/空腹時血糖値(mg/dl)
1.2以上は正常。0.8以下でインスリン分泌低下。
1.2以上の場合は食事や経口薬治療、0.8未満の場合はインスリン療法を選択。
空腹時血糖値140mg/dl以上なら、CPIのほうが、HOMA-βやSUIT指数より信頼度が高い。
【インスリン抵抗性指標】
<HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405 >
1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり。
空腹時血糖値140mg以下なら信頼度高い。
江部康二
母(70 歳)の検査結果について相談させてください。
■2021/2/28
HbA1c: 6.4
■2021/3
1 日 2 食 (絶食時間 18 時間) 開始
■2021/5/09
HbA1c: 6.2
グリコアルブミン: 13.9
GA/HbA1c (食後高血糖): 2.4
空腹時血糖値: 113
空腹時インスリン値: 4.0
分泌能(HOMA-β): 28.8
抵抗性(HOMA-IR): 1.1
現状は、食生活を我慢すれば、
糖尿病診断基準である、Hb1Ac 6.5 未満、空腹時血糖値 126 未満ですが、
糖質を食べたいストレスに苦しんでいます。
たまには羽目を外して糖質を摂取しても大丈夫なように、
薬を処方してもらいたいのですが、こういった状況の場合、
糖尿病として薬を処方してもらえるのでしょうか?
それとも、できる範囲でゆるやかな糖質制限を続けつつ、
じわじわと HbA1c 6.5 以上になる、糖尿病診断されるのを待つしかないのでしょうか?
もし、処方していただけるとしたら、
糖質制限を理解し、血糖管理できる糖尿病専門医に限られるのではないか、と思いますが、
住まいは静岡と愛知の県境、
(高雄病院では初診から遠隔/電話診療に対応いただくことは難しいと思いますので)
浜松市や豊橋市あたりで糖質制限を理解し糖尿病を相談できる医師を
見つけられないものか、と右往左往しています。
他に相談できる専門家が分からず、忙しい江部先生にお手数をお掛けしまして申し訳ございません。
どうぞよろしくお願いいたします。
■2021/2/28
HbA1c: 6.4
■2021/3
1 日 2 食 (絶食時間 18 時間) 開始
■2021/5/09
HbA1c: 6.2
グリコアルブミン: 13.9
GA/HbA1c (食後高血糖): 2.4
空腹時血糖値: 113
空腹時インスリン値: 4.0
分泌能(HOMA-β): 28.8
抵抗性(HOMA-IR): 1.1
現状は、食生活を我慢すれば、
糖尿病診断基準である、Hb1Ac 6.5 未満、空腹時血糖値 126 未満ですが、
糖質を食べたいストレスに苦しんでいます。
たまには羽目を外して糖質を摂取しても大丈夫なように、
薬を処方してもらいたいのですが、こういった状況の場合、
糖尿病として薬を処方してもらえるのでしょうか?
それとも、できる範囲でゆるやかな糖質制限を続けつつ、
じわじわと HbA1c 6.5 以上になる、糖尿病診断されるのを待つしかないのでしょうか?
もし、処方していただけるとしたら、
糖質制限を理解し、血糖管理できる糖尿病専門医に限られるのではないか、と思いますが、
住まいは静岡と愛知の県境、
(高雄病院では初診から遠隔/電話診療に対応いただくことは難しいと思いますので)
浜松市や豊橋市あたりで糖質制限を理解し糖尿病を相談できる医師を
見つけられないものか、と右往左往しています。
他に相談できる専門家が分からず、忙しい江部先生にお手数をお掛けしまして申し訳ございません。
どうぞよろしくお願いいたします。
2021/06/26(Sat) 15:23 | URL | たっちぃ | 【編集】
たっちぃ さん
「浜松市や豊橋市あたりで糖質制限を理解し糖尿病を相談できる医師」
は、残念ながらおられません。
とりあえず、緩やかな糖質制限食で、1回の食事で40gの糖質を摂取されては如何でしょう。
これで、HbA1c: 6.2~6.4% くらいなら、問題ないと思います。
今まで通院しておられた医院にそのまま継続して受診して検査して貰えばよいでしょう。
ドクターには、いちいち「糖質制限食」をしていると告げる必要もないと思います。
なお、ケーキ屋さんの「シャトレーゼ」には、糖質オフのコーナーがあって、スイーツやパンやピザもありますので
便利ですよ。
「浜松市や豊橋市あたりで糖質制限を理解し糖尿病を相談できる医師」
は、残念ながらおられません。
とりあえず、緩やかな糖質制限食で、1回の食事で40gの糖質を摂取されては如何でしょう。
これで、HbA1c: 6.2~6.4% くらいなら、問題ないと思います。
今まで通院しておられた医院にそのまま継続して受診して検査して貰えばよいでしょう。
ドクターには、いちいち「糖質制限食」をしていると告げる必要もないと思います。
なお、ケーキ屋さんの「シャトレーゼ」には、糖質オフのコーナーがあって、スイーツやパンやピザもありますので
便利ですよ。
2021/06/26(Sat) 16:12 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生、
早速に返答いただきましてどうもありがとうございます。
「インスリン分泌が低下していても、緩やかな糖質制限食で
問題なし (膵臓のβ細胞は疲弊しない)」というご回答に安心しました。
年に 1 回の健康診断で HbA1c 6.5 未満であることに留意していこうと思います。
糖質制限ではカロリー不足や食費が高くなることも悩みの種で、
大豆粉でクレープを作り、キャベツ巻きを主食にしたり、
せんべいなら 1/4 枚ずつ、シュークリームなら 1/2 個ずつ食べるようにしています。
コロナワクチン接種後にシュークリームを食べたくなったら、
「シャトレーゼ」に出かけてみたいと思います。
早速に返答いただきましてどうもありがとうございます。
「インスリン分泌が低下していても、緩やかな糖質制限食で
問題なし (膵臓のβ細胞は疲弊しない)」というご回答に安心しました。
年に 1 回の健康診断で HbA1c 6.5 未満であることに留意していこうと思います。
糖質制限ではカロリー不足や食費が高くなることも悩みの種で、
大豆粉でクレープを作り、キャベツ巻きを主食にしたり、
せんべいなら 1/4 枚ずつ、シュークリームなら 1/2 個ずつ食べるようにしています。
コロナワクチン接種後にシュークリームを食べたくなったら、
「シャトレーゼ」に出かけてみたいと思います。
2021/06/26(Sat) 17:24 | URL | たっちぃ | 【編集】
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