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脂肪悪玉説は否定された。  ヤフー“揚げ物税”?
『19/10/04 yanosono
ヤフー“揚げ物税”で健康に 社員食堂の揚げ物を値上げへ
https://newspicks.com/news/4271527?ref=user_282501
揚げ物は一律に体に悪いというイメージを与えてしまうように思います。』


NHK NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191003/k10012109921000.html
2019年10月3日の「NHK NEWS WEB」 
「ヤフー“揚げ物税”で健康に 社員食堂の揚げ物を値上げへ」
という記事が載りました。

以下の青字は記事の要約です。
【IT大手のヤフーは、その名も「揚げ物税」と称し、
社員食堂の揚げ物の値段を上げることを決めた。

ヤフーは、2019年9月8日から「揚げ物税」と称して
社員食堂で出しているから揚げやトンカツなど揚げ物のメニューの値段をそれぞれ100円上げることを決めた。

一方で煮魚や焼き魚などのメニューは150円安くし、
魚料理を選びやすくする。

ヤフーがこうした取り組みを行うのは、
食生活の改善を促して社員の健康の増進につなげるねらい。

脂肪分を取り過ぎて悪玉コレステロールの数値が高い社員が多いということで、ヤフーは、「意識せずに脂肪分を多くとっている社員も多いのでこれをきっかけに食生活を見直してもらいたい」としている。】


こんにちは。
yanosono さんから
ヤフーの“揚げ物税”について、コメント・質問を頂きました。
ヤフー、
IT企業の割に、
健康観は、保守的ですね。
油が悪いとの思い込みは、困ったものです。

確かに脂肪悪玉説が、戦後、先進国を席巻して、
「大腸ガン、乳ガン、心筋梗塞などの元凶は脂肪摂取過剰である。」
という(根拠のない)定説がまことしやかに信じられてきたと思います。

これに対して、大変興味深い研究結果が発表されています。
RCT論文と前向きコホート研究があります。

まずは、RCT論文です。

<RCT論文>

米国医師会雑誌、2006年2月8日号に掲載された3本の論文において

「<低脂肪+野菜豊富な食生活>は乳癌、大腸癌、心血管疾患リスクを下げないし、総コレステロール値も不変であった。」

という報告がなされたのです。

米国医師会雑誌は、インパクトファクターが高く、ニューイングランドジャーナルに次ぐ権威有る医学雑誌です。

RCT研究論文ですので、エビデンスレベルも信頼度が高いです。

5万人弱の閉経女性を対象に、対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した結果です。

高額の費用をつぎ込んだ大規模臨床試験で、二度とできない高いレベルの研究です。

2万5千人ずつにグループ分けをして、一方は、脂肪熱量比率20%で強力に低脂肪食を指導しました。

残るグループは脂肪制限なしなので、米国女性平均なら30数%の脂肪摂取比率です。

平均的米国女性に対して、約半分近くまで、脂肪摂取比率を厳格に減らして臨床試験を実施したわけです。

研究をデザインした医師は、

「高脂肪食が大腸ガン、乳ガン、心血管疾患のリスクを増大させる=脂肪悪玉説」

という従来の定説を掲げて、それを証明するためにこのRCTを実施したと思います。

すなわち、

「低脂肪食実践により、大腸ガン、乳ガン、心血管疾患のリスクが減少する」

と信じてこのRCTを開始したと考えられます。

ところが、豈図らんや、低脂肪食は、乳癌、大腸癌、心血管疾患リスクを全く下げなかったのです。

これは、即ち、脂肪悪玉説が根底から否定されたということです。

結論です。

『5万人を8年間追跡したJAMA掲載のRCT研究論文で、少なくとも乳ガン・大腸ガン・心血管疾患に関しては、脂肪悪玉説は否定された。』

ということになります。

脂肪悪玉説を根底から覆す良質の信頼度の高いエビデンスですね。


*Journal of American Medical Association(JAMA)誌
2006年2月8日号の疾患ごとにまとめられた3本の論文で報告。

*Low-Fat Dietary Pattern and Risk of Invasive Breast Cancer
  Low-Fat Dietary Pattern and Risk of Colorectal Cancer
  Low-Fat Dietary Pattern and Risk of Cardiovascular Disease
  : The Women's Health Initiative Randomized Controlled Dietary Modification Trial
JAMA ,295(6):629-642.  643-654. 655-666.


次いで前向きコホート研究です。

<前向きコホート研究>

低炭水化物・高脂肪・高タンパク食に冠動脈疾患のリスクなし
一方総炭水化物摂取量は冠動脈疾患リスクの中等度増加に関連していた。
高GLは冠動脈疾患リスク増加と強く関連していた。
ニューイングランドジャーナルのコホート研究  
82802人 20年間 2006年掲載 ハーバード大学
炭水化物摂取比率36.8±6.1%グループと58.8±7.0%のグループの比較。
Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.


21論文、約35万人をメタアナリシスして、
5~23年追跡して1.1万人の脳心血管イベントが発生。
飽和脂肪摂取量と脳心血管イベントハザード比を検証してみると、
飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は、関係がないことが判明。
Siri-Tarino, P.W., et al., Meta-analysis of prospective cohort studies evaluating the association of saturated fat with cardiovascular disease.  Am J Clin Nutr, 2010. 91(3): p. 535-46.


 『炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇』
ランセット誌のオンライン版(2017/8/29)で、
 カナダ・マックマスター大学のMahshid Dehghan博士らが報告。
5大陸18カ国で全死亡および心血管疾患への食事の影響を検証した大規模疫学前向きコホート研究(Prospective Urban Rural Epidemiology:PURE)の結果。
2003年1月1日時点で35~70歳の13万5335例を登録し、
2013年3月31日まで中央値で7.4年間も追跡調査。
論文の内容を要約
1)炭水化物摂取量の多さは全死亡リスク上昇と関連。
2)総脂質および脂質の種類別の摂取は全死亡リスクの低下と関連。
3)総脂質および脂質の種類は、心血管疾患(CVD)、心筋梗塞、CVD死と関連しない。
4)飽和脂質は脳卒中と逆相関している。

炭水化物摂取比率    総死亡率
1群 46.4%          4.1%
2群 54.6%         4.2%
3群 60.8%         4.5%
4群 67.7%         4.9%
5群 77.2%         7.2%

脂肪の摂取比率     総死亡率
1群 10.6%         6.7%
2群 18.0%         5.1%
3群 24.2%         4.6%
4群 29.1%         4.3%
5群 35.3%         4.1%


前向きコホート研究①の結論は
「高脂肪食に冠動脈疾患のリスクなし」
です。

前向きコホート研究②の結論は
「飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は、関係がない」
です。
つまり、肉の脂も大丈夫ということです。

前向きコホート研究③の結論は
「脂肪の摂取比率が多いほど総死亡率は低下する」
です。
つまり、脂肪が体に悪いどころか、
多く食べるほど、体に良いということです。


江部康二
コメント
講演会予定
こんにちは。以前離乳食についてお伺いした者です。お忙しい中返信ありがとうございました。
シリコンバレー式最強の食事法という本から入り、ここ数年生活習慣を変え実践しました。効果に感動し機能性医学、食事に関心を強くもっております。

東京での講演会などがありましたら教えて頂きたいです。 又、おすすめの先生、教授、科学者、講演会などありましたら教えて頂けると嬉しく思います。
2019/10/05(Sat) 16:46 | URL | asa_mi | 【編集
揚げ物税
ヤフーらしいトンガッタ感が無く残念ですね。
経営者に阿る茶坊主が考えそうなことですね。
大企業病でしょうか。
(あくまで想像です)
2019/10/05(Sat) 17:35 | URL | 取りすがり | 【編集
最先端事業者であって理解不足??
都内河北 鈴木です。

本日記事を読み、社会の最先端ネット事業者でも、
「糖質制限理論」を無理解なのかと思い、
ガッカリです!!

日本国の医療界が、時代進化皆無で無理解では、致し方ない感と考えますが、
このままではいけないと、
再三コメントしています私の「生還、覚醒、再覚醒、」の事実を、
医療デ~タをもって発言しています!!

本日接した、建築事業者Hさん、アパ~ト経営者Mさん、方々は70歳を超えていますが、
健康関心あり、江部先生「糖質制限理論」の知識有りましたが、
詳細は無知でしたので、私「都内河北 鈴木」の
*「生還、覚醒、再覚醒」医療デ~タ」、
*「K総合病院の無能・書付証明書」
 等を全てコピ~して渡しました!!

そして方々はネット活用可能なので、江部先生ブログを読むようにと伝えておきました!!
私の改善・効果・結果を見て、実践可否は、本人次第かと考えます!!

江部先生には、御礼もできない生活状況ですが、
「生還、覚醒、再覚醒、」をコメントをすることで、
感謝御礼とさせてください!!

江部先生には、「生還覚醒、再覚醒、」でき、感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具
2019/10/05(Sat) 20:03 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
キャノーラ油で認知症が悪化する──米研究
いつも拝読しております。外食産業で使われる揚げ物用油の大半は、安価なキャノラー油(サラダ油)だと思われます。以下の記事についての江部先生のご意見をお聞かせいただけると助かります。

キャノーラ油で認知症が悪化する──米研究 2017年12月8日(金)19時11分 メリッサ・マシューズ
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/12/post-9082.php
2019/10/06(Sun) 08:44 | URL | 東京の江部ファン | 【編集
Re: 講演会予定
asa_mi さん

<9月29日(日)東京。日本糖質制限医療推進協会一般向け講演会>
が、開催されたところです。
2020年には東京で講演会があると思います。
予定が決まればブログに掲載します。

宗田哲男先生
夏井睦先生
深作秀春先生
大櫛陽一先生
清水泰行先生
堺研二先生
などなど糖質セイゲニストの先生方がおられます。
他にも日本糖質制限医療推進協会の提携医療機関の先生方がおられます。
2019/10/06(Sun) 08:55 | URL | ドクター江部 | 【編集
返信ありがとうございます
返信ありがとうございました。
講演会楽しみにしています^_^
2019/10/06(Sun) 09:13 | URL | asa_mi | 【編集
肉なら何でも大丈夫?
いつもありがとうございます。
先日、米国のドクターの講演ビデオを見ていてふと疑問を感じました。彼は「EU、アルゼンチンの牛は18ヶ月で屠殺されるが米国では6週間!だから不健康」と警鐘を鳴らしていました。

そこでは詳しい説明はありませんでしたが、米国では家畜を太らせるホルモン剤(?)を大量に与え(=それを食べる人間も太る)、餌は遺伝子操作のとうもろこしと聞いたことがあります。

グラスフェッドの牛肉は高いし、和牛も別の意味で不健康そうなイメージが(そもそも高い)。私は主にチキンと豚をメインにしているのですが、やはり気になります。糖質制限では肉食推奨といっても米国の安い肉は上記の理由でやめた方がいいのでしょうか?それともあまり影響はないのでしょうか?
2019/10/06(Sun) 09:23 | URL | neko | 【編集
Re: 肉なら何でも大丈夫?
neko さん

米国の牛肉は、成長ホルモンなどが、注射されています。

EUでは、米国産牛肉は輸入禁止となっています。
従いまして、可能な限りは、米国産牛肉は食べないほうが良いと思います。
2019/10/06(Sun) 09:46 | URL | ドクター江部 | 【編集
御礼
詳細な解説記事をありがとうございます。
ヤフーはこんな非科学的なことをやって、恥ずかしいですね。
2019/10/06(Sun) 09:59 | URL | yanosono | 【編集
そちらが書いた内臓脂肪がストンと落ちる食事術での食事は血糖値がガクッと上がる可能性はないのでしょうか
2019/10/07(Mon) 03:49 | URL | 匿名 | 【編集
Re: タイトルなし
匿名 さん


拙著
「内臓脂肪がストンと落ちる食事術」

は、糖質制限食の本です。

血糖値に直接影響を与えるのは糖質だけで、たんぱく質と脂質は直接影響を与えることはありません。
従いまして、糖質制限食の実践で、血糖コントロールも良好となります。
2019/10/07(Mon) 08:26 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございます
>EUでは、米国産牛肉は輸入禁止となっています。

知りませんでした。
ありがとうございます。
もう安い焼肉屋には行けません。。。
2019/10/07(Mon) 09:45 | URL | neko | 【編集
糖質制限かも
Yahooの今回の措置について、糖質制限をすると捉えればいかがでしょうか?なぜならば揚げ物は多くの小麦粉を使うからです。
直径5センチほどのフライドチキンで糖質は約20から25グラム位含まれています。今回Yahoo!が発表した
「意識せずに脂肪分を多くとっている社員も多いのでこれをきっかけに食生活を見直してもらいたい」
と言うのは基本的な考えが間違っているわけですが、しかしこれは結果的に見ると糖質制限をすることにつながるようにも思います。そこにYahoo!は気がついていない。しかし結果オーライのパターンかなと思います。
ですから皆さんがコメントされているようには私は考えません。
2019/10/09(Wed) 13:55 | URL | ジェームズ中野 | 【編集
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