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ビタミンCと酸化ストレスと糖質セイゲニスとマサイ族。
【19/09/26東京の江部ファン
夏井先生の書き込みいつも拝読させていただいております。
かつて、夏井先生のブログに、以下の記述がありました。
http://www.wound-treatment.jp/title_new_2019-08.htm
(ここから引用)
私はここ数年,野菜は意識して食べていませんが,それでも体調は大丈夫みたいです。
ビタミンC摂取量はほぼゼロと思われますが,未だに壊血病は発症していません。
 先史時代には野菜は単なる雑草で,そのままでは食べられない代物でした。
ヒトがそういう「煮ても焼いても食えない」雑草を品種改良して,今日の「野菜」にしたのです。
つまり,ヒトが野菜を食べるようになったのは過去数千年です。
 それ以前のヒト属は野菜は食べずに暮らしていて,しかも絶滅していなかったのですから,
ヒトの健康に野菜は必要ないのかも。
(引用終わり)
これを読む限り、夏井先生は、ビタミンCと野菜摂取に否定的に思われます。
江部先生のお考えをお聞かせいただけると助かります。】



こんにちは。

東京の江部ファンさんから、
「夏井先生はビタミンCを摂取していないが体調は大丈夫。」
というコメントを頂きました。
興味深い情報をありがとうございます。

実は、マサイ族もビタミンC摂取量は極めて少なく、
血中濃度は壊血病レベルですが、健康です。
マサイ族も夏井先生と同様に糖質制限食です。
ビタミンCは、抗酸化作用などがあります。
糖質セイゲニストの場合は、酸化ストレスが少ないので、
マサイ族と同様に、ビタミンCの必要量はかなり少なくてすむ可能性があります。
従って、夏井流でOKの人もおられると思います。
マサイ族も野菜は全く食べません。
一方で、一般的な糖質セイゲニストは
まあ、安全率をかけて、野菜から「ビタミンC+食物繊維」を摂取するのがよいと思います。

なお尿酸にも抗酸化作用があります。
私の血清尿酸値は3.5mg/dlとか3.6mg/dl(基準値3.4~7.0)
と低めです。
勿論、体質も関与しますが、
スーパー糖質制限歴17年間の私は酸化ストレスが少ないので
尿酸も少なめなのかなと思っています。


<マサイ族と牛乳とヨーグルトとビタミンC>

 東アフリカ、ケニアからタンザニアにかけて住むマサイ族は、
主たる食事として牛乳、ヨーグルト、牛の生き血を取る伝統的食生活を送ってきました。
これらの食事では、ビタミンC摂取が非常に少なくなりますが、彼らの健康度は良好でした。  
 サバンナの民、マサイ族の独特な食生活から「ヒトにとって必要な栄養素」について考えてみます。
マサイ族の主食は現在でも牛乳とヨーグルトです。牛乳、ヨーグルト合わせて1日に2〜3Lも摂取します。
毎日、牛の放牧をしながら何kmも歩き、その間、牛乳を入れた「キブユ」というひょうたんを腰にぶら下げ続けているので、
数日間で牛乳は自然発酵し、ヨーグルトになります。
長時間歩いていますから、主に摂取するのは新鮮な牛乳より、
搾乳してから2〜3日が経過したものや、さらに時間がたってヨーグルトになったものの方が主となります。
 この主食だけで不足する鉄分は、牛の生き血を週に数回、牛乳に混ぜて飲むことで補います。

<野菜や果物を食べないマサイ族のビタミンC摂取量は>
 彼らの伝統的食生活では、野菜や果物は一切食べないそうです。となるとビタミンCをいかに摂取しているのかが不思議です。
ヒトはビタミンCを体内で合成できず、必ず食物から摂取せねばなりません。
マサイ族にとって牛は財産であり、殺して牛肉を食べることはありません。
ヤギやヒツジも飼っていて、こちらはお祝いごとや家族に病人が出て栄養をつけたい時には食べるといいます。
この時、ヤギやヒツジの生レバーや生の小腸も食用になります。
 「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」で、野菜や果物に含まれるビタミンCを調べてみると、
100gあたり赤ピーマン170mg、パセリ120mg、甘ガキ70mg、イチゴ62mg、ゆでブロッコリー54mgなどとなります。
牛の生レバーのビタミンC含有量は100g中30mg、生の小腸は同じく15mgです。
ヤギやヒツジの生レバー、生小腸のデータは載っていないのですが、牛に準ずる程度でしょう。
しかしマサイ族は日常的に生レバーや生小腸を食べているわけではありません。
一方、牛の血漿(けっしょう)に含まれるビタミンCは1.4〜3.6mg/dLで、人の血漿(0.6〜1.4mg/dL)より高いそうです。
しかしそれでも、牛の血を1L飲んだところで摂取できるビタミンCはせいぜい30mgです。
やはり十分な量とは言えません。
 彼らの主食である牛乳はどうでしょうか。
彼らが飲む新鮮な牛乳の中には、ビタミンCが2.2mg/dL含まれています。
ひょうたんに入れて、数日間発酵させてから飲む場合、この量は減少します。
例えばひょうたんの中で4日間経過すると、0.4mg/dLにまで減ってしまいます。
つまり牛乳、ヨーグルト、牛の生き血から得られる日々のビタミンC摂取量は、せいぜい1日30mg程度。
厚生労働省の推奨量である1日100mgに到底足りません。

<極端に低い血中ビタミンC濃度>
 マサイ族と居住エリアが重なり、主に農耕生活を行うバンツー族という人々がいます。
バンツー族は穀物、野菜など何でも食べます。
ケニアの研究者が、この二つの種族の食生活と血液検査データを比較検討した論文があります。
前述のマサイ族が飲む牛乳のビタミンC含有量を調べたのもこの論文です。
 マサイ族21人、バンツー族24人を対象に調べた論文のデータによると、
伝統的な食事をしているマサイ族の血清ビタミンC濃度は、0.16mg/dLです。バンツー族は0.56mg/dL。
厚労省の「日本人の食事摂取基準2015年」は、日本人に1日100mgのビタミンC摂取を推奨し、
日本の大手検査会社エスアールエルは日本人の血清ビタミンC濃度の基準値を0.55〜1.68mg/dL としています。
つまりバンツー族では日本人の基準値の正常下限であり、マサイ族に至っては極端に低値ということです。
白血球の中に含まれるビタミンCの濃度でも、マサイ族はバンツー族の半分以下だと言います。

<なぜマサイ族やイヌイットに壊血病が起きないのか>

 マサイ族、バンツー族ともに総じて身体に異常はないそうです。
論文では結論として、マサイ族の血清ビタミンC濃度が低いのは、
単純に食物から摂取するビタミンCが少ないからと考えられるとし、
これほど低いのに(ビタミンC不足で起きる)壊血病や貧血などは見られない理由については、
さらなる研究が必要と締めくくっています。
 アラスカのイヌイットが生肉、生魚を主食とする伝統的食生活を送っていた頃は、
野菜と果物の摂取が極めて少なかったため、ビタミンC摂取不足による壊血病のリスクが指摘されていました。
イヌイットのビタミンC摂取量は、カナダの白人と比較してかなり少量でした。
イヌイットの妊娠中の女性の平均ビタミンC摂取量は28mg/日で、血清ビタミンC濃度は0.25mg/dL。
一方、カナダ全国の白人の妊婦になるとそれぞれ平均133mg/日、1.01mg/dLでした。 
イヌイットの血清ビタミンC濃度は、壊血病になる危険ラインの0.2mg/dL未満の場合も多いのです。
しかし、そういうイヌイットには歯肉出血が高率に見られたそうですが、
死に至るような重症の壊血病が多発しているというデータはありません。
 壊血病は、15世紀から17世紀の大航海時代、船員の間に死者が続出して、非常に恐れられた病気でした。
ビタミンCと壊血病の関係が明らかになったのは、1932年のことです。
 血清ビタミンC濃度が同レベルに低いイヌイットとマサイ族ですが、イヌイットは歯肉出血のリスクが生じていた程度、
マサイ族にいたってはビタミンC不足の影響が感じられない健康な状態でした。
イヌイットにおいても壊血病のリスクはあるものの、死者が出るような事態はありませんでした。

<糖質制限食の徹底でビタミンCは少量で済む?>
 大航海時代の船員にビタミンC不足による壊血病の死者が続出したのに対して、
イヌイットやマサイ族にはそれが無かった理由について、
私は「糖質制限食を実践している者は、ビタミンCの必要量が少なくて済むのではないか」という仮説を持っています。
 糖質制限食実践中の人は、高血糖や高インスリン血症という酸化ストレスリスクが極めて少なくなります。
ビタミンCの主要な作用の一つは抗酸化作用で、体内の活性酸素を消去してくれます。
伝統的食生活を送っていた頃のイヌイットやマサイ族は、「スーパー糖質制限食」を実践している状態なので、
酸化ストレスが極めて少なくなります。
結果としてビタミンCの必要量も、糖質を食べている人(大航海時代の白人の船員たちのような)に比べると
かなり少量で済んだ可能性があります。
 全く健康なマサイ族と、多少のリスクがあるイヌイットの差は、
生活している環境からくる酸化ストレスの差が多少あったためかもしれません。
例えばイヌイットの暮らす北極圏は、太陽からの強力な紫外線にさらされており、紫外線は酸化ストレスリスクです。

<ビタミンCの必須量を探ると人類の食生活史が見えるかも…>
 あくまでも仮説ですが、このように考察すると、
人類の本当の血清ビタミンC基準値はどの程度に設定すべきなのかという疑問が浮かびます。
本当のビタミンC摂取必要量はどのくらいなのでしょう? 
人類が700万年の進化の過程でいったい何を食べてきたのかを考察するのに、
人体で合成できないビタミンCの必須量を考えることは非常に重要だと思われます。
 ヒトはアスコルビン酸合成能、つまり体内でビタミンCを合成する機能を進化の過程で失いました。
アスコルビン酸を作り出すプロセスの中で、重要な役割を果たす酵素、
L-グロノラクトンオキシダーゼが霊長類と一部の哺乳類では突然変異により失われているのです。
その時期は3500万〜5500万年前と推定されています。
 「人類」と一口にいっても、人類史の中では多くの「種」の人類が生まれては消え、
現在残っているのは現生人類(ホモ・サピエンス)だけです。
他の種も含めて人類はすべてビタミンCを合成できなかったと考えられています。
そのため、すべての人類は野草や果実からビタミンCを摂取していたはずです。
現生人類においても、伝統的食生活を営んでいたマサイ族やイヌイット以外は、
野草や果実からビタミンCを摂取していたと考えられます。
 マサイ族やイヌイットの研究から、
糖質制限食実践者においてはビタミンC必要量がかなり少なくて済む可能性が見えてきた、
と私は考えています。
しかしながら、我々はマサイ族ではありませんので、現時点では糖質制限食を実践しつつ、
葉野菜、ブロッコリー、ゴーヤーなどからしっかりビタミンCを摂取することを推奨します。


江部康二
コメント
興味深いです
私は野菜が好きですし、糖質も少々とっているのでこれからも野菜食べますが、野菜は料理の手間もかかりがちで嫌いな人多いですよね。お肉をたくさん食べて野菜はあまり食べなくていいって聞くと嬉しい人が多そうですね。

1日30品目とか、朝食が一番大事とか、本当に今まで嘘ばかり教えられてきたのだなーと嫌になります。

すみません、一つだけ質問なのですが、糖質をほとんどとらなかった日は歯磨きをサボっても大丈夫なのでしょうか?私は歯並びが悪く、毎日歯ブラシを30分ほどかけて頑張ってますが、糖質をとらなかった日は歯も汚れないのでは?とふと思ったものですから。(まったくサボるつもりはありませんが、簡単にすませてもいいのかな?と)
2019/09/27(Fri) 20:57 | URL | neko | 【編集
機能性低血糖症
はじめまして。自分の症状を探していて、こちらにたどり着きました。これから、御著書を読ませて頂きます。
私は、時々ひどい疲労感に襲われ、原因がわからず、10年以上つらい思いをしていました。風邪の時のだるさのように感じ、また喉鼻が弱いので、その度に耳鼻科に行き、抗生剤を飲んだりしていました。
昨年末、体調を崩した際に、尿素窒素の値が範囲内ながら低めだったことや、副腎疲労の本を読み、食事を改善したりしながら、その内、自分が低血糖症であることに思い至りました。保険がきかないため、調べてはいませんが。食事を改善し、10キロ近く体重が減りました。最近、油断して以前の食生活に少し戻ったら、また具合が悪くなり、今また糖質制限して回復中です。
お聞きしたいことがありまして。
7月より手足のしびれ痛みがあり、更年期の為だろう(私51歳)と思い、エクオールを飲むと、直に落ち着きました。リウマチ検査は陰性でした。しかし最近また以前ほどではないものの、しびれ痛みが出てきて、糖尿病ではないかと不安になってしまいました。気にし過ぎかもしれませんが。
年内に慢性副鼻腔炎の手術を予定しています。色々病気をかかえる年齢です。
2019/09/27(Fri) 21:19 | URL | 智子 | 【編集
Re: 興味深いです
neko さん

その通りです、

日本でも、旧石器時代人の化石には虫歯がありません。
彼らは、マンモスやナウマン象やヘラ鹿などの、肉食中心でした。
2019/09/28(Sat) 08:23 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 機能性低血糖症
智子 さん

機能性低血糖ならば、糖質制限食で改善します。
糖質制限食を実践していても残っている症状は「機能性低血糖」によるものではありません。

糖尿病の可能性は少ないと思いますが、
気になれば、血液・尿検査で確認すればよいと思います。
2019/09/28(Sat) 08:30 | URL | ドクター江部 | 【編集
よかったです♪
マサイ族の人の食生活が
すごいですね!!
ビタミンCをとっていないとか、、(∋_∈)

でもやっぱりビタミンCは大事ですよね☆
私はあんま摂取していないので食べるよう心がけようと思えました(。・ω・。)

ありがとうございます♪
2019/09/28(Sat) 13:16 | URL | matmm | 【編集
暁現象 解消策
江部先生、小生の糖質制限も10年目に入りました。
お陰様で75歳ながら、現役でバリバリ会社努めをしています。
「なんでそんなに元気なの?」とよく驚かれます。

 久しぶりに質問をさせてください。
「暁現象の解消策」ベストは何でしょうか。
1. 現在の糖質制限、目標は「スーパー」、現実は時々「なんちゃって」です。
2. やむを得ずボグリボースを使用することもあります。
3. 週に3日、スクワットを取り入れています。(ピンク筋肉増強目的)
4. HbA1c 6.3(H30年12月) 6.2(R1年7月)
5. GA 16.2 15.2
6. 血糖値(起床後、空腹、3時間後)
        154 144

 会社の同僚はフォーシーガを服用して、糖質たっぷりの食生活ながら、
HbA1cは常時6.0を下回っています。

 今後とも現状で良いのか、「暁現象の解消策」として、
ブログでも話題となっているSGLT2やDPP4阻害剤を検討した方が良いのか、
ご教授頂けないでしょうか。

2019/09/28(Sat) 13:32 | URL | ライフワーク光野 | 【編集
私は、虫歯、皆無です!!
都内河北 鈴木です。

江部先生「糖質制限理論」理解把握して実践で、「生還、覚醒、再覚醒、」して8年目ですが、
私も感じていた「虫歯・皆無」の事実!!

虫歯は、明らかに人工穀物摂取などの
人類への「糖質の副産物、置き土産だと思います!!」

糖質制限・食生活してから、口中が爽やかです!!

だから歯磨きは、歯茎の為にと歯科医で言われますので、
それでも3~7日に1度程度ですが、8年目現在、
異常なしです!!!

私は過去の治療で入れ歯を入れていますが、
「糖質制限理論」実践してから、気付く事多数ありますが、
その1つかと考えていました!!

O歯科医・院長が、ポジティブな医療者で、
私の「糖質制限理論」での改善を聴いてくれたので、
「生還、覚醒、再覚醒、」の医療デ~タ全てを差し上げました!!

院長も江部先生著書を買い、糖質制限食生活をしています事を伝えておきます!!

江部先生には、「生還、覚醒、再覚醒、」でき、感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具



2019/09/28(Sat) 14:35 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
ありがとうございます
やはりそうですか。
私のように虫歯になりにくい人間は、その意味でもスーパー糖質制限が必須なのですね。
2019/09/28(Sat) 22:58 | URL | neko | 【編集
記事にしていただいてありがとうございます。
江部先生の「糖質制限食を実践している者は、ビタミンCの必要量が少なくて済むのではないか」という仮説に同意します。VCは現代人が摂取した糖質を体内で処理する際に一定量(ばらつきはあると思いますが)必要で、釜池先生・夏井先生のクラスだと意識したVC摂取は不要でしょう。体内で合成できないVCを野菜から摂取していたといっても、昔の野菜は今ほど改良されて食べやすくはないでしょうし、糖質も少なかったはずです。壊血病が発生したのは糖質の過剰摂取が原因で、VC不足が直接の原因ではないかと思われます。糖質を過剰に摂取すると、便秘になる人も少なくないようなので、食物繊維を取るという意味では野菜は有効だと思います。
2019/09/29(Sun) 09:36 | URL | 東京の江部ファン | 【編集
尿酸値が低いのは
腎臓が元気な証拠です。

私らこ は、江部先生より10才若いのに、既に尿酸値7 に達して、フェブリク10mg投与で3年経過してます。主治医は「腎臓老化」と言ってます。
2019/09/29(Sun) 12:25 | URL | らこ | 【編集
ありがとうございます
お忙しい中をお返事ありがとうございます。手足のしびれ痛みが改善されず、睡眠にも影響しているので、色々調べてもらう予定です。
2019/09/30(Mon) 12:48 | URL | 智子 | 【編集
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