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糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状について②こむら返り
こんにちは。
糖質制限食実践中に好ましくない症状が出現することがあります。
「全身倦怠感」「こむら返り」「高尿酸血症」「高LDLコレステロール血症」
「便秘」「高血糖の記憶」

などです。

これらのほとんどは予防あるいは対処可能なので、
その方策などを説明しようと思います。


②<こむら返り>

糖質制限食実践中に比較的よくある症状に「こむら返り」があります。
良くあるといっても、10人に1人くらいでしょうか。
糖尿病の私の患者さんやブログ読者の皆さんからも、
糖質制限食とこむら返りに関して時々質問があります。

確かに野菜・海藻も摂らない極端な糖質制限食だと、
カルシウムなどミネラル不足などで、こむらがえりを起こすことがあるようです。
一般にカルシウムやマグネシウムが不足すると、
こむら返りを起こしやすいとされています。

カルシウムは乳製品・干しエビ・小魚・海藻・緑黄色野菜などに多く含まれています。
マグネシウムは、大豆製品・魚介類・海藻・ナッツ類に多く含まれています。

従って、カルシウムやマグネシウムは糖質制限食OK食品に多く含まれているので、
こむら返りも通常は起こらないのだと思います

一方、糖質制限食に関係なく、
スポーツの最中や後にこむら返りを起こすことはよくあります。
実際、私の所属するテニスクラブのメンバーでも、
よくこむら返りを起こすタイプがおられます。
幸い私はスポーツ中やその後も起こしたことがありません。

激しいスポーツをして汗をかくと、
汗とともに多量のミネラルが体の外に排出されてしまいます。
ですから、カルシウム・マグネシウムなどミネラルをちゃんと補給してやらないと、
筋肉が痙攣したり足が攣ったりします。

糖質制限食の場合、相対的に高脂質・高タンパク・高繊維食となります。
自ら1型糖尿人でスーパー糖質制限食実践中のバーンスタイン医師によれば、
野菜に多い食物繊維は食事中のカルシウムと結合してカルシウム吸収をさまたげ、
タンパク質中のリン化合物もカルシウムとわずかに結合するそうです。

バーンスタイン医師は、
「糖質制限食実践中で、チーズ・ヨーグルト・生クリームを摂らない
人たち、特に閉経後の女性」
には、カルシウム補充を奨めています。

つまり、糖質制限食実践中のほとんどの人でサプリは必要ないと思いますが、
上記のバーンスタイン医師の条件に当てはまる人やこむら返りをよく起こす人、
また結構スポーツをする人は、安価なカルシウム・マグネシウム剤、
或いは安価なマルチビタミン剤を補充するのもよいと思います。

スポーツを全くしない人でも糖質制限食実践中にこむら返りを起こすことがあります。
この場合もカルシウム・マグネシウム剤、マルチビタミン剤でほとんど良くなります。
また、漢方薬の芍薬甘草湯(68番)もこむら返りに有効です。
2週間以上、芍薬甘草湯を2~3回/日、連続で内服すると、
時に血中カリウムが低下することがあるので、連用している人は注意してくださいね。

芍薬甘草湯や、カルシウム・マグネシウムで、こむら返りが改善しないときは、
エルカルチンFFが有効です。
エルカルチンFFは、体内にカルニチンを補いカルニチンの欠乏状態を改善し、
筋肉症状や精神症状などを改善する薬です。
とても良く効く内服薬ですが、とても高価なのが難点です。 (*_*)

エルカルチンFF(250mg)6錠/日を3回に分割経口投与が通常量ですが、
ほとんどの場合は、眠前に2錠を1回投与で、
明け方のこむら返りが予防できますので節約可能です。(^^)


江部康二
コメント
マグネシウム不足について
糖質制限に反対の理由として耐糖能の低下が理由としてあげられることが多いですが、糖質制限でマグネシウム不足が起こる場合があるとすれば、これが原因の一つではないでしょうか。

マグネシウム不足とインスリン抵抗性の関係についてはネットで検索すれば、非常にたくさんヒットします。

不足する原因はマグネシウムを含む食品の摂取不足だけではなく、マグネシウムを取り込むためのトランスポーター不足も一因ではないかと考えています。

金属トランスポーターの多くは腸管上皮細胞で作られると思いますが、腸管上皮細胞の唯一のエネルギー源である短鎖脂肪酸の多くは、腸内細菌によって作成される。したがって腸内細菌叢を健全に保つためには水溶性食物繊維が必要になると思いますが、糖質制限での水溶性食物繊維の不足があるのではないかと思います。

水溶性食物繊維不足→腸内細菌叢の不活性→金属トランスポーター不足→マグネシウム不足→耐糖能の低下やこむら返り発生

このような機序でマグネシウム不足が起こるのではないかと素人ながら考えてみました。原因がわかれば解決方法も考えやすくなります。
ご意見賜りたくよろしくお願いいたします。
2019/08/20(Tue) 06:00 | URL | 西村典彦 | 【編集
Re: マグネシウム不足について
西村典彦 さん

「糖質制限に反対の理由として耐糖能の低下が理由としてあげられることが多い」

糖質制限で耐糖能は低下しないと思われます。
糖質制限を数ヶ月間以上実践していて、いきなり通常量の糖質を摂取すると、
準備ができていないので、見かけ上「耐糖能低下」のようなデータがでることがあります。

それで、75g経口ブドウ糖負荷試験実施前、3日間は150g/日以上の糖質を摂取するように推奨されています。

糖質制限していても、基礎分泌インスリンは普通に分泌されていますし、
食後の追加分泌インスリンも、野菜分などの糖質に対して、分泌されています。
従って、β細胞は普通に活動していますし、疲弊もしていないので休養も充分であり、耐糖能は低下しないと思います。

一方、水溶性食物繊維の摂取は、金属トランスポーターの生成も含めて
腸内細菌が正常に活動するために重要な役割を果たしていると思います。
水溶性食物繊維が不足すれば、西村さんがご指摘のように、マグネシウム不足になる可能性があり得ますね。

糖質制限食では、野菜、海藻、キノコ、大豆製品などから食物繊維を摂取できます。
特に水溶性食物繊維はアボカド、オクラ、こんにゃく、納豆などに多く含まれています。
2019/08/20(Tue) 11:19 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re:Re: マグネシウム不足について
ご回答ありがとうございます。
再度の質問で恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

マグネシウム不足と糖尿病(インスリン抵抗性)の関係についてはネットで検索すると非常にたくさんヒットします。
下記に一部を掲載いたします。

マグネシウムと生活習慣病 現代の日本人の食生活はマグネシウム不足
https://dm-net.co.jp/calendar/2011/011605.php

マグネシウム摂取量はインスリン抵抗性と炎症の改善を介して2型糖尿病リスクを低下: 久山町研究
http://mag21.jp/contents/386

糖尿病と食事由来金属元素
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/56/12/56_919/_pdf/-char/ja

マグネシウムと健康-栄養、医薬品、環境の観点から-
https://www.jstage.jst.go.jp/article/brte/22/4/22_59/_pdf


糖質制限では耐糖能は低下しない、ただし、数か月の糖質制限で突然高糖質を摂取すると悪化したように見える。
糖質制限では多くはないかもしれませんが、マグネシウム不足はあり得るとの事ですから、これらを整理して考えると

①ネットの情報より、マグネシウム不足はインスリン抵抗性を引き起こす(信憑性は分かりません)。
②江部先生のご回答より、糖質制限では耐糖能は低下しない。かつ、マグネシウム不足はあり得る。
③75g経口ブドウ糖負荷試験実施前、3日間は150g/日以上の糖質を摂取するように推奨

①②③を合わせて考えると
糖質制限でマグネシウム不足が生じた場合を含め、一時的にインスリン抵抗性により耐糖能が低下する。
糖負荷試験3日前から150g以上の糖質摂取を推奨と言う事ですから、一時的なインスリン抵抗性は3日ほどの糖質摂取で回復する。
と言う解釈になります。
糖質制限であれば、食後高血糖は回避しているので、インスリン抵抗性の状態を続けても糖尿病を発症、ないしは悪化しない(不可逆的にはならない)と考えてよろしいでしょうか。
2019/08/20(Tue) 12:56 | URL | 西村 典彦 | 【編集
マグネシウム不足・疑問!!
都内河北 鈴木です。

「マグネシウム不足」など考えるまでもなく、「生還」できました!!

私は、21年間の「糖尿病・重症化」するのが、
江部先生「糖質制限理論」理解把握し実践で、
インスリン投与の私は翌日より「血糖値激減!!」し、効果有りを実感しました!!

結果として私は「3か月足らずで、ヘモグロビン正常化して、
インスリン自主離脱して、
8年目の現在は後遺症の「眼、脳梗塞、」が「生還、覚醒、再覚醒、」している現在があります!!」
*医療デ~タ存在しています!!

私の「生還、覚醒、再覚醒、」している事には、
江部先生の時代進化解明「糖質制限理論」に何の疑問も無く、
実践の結果です!!

本日の「マグネシウム不足」の質問は、知識としては、良いかなと考えますが、
この知識疑問は、
余程の「既存の無策の食理論での医学知識洗脳者」でなければの
質問かなと考えます!!」

*「マグネシウム不足」の疑問は、知識としては、学習になりました!!

何しろ私は、江部先生「糖質制限理論」で、「生還、覚醒、再覚醒、」している現在の「改善」進行性の現在がある事が、証明しています!!
*「医学証明デ~タが存在している事実!!」

江部先生には、「生還、覚醒、再覚醒、」でき現在も改善・進行しているかなと思えることが有りますが、「医学デ~タ」が出ましたら、
感謝の意味で、発表したいかなと考えています!!
ありがとうございます。
敬具


2019/08/20(Tue) 15:52 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
Re: Re:Re: マグネシウム不足について

西村典彦 さん

マグネシウムと生活習慣病 現代の日本人の食生活はマグネシウム不足
https://dm-net.co.jp/calendar/2011/011605.php

マグネシウム摂取量はインスリン抵抗性と炎症の改善を介して2型糖尿病リスクを低下: 久山町研究
http://mag21.jp/contents/386


①マグネシウム不足により、インスリン抵抗性や糖尿病発症リスクが増加することは、
確かなようです。
②一方、糖質制限食実践とマグネシウム不足は別の問題と思います。

糖質制限食OK食材には、以下、マグネシウム含有量豊富なものも多いです。
納豆、シラス、油揚げ、ゆで大豆、
いわしの丸干し、がんもどき、いくら、桜エビ、湯葉、
焼き海苔、ひじき、干しエビ、スルメ、煮干し、
アーモンド、松の実、カシューナッツ、クルミ、ピーナッツ


糖質セイゲニストで、これらのものを普通に食べていれば、
マグネシウム不足にはなりません。

なお<見かけ上の耐糖能低下現象>に関しては、以下の記事をご参照頂けば幸いです。

2016年06月07日 (火)の本ブログ記事
糖質制限食実践中の耐糖能検査。一見低下のことがあるが?
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3826.html



2019/08/20(Tue) 16:18 | URL | ドクター江部 | 【編集
食品のマグネシュウムについて
私はこちらのサイトでよく調べています。

〇マグネシュウムは
https://www.eiyoukeisan.com/calorie/nut_list/magnesium.html
〇カルシュウムは
https://www.eiyoukeisan.com/calorie/nut_list/calcium.html

※ご参考までにURL入力の仕方です
eiyoukeisan.com(ドメイン名)/calorie/nut_list/magnesium(成分名).html

まずこちらのサイトで成分別に食品全体を把握してから、個別に日本食品標準成分表2015年版(七訂) を調べる(確認する)、いわゆる、インデックスとして利用しています。

今回のマグネシュウムについて、
●こちらのサイトでは
・大麦(押麦):25mg/100gでしたが
●食品成分表では、
・穀類/おおむぎ/押麦:40mg/100gでした。

ちなみに、納豆のマグネシュウムは
どちらも同じく、100mg/100gでした。

参考にしていただけたら幸いです。
2019/08/20(Tue) 17:42 | URL | オスティナート | 【編集
Re: 食品のマグネシュウムについて
オスティナート さん

ありがとうございます。
参考になります。
2019/08/20(Tue) 17:59 | URL | ドクター江部 | 【編集
こんにちは
75g経口ブドウ糖負荷試験実施前、3日間は150g/日以上の糖質を摂取するように推奨されています。

こちらは正確な数値が出ないから3日間150グラム以上の糖質を摂るようにと言うことで、3日間150グラム以上糖質を摂ったから耐糖能が改善するとは違うのではないでしょうか?
2019/08/21(Wed) 09:42 | URL | 高橋 | 【編集
Re: こんにちは
高橋 さん

ご指摘通りと思います。

3日間150グラム以上糖質を摂ったから耐糖能が改善するということではありません。

本来、耐糖能が正常である人が、糖質制限食を数ヶ月以上とか実践していて、
いきなり75g経口ブドウ糖負荷試験を実施すると、
見かけ上、耐糖能低下のデータがでることがあります。

75g経口ブドウ糖負荷試験実施前、3日間は150g/日以上の糖質を摂取することで、
この<見かけ上の耐糖能低下データ>を予防することが可能になるかと思われます。


2019/08/21(Wed) 14:15 | URL | ドクター江部 | 【編集
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