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ヒトと腸内細菌と食物繊維の関係 。追加。
こんにちは。

ブログ記事
『ヒトと腸内細菌と食物繊維の関係
2019年08月02日 (金)』

で、書き足りないことがあったので補足します。

今回の記事は、大腸のエネルギー源と食物繊維について考察してみます。

<大腸細胞のエネルギー源>

大腸の細胞のエネルギー源は、短鎖脂肪酸のみです。(☆)(☆☆)

つまり、ブドウ糖などは利用せず、短鎖脂肪酸が大腸細胞の唯一のエネルギー源です。

短鎖脂肪酸は「食物繊維+腸内細菌」由来のものと血中にある短鎖脂肪酸があります。

血中にある短鎖脂肪酸は、βヒドロキシ酪酸とアセト酢酸などケトン体で、肝臓で作っています。

大腸の細胞は、腸内細菌が作った酪酸および、血中にあるβヒドロキシ酪酸をエネルギー源として使っていると考えられます。


<食物繊維>

食物繊維の中で不溶性食物繊維は、保湿性が高く消化管で水分を吸収してふくらみ、腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にし便通をよくし、水溶性食物繊維は血糖値の上昇を少しゆっくりさせるなどの効用があることはよく知られています。

一方、上述の如く大腸の唯一のエネルギー源は短鎖査脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸など)であることは、ほとんど知られていませんが生理学的事実です。

短鎖脂肪酸は食材としては、酢かバターくらいにしか含まれていません。

従って、ヒトは摂取した食物繊維を大腸の腸内細菌(酪酸菌、ビフィズス菌など)が餌にして、酪酸・酢酸などの短鎖脂肪酸を作ることで、大腸のエネルギー源をあるていど確保していると考えられます。

つまり、食物繊維の摂取は、ヒト及び腸内細菌にとって必須と言えます。

糖質制限食では、野菜、海草、茸、大豆製品などから食物繊維を摂取できます。

なお、腸内細菌が食べることができる食物繊維≒水溶性食物繊維です。

水溶性食物繊維が多く含まれる食べ物には、アボカド、オクラ、きのこ類、海藻類、こんにゃく、やまいも、ごぼう、納豆などがあります。糖質制限食的には、ごぼうは少量で、やまいもはNGです。

なお他の野菜にも適宜、水溶性食物繊維は含まれています。


<食道切除後の再建に大腸を利用>

以前、麻酔科医さんからご指摘頂きましたが、食道癌切除時の再建に結腸がつかわれることがありますが、食餌はすぐに通過してしまいます。

大腸が「腸内細菌+食物繊維」由来の短鎖脂肪酸のみエネルギー源にするなら再建結腸は壊死ないし萎縮していくはずですが実際はそうはなりません。

ということは、体内で産生される、βヒドロキシ酪酸などの短鎖脂肪酸も大腸細胞は利用するということです。

断食や絶食療法でも食物繊維はゼロとなりますが、大腸は生存していますので、このときも体内で産生されるβヒドロキシ酪酸などの短鎖脂肪酸をエネルギー源にしていると考えられます。


<中心静脈栄養と経管栄養>

今どきは、経静脈的にほとんどの必須栄養素を投与することができます。

しかし、食物繊維だけは、経管栄養でないと無理です。

経管栄養で、食物繊維を投与することで、大腸と腸内細菌は、より元気になると考えられます。


(☆)
『治療に活かす!栄養療法はじめの一歩清水健一郎 著羊土社 2011年2月』


(☆☆)
短鎖脂肪酸
ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%AD%E9%8E%96%E8%84%82%E8%82%AA%E9%85%B8

短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん、英: SCFA)は脂肪酸の一部で、炭素数6以下のものを指す。具体的には酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸、コハク酸を指す。

反芻動物における役割

摂取した飼料が反芻胃内で微生物の発酵を受ける反芻動物においては、この発酵の際に生じる短鎖脂肪酸(主に酢酸、プロピオン酸、酪酸)が主なエネルギー源となる。 反すう胃内で生成した酪酸の多くは反すう胃粘膜でβ-ヒドロキシ酪酸に換されるため、肝門脈に現れるのはおよそ10分の1となる。このとき生成されるβ–ヒドロキシ酪酸も反すう家畜にとってはエネルギー源となる。 また、プロピオン酸の多くは肝臓で糖新生に利用され、反芻動物の糖要求の多くはプロピオン酸からの糖新生によってまかなわれる。


江部康二



【16/08/21 タケ
食物繊維の必須摂取量
江部先生 こんにちは。

食物繊維の摂取量のことで疑問に思ったことがあるので質問させてください。

厚生労働省から1日あたり食物繊維の摂取基準は「男性19g 女性17g」という指針が出ています。

これは糖質制限をしていない人を前提とした指針であり、糖質制限実施者はここまでの食物繊維は必要はないのではないかと思っています。

というのも、ケトン体≒短鎖査脂肪酸と考えれば、スーパー糖質制限をしてケトン体体質になれば、大腸細胞のエネルギー源は体内のケトン体で賄えるから食物繊維は摂取しなくてもいい(または摂取量を大幅に減らせる)のではないかと考えています。

ビタミンなどの必須栄養素の補給として野菜などは摂取しなくてはならないのでしょうが、食物繊維摂取を目的として必要以上に野菜などを多く摂取すると便の量が多くなるので、便秘や痔になりやすくなり悪影響の方が大きいような気がしてなりません。】



タケ さん

大腸の腸内細菌が、食物繊維を餌に、酪酸や酢酸を作ることは、腸内の環境を弱酸性に保つことになります。

善玉菌である酪酸菌やビフィズス菌や乳酸菌は、食物繊維を分解して、酪酸や乳酸や酢酸などの酸を産生し、腸内を弱酸性に保ちます。

弱酸性だと、善玉菌が増えやすくなり、悪玉菌は増えにくくなります。

腸内細菌が食物繊維を分解して、酪酸、乳酸などの短鎖脂肪酸をつくるのは、エネルギー源になると共に、大腸内を弱酸性に保って善玉菌が住みやすい環境を整える役割もあります。

従いまして、一定量の食物繊維は摂取した方がいいと思います。
コメント
繊維質・摂取の再認識です!!
都内河北 鈴木です。

本記事を読み自身の元・会席調理師として「繊維質・摂取」の重要性の再認識になりました!!

私は日々食生活で「味噌汁を油揚げ、キノコ類、乾燥ワカメ、等で具沢山にして」摂取しています、
週に1~2回は「小松菜御浸し」などを摂取しています。

その程度ですが、何の問題は有りません!!

その事もあり日々「繊維質」は充分摂取しているのだから、
「糖質制限理論」実践して、糖尿病重症化して行く21年が、
3か月足らずでインスリン自主離脱し、
ヘモグロビン正常化し「生還、」できました!!

以降に何の問題なく後遺症の「眼、脳梗塞、」が「覚醒、再覚醒、」出来たのかなと考えます!!

本日の「繊維質摂取」の再認識は、
江部先生指導の「鍋料理」がそのものだと考えます!!

必ず野菜は充分に、鍋には入りますから!!

私事ですが来月9月は、脳神経外科のMRI検査が控えていますが、
過去に「覚醒、再覚醒、」している事から、
検査が楽しみです!!

現在迄の「糖質制限理論」理解把握実践で8年目ですが、
これまでの「生還、覚醒、再覚醒、」事実から、
悪化など有るわけが無いですが!!

江部先生には、「生還、覚醒、再覚醒、」でき、感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具

2019/08/04(Sun) 20:47 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
本の紹介です。
「糖尿病はグルカゴンの反乱だった」 星和書店

グルカゴンが詳述されており、知識の整理に役立ちます。
新たな知見が加わり、糖質制限食がより洗練されることを期待しています。
2019/08/05(Mon) 12:37 | URL | 標準セイゲニスト | 【編集
Re: 本の紹介です。
標準セイゲニスト さん

「糖尿病はグルカゴンの反乱だった」 星和書店

私は、医師の友人から貰って持っています。
とても素晴らしい内容の本です。
今まで知らなかったことが沢山書いてあり、おおいに参考になり勉強になります。
2019/08/05(Mon) 14:03 | URL | ドクター江部 | 【編集
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