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糖尿病歴27年、カナダの食いしん坊さん。11歳頃から糖尿病。MODY。
【19/07/23 カナダの食いしん坊

初めまして
江部先生、いつも先生のブログで勉強させて頂いております。
私は、38歳、女性、カナダ在住、糖尿病歴27年(学校の検査で発覚)、
糖質制限歴4年になります。

健康人の主人が、健康目的で始めたケトン体ダイエットをきっかけに、
私も糖質制限を始めました。
始めて半年で、インスリン注射を止め、飲み薬のみに。
糖質たっぷりの食事時のみ、Humalogを打つようにしています。

3年ほど前に、医師から、こんなに病歴が長いのに、
2型糖尿病であるのが不思議だと言われ、
そして、私の家族の糖尿病歴(私の母、母の母も糖尿病)で、
MODDYの検査を受けてみないかと言われ、受ける事になりました。
カナダは、医療費がタダなので、こう言った検査を無料で受ける事ができました。
結果は、100%MODDYとは出なかったのですが、
染色体の異常が見つかり、ほぼ間違いないだろうと言う事でした。

それ以来、飲み薬は、
Metformin500mg X4/day , Gliclazide 60mg X2/day, Trajenta5mg X1/day を飲んでいます。

最初のうちは、自分で血糖を測りながら、
Trajenta以外の薬の量を減らしたりと調節していました。
その当時のA1cは、6%でした。

去年の9月に、旅行先で、糖質どか食いをし、
それ以来、1日の血糖値が高いままで、あまり下がることはなく、
特に、空腹時早朝の血糖値が、126から200で、
朝が高いと、昼食前も高く、夕方になるとさらに上がって、
144から160となります。

それ以前も、チートデイとして、たまに糖質たっぷりの食事をすることはあったのですが、1-2週間で、血糖値は落ち着きました。
ですが、今回ばかりは、そうはいきませんでした。

医師にも相談したのですが、私のA1cが、他の患者さんと比べても良いので、
心配しすぎだから、様子をみましょうと言わます。
4ヶ月前の検査で、7%でした。

週5日は、軽い有酸素運動50分、最近は、ピラティスに週3回通い始めましたが、
血糖値は、一向に改善することはありません。
食事は、朝と昼のみ。夜は、週末以外は食べません。

糖質制限をする前は、全く糖尿病と向き合ってきませんでした。
きっと私の体は、ボロボロなんだと思います。
私の母は、去年、亡くなりました。
11年前に乳がんを発症し、入退院を繰り返しながら生活していました。
亡くなる4年前から、人工透析を始め、
亡くなる1年ほど前から、両足の指が壊死し始め、
最期まで病気で苦しみながら、亡くなりました。
あんな母の姿を見てきたので、あんな風な死に方は嫌だと思っています。

このまま主治医の言うように、様子を見るで良いような気がしません。
もう、自分でインスリンを出せないのではないかと思っています。
ここは諦めて、インスリン注射の生活に戻した方が良いのでしょうか?
勿論、この先も、糖質制限は続けていきます。

すみません、長々となってしまって。
先生、お忙しいとは思いますが、どうか、アドバイスをお願いします。】


こんにちは。
カナダの食いしん坊さんから、コメント・質問を頂きました。
38歳、女性、カナダ在住、糖尿病歴27年(学校の検査で発覚)、
小学校5年生か6年生で糖尿病発症ですから、
2型糖尿病としては、かなり早いです。

『家族の糖尿病歴(私の母、母の母も糖尿病)で、
MODYの検査を受けてみないかと言われ、受ける事になりました。』

MODY(☆)とは、聞き慣れない病名ですが、遺伝的な素因があって発症し、
糖尿病全体の1-3%程度と推定されていますが、日本人における頻度は
不明です。

①メトホルミン(500)4錠/日
②グリクラジド(60)2錠/日⇒SU剤
③トラゼンタ(5)1錠/日

を内服しておられます。

②グリクラジドは、SU剤なので中止したほうが良いと思います。

SU剤は膵臓のβ細胞に負担をかけ障害を与える可能性があるし、
低血糖を起こすリスクもあります。

①と③とスーパー糖質制限食だけで、HbA1cが6.9%以下なら
合併症のリスクはほとんどないとされています。
一方、早朝空腹時血糖値が「126から200mg/dl」と高値なのですが、
130mg/dl未満がコントロール目標です。

早朝空腹時血糖値を下げるためには『SGLT2阻害薬』の内服が良いと思います。
尿中にブドウ糖を排泄する薬です。
一日に数十グラムのブドウ糖を排泄するので、早朝空腹時血糖値も
かなり下がる可能性があります。
副作用予防のためには、脱水注意で水をしっかり飲むことと、尿路感染症注意が必要です。
私も糖尿病患者さんに、SGLT2阻害薬を結構たくさん処方していますが
今のところ、副作用はほとんど経験していませんので、なかなか良い薬と思います。
SGLT2阻害剤には、心保護作用、腎保護作用があるとされています。

MODYに関しても、治療法は一般の糖尿病と同じです。
<スーパー糖質制限食+メトホルミン+トラゼンタ+SGLT2阻害薬>
による治療で、インスリン注射なしで、
長期に渡り血糖コントロール良好を保てる可能性が高いです。

4ヶ月前の検査で、HbA1c7% なので、自分自身のインスリン分泌能は
かなり、残っていると思われます。
念のため血液検査で、血清インスリン値も測定しておきましょう。

糖尿病合併症として「透析」「切断」「失明」などがあります。
眼科で定期的に眼底検査はしておきましょう。
循環器科で、頸動脈エコー検査や心臓の検査もしておきましょう。
腎機能検査としては、尿素窒素やクレアチニンがありますが
「血清シスタチンC」が最も信頼できる腎機能検査なので、検査しましょう。
足背動脈は足の甲の動脈で、自分でも触れることができます。
しっかり触れるかどうかを自分で確認しましょう。
足背動脈の触知が弱ければ、下肢の血流障害が懸念されます。

結論です。
<メトホルミン+トラゼンタ+SGLT2阻害薬>を内服しつつ
スーパー糖質制限食を美味しく楽しく末永く実践されて、
血糖コントロール良好を維持して頂ければ幸いです。



江部康二


(☆)
http://www.nanbyou.or.jp/entry/907
難病情報センター
代謝疾患、内分泌疾患
MODY(家族性若年糖尿病)
(平成22年度)


1. 概要

メンデル遺伝様式(常染色体優性)で発症する若年糖尿病であり(通常 25歳以下の発症)、現在までに6種類の原因遺伝子が同定されています(MODY1-6)。MODYは非肥満のインスリン分泌不全を特徴とし、2型糖尿病 でみられるインスリン抵抗性は原則として認めません。耐糖能異常の重症度は型によって多様であり、糖尿病以外にも原因遺伝子が発現している種々の組織に関 連した多様な臨床像を呈します。

2. 疫学

MODYの頻度は、糖尿病全体の1-3%程度と推定されていますが、確かな調査報告は無く、日本人における頻度は不明です。6種類の病型の頻度は日本人MODY全体の約20%を占めると推定されていますが、大半の80%程度の原因遺伝子は依然として未知です。

3. 原因

インスリン合成や分泌に関連する遺伝子やその発現レベルを制御する転写因子遺伝子の構造異常によって発症します。疾患の遺伝様式は常染色体優性遺伝を示し、通常3世代以上に亘って疾患がみられる場合を判断基準としています。

4. 症状

若年発症を除くと、非肥満とインスリン分泌不全を特徴とし、日本人2型 糖尿病に類似した臨床症状を呈します。型によっては軽度の耐糖能異常や腎性糖尿のみを示す場合がある一方で、重症のインスリン分泌不全を呈して治療ではイ ンスリン依存となる場合もあります。特にMODY5では、糖尿病に加えて腎嚢胞、尿酸異常、生殖器異常を認めることが特徴的です。

5. 合併症

慢性高血糖による合併症は2型糖尿病と共通です。MODY3では肝臓での脂質代謝異常により心血管イベントリスクが増大することが示唆されています。MODY5ではネフロン形成不全により腎機能低下をきたし、腎不全に至る場合が少なくないとされています。

6. 治療法


遺伝子異常が原因であるために根治的な治療法はありません。糖尿病と血 管合併症については一般の糖尿病と同様の治療が行われます。MODY2では治療を必要としない場合が多く、MODY3では重症例が多くてインスリン治療を 必要とすることが多いですが、その一方で経口剤が著効を呈する場合があります。MODY5に特徴的な腎不全については正常DNAを有する腎移植が有効です ので、病態判定や治療法の考慮において遺伝子検査の実施が重要となります。

7. 研究班

MODY1-6に関する調査研究班
コメント
ありがとうございます
江部先生、お忙しい中、早速コメントしていただいた上に、記事にまでして頂き、本当にありがとうございます。
ずっと、不安でたまらなかった気持ちが、スーッと落ち着きました。
来月、主治医の診察があるので、難しい交渉になると思いますが、SGLT2阻害剤の事、グリクラジドの事を、交渉してみます。っと言うのも、グリクラジドは、こちらでは、MODYの治療薬として勧めているようなので、止めさせてはくれないかもしれません。その時は、自分でこっそり飲むのをやめようかと思います。
先生のより一層のご活躍、カナダの地よりお祈りしてます。
2019/07/24(Wed) 04:44 | URL | カナダの食いしん坊 | 【編集
久山町研究について
改めて久山町研究のサイトを見てみました。
http://www.hisayama.med.kyushu-u.ac.jp/column/index.html

上記ののコラムに糖尿病の有病率についてのコメントがありますが、このコラムでは動物性脂肪の摂取が糖尿病の増加の原因であると結論づけています。高糖質については触れられていませんが、研究者に糖質60%前後の摂取が高糖質と言う認識がないのでしょうか。
また、動物性脂肪の摂取が糖尿病の増加につながると言う解釈は正しいのでしょうか。
2019/07/24(Wed) 06:43 | URL | 西村典彦 | 【編集
ご教授していだだけないでしょうか・・・
こんにちは。先生のご著書に出会ってここ数ヶ月糖質制限をしております。そこまでストイックではないのですが、徐々に体重も落ちてきておりダイエット面では非常に満足しています。

しかし、最近午前中、ひどい時は夕方まで脳が働かないぼーっとしたような感じが続いており、非常に悩んでいます。そのせいでエナジードリンク(人工甘味料)などの摂取が増えており大丈夫かなぁと不安になっております。これは糖質制限の影響なのでしょうか?また改善策はありますでしょうか?

またどうしても糖質を取らないといけない機会があり、多少(60g程度)食べたところ食後非常に気分が悪くなり、眠気にも襲われました。もしかしたら糖尿病のサインでしょうか?まだそこまで歳も行ってないですし遺伝の可能性もないと思うので検査など受けてないのですが・・・。宜しければアドバイスお願いします。
2019/07/24(Wed) 09:48 | URL | 乳酸菌 | 【編集
Re: ありがとうございます
カナダの食いしん坊 さん


MODYの治療も、普通の糖尿病と基本は同じです。

従って、SU剤はなしとするのが安全です。
2019/07/24(Wed) 12:59 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 久山町研究について
西村典彦 さん

情報ありがとうございます。
久山町研究サイトを見てみます。
2019/07/24(Wed) 13:00 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ご教授していだだけないでしょうか・・・
乳酸菌 さん

摂取エネルギー不足だと、
ぼーっとしたような感じになりますので
厚生労働省のいう『推定エネルギー必要量』を摂取して、徐々に減量を目指しましょう。

『どうしても糖質を取らないといけない機会があり、多少(60g程度)食べたところ食後非常に気分が悪くなり、
眠気にも襲われました。』

しばらくの期間、糖質制限していて、急に糖質を摂取すると、血糖値の急上昇に対して、気分が悪くなったり、眠気がでたりします。
人類は700万年間の狩猟・採集時代には血糖値の急上昇や血糖値の乱高下は体験していませんので、
そんなもの要らないというサインのようなものですね。
2019/07/25(Thu) 08:04 | URL | ドクター江部 | 【編集
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