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インスリンの功罪①。特に「罪」について。
おはようございます。

先日、自らが1型糖尿病の医師とお話する機会があったのですが、
結構大量のインスリン注射を打っておられました。
私が「インスリンの単位は少なければ少ないほど身体には優しいですよ。」と言うと
怪訝な顔をしておられましたので、インスリンの功罪のうち、
功のほうは良くご存じなのでしょうが、罪のほうは、ほとんどご存じないようでした。

また、
ある製薬メーカーさんの社内勉強会で糖尿病と糖質制限食のお話しをしたことがあります。
製薬メーカーの社員で、医師や薬剤師に製品の
「効能、副作用、トピック、研究論文・・・」など
様々な情報を紹介してくれるのが、MRさんです。(*)

皆さん、よく勉強しておられるので私もいろいろ教えて貰うことも多いです。
そんな、MRさん達の社内勉強会ですから、インスリン注射のこともよくご存知です。
ところがインスリンの、「功罪」のうち、「功」のほうは
よくご存知でしたが、「罪」のほうは、ほとんどご存知ないのです。

それで、本日のブログはインスリンの功罪というお題とすることとしました。
まずは、インンスリンがないと、人は死亡します。
基礎分泌のインスリンは生命維持に絶対に必要なのです。
実際、1921年にインスリンが合成されるまでは、
1型糖尿病で内因性インスリンゼロの場合は平均余命は半年程度でした。
インスリンが開発されて以降、1型糖尿病の寿命は劇的に改善しています。

一方で過剰なインスリンの害にはエビデンスがあります。
たとえ基準値内でも、インスリンの血中濃度が高いほど、
アルツハイマー病、がん、肥満、高血圧などのリスクとなります。
また、高インスリン血症は活性酸素を発生させ、酸化ストレスを増加させます。
酸化ストレスは、老化・癌・動脈硬化・その他多くの疾患の元凶とされています。
パーキンソン病、狭心症、心筋梗塞、アルツハイマー病などにも
酸化ストレスの関与の可能性があります。

1)ロッテルダム研究によれば、
インスリン使用中の糖尿人ではアルツハイマー病の相対危険度は4.3倍です。

Rotterdam研究(Neurology1999:53:1937-1942)
「高齢者糖尿病における、脳血管性痴呆(VD)の相対危険度は2.0倍。
アルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は1.9倍。
インスリン使用者の相対危険度は4.3倍」


2)インスリン注射をしている糖尿人は、
メトグルコで治療している糖尿人に比べて
ガンのリスクが1.9倍というカナダの研究もあります。

2005年の第65回米国糖尿病学会、
カナダのSamantha博士等が、10309名の糖尿病患者の研究成果を報告、
その後論文化。コホート研究。
 「メトフォルミン(インスリン分泌を促進させない薬)を使用しているグループに比べて、インスリンを注射しているグループは、癌死亡率が1.9倍高まる。SU剤(インスリン分泌促進剤)を内服しているグループは癌死亡率が1.3倍高まる。」 
Diabetes Care February 2006 vol. 29 no. 2 254-258


3)Cペプタイド値が高い男性は、低い男性に比べ最大で3倍程度、大腸癌になりやすい。
国立がん研究センター、「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果。

57%が空腹時、他は非空腹時で共に大腸癌群は高値。厚生労働省研究班が2007年、疫学調査結果を発表し英文論文化。
研究班は、全国9地域で40-69歳の男女約4万人を、1990年から2003年まで追跡。                       
Int J Cancer. 2007 May 1;120(9):2007-12.



このように過剰インスリンの弊害を見てみると、
インスリンは血糖コントロールができている限り少なければ少ないほど、
身体には好ましいことがわかります。
別の言い方をすれば、農耕開始後、精製炭水化物開始後、
特に第二次大戦後に世界の食糧事情が良くなってからの糖質の頻回・過剰摂取が、
インスリンの頻回・過剰分泌を招き、
様々な生活習慣病の元凶となった構造が見えてきます。

スーパー糖質制限食を実践すれば、インスリンの分泌は必要最小限で済むようになり、
様々な生活習慣病の予防が期待できます。
ブログ読者の皆さんも、スーパー糖質制限食実践で、
必要最低限のインスリンで血糖コントロールを維持して、
健康ライフを送ってくださいね。

(*)
【MR】[medical representative]医薬情報担当者。
薬についての知識や情報を医師や薬剤師に提供する製薬メーカーの営業担当者。


江部康二
コメント
SGLT2阻害剤について
江部先生 こんにちは。つも勉強させていただいています。
5年前に糖尿病が発覚し、即、糖質制限を始めた者です。当初12%近くあったHbA1cは2ヶ月後、6%台に下がりましたが、それ以前の罹患期間が相当あったと思われ、膵臓に無理を強いてきたせいか、徐々に上がり始め、この半年は7%台後半になっています。メトグルコ250mgを1日3回、ジャヌビア100mg、ベイスンを服用中ですが、SGLT2阻害剤の服用を検討中です。そのためいろいろ調べたのですが、よく分からないことがあり、先生に教えていただけたらと思い、書き込みしています。
① この薬は、血中の余分な糖を尿糖として排出させるということですが、食事で摂った糖分で血糖値が上がることは防げるのでしょうか? それとも、尿糖として排出される前にはやはり血糖値が上がり、数分、数十分、高血糖の状態になってしまうのでしょうか?
② 私は、主食としての炭水化物は摂っていません。甘味料はラカント、調味料も糖質の少ないものを使っています。現在は早朝空腹時血糖値が170台から下がらなくなってしまっているのですが、もしこの薬を服用すると、最初は尿糖がたくさん出てベースが170台から下がり、その後は(摂っている糖質が少ないので)それほど多くの尿糖が出なくなるということでしょうか?
③ 私のように主食を摂っていない場合でも、この薬は毎日飲むべきでしょうか? それとも、ベースが上がってしまったときだけのほうがいいのか、先生はどうお考えですか?
お忙しい中、申し訳ありません。教えていただけましたら幸いです。よろしくお願いします。
2019/07/16(Tue) 10:27 | URL | N | 【編集
「日本糖尿病学会」を信奉していても、改善は、無理だと体験しました!!
都内河北 鈴木です。

「インスリンは、自己分泌あるなら、最低限で良い!!」
と知り、納得していましたが、

いまだにいるんですね、医療者であっても「医療知識・無知」で、
インスリン過剰投与している医療者自身がいることが、
不思議です!!

1患者が糖尿病21年間、日本医療の糖尿病専門組織「日本糖尿病学会」公認、病院、担当医に、
「医療世界知識」を2005年転院時より7年間・隠蔽され、殺されかけた状況で、
江部先生「糖質制限理論」2005年発表を理解把握し、実践で、
21年間の糖尿病・重症化して行く、インスリン投与者が3か月足らずで離脱してヘモグロビン正常化し「生還」!!

以降「眼、脳梗塞、」が「覚醒、再覚醒、」した事実は、
江部先生により時代進化解明した「糖質害毒」だと証明した事実を、
私が体感したのは8年前の事ですが、

医療界の進化より、社会食品状況が進化していると感じる今日この頃です!!

本日も私居住区「都内S区・保健センタ~」5か所では、
昨年11月より「血糖改善教室」開催が有りません!!

「改善皆無の講義講師達」ではと、私の改善デ~タ提示しての再三の参加申し込みが影響あったのかもですが、
ならば何故「改善可能性ある」
江部先生「糖質制限理論」の講義開催をしないのか、
不思議です!!

私は江部先生には「生還、覚醒、再覚醒、」でき、感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具

2019/07/16(Tue) 12:04 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
4.3倍は超危険
>「高齢者糖尿病における、脳血管性痴呆(VD)の相対危険度は2.0倍。
>アルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は1.9倍。
>インスリン使用者の相対危険度は4.3倍」

高齢者でなくても、アルツハイマー型認知症になってもうたがな{泣
2019/07/16(Tue) 12:20 | URL | らこ | 【編集
Re: SGLT2阻害剤について
N さん

『メトグルコ250mgを1日3回、ジャヌビア100mg、ベイスン』

これらは、低血糖になりにくい良い薬です。

現在空腹時血糖値が170mg/dl台ということで、
夜間の糖新生がコントロールできない『暁現象』と思われます。

A)食後血糖値の上昇はスーパー糖質制限食でリアルタイムに予防できます。
B)早朝空腹時血糖値の上昇は、夜間の糖新生過剰のためであり、これはスーパー糖質制限食でも改善困難なことがありあります。


B)に対しては、SGLT2阻害薬が有効なことが多いです。
従って、Nさんの場合は、SGLT2阻害薬を内服すると効果がある可能性が高いです。
その場合は、脱水注意で、しっかり水分を摂取することが肝要です。

①②:SGLT2阻害薬は、毎日、一定量(数十グラム)のブドウ糖を尿中に排泄します。
   それにより血糖値が下がります。
③:毎日飲んで、早朝空腹時血糖値を改善させるのが良いと思います。

2019/07/16(Tue) 15:17 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖新生の詳しいHP
2019/07/16(Tue) 16:00 | URL | らこ | 【編集
口臭
いつもブログを拝読して勉強をしています。自分も糖質を控える食トレをして体重が減少し、動きやすい身体を手に入れています。先生には本当に感謝しています。
ブログ内容とは関係ないのですが(すいません)糖質を控える食トレをした際の口臭がキツくなる問題があります。自分は接客業なので口臭に気をつけています。自分ではタンパク質の取り過ぎなのか?酒量を控えたら良いのか?(芋焼酎の炭酸割りを3杯です。)色々と試行錯誤しています。
先生にご指導ご鞭撻をいただけたら幸いです。本当に糖質を控える概念に出会えて良かったです。
2019/07/16(Tue) 19:53 | URL | ヒロユキ | 【編集
Re: 糖新生の詳しいHP
らこ さん

ヒトは、人類700万年の歴史において、空腹時や睡眠時には、常に
肝臓や腎臓で、糖新生によりブドウ糖を作ってきました。
これは赤血球はブドウ糖しかエネルギー源にできないので、常に一定の血糖値を保つ必要があるからです。
つまり糖新生は、人類の歴史上、ごく日常的に行われてきたし、これからも行われていくということで、
決して特殊なことではないのです。
狩猟・採集時代は、血糖を下げるという必然性はなく、もっぱら血糖値を保つことが大切でした。
それで、糖新生には、グルカゴン、成長ホルモン、副腎皮質ホルモン、アドレナリンなど複数のホルモンが関与しています。
これに対して、血糖値を下げるのは唯一インスリンだけです。


農耕開始後は、インスリンの出番が増えましたね。
2019/07/17(Wed) 07:58 | URL | ドクター江部 | 【編集
耐糖能の季節変動について
いつもお世話になっております。

今回は、季節変動についての質問ですが、HbA1cが季節により変動する(=血糖値が変動する)事の説明としてよく見かえるのは、
(1)冬場に悪化する
(2)食べ物の季節変動、運動量の変動
等をよく見かけます(実は分かっていない?)。

しかし、私は冬ではなく夏(7月)の耐糖能が悪化します。まだ、記録を始めて2年目ですから、同じ時期のものは昨年の分しかありませんが、昨年は糖質1g当たりの血糖値の上昇は2.1→3.0に変化しました。そして今年も7月になり2.0→2.5と悪化しています。
さらに、暁現象も顕著になり、早朝空腹時血糖値が95→120程度に悪化しています。
運動量、食事は1年を通じて大差ありませんが、夏場は夕食時の糖質ゼロビールの量が増えています(350→700ml)。
6月からはスーグラの服用を中止していますが、6月の1か月間には耐糖能の変化はさほどなく、7月になってから悪化が見られます。

耐糖能の悪化と暁現象があることからインスリンの分泌量に季節変動があるのではと思うのですがいかがでしょうか。

特に朝食時の耐糖能が悪化し、不思議なことに夕食時はどちらかと言えば改善傾向にあります(ビール増量で糖新生が抑えられている?)。平均すると1日を通しては悪化しています。
2019/07/17(Wed) 09:39 | URL | 西村典彦 | 【編集
SGLT2阻害薬について
>5年前に糖尿病が発覚し、即、糖質制限を始めた者です。
>当初12%近くあったHbA1cは2ヶ月後、6%台に下がりました
 Nさん、短期間ですごい改善ぶりですね
…努力されたのですね、素晴らしいですね。
>現在空腹時血糖値が170mg/dl台ということで、
>夜間の糖新生がコントロールできない『暁現象』と思われます。
>A)食後血糖値の上昇はスーパー糖質制限食でリアルタイムに予防できます。
>B)早朝空腹時血糖値の上昇は、夜間の糖新生過剰のためであり、これはスーパー糖質制限食でも改善困難なことがあります。
>B)に対しては、SGLT2阻害薬が有効なことが多いです。
>従って、Nさんの場合は、SGLT2阻害薬を内服すると効果がある可能性が高いです。
>その場合は、脱水注意で、しっかり水分を摂取することが肝要です。
>①②:SGLT2阻害薬は、毎日、一定量(数十グラム)のブドウ糖を尿中に排泄します。
>それにより血糖値が下がります。
>③:毎日飲んで、早朝空腹時血糖値を改善させるのが良いと思います。
こちらの江部先生のコメントやNさんの内容は、とても共感できます。
ブログ内でも暁現象の事はけっこう皆さんのご意見が多いですよね。
自分は糖質制限とSMBGのみで自己管理をしています。
かかりつけの医者は、上記の事を相談しても、
血液検査の結果だけ見て、6~7%台だと「様子をみましょう」としかならず、
江部先生のコメントのような内容を理解していないようです。
様子を見るのは良いのですが、コントロールが効かなくなってからでは、
ますます糖尿病が進んでしまうのではないでしょうか?
もどかしいです。
2019/07/17(Wed) 10:58 | URL | hanamizuki | 【編集
口臭
ヒロユキさん、

私も口臭については苦悩の連続です。他人も身内も自分の苦悩を理解してもらえないのがさらなる孤立感を生じさせます。

貴方、口臭ないよと言われても、気休めでそう言われたのかと思ってしまう始末です。口臭スパイラル状態です。

それはさておき、最近、と言ってもここ9カ月ぐらい続けている対処方法をお伝えします。

インドの古典伝承医学、アーユールヴェーダの中に書かれている対処方法です。それは歯磨きの後、太白ごま油(スーパーで売ってます)を大さじ一杯口に含んで、ぶくぶくクチュクチュうがいを約20分ほど行い、吐き出します。流しに捨てると固まって詰まりますので、ゴミ箱行きにします。

脂質に守られている口臭を発生させる悪玉菌は、いくら口臭予防薬を使用しても、所詮、水と油の関係なので口腔内の悪玉菌を除去できないと教えてくれています。

詳しくは〜「川島一恵 他1名
1日1回、太白ごま油を口に含むだけ たったひと口、オイルの力」大和書房
にあります。

もう一つは、これはアーユールヴェーダとは関係ないのですが、舌の汚れを取り去ることが重要だと思います。リードのクッキングペーパー(不織布)を使用して舌の奥から手前になぞる様にします。汚れが不織布に付着するのがわかります。一枚をハ等分するといいと思います。ご参考までに。

江部先生、失礼しました。
2019/07/17(Wed) 11:01 | URL | ジェームズ中野 | 【編集
Re: Re: 糖新生の詳しいHP
◎小麦が人間を支配している

は、「サピエンス全史」の言葉でしたね。
Nさんの糖新生が過剰なのに、江部先生や 私らこ の糖新生が活発では無いのは、飲酒で肝臓はアルコール分解に専念しているからでしょうか?
2019/07/17(Wed) 12:52 | URL | らこ | 【編集
暁現象について
江部先生

暁現象ですが、しらねのぞるばさんによると2タイプあるそうですね。

「朝日が2つ上がってきた」
https://shiranenozorba.com/2019_07_02_two-dawns/

江部先生のおっしゃる②は、夜間に上昇するS群でしょうか。
私の場合はインスリン分泌過剰なので、起床後に血糖値が上がりだすL群かなと思ってます。
CPIも高値ですし。。。orz

SGLT2を服用してもこのあり様ですので、現在メトホルミンを500x2に増量検討中です。。。


Nさん

①ですが、小腸から吸収された糖は、尿へ排出されるまでに体内を循環しますので、そのタイムラグで血糖値は上昇してしまいます。

ジャヌビアですが、DPP4阻害薬は結果としてインスリンを出させる方向に働かせるので、私は糖質制限と同時に止めました。
2019/07/17(Wed) 15:04 | URL | 福助 | 【編集
Re: 口臭
ヒロユキ さん

口臭には、様々な要因がありますが、
一番多いのは歯周病や虫歯です。
まずはそれをコントロールしましょう。
糖質制限食は虫歯にも歯周病にも良い効果があります。

糖質制限食での特殊な口臭としては、アセトン臭があります。
これは芳香臭で、アセトンの甘酸っぱいような臭いです。
出ないことも多いですが、アセトン臭が出ても
3ヶ月くらいで、落ち着きます。
アセトンはケトン体の一種です。
2019/07/17(Wed) 18:22 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 耐糖能の季節変動について
西村典彦 さん

一般に、体温が上昇するほうが、血糖値は上昇します。
ヒトは恒温動物なのですが、最近は夏の方が体温が高い人が多いような気がします。
それで、夏場は血糖値が上がる可能性があります。

また、仰るように、インスリン分泌の季節変動がある可能性もあり得ると思います。
2019/07/17(Wed) 22:29 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: SGLT2阻害薬について
hanamizuki さん

血糖自己測定器で、自己管理するのは、とても役に立ちます。

早朝空腹時血糖値高値や
食後高血糖が、速やかにチェックできるので便利です。
2019/07/17(Wed) 22:32 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: Re: Re: 糖新生の詳しいHP
らこ さん

その可能性はあり得ますね。
2019/07/17(Wed) 22:34 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 暁現象について
福助 さん

情報をありがとうございます。
しらねのぞるばさんのサイトを見てみます。
2019/07/17(Wed) 22:36 | URL | ドクター江部 | 【編集
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