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西洋医学と東洋医学。漢方医、西洋医、そして食医。
こんにちは。
2019年6月29日(土)は、江部診療所の外来が終了したあと、
東京にいき、第70回日本東洋医学会学術総会に参加してきました。

私は、漢方医でもあり西洋医でもあり、東洋医学も西洋医学も共に携わっています。
また糖質制限食を推進する「食医」でもあります。

日本で本格的に医学が隆盛となったのは、室町・戦国時代の医師田代三喜以後とされていますが、
彼は明にわたり、当時明で盛んであった、李東垣と朱丹渓の医学を学び、日本に伝えました。
即ち李朱医学とよばれています。
その弟子の曲直瀬道三に到り李朱医学は日本流に完成され隆盛となっています。
この医学は傷寒論の時代(後漢末期~三国時代)に比べれば、
後世の医学ということで後世方(中国では時方)と呼ばれるようになりました。

一方後世派の隆盛に対して、その漢方理論が思弁的であるとの批判をかかげ、
傷寒論の原点にかえれとする一派が台頭してきます。
傷寒論を唯一無二の聖典とするわけで、
李朱医学に比べれば古(いにしえ)の医学ということで古方(中国では経方)と呼ばれるようになりました。
この一派には江戸時代前期の医師、名古屋玄医を始めとして、吉益東洞、尾台榕堂などがいます。
特に吉益東洞は後世に与えた影響が大きいとされています。
又、両者を共に取り入れた折衷派と呼ばれる一派もあり多紀元簡、浅田宗伯などがいます。

江戸時代後期にオランダ医学が紹介されると、
それまでの医学と新しい医学とを区別する必要が生じました。
そのためオランダ医学を「蘭方」(らんぽう)と呼び、
それまでの治療法を「漢方」と呼ぶようになりました。

 現代中国での伝統医学は「中医学」と呼ばれ、日本の伝統的「漢方」とは異なる体系です。
高雄病院では中医学も漢方も両方、取り入れています。

なお日本では、明治維新後、1883年の医師免許規則配布により、西洋医だけを医師として認め、
漢方医は医師の資格として認められなくなりました。
しかし西洋医のなかで志をもって漢方を学ぶ医師により、漢方は現代まで綿々と続いています。

漢方も西洋医学も、患者さんが健康を取り戻すのを援助します。
それぞれに得意分野があるので、どちらか一方が優れていて他方が劣っているということではなく、
役割分担で相補的に対応するのがよいと思います。
これは、食事療法や運動療法についても同じことがいえます。
 もし、食事療法だけで健康を保てるのなら楽ですし、
食事に運動を加えてバランスの良い健康な生活が出来るのなら、薬の世話にならずに済むわけです。
現実に糖質制限食の実践で様々な生活習慣病が改善します。

 食事と運動でどうにもならなければ、その次に漢方薬を使うことを考えます。
バランスが少し崩れていただけの人ならば、漢方だけで健康な状態に戻れます。
 しかし、西洋医学も必要です。
例えば、手術が必要な病気の人は漢方ではどうにもなりません。
漢方でどうにかしようなどと無理をいわず、さっさと手術すれば良いのです。

  西洋医学は原因がはっきりしている病気はとても得意としています。
たとえば近年、一旦激減した梅毒が、再び大流行しています。
梅毒は梅毒トレポネーマという菌が感染して発病することがわかって、
ペニシリンなどの抗生物質が特効薬として開発され簡単に治るようになりましたので、
速やかに治療して欲しいと思います。

梅毒は江戸・明治時代までは原因がわからず、当時の漢方医にとって不治の病だったのですから、
西洋医学、たいしたものです。
 このように「一つの病気に対して一つの原因があり、対応する特効的治療がある。」というパターンは
西洋医学が最も得意とするところです。

ところが今、平成・令和の世の病気をみてみると、原因がはっきりしない病気が多くを占めています。
言い換えれば西洋医学的には対症療法が主で、特効的な治療法がない病気がおりのように溜まって残ってきたと言えます。
 高雄病院には西洋医学単独では難治の様々な現代病の漢方治療を求めて、たくさんの患者さんがやってこられます。
膠原病や難病でステロイド薬減量を目的として、来院される患者さんもあります。
常勤医師すべてが漢方治療を実践しているユニークな病院ですが、もちろん必要な場合は西洋医学的治療も行います。

 外来には潰瘍性大腸炎などの難病、気管支喘息など呼吸器疾患、リウマチなど膠原病、過敏性腸など消化器疾患、
アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患、不妊症など婦人科疾患、
高血圧など循環器疾患、糖尿病など代謝疾患、ネフローゼ症候群など腎疾患・・・。
そのほかにも、風邪をひきやすい、冷え性、なんやしんどい、微熱など、
西洋医学的には診断がつかないような訴えの人もこられます。

 このように漢方医は小児、成人、老人含めて実に多種多様な病気を診ます。
漢方的診察により、人体の気血の流れや五臓六腑のバランスをチェックして、それを整えるような薬を処方します。
ですから原因不明の病気にもそれなりに対処できます。
しかし漢方治療も決して万能ではなく、西洋医学の知識が必要なことが多々あります。

 西洋医学と東洋医学を上手に両立させて少しでも患者さんの症状が楽になればいいなと思っています。
また潰瘍性大腸炎のような難病に、糖質制限食を併用すると顕著な効果がある場合が多いことも判明してきましたので、
こちらもさらに勉強を重ねたいと思います。


江部康二
コメント
結果への西洋医学、東洋医学、の時代進化両立!!
都内河北 鈴木です。

私は、江部先生「糖質制限理論」で、
「生還、覚醒、再覚醒、」できた医療デ~タをもって、
「改善結果」を出しました!!

以降「覚醒、再覚醒、」の事実が有ります!!

江部先生「糖質制限理論」の効果だとしか、
コメントでしか感謝を伝えられない現況をお察しください。

2019年6月29日(土)に区役所より、
返答封書配達ありました。
先月5月15日(水)に、
S区役所本局「保健センタ~への苦情」へ、
「私の糖尿病教室への参加拒否の不満」を
区役所担当・弁護士S(女)に1時間ほどの時間をかけ成り行きを話しましたが、返答は「区役所保身の返答」のみでした!!

後遺症「眼、脳梗塞」の為に、都内S区役所へ区民の為だと考えたのですが、
私を参加拒否する事は「日本糖尿病学会」信奉者には、
専門医として
「返答不可な質問・削除・対応だと考えたのだなと考えるしかありません!!」

昨年11月より都内S区内では「糖尿病教室」が有りません!!

「改善可能性無い医療・出鱈目・講義羅列」ならと自覚しているのかと、考えます!!
当然至極だと考えます!!

本ブログ記事を読んでも、江部先生の病態苦しむ患者の改善への、
医学の時代進化している事を感じ、
感謝申し上げます!!

現在も「脚気・高木兼寛医師」の、明治初頭と同様の
「程度低い改善より、医療利権が有るのか」と思い、
情けないと考えます!!

時代はネット活用に時代です、
「改善皆無の医療は、改善目指す患者は、
見抜く時代だと考えるべきだと考えます!!」

私は、「生還、覚醒、再覚醒、」医療デ~タ結果をもってコメントしています!!

江部先生、私が「生還、覚醒、再覚醒、」できましたのは、
江部先生「糖質制限理論」の御陰です!!
感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具
2019/06/30(Sun) 17:34 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
耐糖能の可逆性について
某ユーチューバーによる、糖質制限と耐糖能悪化に関する動画が未だに尾を引いているようです。

ただ、江部先生も論文を引用されているように、Hugh L. C. Wilkersonらは糖質制限と耐糖能の(不可逆的)低下との因果関係を否定する研究について、1960年(!)に既に報告しています。

さらに、2010年の研究報告(Discussionセクション文末)によると、

--以下、引用--
Overall, our current data demonstrate that maintenance on a KD may impair glucose tolerance over time and have detrimental effects on the ability to mount a sufficient insulin response to a high-carbohydrate meal. The effects on glucose homeostasis, however, are rapidly reversible upon resumption of a high-carbohydrate diet. Finally, despite the effects of a KD on peripheral insulin and glucose tolerance, responsivity to the anorectic effects of central insulin is enhanced.

<機械翻訳>
全体として、我々の現在のデータは、KD(筆者注:ケトン産生食)の維持が経時的に耐糖能を損ない、そして高炭水化物食事に対して十分なインスリン反応を起こす能力に有害な影響を及ぼし得ることを実証している。しかしながら、グルコース恒常性に対する効果は、高炭水化物食の再開時に急速に可逆的である。
--ここまで引用--
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2903931/

…とあるように、厳格な糖質制限(≒ケトン産生食)では一時的に耐糖能が低下するものの、リフィードによりすぐに元に戻る…というのは、もはや研究者の間では“世界的常識”と言っても過言ではないでしょう。

耐糖能の低下に関して、これまでインスリン追加分泌の第1相は、プレドックされた顆粒が刺激によって細胞膜に融合して作用する…と考えられてきましたが、2007年に我が国(神戸大学)の研究者らが、グルコースによる刺激では第1相、第2相ともに、大部分は刺激により惹起され細胞膜にリクルートメントされた顆粒(restless newcomer)が、即時的に細胞膜に融合して作用する機序を発見しました。
https://www.pnas.org/content/104/49/19333

今後は耐糖能や糖尿病、あるいは機能性低血糖などの解明のため、インクレチンに関する研究が進むことを期待しています。
2019/06/30(Sun) 17:39 | URL | FOCS@山田 | 【編集
LDL70未満を目指す必要は
江部先生
糖質制限食を始めて8年、江部先生と糖質制限に奇跡を感じ、感謝している一人です。
一つお尋ねしたいことがあります。年齢的なこと、家族的な要因もあり、糖質制限のためとは思っておりませんが、同時期より脂質異常症を指摘されてきました。メバロチンでは全く効果なく、ストロングスタチンを順に試しましたが、四肢のだるさに耐えかねて、最近まではゼチーア半錠を隔日に服用しておりました。その時の(今年5月のデータ)は、TC:257 LDL:148 HDL:95です。その時、頸部エコーを撮っていただくと、1年前にはなかった所に2.7mmのプラークが発見されまして(翌日脳外科で再検査すると1.4mmとのこと)、ゼチーアは効果がないので、スタチンが服用できないのであればと、月1度の注射を提案されました。いきなり大きなプラークの事実に恐ろしくてその日は打っていただきましたが、高額過ぎてとても毎月は続けられません。その時、現在、LDLを70未満に抑えることになっていると聞きました。驚きました。LDLが70ならHDLはいかほどになるのでしょう。本当にLDLを70未満に抑える必要があるのでしょうか。2.7mmが測定角度の誤りであれ、1.4mmでもプラークがある以上、新ガイドラインに従った方がよろしいのでしょうか。因みに、お蔭様でHba1cは5.6~5.8、CKDはありません。
江部先生はいかがお考えでしょうか。
本来ですと、受診の上伺わなければならないようなご質問をお許しください。
2019/06/30(Sun) 17:42 | URL | neiri | 【編集
Re: 耐糖能の可逆性について
FOCS@山田 さん

貴重な情報をありがとうございます。
とても参考になります。
2019/06/30(Sun) 18:15 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: LDL70未満を目指す必要は
neiri さん

1年前になかったのに、できたのは、気になりますが
1.4mmのプラークは、小さいと思います。
プラークは柔らかいタイプが硬いタイプか聞いて見ましょう。

2019年5月のデータは、TC:257 LDL:148 HDL:95
中性脂肪の値はどのくらいでしょう。
中性脂肪が、80mg/dl以下なら小粒子LDL-コレステロールはほとんどないので
とても良いデータです。

Hba1cは5.6~5.8%
もとても良いデータです。

このデータで、何故プラークができたのか不思議です。

ともあれ、スタチンで四肢のだるさがあるなど、副作用があるなら飲まないほうがいいです。

1.4mmのプラークで、半年や1年以内に血栓が生じるとかのリスクはまずないです。
このまま、食事療法だけで、経過をみて、
念のため、3ヶ月後と6ヶ月後に、頸動脈エコーで、プラークの大きさを確認して
大きくなっていなければ大丈夫と思います。
2019/06/30(Sun) 18:33 | URL | ドクター江部 | 【編集
ReRe: LDL70未満を目指す必要は
江部先生
早々にご回答をくださりありがとうございます。
プラーク、最初に2.7mmとおっしゃった先生は、「硬そうやないな」「飛ぶかもしれないな」とおっしゃり、恐ろしくなり走った脳外科では「飛べへん、飛べへん」でした。どちらが本当なのか分かりません。中性脂肪は、食事内容はさほど変わらないのですが、測る時間帯によるのか、上記と同じ時期は97でしたが、これまで49、74、エパデールを1日1200mg服用しなければ126とかいう日もありました。サバ缶を毎日食べていますのにね。やはり危険でしょうか。書きながら心配になってきました。結局、血糖値のみ糖質制限という食事療法のみで正常値で、あとはお薬だのみではあります。おから、サバ缶、他のお魚、鳥むね肉、大豆類などを葉野菜とオリーブオイルで調理して食し、無茶苦茶な食べ方はしていません。
3カ月後、半年後には必ず頸動脈エコーをしていただきます。

ストレスは自覚しているだけでも相当なものがあります。
2019/06/30(Sun) 20:15 | URL | neiri | 【編集
Re: ReRe: LDL70未満を目指す必要は
neiri さん

空腹時中性脂肪値が、80mg/dl以下なら
小粒子LDLコレステロールは、ほとんどないので
問題はないです。
2019/06/30(Sun) 21:22 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ReRe: LDL70未満を目指す必要は
江部先生
何度もご回答をくださり畏れ入ります。
脂質異常は服薬もいたしかたないと考えますが、高血糖、糖尿病は非常にやっかいな病気だと思っており、糖尿病については是が非でも服薬を避け、食事(糖質制限)のみで行きたいと常々考えておりました。それでつい食後の血糖値も一緒に見たくて敢えて食事をして測っておりましたので中性脂肪がまちまちの値です。空腹時でしたら30~40台だったと思います。
注射は止めて、ゼチーアで様子を見、定期的に頸部エコーを撮っていただきます。
ありがとうございました。
2019/06/30(Sun) 23:24 | URL | neiri | 【編集
Re: Re: ReRe: LDL70未満を目指す必要は
neiri さん

きよすクリニックの伊藤喜亮先生から、メールでアドバイスを頂きました。

それで、
EPAやDHAにも、プラーク改善効果があるので、
エパデールやロドリガ内服も、選択肢の一つとのことで、私もそう思います。
2019/07/01(Mon) 13:04 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ReRe: LDL70未満を目指す必要は
江部先生
また、きよすクリニックの伊藤喜亮先生
ありがとうございます。
エパデールは、現在一日1200mgを服用していますが、ロドリガは全く存じませんでした。ご相談してみます。
このコーナーで、ここまでのご教示を戴けますとは感激です。
両先生、ありがとうございます。
2019/07/01(Mon) 14:02 | URL | neiri | 【編集
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