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尿路結石と糖質制限食。
こんにちは。

今回は、尿路結石と糖質制限食について検討してみます。
現在、糖質制限食と尿路結石に関して、
断定的な結論を出すほどのデータはないのですが、
下記のような文献があります。


Nephrolithiasis as a systemic disorder.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18408483


このReviewでは、メタボリックシンドロームは腎結石と関連があり、
2型糖尿病、BMIの増加、高血圧、脂質異常症が
それぞれ独立した危険因子として認識されるようになってきているとの事です。

メタボリックシンドローム、2型糖尿病、BMIの増加、高血圧、脂質異常症は、
いずれも糖質制限食で改善が望める病気です。
そして運動不足も影響する病気です。

一方、
「戦後食生活が欧米化して高蛋白・高脂質食となり、尿路結石が増えた。
従って尿路結石再発予防には蛋白質・脂質を減らすのが良い。」

という従来の説は如何なものでしょう。

この説に関してですが、
日本尿路結石症学会が2005年に行った調査によると、
尿路結石の患者数は40年前(1965年)と比べて、増えています。
この患者数というのは、痛みの発作を起こした人(罹患者)の数です。

1965年、人口10万人あたり、63.8人。
1975年、人口10万人あたり、75.7人。
1985年、人口10万人あたり、91.6人。
1995年、人口10万人あたり、117.5人。
2005年、人口10万人あたり、192人。


1965年以降徐々に、尿路結石は増えています。
特に1995年~2005年までの10年間の増加は、それ以前の30年間に比べて、
とんでもない人数の増加です。

そして、1995年~2005年は、厚生労働省「国民栄養の現状」によれば、
蛋白質・脂質の摂取率は、減少傾向にあります。

こうなると、少なくとも1995年~2005年までの10年間の尿路結石患者の激増は、
蛋白質・脂質には無関係の可能性が高いといえます。

そして、1995年~2005年は、厚生労働省「国民栄養の現状」によれば
炭水化物の摂取比率が増加しています。

脂質と蛋白質の摂取比率が低下して、
炭水化物の摂取比率が増加して、
1995年~2005年までの10年間に、尿路結石が激増しています。
従って、糖質制限食と尿路結石増加とは無関係です。

この事実を考慮すれば、尿路結石増加の真犯人は
炭水化物摂取比率増加の可能性が高いです。

特に白米、麺類、食パン、清涼飲料水、菓子パン、麺類、ケーキなどを含め、
精製された炭水化物の頻回・過剰摂取が良くないと思います。

☆☆
医療情報サービス Minds(マインズ)
厚生労働科学研究費補助金により公開中
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0022/1/0022_G0000058_0021.html
尿路結石の調査報告

日本ケミファ株式会社のホームページ
http://www.chemiphar.tv/healthcare/urine/index_02.html
尿路路結石の患者数は40年前に比べて約3倍に増加



結論です。
現段階では、勿論断定はできませんが、
尿路結石の増加も精製された糖質の過剰摂取の影響が一因である可能性があります。
特に炭水化物の質が、ブドウ糖ミニスパイクを起こしやすいものほど問題と思います。
あとは、運動不足も一定、関与していると思われます。


江部康二
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