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禁煙して体重が増加しても、心血管イベントリスクは約半分に減少。
こんにちは。
今日の記事はタバコのお話です。
私はお酒には比較的優しいですが、 (^^)
タバコにはとても厳しいです。 (→ο←) 
まあ、私は酒は吞むけれどタバコは吸わないので、一定のバイアスが
かかっているのは否めないですが、
タバコの害には、エビデンスがあります。

まずは、タバコの害です。
以下の青字は、国立循環器病研究センターサイトから一部抜粋です。

喫煙はどんな害があるの?
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/general/pamph65.html
たばこの煙には4000種類以上の化学物質が含まれていることが判明しています。
そのうち有害と分かっているものだけで200種類以上もあります。
またこれらの中には40~60種類の発ガン物質が含まれています。

たばこを吸うと一酸化炭素も体内に取り込まれます。
一酸化炭素は酸素に比べ240倍も赤血球にあるヘモグロビンと結合しやすく、
体内組織の酸素欠乏により動脈硬化が進み、
脳卒中・急性心筋梗塞(こうそく)・大動脈解離などの
循環器疾患を発症する危険度が高くなります。

<図2>のように、1日25本~49本吸っている人は、
心筋梗塞で死亡する危険度が吸ってない人に比べ2.1倍になります。
本数が増えるほど死亡の危険度が上がるのです。
脳卒中発症と喫煙との関係をまとめたのが<表2>です。
若年者の方がその危険度が大きく、
喫煙本数が増えるほど脳卒中発症の危険度が高まります。

さらに、呼吸器疾患の肺気腫(しゅ)・慢性気管支炎・気管支ぜんそくや、
がん、低出生体重児など、さまざまな疾患の発症に影響しています。
肺がんのうち、
たばこが原因と考えられる(もし吸わなかったら、かからなかったと考えられる)肺がんの割合は70%に及びます。

<図3>は、吸わない人と比較したたばこを吸う人の死亡率です。
たばこの煙の通り道である咽頭(いんとう)がんや喉頭(こうとう)がん、
あるいは唾液(だえき)と一緒にたばこのヤニが飲みこまれることにより、
発がん性物質の影響で、
食道がん・胃がん・肝臓がん・膀胱(ぼうこう)がんが起こりやすくなります。
たばこを吸う人の肺と吸わない人の肺を比べてみると、
吸う人の肺は黒いススでおおわれています。】



喫煙のリスクが周知され、たばこ税が増税されて、
日本の喫煙者の割合は減ってきています。
たばこ産業の「2018年全国たばこ喫煙者率調査」によると、

成人男性の平均喫煙率は27.8%でした。
これは、昭和40年以降のピーク時(昭和41年)の 83.7%と比較すると、
約50年間で56ポイント減少したことになります。
年代別にみると、急激な喫煙率の減少傾向が見られる60歳以上は21.3%ですが、
30歳代から50歳代はまだ35%前後を推移しており、
一番高い年代は40歳代で35.5%でした。
成人男性の喫煙率は、減少し続けていますが、諸外国と比べると、
未だ高い状況にあり、約1400万人が喫煙していると推定されます。

これに対し、成人女性の平均喫煙率は8.7%であり、
ピーク時(昭和41年)より漸減しているものの、ほぼ横ばいといった状況です。
喫煙率が一番高い年代は40歳代の13.6%、最低は60歳以上の5.4%です。

私はタバコは吸わないので、とても良い傾向と思いますが、
女性の喫煙率が昭和41年とほとんど横ばいとは意外でした。
しかしながらタバコをやめると体重が増加することが多いです。

数あるタバコの害の中で、今回の記事は、JAMAに掲載された
『禁煙と心血管イベント』についての研究論文のお話です。

「禁煙により心血管イベント(*)減少効果が得られるのは即理解できるけれど、
禁煙後に肥満してしまうことで心血管イベントリスクが増えたら、
禁煙の効果は相殺されてしまわないか?」

という疑問が生じる読者もおられると思います。

この件に関して、JAMA 2013; 309: 1014-1021 に研究報告が掲載され、
それについて[MT Pro 2013年4月4日]に山田悟医師の解説がありましたので
以下(緑文字の文章)一部抜粋してご紹介します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

禁煙したら太っちゃったよ! 先生,俺,大丈夫かな?
禁煙後の体重増加と心血管疾患の関係 [MT Pro 2013年4月4日]

この研究は有名なフラミンガム子孫研究のサブ解析がデータベースです。
非喫煙者、最近の喫煙、長期の禁煙者、喫煙者の4群に分類して比較検討です。
これまで,体重増加は禁煙後の健康問題の1つとされてきました。
今回の研究結果から、糖尿病であれ、非糖尿病であれ、たとえ体重増加があっても、
禁煙の成功により心血管のリスクが半分程度(0.49)に減ることが分かりました。
禁煙成功のメリットは体重増加のデメリットとは比べ物にならず、
禁煙に成功したことの意義の方がはるかに大きいと言えます。

論文の結論として
1)最近の禁煙者は体重を増加させたが心血管イベントリスクは半分に減少。
2)糖尿病の人は非糖尿病の人より、心血管イベント発症率が多い。
3)喫煙者よりも非喫煙者、禁煙者で心血管イベントの発症率は低下。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


つまり、少々太っても、禁煙のメリットのほうがはるかに大きいということなのですが、
「禁煙+糖質制限食」なら、体重増加もないですね。


(*)心血管イベント
通常は心筋梗塞と脳卒中のことを指すのですが、
論文により狭心症や心不全の悪化などを含むこともあります。


江部康二

コメント
嗜好品
たばこは嗜好品ですものね。
生まれたときから必要なものではないので、私もNGです。
あの煙に触れるだけでもNGです。
さて、yahoo.ニュースにピックアップされてました。

(CNN) 1週間に卵を3~4個食べる人や、食事から1日当たり300ミリグラムのコレステロールを摂取する人は、そうでない人に比べて心疾患や早死にのリスクが高い――。そんな調査結果がこのほど医学誌JAMAに発表された。

これでまた糖質制限否定派が勢いづくでしょうね。
私的には3個/半時間ならちょっと危ないなとは思いますが、まさか3個/週でのリスクとなると、疑いたくなります。
2019/03/18(Mon) 21:48 | URL | 猫 | 【編集
糖質制限と腸内環境
先日、江部先生からご紹介いただいたボディービルダー山本義徳さんが、「ダイエットの正解は糖質制限である」と言ってる最新インタビューがあったので紹介させていただきます。https://www.youtube.com/watch?v=PXwwQa3PPkY 
彼が言っているケトジェニックダイエットと腸内細菌の関係は、私が読んだketo関連の欧米記事と一致してて、彼が欧米の最新研究をよく勉強しているのだと解ります。彼はダルビッシュ投手のトレーニング指導もしている方なんですね。彼の腸内細菌の話を補足すると、高脂質、高タンパク質の食事で増えるバクテロイデスでは以下のことが解っています。1.肥満防止効果、2.認知症予防効果(バクテロイデスが十分高いと発症が10分の一以下に減る)3.てんかん治療効果(ケトン食の元ではバクテロイデスの増加と発作の抑制が比例する)、これらは脳の炎症と関連しており、バクテロイデスと抗炎症効果との関連が期待されているようです。逆に高炭水化物食で増えるプレボテラですが、リウマチ患者に多いことが解ってます。また最近ではインスリン抵抗性、糖尿病、心血管リスクとの関連も疑われていて、悪い意味でプレボテラは体内の炎症増加と関連していると考えられます。しかしながら、因果関係において、特定の腸内細菌が疾患を引き起こすのか、高炭水化物->インスリン過剰分泌->活性酸素->炎症 の結果として腸内細菌の構成割合(エンテロタイプ)がこうなったのかはハッキリと解っていないようです。DOES A KETOGENIC DIET CHANGE OUR MICROBIOME?:https://lifeapps.io/nutrition/does-a-ketogenic-diet-change-our-microbiome/
2019/03/18(Mon) 22:33 | URL | 駐在君 | 【編集
コレステロール問題
素人なのでJAMAのフルテキスト読んでませんが、糖質量や中性脂肪とかも調査されてるんですかね?

週に3個以上の卵を摂取、心疾患のリスク増大か 米研究

1週間に卵を3~4個食べる人や、食事から1日当たり300ミリグラムのコレステロールを摂取する人は、そうでない人に比べて心疾患や早死にのリスクが高い――。そんな調査結果がこのほど医学誌JAMAに発表された。

https://www.cnn.co.jp/fringe/35134378.html

JAMAの記事
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2728487
2019/03/18(Mon) 23:17 | URL | 貧乏知識 | 【編集
紫煙
江部先生、こんばんは

タバコは害があるのは聞いていましたが
とても有害なのですね。

私は、子供ができたのがきっかけで、タバコを止めました。
こんなかわいい赤ちゃん(親ばか)に、悪い空気は吸わせられないと思い、止めました。
わりとすんなり止められました。

当時、フィルターなしの両切りタバコ(しんせい)を1日40本以上吸っていました。チェーンスモーカーでした。

タバコを止めたら口の中もすっきりして、ご飯も美味しくなったのを覚えています。私は太る事は無かったです。

禁煙したのでその分、吸ったつもり貯金して1年で10万以上貯まりましたので、それでテレビを買い替えたのを覚えています。
もう、30年以上前の話です。
有害なタバコ、自分だけでなくまわりにも健康被害を与えますので、止められて良かったです。
2019/03/18(Mon) 23:36 | URL | モン吉 | 【編集
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6317511
週に3個以上の卵を摂取、心疾患のリスク増大か 米研究

こんな記事見つけました。
卵は日に4つくらい食べます。
2019/03/19(Tue) 00:15 | URL |  | 【編集
週3個の卵
ドクターシミズ先生が早速反応していましたね。
http://promea2014.com/blog/?p=7525

どうやら、長期の研究なのに、何を食べたかの調査はたった1回のようです
2019/03/19(Tue) 08:14 | URL |  | 【編集
糖質とテストステロンの関係についてどうお考えですか?
必須アミノ酸、必須脂肪酸や亜鉛、ビタミンDなどのビタミンミネラルがテストステロン値の上昇に必要だというのはわかっているのですが、糖質摂取がテストステロン値を上昇させるといった内容の文やその逆の文もあり、いまいち正しい情報がわからないので考えを教えていただけるとありがたいです。
2019/03/19(Tue) 10:17 | URL | Sho | 【編集
匂い
タバコは直接煙はもちろんですが喫煙者からの染み付いた匂いも迷惑です。先日も電車で座ってたところ隣に座ってきた人が悪臭放っててたまらず席から離れました。飲食店でも基本禁煙の店しか行きませんがネットで評判の高い店でもそこのシェフが休憩中に裏口でタバコ吸ってる姿を見てそれ以来そこには行かなくなりました。

卵は普段糖質食べてるでぶが不健康に死んでるだけだと思います。卵が害になるような状態になってる事が悪くて適量食べる卵に罪は有りません。
2019/03/19(Tue) 11:33 | URL | しょーじ | 【編集
私の父親は何度か禁煙を試してましたが挫折し、結局病気になるまで喫煙していました。
一番最初に禁煙に失敗したのは、私が大学を無断欠席し再受験したいと大喧嘩した時でした。
私の大学入学と同時に禁煙していたらしいのですが、無断欠席がばれて父はショックだったようです。
知り合いの女医さんは、私立医に入学してからかなりのヘビースモーカーだった医者の父親が禁煙して健康に気を使うようになったと聞きました。娘の私立医の学費を払い終えるまでは倒れることができないと。
人にもよるのでしょうが、守るものがあると禁煙も禁酒もしやすいのかもしれませんね。
毎日病人に接してるのだから、医者は健康的に禁煙禁酒だろうと思いますがそういう先生は少ないように思います。
最近の若者は煙草も酒も嗜まない人が多いらしいです。時代背景もあるのかもしれません。
最近の研究では酒も適量なんて無いらしいと結果が出たと聞きました。そのうち、コンビニやスーバーなどで気軽に煙草や酒は変えなくなる時代が来るでしょうね。
2019/03/19(Tue) 16:16 | URL | 粉雪 | 【編集
話題の卵ですが、JAMAの論文読みました。
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2728487
個人の不確かな記憶に頼るだけのFFQ(Food Frequency Questionnaires)の中でも今回のFFQは更にレベルが低いデータです。1回の質問表を最大30年間にまで当てはめ、強引に卵半分で1.06倍の心血管リスク:incident CVD (adjusted HR, 1.06; adjusted ARD, 1.11%) と言う超薄い関連性で結びつけるのが科学的なんでしょうか?これを「週に3個以上の卵を摂取、心疾患のリスク増大」と大きくニュースで流すメディアも含め政治的な意図が全く無いとすれば不思議としか言いようがありません。
2019/03/19(Tue) 17:25 | URL | 駐在君 | 【編集
Re: タイトルなし
Sho さん

テストステロンを作る原材料はコレステロールです。
コレステロールは体内で肝臓が作りますが、
卵、肉類、魚などコレステロールを多く含む食材を摂取するのも良いことです。

テストステロンの生成には他にも、アミノ酸、ビタミン、ミネラルなどが
必要です。
ミネラルの中で亜鉛はテストステロンや精子の生成に働く大切な栄養素ですので、
しっかり摂取しましょう。
亜鉛を多く含む食材としては、牡蠣、レバー、うなぎ、アーモンドなどがあります。

いずれも糖質制限OK食材であり、糖質セイゲニストにおいては
テストステロンが産生されやすいと思われます。

そもそも必須アミノ酸、必須脂肪酸はありますが、必須糖質はありません。
テストステロン合成に糖質が必要なら、「必須糖質なし」という原則が崩れますので、必要ないのでしょう。
2019/03/19(Tue) 17:56 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 匂い
しょーじ さん

そうですね。
タバコの匂も嫌ですね。
2019/03/19(Tue) 17:59 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
粉雪 さん

医者の不養生とは言いますが、
実際、医師の平均寿命は一般の人より短いようです。

「医師の平均寿命は68歳~73歳」
というデータもあるようです。
2019/03/19(Tue) 18:27 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし

駐在君 

コメントありがとうございます。

1回の質問表で平均17年間、最大30年間の経過観察とは
確かにええ加減ですね。
2019/03/19(Tue) 18:32 | URL | ドクター江部 | 【編集
初めてコメントさせて頂きます。
私は9年前に糖尿病発覚し、当初はカロリー制限、内服薬にて対処してましたが糖質制限に出会い内服薬もなしに良好なコントロールです。
実は糖尿病発覚時点で喫煙者でして1日1箱位のペースで吸ってました。ところが糖質制限始めてから半月位して喫煙してもどうも嫌な気分になるようになり思い切って禁煙してみたら、これがあっさりと煙草を止められました。煙草が吸えないことへのイライラなど全然ありませんでした。これは糖質制限により糖質依存がなくなることと関係あるのでしょうか?
江部先生は患者さんでこういう例はありますでしょうか?
2019/03/21(Thu) 18:22 | URL | プリスケン | 【編集
Re: タイトルなし
プリスケン さん

糖質制限で糖尿病を克服されて、
なおかつ煙草ももあっさりやめることができたとは素晴らしいです。

この件に関して、調べたことがないので、糖質制限食で禁煙できた方がどのくらいおられるのか患者さんなどに聞いて見ます。

ブログ読者の皆さんで
プリスケンさんのように、「糖質制限食で禁煙成功」という体験をお持ちの方は、是非コメント頂ければ嬉しいです。
2019/03/21(Thu) 18:52 | URL | ドクター江部 | 【編集
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