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糖質制限食に対する懸念に答えます。
こんばんは

巷でよく言われている糖質制限食に対する懸念として、

糖質を控えておかずを増やすと必然的に脂質の割合が多くなること。

体重は落ちても、炭水化物を摂らないことによって食物繊維やビタミン、ミネラルが減り、コレステロール値が上がって生活習慣病予備軍の仲間入りをしかねない。

仕事の効率を上げるためには、朝はきちんと炭水化物を摂る必要がある。


などが、保守的な栄養士のサイトなどで時々取り上げられています。

しかしながら「糖質制限食」をしっかり学んで
正しく実践する限りは、弊害というのは基本的にありません。

勿論、肝硬変、診断基準を満たす膵炎
長鎖脂肪酸代謝異常症、尿素サイクル異常症、慢性腎臓病
など適応外の疾患はあります。

まず言えることは
人類の進化の歴史から考えると、人体にとって、総摂取カロリーの
60%を穀物(糖質)から摂取するという現代の食事は、
とんでもなくバランスが悪いということです。

人類700万年の歴史で狩猟・採集・漁労が生業であり、
穀物摂取開始はわずか10000年前の農耕からに過ぎないことを
キッチリ認識する必要があります。

未だかつて食べたことのない穀物が、
いきなり主食となってしまったことは人類の原罪と言えるくらい不幸な出来事でした。

定住、飢餓対策、文化、文明の発展に農耕と穀物が貢献したことは間違いないですが、
こと、健康面から考慮すると穀物の弊害は大きいです。

人類にとって糖質制限食こそが、人類本来の食事、人類の健康食と言えます。

現代の糖質の頻回・過剰摂取と血糖値の上昇、
インスリンの頻回・過剰の分泌が様々な生活習慣病の元凶と考えられます。


そもそも必須脂肪酸、必須アミノ酸は存在しますが、必須糖質は存在しません。
食事から、糖質を摂取しなくても肝臓で、
アミノ酸、乳酸、グリセロールなどからブドウ糖を作ります。

脂質、タンパク質の摂取比率は、糖質を制限する分、相対的に増加しますが、
ニューイングランドジャーナルの信頼度の高いコホート研究で
冠動脈疾患のリスクが増加しないことが報告されています。
一方、同研究で、炭水化物摂取量が多いと冠動脈疾患のリスク増加が報告されています。
・1980年、米国の女性看護師82,802人に食事調査を行い、研究を開始 。
・質問票を使った食事調査を、1980年から1998年までのあいだに、
 2-6年間隔で6回実施。
・低炭水化物食「得点」が上位10%のグループの冠動脈疾患の発生率は
 下位10%のグループの0.94倍で有意差なし。
 2000年の時点で10グループを解析。
 炭水化物摂取比率36.8±6.1%グループと58.8±7.0%のグループの比較。
・即ち20年間の追跡で、脂肪と蛋白質が多く
 炭水化物が少ない食事をしているグループでも、心臓病のリスクは上昇しなかった。
・一方、総炭水化物摂取量は冠動脈疾患リスクの中等度増加に関連していた。
 高GLは冠動脈疾患リスク増加と強く関連していた。
Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk o
f coronary heart disease in women.New England Journal of Med
icine 2006;355:1991-2002.


そして、糖質制限食では、穀物や芋などデンプンを摂取しませんが、
葉野菜、海藻、茸など食物繊維をたっぷり摂取します。
また、肉類、魚介類、卵、大豆製品など豊富な食品を摂取するので、
ビタミン、ミネラルが不足することもありません。
コレステロール値を含め、現在まで動脈硬化のリスク要因とされて
いる検査データは、全て基準値内となります。

以下は、スーパー糖質制限食を16年間年実践している2型糖尿人の
江部康二の検査データです。
総コレステロール値は、現在ガイドラインからはずれているので、無視できます。
総コレステロール値とケトン体以外は、全て基準値内です。
スーパー糖質制限食でケトン体高値は生理的で望ましいものです。
HDLコレステロールが多いのも好ましいことです。

<2018年12月の江部康二の検査データ>
空腹時血糖値:104mg/dl(110未満)
IRI:3.6U/ml(3-15) 比較的少なめのンスリンで、血糖値が正常なので好ましい。
HbA1c:5.7% (6.2%未満)
GA:13.3%(11.6~16.0)
総ケトン体:1590μM/L(26-122)  糖質制限食中は生理的高値でOK。
アセト酢酸:117.0μM/L(13~69)
βヒドロキシ酪酸:1470.0μM/L(76以下)
尿中ケトン体:陰性  心筋・骨格筋でケトン体をよく利用し腎再吸収増加で陰性。
尿酸:4.0mg/dl(3.4-7.0)
総コレステロール:235mg/dl
TG:49mg/dl(50-149)
HDL-C:88mg/dl(40-98)
LDL-C:127mg/dl(140未満) 標準の大きさの善玉のLDLコレステロールでOK。
   *小粒子LDLコレステロールという悪玉は皆無。
クレアチニン:0.68mg/dl(0.6-1.1)  eGFR:87.8/min./1.73m2(60以上はOK)
シスタチンC:0.75mg/L(0.58~0.87) eGFR:97.7/min./1.73m2
尿中微量アルブミン:4.7(30未満)


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コメント
江部先生は糖質を摂っても元気で平均寿命以上を生きている方についてはどうお考えでしょうか?
ある調べによると100歳以上のセンテナリアンはおやつを毎日食べる習慣があるらしいです。
センテナリアンで糖質制限をしている人は皆無なのではないでしょうか?


2019/01/25(Fri) 01:31 | URL | マーキー | 【編集
塩について
江部先生

こんにちは。はじめて書き込みさせて頂きます
僕はかれこれ10年程、糖質制限している37歳の男です。
先生の記事にはいつも、情報をいただき、勇気づけられています。
1/8の記事で「塩分不足で身体がだるかったり、集中力が低下することがある」とありました
最近はあまりないですが、
たまに体がだるかったり、
頭がぼんやりする事がありました。
僕はほとんど自炊しますが
パートナーが言うには、味付けがかなり薄口なんだと思います。
記事をみて、たまに体がだるいのは
その為かな?と思い、最近は少ししっかり目に味をつけています(それでも、パートナーは普通だと言っていますが)
そこで質問なんですが、
塩が減るとそのような状態になる場合がある、原因はなんでしょうか?
あと、人間の歴史的に肉食?がメインだったと思いますが、
塩についてはどうでしょうか?
少しgoogleで調べたら内臓や骨髄には塩分があったようですね
人間は知識がなくても塩を必要としていたようですね
お時間がある時にでもお返事頂けたら嬉しいです
今後とも応援?しています!
2019/01/25(Fri) 09:53 | URL | ゆうすけ | 【編集
Re: タイトルなし
マーキー さん

糖質を摂取してのセンテナリアンについては、遺伝的に寿命が長い方々がおられるようです。

一方、日本で、糖質制限食を開始したのは、
1999年の高雄病院が最初です。

従って、まだまだ糖質制限食の歴史は浅いので、
糖質制限食で健康長寿が達成できるか否かは、まだまだエビデンスはありません。

ただ、京大医学部の大先輩、日野原重明先生は、100歳時の食事をみると
糖質制限食でした。
その後もお元気でしたが105歳で逝去されました。
2019/01/25(Fri) 17:13 | URL | ドクター江部 | 【編集
血液検査、脂質の高値低値について
江部先生、
こんにちは。

3年ほど糖質制限しているのですが、
脂質関係の数値が基準値を割ったり超えたりするようになりました。

今年の検査では
中性脂肪37、
LDLコレステロール49
HDLコレステロール104
でした。

何か対策をした方が良いでしょうか?

大体スーパー糖質制限で過ごしていますが、週一くらい外食では主食や糖質の多い野菜のみ抜き、調味料や揚げ物の衣は食べちゃっています。

2019/01/29(Tue) 00:54 | URL | エッグマン | 【編集
Re: 血液検査、脂質の高値低値について
エッグマン さん

中性脂肪37、
LDLコレステロール49
HDLコレステロール104


中性脂肪が60以下で、
HDLコレステロールが60以上あり、
良いデータと思います。

コレステロールに関して、より詳しくは
2018年10月30日 (火)の本ブログ記事
『LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪。善玉。悪玉。』
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4722.html

をご参照頂けば幸いです。

2019/01/29(Tue) 15:47 | URL | ドクター江部 | 【編集
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