2019年01月23日 (水)
【19/01/22 ヨウ
糖質が中性脂肪になるまで
こんばんわ。
いつも楽しく閲覧させて頂いております。
糖質制限、私も行っており、かなり体調がいいです!
さて、1点ご教示頂きたい点があり、コメントをさせて頂きました。
・質問
体内で余った糖質が中性脂肪になるまでの詳しい流れをご教示頂けますか?
本記事のインスリン部分にて、下記の記載がありました。
どうやって取り込んでいるのかが気になり、色々なサイトで調べましたが、
しっくりくるものがありませんでした。。
----
◇インスリンは筋肉細胞に血糖を取り込ませるが、
余剰の血糖は脂肪細胞に取り込ませて中性脂肪として蓄える。
----
ただ、あるブログでは下記の記載がありましたが、本当かどうか知りたく・・・
----
インスリンは今度、余った血中のブドウ糖をグリセロールに変化させるよう促します。
そうすることで、血中に余っている脂肪酸とくっつき中性脂肪にします。
---
余談ではありますが、来月2月の青山教室に参加させて頂きます。
とても楽しみにしております!
以上となります。
お忙しいかと思いますが、何卒宜しくお願い致します。】
こんにちは。
ヨウさんから、
体内でブドウ糖が中性脂肪に合成される過程について
コメント・質問を頂きました。
糖質制限で体調良好、良かったです。
NHKカルチャー 青山教室講座へのご参加、ありがとうございます。
A)
『インスリンは今度、余った血中のブドウ糖をグリセロールに変化させるよう促します。
そうすることで、血中に余っている脂肪酸とくっつき中性脂肪にします。』
これは正確ではありません。
正確には、まずインスリンが血中のブドウ糖を脂肪細胞内に取り込ませませます。
脂肪細胞内で
ブドウ糖→ジヒドロキシアセトンリン酸→グリセロール3-リン酸
と変化します。
脂肪細胞内で、グリセロールと脂肪酸から中性脂肪が合成されます。
B)
ブドウ糖(血糖)は体内で、
細胞のエネルギー源になる、
肝臓や筋肉でグリコーゲンとして蓄積される、
脂肪細胞に中性脂肪として蓄積される、
アミノ酸に変換される、
のいずれかの経過をとります。
C)
ブドウ糖が、細胞膜を通過するためには、特別な膜輸送タンパク質が必要です。
それが糖輸送体(GLUT)であり、現在GLUT1~GLUT14まで確認されています。
GLUT1は赤血球・脳・網膜などの糖輸送体で常に細胞の表面にあり、
血流さえあれば即血糖を取り込めます。
これに対して筋肉細胞と脂肪細胞に特異的なのがGLUT4で、
基礎分泌のインスリンレベルだと、通常は細胞内部に沈んでいます。
GLUT1~GLUT14の中で、インスリンに依存しているのはGLUT4だけで特殊です。
筋肉細胞と脂肪細胞にあるGLUT-4は、
インスリン追加分泌がないと細胞内に沈んでいるのでブドウ糖を取り込めません。
インスリンが追加分泌されるとGLUT-4は細胞表面に移動して血糖を取り込むのです。
なお、筋肉収縮時にもGLUT-4は細胞表面に移動して血糖を取り込みます。
D)
脂肪細胞にはグリセロールキナーゼが存在しないので、
分解で生じたグリセロールを中性脂肪合成のために再利用することはできません。
このため脂肪組織においては、
取り込まれたブドウ糖から解糖経路で生じたジヒドロキシアセトンリン酸を、
グリセロール3-リン酸に変換して、中性脂肪合成に利用します。
脂肪細胞では、『脂肪酸』と『血糖(ブドウ糖)由来のグリセロール』から、
中性脂肪が合成されます。
血中のグリセロールは脂肪細胞に入ることができないため、
肝臓まで運ばれて「糖新生」でつくるブドウ糖の原料となります。
E)
①血糖上昇→インスリン分泌→筋肉細胞のGLUT-4が細胞表面に移動して取り込み
②血糖上昇→インスリン分泌→脂肪細胞のGLUT-4が細胞表面に移動して取り込み
血糖が上昇すれば、①②のプロセスが稼働して、血糖を取り込みます。
筋肉が取り込むほうが、割合はかなり多いですが、
結果として余った血糖は全て脂肪細胞に取り込まれ、
D)の過程を経て、中性脂肪に合成されます。
江部康二
糖質が中性脂肪になるまで
こんばんわ。
いつも楽しく閲覧させて頂いております。
糖質制限、私も行っており、かなり体調がいいです!
さて、1点ご教示頂きたい点があり、コメントをさせて頂きました。
・質問
体内で余った糖質が中性脂肪になるまでの詳しい流れをご教示頂けますか?
本記事のインスリン部分にて、下記の記載がありました。
どうやって取り込んでいるのかが気になり、色々なサイトで調べましたが、
しっくりくるものがありませんでした。。
----
◇インスリンは筋肉細胞に血糖を取り込ませるが、
余剰の血糖は脂肪細胞に取り込ませて中性脂肪として蓄える。
----
ただ、あるブログでは下記の記載がありましたが、本当かどうか知りたく・・・
----
インスリンは今度、余った血中のブドウ糖をグリセロールに変化させるよう促します。
そうすることで、血中に余っている脂肪酸とくっつき中性脂肪にします。
---
余談ではありますが、来月2月の青山教室に参加させて頂きます。
とても楽しみにしております!
以上となります。
お忙しいかと思いますが、何卒宜しくお願い致します。】
こんにちは。
ヨウさんから、
体内でブドウ糖が中性脂肪に合成される過程について
コメント・質問を頂きました。
糖質制限で体調良好、良かったです。
NHKカルチャー 青山教室講座へのご参加、ありがとうございます。
A)
『インスリンは今度、余った血中のブドウ糖をグリセロールに変化させるよう促します。
そうすることで、血中に余っている脂肪酸とくっつき中性脂肪にします。』
これは正確ではありません。
正確には、まずインスリンが血中のブドウ糖を脂肪細胞内に取り込ませませます。
脂肪細胞内で
ブドウ糖→ジヒドロキシアセトンリン酸→グリセロール3-リン酸
と変化します。
脂肪細胞内で、グリセロールと脂肪酸から中性脂肪が合成されます。
B)
ブドウ糖(血糖)は体内で、
細胞のエネルギー源になる、
肝臓や筋肉でグリコーゲンとして蓄積される、
脂肪細胞に中性脂肪として蓄積される、
アミノ酸に変換される、
のいずれかの経過をとります。
C)
ブドウ糖が、細胞膜を通過するためには、特別な膜輸送タンパク質が必要です。
それが糖輸送体(GLUT)であり、現在GLUT1~GLUT14まで確認されています。
GLUT1は赤血球・脳・網膜などの糖輸送体で常に細胞の表面にあり、
血流さえあれば即血糖を取り込めます。
これに対して筋肉細胞と脂肪細胞に特異的なのがGLUT4で、
基礎分泌のインスリンレベルだと、通常は細胞内部に沈んでいます。
GLUT1~GLUT14の中で、インスリンに依存しているのはGLUT4だけで特殊です。
筋肉細胞と脂肪細胞にあるGLUT-4は、
インスリン追加分泌がないと細胞内に沈んでいるのでブドウ糖を取り込めません。
インスリンが追加分泌されるとGLUT-4は細胞表面に移動して血糖を取り込むのです。
なお、筋肉収縮時にもGLUT-4は細胞表面に移動して血糖を取り込みます。
D)
脂肪細胞にはグリセロールキナーゼが存在しないので、
分解で生じたグリセロールを中性脂肪合成のために再利用することはできません。
このため脂肪組織においては、
取り込まれたブドウ糖から解糖経路で生じたジヒドロキシアセトンリン酸を、
グリセロール3-リン酸に変換して、中性脂肪合成に利用します。
脂肪細胞では、『脂肪酸』と『血糖(ブドウ糖)由来のグリセロール』から、
中性脂肪が合成されます。
血中のグリセロールは脂肪細胞に入ることができないため、
肝臓まで運ばれて「糖新生」でつくるブドウ糖の原料となります。
E)
①血糖上昇→インスリン分泌→筋肉細胞のGLUT-4が細胞表面に移動して取り込み
②血糖上昇→インスリン分泌→脂肪細胞のGLUT-4が細胞表面に移動して取り込み
血糖が上昇すれば、①②のプロセスが稼働して、血糖を取り込みます。
筋肉が取り込むほうが、割合はかなり多いですが、
結果として余った血糖は全て脂肪細胞に取り込まれ、
D)の過程を経て、中性脂肪に合成されます。
江部康二
取り上げて頂き、ありがとうございます!
そういう流れなんですね!理解しました!
本当にありがとうございます!!
一点だけ気になる点をご教示頂ければと思います。
・質問
A)の末文での「脂肪細胞内で、グリセロールと
脂肪酸から中性脂肪が合成されます。」ですが、
脂肪酸は体内に溢れているのでしょうか?
そもそも脂肪酸を理解していないかもしれませんが・・・
脂肪酸が溢れてないと、脂肪細胞内でブドウ糖由来の
グリセロール3-リン酸と結びつかいないと思っております。
中性脂肪が、グリセリン1の脂肪酸3で結合したものと認識しております。
すいません、無知な質問で・・・・
以上となります。
何卒宜しくお願い致します。
そういう流れなんですね!理解しました!
本当にありがとうございます!!
一点だけ気になる点をご教示頂ければと思います。
・質問
A)の末文での「脂肪細胞内で、グリセロールと
脂肪酸から中性脂肪が合成されます。」ですが、
脂肪酸は体内に溢れているのでしょうか?
そもそも脂肪酸を理解していないかもしれませんが・・・
脂肪酸が溢れてないと、脂肪細胞内でブドウ糖由来の
グリセロール3-リン酸と結びつかいないと思っております。
中性脂肪が、グリセリン1の脂肪酸3で結合したものと認識しております。
すいません、無知な質問で・・・・
以上となります。
何卒宜しくお願い致します。
2019/01/24(Thu) 11:42 | URL | ヨウ | 【編集】
ヨウ さん
脂肪酸にはいろんな種類があります。
体内には、いろんな脂肪酸が存在しています。
以下のサイトをご参照頂けば幸いです。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_kihon/fatty_acid.html
農林水産省
脂肪酸にはいろんな種類があります。
体内には、いろんな脂肪酸が存在しています。
以下のサイトをご参照頂けば幸いです。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_kihon/fatty_acid.html
農林水産省
2019/01/24(Thu) 19:21 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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