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低血糖について②
おはようございます。

今日は、祇園祭りの宵々山です。毎年祇園祭りの時期、いやはや暑いです。

今年は、急に本格的に暑くなりました。「糖質制限食講演会in大阪」会場は、クーラーがよくきいていたのですが、行き帰りの「背広にネクタイ」は、難行苦行でした(*_*)

私は、講演のときだけ背広にネクタイですが、サラリーマン諸兄の日頃のご苦労、ご察し申し上げます。

さて今回は、昨日に続き、低血糖のお話しです。

下記は、ある20代の糖尿病患者さんの、血糖値の日内変動です。

カロリー制限の従来の糖尿病食、1400キロカロリーで糖質たっぷり食です。

7:30  :88mg/dl 朝食前血糖値
8:00   朝食
10:00 :321mg  朝食後2時間血糖値
11:30 :212mg  昼食前血糖値
12:00  昼食
14:00 :178mg  昼食後2時間血糖値
17:30 :88mg  夕食前血糖値
18:00  夕食
20:00 :261mg  夕食後2時間血糖値
22:00 :222mg  眠前血糖値

この方は、薬は一切飲んでおられません。

このデータで興味深いのは、朝食後2時間血糖値は、321mgとすごいグルコーススパイクを生じているのに、昼食後2時間血糖値は178mgで、昼食前血糖値よりかえって下がっていることです。

通常のカロリー制限の糖尿病食ですから、普通に主食(糖質)を食べてのデータです。

なぜこのような、一間不思議な検査値になるのでしょう?

朝食摂取後、まずすぐにインスリン追加分泌の第一相がでます。その後、追加分泌の第二相がでます。

2型糖尿病患者さんでは、第一相の低下・欠落、第二相の低下・遷延などがみられます。

朝食後2時間値が321mgなので、第二相は低下していますね。

朝食後3時間半の11:30に、212mgなので、遷延して第二相のインスリンが出続けています。

12:00に昼食を摂取したとき、もう一回、インスリン追加分泌第一相がでて、その後、第二相が追加分泌されます。

このとき、遷延していた朝食後の追加分泌第二相のインスリンに重なる形で、昼食分のインスリンが分泌されたと考えられます。

そのため、昼食後2時間の血糖値が178mgと、昼食前の212mgより低下するという、逆転現象が起こったのでしょう。

さらに、お昼分のインスリンが、遷延して出続けているので、5時間半後の17:30には、88mgまで下がっています。

遷延した追加分泌のインスリンは、約5~6時間続くようです。

夕食後は、昼食のインスリンの影響は切れているので、通常のパターン戻っています。

遷延した追加分泌のインスリンは、約5~6時間続くのが糖尿人の特徴で、正常人では、血糖値が下がったら、すぐ分泌は止まるので1~2時間です。

この方は、入院前は、夕方5時頃からエアロビクスなどしたら、よく低血糖になっていたそうです。

遷延したインスリン追加分泌に加えて、運動により血糖が筋肉に取り込まれ、低血糖になっていたのでしょう。

糖質制限食に切り替えてからは、運動をしても、低血糖発作を起こすことはなくなりました。

糖質制限食だとインスリン分泌の量が減るので、低血糖も起こりにくくなります。

また、運動前の間食には、ナッツ類がよいと思います。ナッツ類なら、少量の糖質と適量のタンパク質が含まれているので、高血糖も生じにくいし、タンパク質分長持ちするので低血糖にもなりにくいです。

インスリン注射もせず、薬も一切飲んでないのに低血糖を起こす糖尿人は、本ブログの患者さんと、同様のパターンが多いと思います。

このような方は、糖質制限食とナッツ類の捕食で、低血糖発作が防げると思います(^_^)

江部康二
コメント
低血糖症にも糖質制限食が良い・・・
大変参考になりました。
ありがとうございました(*- -)(*_ _)ペコリ
2008/07/15(Tue) 12:35 | URL | ラオ子 | 【編集
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