2019年01月09日 (水)
こんばんは。
今回は酸化ストレスのお話しです。
人体は、酸化反応と抗酸化反応のバランスがとれていると、正常に機能します。
酸化反応が抗酸化反応を上まわった状態を酸化ストレスといいます。
細胞内のミトコンドリア(*)の活動で日常的に活性酸素が発生しますが、
生体の抗酸化反応で処理しています。
スーパーーパーオキシドディスムターゼ (Superoxide dismutase, SOD) は、
細胞内に発生した活性酸素を分解する酵素です。
生体内のビタミンC、ビタミンE、グルタチオンなども抗酸化作用を有しています。
ヒトにおいて、最も一般的な酸化ストレスの発生源は高血糖と高インスリン血症です。
『高血糖→活性酸素発生→酸化ストレス』
『高血糖→糖化蛋白生成亢進→種々の酵素と反応して活性酸素発生→酸化ストレス』
『高インスリン血症→活性酸素発生→酸化ストレス』
高血糖は、糖化蛋白(**)の生成を亢進させます。
糖化蛋白は、様々な酵素と反応して、活性酸素を生成します。
活性酸素は生体の酸化反応の大本です。
結局、高血糖と高インスリン血症が活性酸素を発生させて、
酸化ストレスの元凶となっているわけです。
糖尿人が糖質を摂取すれば、高血糖を生じます。
正常人が糖質を摂取すれば、高インスリン血症を生じます。
酸化ストレスが、糖尿病合併症・動脈硬化・老化・癌・アルツハイマー・パーキンソン等、
様々な疾病の元凶とされています。
コントロールの悪い糖尿病は、『早老病』であり、平均寿命もかなり短いです。
血糖値に関しては食後高血糖と平均血糖変動幅増大が
最大の酸化ストレスリスクとされています。
これは世界中の医学界において、認められています。
糖質・脂質・蛋白質のうち、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を引き起こすのは、
糖質だけです。
従って、日本糖尿病学会推奨のカロリー制限食(高糖質食)を、
つらいのに一生懸命我慢して頑張っても
食後高血糖と平均血糖変動幅増大を予防することは、理論的に不可能なのです。
糖尿病の食事療法において、
食後高血糖と平均血糖変動幅増大と酸化ストレスを予防できるのは糖質制限食だけです。
日本糖尿病学会は、「食事療法」と「食後高血糖と平均血糖変動幅増大の予防」について、
学会として指針を示すべきだと思います。
そして、そろそろガイドラインにおいて
『糖質制限食』をきっちり取り上げるべきだと思います。
米国糖尿病学会は2013年10月に発表した
『成人糖尿病患者の食事療法に関する声明』において
糖質制限食を、地中海食・ベジタリアン食・高血圧食・脂質制限食と共に
正式に容認しています。
すなわち、糖尿病の治療食として、
既に国際的に容認されている『糖質制限食』に対して
日本糖尿病学会は、きっちりと見解を示す必要があると思います。
江部康二
(*)ミトコンドリア
ミトコンドリアは細胞の中にあるエネルギー生産装置です。
酸素の存在下において、ミトコンドリアの中でTCA回路(クエン酸回路)が作動して、
エネルギーを作って、それにより身体は活動しています。
ミトコンドリアの活動の過程で出る「廃棄物」が活性酸素です。
(**)糖化蛋白
糖化反応(とうかはんのう)とは、グルコースなどの糖が、
直接タンパク質または脂質に結合する反応の事です。
糖尿病の検査指標のHbA1cは、糖化したヘモグロビンのことです。
糖化反応の初期段階のアマドリ化合物としては、
HbA1cやグリコアルブミンなどが代表的な物質です。
糖化反応系はアマドリ化合物生成までの反応を初期段階と呼び、
以降の後期段階反応と区別しています。
最近AGEs(advanced glycation endprpducts:終末糖化産物)が注目されています。
AGEsは血管内皮を障害して動脈硬化の元となり、活性酸素も発生させます。
今回は酸化ストレスのお話しです。
人体は、酸化反応と抗酸化反応のバランスがとれていると、正常に機能します。
酸化反応が抗酸化反応を上まわった状態を酸化ストレスといいます。
細胞内のミトコンドリア(*)の活動で日常的に活性酸素が発生しますが、
生体の抗酸化反応で処理しています。
スーパーーパーオキシドディスムターゼ (Superoxide dismutase, SOD) は、
細胞内に発生した活性酸素を分解する酵素です。
生体内のビタミンC、ビタミンE、グルタチオンなども抗酸化作用を有しています。
ヒトにおいて、最も一般的な酸化ストレスの発生源は高血糖と高インスリン血症です。
『高血糖→活性酸素発生→酸化ストレス』
『高血糖→糖化蛋白生成亢進→種々の酵素と反応して活性酸素発生→酸化ストレス』
『高インスリン血症→活性酸素発生→酸化ストレス』
高血糖は、糖化蛋白(**)の生成を亢進させます。
糖化蛋白は、様々な酵素と反応して、活性酸素を生成します。
活性酸素は生体の酸化反応の大本です。
結局、高血糖と高インスリン血症が活性酸素を発生させて、
酸化ストレスの元凶となっているわけです。
糖尿人が糖質を摂取すれば、高血糖を生じます。
正常人が糖質を摂取すれば、高インスリン血症を生じます。
酸化ストレスが、糖尿病合併症・動脈硬化・老化・癌・アルツハイマー・パーキンソン等、
様々な疾病の元凶とされています。
コントロールの悪い糖尿病は、『早老病』であり、平均寿命もかなり短いです。
血糖値に関しては食後高血糖と平均血糖変動幅増大が
最大の酸化ストレスリスクとされています。
これは世界中の医学界において、認められています。
糖質・脂質・蛋白質のうち、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を引き起こすのは、
糖質だけです。
従って、日本糖尿病学会推奨のカロリー制限食(高糖質食)を、
つらいのに一生懸命我慢して頑張っても
食後高血糖と平均血糖変動幅増大を予防することは、理論的に不可能なのです。
糖尿病の食事療法において、
食後高血糖と平均血糖変動幅増大と酸化ストレスを予防できるのは糖質制限食だけです。
日本糖尿病学会は、「食事療法」と「食後高血糖と平均血糖変動幅増大の予防」について、
学会として指針を示すべきだと思います。
そして、そろそろガイドラインにおいて
『糖質制限食』をきっちり取り上げるべきだと思います。
米国糖尿病学会は2013年10月に発表した
『成人糖尿病患者の食事療法に関する声明』において
糖質制限食を、地中海食・ベジタリアン食・高血圧食・脂質制限食と共に
正式に容認しています。
すなわち、糖尿病の治療食として、
既に国際的に容認されている『糖質制限食』に対して
日本糖尿病学会は、きっちりと見解を示す必要があると思います。
江部康二
(*)ミトコンドリア
ミトコンドリアは細胞の中にあるエネルギー生産装置です。
酸素の存在下において、ミトコンドリアの中でTCA回路(クエン酸回路)が作動して、
エネルギーを作って、それにより身体は活動しています。
ミトコンドリアの活動の過程で出る「廃棄物」が活性酸素です。
(**)糖化蛋白
糖化反応(とうかはんのう)とは、グルコースなどの糖が、
直接タンパク質または脂質に結合する反応の事です。
糖尿病の検査指標のHbA1cは、糖化したヘモグロビンのことです。
糖化反応の初期段階のアマドリ化合物としては、
HbA1cやグリコアルブミンなどが代表的な物質です。
糖化反応系はアマドリ化合物生成までの反応を初期段階と呼び、
以降の後期段階反応と区別しています。
最近AGEs(advanced glycation endprpducts:終末糖化産物)が注目されています。
AGEsは血管内皮を障害して動脈硬化の元となり、活性酸素も発生させます。
糖質制限を4年続けている者です。(女性)糖尿病等、他に病気はないです。現在、身長160cm体重40kg。
食後ではない空腹時に眠くなる事がよくあります。食事は朝食のみで糖質は150g位摂取しています。これは低血糖の症状なのでしょうか?
食後ではない空腹時に眠くなる事がよくあります。食事は朝食のみで糖質は150g位摂取しています。これは低血糖の症状なのでしょうか?
2019/01/10(Thu) 07:10 | URL | ミルキイ | 【編集】
ミルキイ さん
『食事は朝食のみで糖質は150g位摂取』
①
糖質制限食は、一日の糖質摂取量が130g以下ということが基準ですので
150gなら、糖質制限食とは言えません。
②
スーパー糖質制限食なら、1回の食事の糖質量は、20g以下です。
『食後ではない空腹時に眠くなる事がよくあります』
こちらは、機能性低血糖の可能性があります。
あるいは低カロリー過ぎる可能性もあります。
『食事は朝食のみで糖質は150g位摂取』
①
糖質制限食は、一日の糖質摂取量が130g以下ということが基準ですので
150gなら、糖質制限食とは言えません。
②
スーパー糖質制限食なら、1回の食事の糖質量は、20g以下です。
『食後ではない空腹時に眠くなる事がよくあります』
こちらは、機能性低血糖の可能性があります。
あるいは低カロリー過ぎる可能性もあります。
2019/01/11(Fri) 15:47 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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