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糖質制限食とこむら返りについての考察。
【18/12/12 プーさん
こむら返り
大変お世話になっております。
糖質制限開始時における就寝中のこむら返りについて、
自身も開始時に経験があるため考えてみました。
栄養的に問題があるとすれば、
水分や一部のミネラル・ビタミン不足が原因となるのでしょうが、
糖質制限開始時にいきなり栄養的な問題がおこったりするのだろうかと疑問に思います。

こむら返りは、就寝中以外にも激しい運動時に発生し、
激しい運動時はふくらはぎへの過度の負荷がかかっているために
発生しているものと理解しております。
(よくサッカー選手が試合中に足をつっているのを見かけます。)
就寝中のこむら返りが糖質制限の開始時に集中しているということであれば、
ひょっとするとですが、糖質制限というよりも、
ダイエットの効果を高めたいがために
同時に開始(又は負荷を増やした)した運動(特にランニング等はふくらはぎに過度の負担となる)が
引き起こしているのかもしれません。
一部のパーソナルジムでは、ダイエット目的での運動と糖質制限(もどき)をやっていて、
これが世の中的にかなり浸透してきていることも背景にあるようです。

就寝中も同様にふくらはぎに負荷がかかっているとすると、
単純に布団の重みなどで足先が伸びており、就寝前の運動に加えて、
ふくらはぎが夜間でも長時間緊張状態にあるのが直接的に引き起こしているのでは、
と考えます。
その他の物理的要因としては、就寝中の足先の冷えもあるかもしれません。
いずれにしても、就寝中の物理的要因は糖質制限前後で基本的に変化がないはずですので、
案外、運動が原因ではないか、という考察でした。】



こんばんは。
プーさんから、こむら返りに関するコメントを頂きました。
参考になります。ありがとうございます。

私も糖質制限食とこむら返りについて考えて見ようと思います。
腓(こむら)というのは「ふくらはぎ」のことです。
こむら返りというのはふくらはぎに生じる筋肉の痙攣(けいれん)のことで、
かなりの痛みを伴います。
頻度が多いのがふくらはぎの筋肉の痙攣なのですが、
基本的にはどこの筋肉にも起こりえます。

こむら返りの発生メカニズムについては、いろんな仮説がありますが、
明確にはわかっていないようです。
判っていることとしては、大ざっぱに言えば、
筋肉の収縮においてはカルシウムが重要な役割を果たしていて、
マグネシウムは筋肉を弛緩させる役割であるということです。

カルシウムやマグネシウム、ナトリウムやカリウムなどが、
ほどよく協力して、筋肉の収縮の調整をしてくれているのだと思います。
そして、冷えや運動や脱水があって、
相対的に血流が不足するとこむら返りを起こしやすいことも判っています。

私自身は糖質制限食開始後、全くこむら返りを起こしませんでした。
また当初、糖質制限食実践中の患者さんにおいても、
こむら返りの訴えはあまりなかったので気にしていませんでした。
しかし、その後、糖質制限食実践中に、こむら返りが生じる人がたまにおられることが、
ブログのコメントなどで判明しました。
また、高雄病院や江部診療所の糖質制限食実践中の患者さんでも、
その後まれではありますが、糖質制限後こむら返りを生じる方がおられました。

確かに野菜・海藻も摂らない極端な糖質制限食だと、カルシウムなどミネラル不足などで、
こむらがえりを起こすことがあるようですね。
一般にカルシウムやマグネシウムが不足すると、
こむら返りを起こしやすいとされています。

これらミネラルの補給ですが、カルシウムは、乳製品・小魚・大豆製品・海藻・緑黄色野菜などに多く含まれています。
マグネシウムは、大豆製品・魚介類・海藻・ナッツ類に多く含まれています。
従って、通常は糖質制限食OK食品に多く含まれているので、
こむら返りも起こらないのだと思います。

一方、糖質制限食に関係なく、
スポーツの最中や後にこむら返りを起こすことはよくありますよね。
実際、私の所属するテニスクラブのメンバーでも、
よくこむら返りを起こすタイプがおられます。

幸い私は、スポーツ中やその後も起こしたことがありません。
激しいスポーツをして汗をかくと、
汗とともに多量のミネラルが体の外に排出されてしまいます。
ですから、カルシウム・マグネシウムなどミネラルをちゃんと補給してやらないと、
筋肉が痙攣したり足が攣ったりします。

糖質制限食の場合、相対的に高脂質・タンパク食となります。
また、葉野菜や海藻や茸を摂取するので食物繊維も豊富です。
自ら1型糖尿人でスーパー糖質制限食実践中のバーンスタイン医師によれば、
野菜に多い食物繊維は、食事中のカルシウムと結合してカルシウム吸収をさまたげ、
タンパク質中のリン化合物もカルシウムとわずかに結合するそうです。

バーンスタイン医師は、
「糖質制限食実践中で、チーズ・ヨーグルト・クリームを摂らない人たち、特に閉経後の女性」
には、カルシウム補充を奨めています。

つまり、糖質制限食実践中のほとんどの人でサプリは必要ないと思いますが、
上記のバーンスタイン医師の条件に当てはまる人やこむら返りをよく起こす人、
また結構スポーツをする人は、安価なカルシウム・マグネシウム剤、
或いは安価なマルチビタミン剤を補充して、こむら返りを予防するのもよいと思います。

スポーツを全くしない人でも糖質制限食実践中にこむら返りを起こすことがあります。
この場合もカルシウム・マグネシウム剤、マルチビタミン剤でほとんど良くなります。
なお、漢方薬の芍薬甘草湯(68番)もこむら返りに有効です。
2週間以上、芍薬甘草湯を内服すると、時に血中カリウムが低下することがあるので、
連用している人は注意してくださいね。

今回の記事は、
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-348.html
たがしゅうブログ こむら返り熟考を参考にしました。
たがしゅう先生ありがとうございます。


江部康二


追加

カルニチンが不足するとこむら返りが生じることがあります。
食材におけるL-カルニチンは肉類と乳製品に多いです。
エルカルチンFFという内服薬もあり保健収載ですが、高価です。
コメント
お礼
先生
取り上げていただきありがとうございます。
糖質制限に関してはまだ分かっていないことも多いかと思います。
全くお力になれないとは思いますが糖質制限理論の完成にごくわすがでも寄与できればと幸いと考えております。
先生の益々の御活躍を祈念しております 
今後もよろしくお願いいたします。
2018/12/13(Thu) 23:59 | URL | プーさん | 【編集
こむらがえり
 毎日ブログで勉強させていただいてます。ありがとうございます。広島市の伊藤内科伊藤欣朗です。こむらがえりの記事でしたので、投稿いたしました。私自身の経験です。糖質制限を始めて1年か2年してから、夜中にこむらがえりが頻発するようになりました。かなり持続時間も長く、痛かったです。(野菜摂取量が少なかったかもしれません。ナッツを開始当初はよく食べていたので、しばらくは無かったかもしれません。)マグネシウムを取るようにしてから、全くでなくなりました。ささやかなご報告させていただきました。 
2018/12/14(Fri) 10:45 | URL | 伊藤 欣朗 | 【編集
こむら返り
私たち夫婦(67歳。8年前からスーパー糖質制限実践者)も、頻発するこむら返りに悩まされていました。カリウムとマグネシウムを寝る前に摂るといくらかましになりましたが、起きるときは起きる、といった感じでした。糖質制限する以前はこむら返りなど一度も起きたことありませんでした。
夫婦で同じ現象なので、原因を突き止めようと調べたり、実験してみましたが、結局謎のままです。野菜中心の食事で、魚は1日おきか毎日、肉はたまに食べます。毎日最低40分は歩き、筋トレは週に二回実行しています。
経験では、寝る前にお風呂でふくらはぎをよくマッサージしたり、フリースやウールの長いソックスをはいて寝ると、こむら返りが起きない傾向にあります。お試しになってみてください。
2018/12/14(Fri) 17:33 | URL | 小野 | 【編集
Re: こむらがえり
伊藤 欣朗 先生

貴重な体験報告をありがとうございます。
2018/12/14(Fri) 18:09 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: こむら返り
小野 さん

カルニチンが不足するとこむら返りが生じることがあります。
食材におけるL-カルニチンは肉類と乳製品に多いです。

肉:魚=1:1

くらいが、良いと思います。
2018/12/14(Fri) 18:14 | URL | ドクター江部 | 【編集
こむら返り
江部先生、ご回答ありがとうございます。早速、家にあったLカルニチンを飲みました! ちなみに、ここドイツでは高品質の物で1瓶(60カプセル)が30ユーロぐらいです。
2018/12/15(Sat) 05:14 | URL | こむら返りとLーカルニチン | 【編集
Re: こむら返り
小野さん

「1瓶(60カプセル)が30ユーロ」

日本の円ですと、30ユーロは、3847円です。

1カプセルの力価がどのくらいかにもよりますが
エルカルチンFFよりは、安価のように思えます。
2018/12/15(Sat) 08:20 | URL | ドクター江部 | 【編集
こむら返り
はじめて投稿いたします。

糖質制限でダイエットに成功し、次のチャレンジでロードバイク競技において解糖系に頼らずハイパフォーマンスを得られるよう試行錯誤中です。

いま、[こむら返り対策]について勉強しており、こちらの投稿内容が気になり投稿させて頂きます。

11月のツールドおきなわ100kmに出場し、25km付近でハムストリングの痙攣が発生したため、ペースを落とさざるを得なくなりました。
春先からずっと糖質制限状態を継続し、練習でも糖質無補給。練習では、痙攣は発生せず、大事な本番で痙攣してしまいました。
水分補給やマグネシウムの補給は十分のつもりでしたが、駄目でした。

最近代謝の仕組みを勉強している中で、[結合水]について知りました。
思い返すとスタート前に運営が配布した[黒糖かりんとう]みたいな甘いお菓子を大量に摂取。スタミナ切れを気にしての判断だったのですが、もしかしてこれが影響したのかなと。

[仮説]
・大量の[糖質]を摂取したことで、筋肉内の[グリコーゲン]に[結合水]が付着した
・これにより筋肉中の[自由水]量が減り
・筋収縮のためのミネラルを行き渡らせる事が出来ず
・水分補給を怠った訳ではないにもかかわらず
・東京より気温が高い事や、既に筋肉疲労も進んでいる状況のため
・いつも発生しない痙攣が発生してしまった

[わからない点]
・グリコーゲンがエネルギー変換されたあとのH2Oは筋肉中に留まるのか排泄されてしまうのか?

みなさんのコメントは、糖質制限による[こむら返り]の可能性についてであり、このような仮説[糖質制限中の糖質摂取もしくは糖新生が原因]に行き着いたのですが、[結合水]の可能性は如何でしょうか?
2018/12/20(Thu) 17:57 | URL | おがわおさむ | 【編集
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