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現行の糖尿病食は合併症製造食。合併症とAGEs。
こんばんは。

2018/12/2(日)
朝日カルチャー新宿教室で、
糖質制限食と糖尿病・生活習慣病
 ~認知症予防のために~

と題して、講演をしてきました。
満員御礼で、ご参加頂いた皆さん、ありがとうございました。

糖質制限食に関する最新の話題なども盛り込んで
75分間講演しました。
15分くらいの質疑応答時間の設定でしたが
質問がとても多くて、
15分くらい延長して、合計30分間となりました。
それでも、まだ数人の方が、手を上げておられたのですが、
帰りの新幹線の時間があるので、打ち切りとなり
申し訳ありませんでした。  m(_ _)m

参加して頂いた中で、質問がまだおありの方は、
本ブログでコメントして頂けば、幸いです。

講演では、特に重要なポイントとして
「現行の糖尿病食は合併症製造食」であることを強調して
警鐘を鳴らしました。

そして、糖尿病合併症とAGEsの関係について、
少しだけ言及しましたが、言い足りなかったので、
本日のブログ記事に掲載しました。



<現行の糖尿病食は合併症製造食>

我々糖尿人は耐糖能が低下していますので、
糖質を摂取すると必ず
「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」を生じます。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」は最大の酸化ストレスリスクであり
糖尿病合併症の元凶とされています。
従って、普通の糖質摂取比率が50~60%の食事というのは
糖尿人にとっては、明確に害悪であり毒と言っても過言ではないと思います。
現行の糖尿病食は、誠に遺憾ながら「合併症製造食」としか言いようがありません。

現実に今の日本では、糖尿病学会も認めるように
糖尿病合併症は全く減少していません。
人工透析が毎年16000人以上、
失明が毎年3000人以上、
足の切断が毎年3000人以上
です。
この事実は、現行の糖尿病治療(カロリー制限・高糖質食+薬物療法)が
決して上手くいっていない動かぬ証拠と言えます
現行の糖尿病治療が上手くいっているなら、
合併症は減り続けているはずです。

<体内で作られるAGEsが糖尿病合併症を引き起こす>
  最近、AGEsが注目されています。
その理由はさまざまな糖尿病合併症の元凶の一つと考えられるようになったからです。
まず、AGEsは酸化ストレスのリスクとなります。
そのプロセスは多様ですが、最も分かりやすいのは、
AGEsが血管の内壁にたまり、動脈硬化を引き起こす例でしょう。
動脈硬化によって障害を受ける血管の部位によって、生じる糖尿病合併症は異なりますが、
いずれも血管病と言って過言ではありません。
血管壁のAGEsは消えない借金であり「高血糖の記憶 」と呼ばれています。
  体内で高血糖により産生されたAGEsが、細小血管合併症に関わることは、以前から指摘されていました。
細小血管合併症とは、糖尿病網膜症や糖尿病腎症です。
さらに近年「高血糖の記憶」という概念で、
米国の大規模臨床研究・DCCTのフォローアップ試験であるEDIC-DCCTの報告、
UKPDSの20年後の解析で、大血管合併症にもAGEsが関わっているという説が有力となっています。
大血管合併症とは、心筋梗塞や脳梗塞などです。
 AGEsによる合併症発症のリスクは、「血糖値×持続期間」で決まります。
高血糖であればあるほど、そして高血糖である期間が長ければ長いほど、
AGEsの生成、蓄積量は多くなるからです。
従って、長年糖尿病を患っている患者は糖化が生じやすく、
AGEsの蓄積も、糖尿病でない人に比べて必然的に多くなります。
その結果、心筋梗塞や脳梗塞にもなりやすくなるので、
糖尿病は「老化」が早く進む病気とも言われてきました。

<AGEs>
 糖化とは、ブドウ糖(グルコース)などの糖が、直接たんぱく質などに結合する反応のことです。
糖尿病の検査指標として一般的に使われているヘモグロビンA1c(HbA1c)は糖化したヘモグロビンのことです。
HbA1cは、たんぱく質と糖が結合する「糖化反応系」の初期段階で作られる「アマドリ化合物」の一種で、
アマドリ化合物からさらに糖化反応が進むと、
最終的に「終末糖化産物(AGEs=advanced glycation endproducts)」ができあがります。
AGEsは糖尿病合併症の元凶であるとともに、老化の元凶とも言われています。
上述のように、体内で産生されたAGEsは、糖尿病合併症や老化の元凶です。
一方、食物由来のAGEsが同様の悪者となるのか否かは、まだ論争中です。
食物由来AGEsの約7%くらいが体内に吸収されます。

人類が火を使い始めてから、食物由来のAGEs摂取量は数十倍レベルに増加しています。
しかし人類が火を使用して以後、寿命が短くなったとか、何らかの病気が増えという事実はないので
私は、食物由来のAGEsはあまり気にしなくていいかと思っています。

私自身、52歳でスーパー糖質制限食開始以来16年間、
焼き肉・焼き魚・すき焼き・鉄板焼きなど火の通った料理を良く食べていますが、
皮膚のAGEs測定値は、開始時の52歳相当でくいとまっています。

<糖質制限食と糖尿人>
糖尿人においては「スーパー糖質制限食」だけが
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅」と「AGEsの蓄積」が生じない食事療法であり、
合併症予防を考えると理論的には他に選択の余地はありません。

一方、糖質制限食は、強制するようなものではありません。
自分で考えて自分で判断し選択して自己責任で実践するものですのでよろしくお願い申し上げます。



江部康二
コメント
先生、いつも楽しく拝見させて頂いています。
私、境界人なのですが最近リブレを購入しました。
そこで、朝布団の中で測る血糖値から、その後活動を始めると10くらい上がるのです。

これは、境界人だからなのでしょうか?それとも普通のことでしょうか?よろしければ教えて頂きたいです。
2018/12/03(Mon) 07:29 | URL | まゆべ | 【編集
糖化反応ですが
いつも有益な記事をありがとうございます。
今日の記事でAGEsの恐さが身に沁みます。
私は糖化という言葉から連想するのは、むかし学校の理科室で恐る恐る見たホルマリン漬けです。
なぜかというと、ブドウ糖とホルマリン(ホルムアルデヒドの水溶液)に共通点があるからです。
ブドウ糖や果糖の分子構造をみると、端っこにホルムアルデヒドにもあるアルデヒド基というのが付いているのですね。
血糖値が一定値以下だと身体には糖化を守る働きがあるのだと思いますが、それを超えると血管の内壁や各臓器がホルマリン漬けのようになってしまうと思うと怖いです。
2018/12/03(Mon) 09:32 | URL | SHUKAN | 【編集
昨日は有難うございました^^
江部先生、昨日の朝日カルチャーセンター新宿教室での講演を受講させて頂いたアラフォー女子です。

関西のしゃべくり文化で培われた先生の話術とユーモアのお陰で(ブラックな「心の声」までご披露頂き(^O^))、健康に対する意識の高い他の受講者の皆さんと楽しい時間を共有でき、大変有意義でした!!
質疑応答では皆さん積極的で、時間が足りないほどでしたね。
「100歳まで生きたいんです」と仰っしゃっていたご婦人がいましたが、講座からの帰りがけにカルチャーセンターの女性スタッフと一緒に颯爽と歩いていた先生を見てその若々しさに惚れ惚れし、先生は確実に100歳まで生きるのだろうなと思いました。

私は、先生と同様、父方も母方も家系が糖尿病人の多いサラブレッドですが(笑)、幸いにもどうやらまだ発症していないようなので(尿検査しかしていませんが)、予防的に2ヵ月前から糖質制限食を開始し、今はその効果を体の声に耳を傾けて調べている状態です。

それで、実は私も先生に直接質問をしたかったのですが、時間切れになってしまいましたので、こちらで一つだけお聞きしてもよろしいでしょうか。
講座では「現代の果物に含まれる果糖などは毒」とのことでしたね。
先生の他にも、アンチエイジングスペシャリストで栄養学博士のオーガスト・ハーゲスハイマーさんなども果物を推奨していないようです。

私は、糖質制限食を始める前からローフードを食生活に積極的に取り入れていて、ほぼ毎日スムージーに入れるなどして果物を食べています。
以前拝読した先生の著書の巻末についていた糖質量のリストを参考に、果物の糖質量を計算して一回に摂取する果物の量を10g前後にコントロールしています。
もともと果物が好きなこともあり、「食べ過ぎずほどほどな量であれば良いのではないか?」と勝手に解釈して摂取していますが、先生はどう思われますか?
2018/12/03(Mon) 10:15 | URL | 胡桃 | 【編集
妊娠糖尿病について
はじめまして。東京都在住のそだにと申します。
お忙しいところ大変恐縮ですが、先生のご意見を伺いたくコメントさせて頂きました。
12年程前に祖母と母が江部先生の糖質制限のご指導をしていただいたそうです。
おかげさまで二人ともいまでも元気に過ごしております。
この度は、私(31歳)が現在妊娠15週目になり、1ヶ月ほど前の検診で妊娠糖尿病と診断されました。
はじめての妊娠で、初期の血液検査での随時血糖は164(食後1時間半ごろ)で、その後75g糖負荷検査を受け、空腹時94、1時間後157、2時間後135という結果でした。HbA1cは5.6でした。
産科から糖尿病内科を紹介され、自己測定し始め、女子栄養大学クリニックのバランスレシピという本を参考に、糖質を意識的に控える食事に切り替え、体重が1ヶ月で3㎏程落ちました。(身長163㎝、体重73㎏、現在のもので、まだ少しずつ減少しています)
11/30の検診では赤ちゃんは順調とのことでした。
産科医からは体重は増やさなくてよいといわれています。
糖尿病内科の先生は、妊娠との関係にあまりお詳しくないようで、糖質制限をしすぎてケトン体がでると胎児に影響がでることと、胎児の栄養は糖質によるものだといわれているので、あまり糖質を控えすぎてはいけないと言われました。
自己測定の状況は、朝食前は毎日80~90くらいが多く、毎食後2時間値は妊娠糖尿病の場合120までとのことですが、30~40%の割合で120~150くらいの値が出ます。
母からは糖質を控えるのが一番よいと言われていますが、前記のケトン体の赤ちゃんに対する影響がとても心配です。
妊婦でも通常と同じような糖質制限をしても良いのでしょうか。
江部先生のお考えをお聞かせいただけると幸いです。
2018/12/03(Mon) 14:22 | URL | 曽谷ゆかり | 【編集
Re: タイトルなし

まゆべ さん

私は糖尿人ですが、リブレで調べたところ、
朝布団の中にいて、目が覚めた途端に、
動かなくても10mgくらい血糖値が上昇していました。
アドレナリンなどのホルモンが覚醒と同時に分泌されるのかの
しれません。

正常人は、リブレを装着したことがないので、
よくわかりません。

2018/12/03(Mon) 17:18 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 糖化反応ですが
SHUKAN さん

<糖化とAGEs>
老化や動脈硬化や生活習慣病の元凶と言えますね。
2018/12/03(Mon) 17:21 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 昨日は有難うございました^^
胡桃 さん

朝日カルチャー新宿講演へのご参加、ありがとうございます。
楽しんで頂き、お役に立てたなら嬉しいです。

果物に関しては、特に<果糖>が有害です。
現代の糖度の高まった巨大な果物は、<毒>と見なしたほうが安全です。
以下のブログ記事をご参照頂けば幸いです。

2018年08月16日 (木)
果糖は ブドウ糖の約100倍、AGEsを生じやすい。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4649.html


2018/12/03(Mon) 17:29 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 妊娠糖尿病について
曽谷ゆかり さん

妊娠糖尿病は、スーパー糖質制限食が唯一の安全な食事療法です。

糖質を食べてインスリンを打つ、通常の糖尿病学会の妊娠糖尿病治療法は、
<食後高血糖、空腹時低血糖、血糖値の乱高下、肥満>
を生じる危険な治療法です。

胎盤のケトン体、臍帯のケトン体、新生児のケトン体はいずれも成人の基準値よりはるかに高値です。
すなわちケトン体高値はインスリン作用がある限り、
極めて安全な状態なのです。

胎盤のケトン体値は基準値の20~30倍、 平均2235.0μmol/L(60検体)
臍帯のケトン体値は基準値の数倍~10倍、平均779.2μmol/L(60検体)
新生児のケトン体値は、基準値の3倍~数倍、平均240.4μmol/L(312例、生後4日)  


基準値は85 μmol/L以下です。
胎盤と臍帯と新生児では、
ケトン体は高値が当たり前であり、
このことは安全性の担保と言えます。

以下の記事をご参照頂けば幸いです。

2018年06月08日 (金)
「妊娠糖尿病」「妊娠中の明らかな糖尿病」「糖尿病合併妊娠」と糖質制限食
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4585.html
2018/12/03(Mon) 17:45 | URL | ドクター江部 | 【編集
お返事有難うございました^^
先生、お忙しい中ご丁寧にお返事頂き、どうもありがとうございました。

ご紹介頂いた果糖に関するブログ記事を読みますと、これまで自分が抱いていた果物に対するヘルシーなイメージがかなり崩れますね。。。
そうですね、摂取量は少なくした方が賢明のように思われます。

果物のなかでもアボカドはほぼ唯一の例外だと思いますので、これからも積極的に食べると思いますが、他の果物は徐々に減らす方向で行こうかなと思いました。

昨日の講演同様、大変勉強になりました。
重ね重ねありがとうございました(^O^)
2018/12/03(Mon) 18:51 | URL | 胡桃 | 【編集
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