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EBMに基づく「糖質制限食とヒト発癌」に関する考察。2018年。
こんにちは。
EBMが現在、医学界を席巻しています。

<EBMとは>
Evidence Based Medicine(証拠に基づく医学)を略してEBMと言います。
EBMだけに頼る医療には、明確に限界があります。
一方、EBMを無視する医療にも、明確に限界があります。

医学界において、evidence(エビデンス、証拠、根拠)となるのは、
基本的に医学雑誌に掲載された論文です。
ニューイングランド・ジャーナル、ランセット、米国医師会雑誌など、
定評ある医学専門誌に掲載された論文であることも、
evidence(エビデンス、証拠)の大きな要素となります。

その論文も
①無作為割り付け臨床試験(RCT)
②前向きコホート研究
の二つが信頼度の高いものとなります。
その論文も「糖尿病診療ガイドライン2016」によれば、

・レベル1+: 質の高いランダム化比較試験(RCT)およびそれらの
メタアナリシス(MA)/ システマティック・レビュー(SR)

・レベル1:それ以外のRCTおよびそれらのMA / SR

・レベル2:前向きコホート研究およびそれらのMA / SR 
     (事前に定めた)RCTサブ解析

・レベル3:非ランダム化比較試験 前後比較試験
      後ろ向きコホート研究
      ケースコントロール研究およびそれらのMA / SR
      RCT後付けサブ解析

・レベル4:横断研究 症例集積

*質の高いRCTとは
(1)多数例
(2)二重盲検、独立判定
(3)高追跡率
(4)ランダム割り付け法が明確
などをさす。 

といった順番で、信頼度に差をつけられています。
これを研究デザインのヒエラルキーと呼ぶそうです。
他にコンセンサスがありますが、コンセンサスは、
実証的研究に基づかない権威者の意見や合意なので、エビデンスとは言えません。
一般にエビデンスレベルが高い研究論文と言うときは、

(1) レベル1+ / レベル1
(2) レベル2

に基づく論文のことをさします。

症例報告も大切な医学研究の一つなのですが、
ことEBMというときは、
「無作為割り付け臨床試験(RCT)」と「前向きコホート研究」
だけ考慮すればいいということです。


<EBMに基づく「糖質制限食とヒト発癌」に関する考察>

ともあれ今回は、EBMを考慮したお話しです。
昨日(2018/11/12)は、糖尿病とがんと糖質制限食の関係について記事にしました。
本日は、EBMを前提に「糖質制限食とヒト発癌」に関する考察を試みました。

A)
「スーパー糖質制限食で発癌のリスク上昇というエビデンスはない。」事実

B)
「スーパー糖質制限食で発癌のリスク減少というエビデンスもない。」 →事実

C)「糖質摂取比率12%の集団と通常食の集団における癌の発生を、
  長期間経過観察した臨床研究は存在しない。」 →事実

D)高血糖と高インスリン血症に発癌リスク→エビデンスあり。

E)HDLコレステロールが増加すると発癌リスクが減少する→エビデンスあり。



1)スーパー糖質制限食で、明確な発癌リスクである
 高血糖と高インスリン血症は、一日を通して確実に改善する。 →事実

2)スーパー糖質制限食で、発癌リスクを減らすHDL-Cが増加する。 →事実

3)スーパー糖質制限食を長期間続けて将来発癌リスクが上昇するとしたら
  1)2)の利点を帳消しにして、さらにそれを上回る何らかの発癌リスクが
  あると仮定するしかない。→仮説
  そのようなリスクは知られてない。→事実


A)B)C)D)E)、1)2)3)を考慮すれば、
あくまでも仮説ですが、
『スーパー糖質制限食により、西欧型癌の予防効果が期待できる』

と思います。


江部康二
コメント
記事に関係なく恐縮です
(色素性痒疹など一部の全身性皮膚疾患の原因に関する仮説(単なる思いつきです)) 

モデルの道端アンジェリカさんが乾癬であることを公表し、話題となりました。
少し調べてみると、米歌手のブリトニースピアーズさん、シンディローパさん、他にも、モデル、女優、歌手などの方に多いことが分かりました。
以前、尋常性乾癬が取り上げられ、江部先生は、糖質の頻回・過剰摂取が尋常性乾癬の大きなリスクである可能性が高い旨触れられました。
 
一方で、色素性痒疹についても取り上げられたかと思いますが、その原因は極端な低カロリー食ではないか、ということだったと記憶しております。
 
そこでふと思いついたのですが、色素性痒疹など一部の全身性皮膚疾患は、(糖質制限+)脂質制限が引き起こしているものがあるのではないかという仮説です。
(もちろんですが、適切な糖質制限は肌を美しくし、皮膚疾患をなくす方向に働くと確信しております。)
 
皮脂について調べてみますと(といってもWikipediaを見ただけですが)以下のようにあります。
 
(引用開始)
「皮脂は、(中略)皮脂腺の腺細胞が内部で合成した分泌物を多量に蓄積した後、細胞全体が崩壊することによって皮脂腺内腔に放出される。つまり、皮脂は皮脂腺細胞の崩壊物全体からなる。毛穴の内面に開く皮脂腺開口部から皮膚表面に分泌され、皮膚や体毛の表面に常に薄い膜状に広がり、物理的、化学的に皮膚や毛髪を保護、保湿する役割を果たしている。また、これに含まれる脂肪が皮膚の常在菌により分解されることで生じる脂肪酸によって皮膚の表面は弱酸性となり、これが病原菌などを排除する機能も持つ。 皮脂は思春期になると性ホルモンの影響を受けて分泌が活発になり、毛穴内面の角質の増大によって速やかに毛穴の外に放出されることが妨げられると、毛穴内に角質とともに蓄積してにきびが発生する原因となる。(後略)」
(引用終わり)
 
仮説ですが、糖質制限ダイエット等で余分な贅肉がなくなった状態になっていたりするのに、(さらなるモデル体型等を目指そうとしてかは分かりませんが)過剰な脂質制限もしてしまい、皮脂に必要な脂質さえも食事から十分に摂取していないため、皮脂が全身において不足し、全身的に皮膚を保護、保湿する役割が弱くなり(かつ病原菌などを排除する機能も弱くなる)、そうした症状につながっているのでは、というものです。そこに肌の洗い過ぎ等も加わって、皮膚の保護、保湿が一層働かなくなっているのかもしれません。
(これにタンパク質不足も加わると皮膚にはもっと悪いことでしょう。もっと言えば、ひょっとするとさらにタンパク質をプロテイン等でたくさん摂取したりしている場合も、それが(脂質が不足しているのにもかかわらず)肌のターンオーバーを更新させようとするベクトルとなって、さらに悪化させている可能性もあるのかもしれません。)
 
だからこそ、間違った糖質制限など急激なダイエットをする若い女性に好発する症状であり、かつ全身的に影響が出るのではないか。
一部の脂質は必須栄養素であり、であるならば少なくとも過剰な脂質制限はおそらく体に多大な負担をかけることにつながるように思います。
以上、素人の思いつきでした。
2018/11/13(Tue) 18:19 | URL | プーさん | 【編集
糖質制限食と腎臓の関係
はじめまして。
私は、64才の女性です。
高雄倶楽部にはお世話になっております。
江部先生にお伺いしたいのですが、私は、父方の家系に糖尿病の人が多く、私も若い頃から食後の血糖値が高めでした。40才頃から、毎月血糖値やA1cを病院で計っていて、食後に歩くことを進められたので、50才前後からですが、夕食後に30分のウォーキングを4~5年間していましたが、疲れてしまい徐々にやめてしまいました。そんな時、糖質制限食の事を知り、私も7~8年前から始めました。
主食を摂らずに、おかずはなるべく低糖質の食事をするようにしています。以前は、A1cが5、6~5、9位の時もありましたが、最近は、6、5まで数値が上がってしまっています。歩かないことや、日中お腹が空くとナッツ類を沢山食べてしまったり、他にも、このくらいならと、糖質を摂取しているのが原因かなと思っています。
そして、今年の健康診断では、A1c6、5以外にも、クレアチニン0、76  eGFR58、68で、軽度の慢性腎臓病の判定でした。
先生に教えていただきたいのですが、腎臓病は、塩分、たんぱく質、カリウム、リンを減らさなくてはいけないとのことなので、私は、低糖質を考えると、どうしても高たんぱくになってしまうので、今度どうしていったら良いのでしょうか?
又、腎臓の数値が悪くなったのは、糖尿の影響や年齢によるものであって、今まで、運動をせずに高たんぱくの食事に片寄った為ということはないのでしょうか?
何を食べたら良いのかわからなくなってしまい不安です。そして、軽度の腎臓病は数値が良くならないのでしょうか?
是非、先生のご意見を伺わせて下さい。
宜しくお願い致します。
2018/11/13(Tue) 20:47 | URL | ゆう | 【編集
古い情報ですが
https://biz-journal.jp/2018/03/post_22802.html
岡田正彦「歪められた現代医療のエビデンス:正しい健康法はこれだ!」

糖質制限反対派の方です。
糖質制限ダイエットの根拠否定という一般の目を引くサブタイトルがつけられています。
おやと思い読んでしまいました。
ずいぶんはっきりした論調です。
2018/11/14(Wed) 13:17 | URL | yanosono | 【編集
Re: 記事に関係なく恐縮です
プーさん


仰る通り、ヒトは
<必須脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、食物線維、エネルギー>
を食物から摂取する必要があります。

そして少なくとも理論的には『必須糖質』はありません。
2018/11/14(Wed) 14:27 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 古い情報ですが
yanosono さん

岡田正彦/新潟大学名誉教授は、

米国糖尿病学会が2013年12月の「成人糖尿病患者の食事療法に関する声明」において

『糖質制限食を、地中海食、脂肪制限食、ベジタリアン食、高血圧食と共に正式に容認』
という、大変重要な事実をご存じないようですね。

長年の糖質制限食の是非に関する論争は、これにて一件落着ということです。
2018/11/15(Thu) 12:48 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 糖質制限食と腎臓の関係
ゆうさん

『クレアチニン0、76  eGFR58、68』


これは、ほとんど、eGFRは60近くあるので、あまり心配ないと思います。
血清シスタチンCが一番正確な、腎機能検査なのでそれを調べてみましょう。
シスタチンCのeGFRが60以上なら、問題ないです。

米国腎臓病学会は、2013年10月の『栄養療法に関する声明』において
「糖尿病腎症には、低たんぱく食は推奨しない」と、明言しています。

タンパク質も食べて、しっかりスーパー糖質制限食で、血糖コントロールするほうが
腎機能にも良いと思われますJ。

2018/11/19(Mon) 15:58 | URL | ドクター江部 | 【編集
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