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人体の基礎代謝の比率。信頼度の高いデータ。 2018/10/23(火)
こんにちは。

人体の基礎代謝の比率に関して、いろんなデータがネット上で出回っています。

その中で一番信頼できるデータが、

<人における組織・器官の代謝率:成人>
肝臓27%、脳19%、心臓7%、腎臓10%、筋肉18%、その他19% 

<人における組織・器官の代謝率:新生児>
肝臓20%、脳44%、心臓4%、腎臓7%、筋肉5%、その他20%


であり、「 FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会報告」1989、13ページのTABLE 2に記載されています。
日本語訳はありましたが絶版です。

一般に通説として筋肉が基礎代謝の40%とか言われていて、私も深く検証せずにそう思っていたのですが、
肝臓27%、筋肉18%というのは意外でした。
新生児の脳の比率は、すごいですね。

ともあれ、糖質制限食(高脂質・高タンパク食)においては、人体最大の基礎代謝率を占める肝臓が、
糖新生で活性化されるので、
糖質制限食で基礎代謝が増加するという仮説は、なかなか説得力があると自画自賛しています。
糖質セイゲニストにおいては、糖新生が多い分、肝臓の比率は27%より少し多い可能性もあります。

通常は、筋肉量の増加が基礎代謝の増加なのですが、例えば甲状腺機能亢進症でも、
基礎代謝の増加のために体重減少が生じます。

「エネルギー・蛋白質の必要量―FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会報告-ヒトにおける基礎代謝率」は、医歯薬出版 (1990/03)で単行本になっているのですが、とっくに絶版です。


原著が以下のサイトに載っています。

http://www.fao.org/docrep/MEETING/004/M2845E/M2845E00.HTM
Joint FAO/WHO/UNU Expert Consultation on
Energy and Protein Requirements
Rome, 5 to 17 October 1981
BASAL METABOLIC RATE IN MAN
by
J.V.G.A. Durnin
University of Glasgow
Glasgow
Scotland

TABLE 2.Metabolic Rates of Organs and Tissues in Man


アマゾン
http://www.amazon.co.jp/dp/4263702476

エネルギー・蛋白質の必要量―FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会報告 (WHOテクニカル・レポート・シリーズ)
単行本 – 1990/3
FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会 (著), 井上五郎 (著)医歯薬出版 (1990/03)
残念ながら絶版です。


江部康二
コメント
人体の基礎代謝の比率。信頼度の高いデータ
先生大変お世話になります。今回のお話凄く興味深いですね。肝臓の何倍もある筋肉より、肝臓のほうが数値が高いとは驚きです。これは一体どういうことなのでしょうか?肝臓の大きい人は基礎代謝が高いという訳ではないとは思うのですが、よく、やせの大食いのひとはこれに当てはまるのですかね、また、肝臓の機能がいい、ひとはふとりにくいのでしょうか?
2018/10/23(Tue) 15:20 | URL | ギー | 【編集
Re: 人体の基礎代謝の比率。信頼度の高いデータ
ギー さん

安静時、睡眠時など基礎代謝の時間で、肝臓は糖新生などで非常によく働いているのでしょうね。

新生児の脳の比率もすごいです。
2018/10/23(Tue) 16:02 | URL | ドクター江部 | 【編集
新生児の脳の比率はすごいですね
肝臓、確か核2つある細胞だったような、遠い記憶があるのですが・・新生児の比率がびっくりです。
そりゃ、眠る時間が多くなるわけですね。
2018/10/23(Tue) 17:18 | URL | クワトロ | 【編集
2型糖尿病の予防および治療のための植物ベースの食事療法
江部先生

最近PBHFという聞きなれないものを耳にしたのですが、
それが下記の論文を根拠にしているようでして、
翻訳版で少し見てみたのですが、如何にも怪しげな研究結果を繋ぎ合わせたようなもののように感じます。
特に5.3炭水化物の項では、「たんぱく質を犠牲にして炭水化物を摂取した方が糖尿病リスクを低下させる可能性がある」との結論まであり余りにも内容です。
しかしながら論文という形で存在しているが故にこれを信じてしまう方々が増えてしまうのはどうしたものかと。。。

--------------------------------------------
『A plant-based diet for the prevention and treatment of type 2 diabetes』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5466941/
2018/10/23(Tue) 17:26 | URL | 福助 | 【編集
Re: 2型糖尿病の予防および治療のための植物ベースの食事療法
福助 さん

昔からある、全粒粉ベースの食事ですね。
まあ、精製炭水化物よりはましと思いますが、
所詮、糖質制限食の効果に比べれば、はるかに劣ります。
2018/10/23(Tue) 19:19 | URL | ドクター江部 | 【編集
いつもブログで糖質制限を学ばせて頂いてます。
食後高血糖を発見した、緩い糖質制限を始めて2年になります。
先日、3ヶ月ぶりに採血をしました。
CPRが1.01→0.85、インスリンが1.70→2.55、空腹時血糖値は90→94でした。色々調べたのですが、これは少しずつインスリン分泌能が低下しているという事になるのでしょうか?HbA1cは変わらず5.9でした。
糖質制限を強化せねばならない、という事でしょうか?
お忙しい中申し訳ありませんが教えて頂けると幸いです。
2018/10/23(Tue) 21:52 | URL | ゆみ | 【編集
昨日のご返答ありがとうございます
江部先生
御世話になっています

昨日のご返答ありがとうございます
2018/10/23(Tue) 22:32 | URL | 糖尿人 | 【編集
Re: タイトルなし
ゆみ さん

HbA1cは、平均血糖値を示す指標です。
「食後血糖値が250mg、空腹時血糖値が50mg」
といったひどい状態でも、平均値の150mgを示すのでまあ良好となってしまい、HbA1cの評価には問題があるのです。

しかし糖質制限食を実践している場合は、食後高血糖や空腹時低血糖のない質の良いHbA1cです。

「CPRが1.01→0.85、インスリンが1.70→2.55、空腹時血糖値は90→94」

CPR、インスリンの基準値がわかりませんが、この程度はとくに変化はないレベルと思います。
2018/10/24(Wed) 08:20 | URL | ドクター江部 | 【編集
パワー系競技での有効性が判明
江部先生、いつもありがとうございます。

さて、これまで持久系の競技には厳格な糖質制限(=ケトジェニック)が有効であることは知られていますが、今回の研究でパワーリフティングや五輪競技の重量挙げ選手のパフォーマンスを損なうことなく体重を減らす…ことが明らかになりました。
https://journals.lww.com/nsca-jscr/Abstract/publishahead/A_Low_Carbohydrate_Ketogenic_Diet_Reduces_Body.95096.aspx

2020東京五輪では、是非とも糖質制限で金メダルを量産してもらいたいですね!
2018/10/24(Wed) 11:05 | URL | FOCS@山田 | 【編集
Re: パワー系競技での有効性が判明
FOCS@山田 さん

興味深い情報をありがとうございます。
パワー系にも糖質制限食が有効とは、嬉しいですね。
2018/10/24(Wed) 12:39 | URL | ドクター江部 | 【編集
胃炎に糖質制限は効果がでないのでしょうか。
場所違いですが、私、びらん性の胃炎(ピロリいない)と軽い逆流性食道炎と診断を受けました。

糖質制限では胃炎は改善しないのでしょうか。なかなか改善しなくかなりやきもきしております。

もしいけるならすぐにスーパー糖質制限を実行したく思っております。

よろしくお願いします。
2018/10/24(Wed) 17:21 | URL | 岡田 | 【編集
Re: 胃炎に糖質制限は効果がでないのでしょうか。
岡田さん

逆流性食道炎は、糖質制限で良くなることが多いです。
2018/10/25(Thu) 07:38 | URL | ドクター江部 | 【編集
blogを拝見させていただいております。
江部先生
いつもブログを拝見させていただいております。
2年前には高血圧で救急搬送されて、食事をメインに頑張っております。
救急車で搬送された時の体重は99キロくらいです。
現在、49歳・身長179センチ・体重88キロ・体脂肪率25%あります。
糖質制限を取り入れて現在にいたっております。
血液検査もほぼ正常で降圧剤こそ使っておりますが上120、下75くらいで安定しています。
8月くらいから体重が落ちなくてカロリーを2000Kcal以下糖質30g以下になるようにしておるのですが、一向に減る気配がありません。
また、ケトン試薬では、たまに2プラスですが、ほぼ正常に戻ってしまいます。
10年ほど前に堪能摘出したのが影響しているのでしょうか?
何か、ございましたらアドバイスをいただきたく勇気をだして書き込ませていただきました。
ご指導よろしくお願いします。
2018/10/25(Thu) 08:31 | URL | 佐竹 | 【編集
Re: blogを拝見させていただいております。
佐竹 さん

一旦順調に減少した体重が、ぴったり減り止まる現象は時々見られます。

これは脂肪細胞の数が関係していると思われます。
BMI30以上の肥満になると、脂肪細胞が分裂して、数が増えている可能性があります。
一個一個の脂肪細胞が大きくなっている場合は、糖質制限食実践で通常の大きさに速やかに戻るので
その分体重も速やかに現象します。

一方、脂肪細胞の数は糖質制限食でも減少しないので、
そこで体重減少が止まるのだと思われます。
2018/10/26(Fri) 18:41 | URL | ドクター江部 | 【編集
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