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血糖自己測定(SMBG)器の制度と誤差。
【18/09/20 ゆうみ
おすすめの血糖測定器をお伺いしたいです
突然の書き込みという無礼をお許しください。
私は2週間前に75グラム糖負荷試験を受け、境界型と診断された20代女性です。
分泌指数だけが低いと言われました。

診断前から、フリースタイルリブレ(黒い方)を使っていましたが、
診断後ケアセンスn(ケアファストCのセンサーを使っている韓国の会社製)を購入し、使用しています。

しかしながら、
夜間に低血糖と思われる症状(大汗をかいて起きる、吐き気で目が覚める、悪夢を見る)があって測定しても、リブレ→60代後半、
ケアセンスn→100程度と差があります。
また、糖質を計算して5グラム程度の食事(豆腐、海藻、舞茸、プロテイン、イヌリンパウダー、ヨーグルトなど)をとっても、リブレは1時間で68→99、ケアセンスnは102→135のように先生の計算以上に上がります。

日中に低血糖のようなふらつきや吐き気があっても、
数値が信じられないので、怖くて捕食ができません。

測定器を変えたいと思っているのですが、先生がお使いのもの、
おすすめのものがおありでしたら、ご教授いただけませんでしょうか。

ご多忙の折、恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。】



ゆうみさん。

体重64kgkgの2型糖尿人で、1gの糖質が3mg血糖値を上昇させます。
体重が42kgの2型糖尿人だと、
1gの糖質が、約5mg血糖値を上昇させます。(5mg=3mg×64kg/42kg)

ゆうみさんは、境界型なのですが、結構血糖値が上昇しやすいタイプのようですね。
それから、アボット社のフリースタイルリブレ(24時間持続ブドウ糖測定で14日間検査可能)は、
病院で使用しているフリースタイルリブレProに比べると、かなり誤差が大きいです。
フリースタイルリブレよりは、血糖自己測定器のほうが、やや信頼度があると思います。

私自身は、ニプロの『フリースタイルフリーダムライト』を
使用しています。
高雄病院の患者さんも、ほとんどが同一機種です。

自己血糖測定器の指先の採血は、毛細血管血の値です。
病院で採血する血糖値は、静脈の血です。

動脈血>毛細血管血>静脈血

の順番で血糖値は少し高値となります。
動脈から静脈に流れるにしたがって、筋組織などにブドウ糖を供給していくので、
消費されて血糖値は少しずつ低くなっていきます。
通常、特に食後においては、
動脈血は静脈血より10~20mg血糖値が高いとされています。

病院の器械による血糖測定は、静脈の血液の血漿成分の血糖値です。
一方、SMBGでは、指先の穿刺による毛細血管全血でです。

即ち、指頭のSMBG(毛細血管血)のほうが、10~20mg、
病院の静脈血より高値となることがありります。

また、病院や検査機関の検査機器に比べると、
簡易血糖自己測定器の誤差は、かなり大きいです。

センサーのロット誤差、個別誤差、機器の精度などいろいろあるので、
メーカーの言う20%程度の誤差は、仕方ないと考えた方がいいですね。( ̄_ ̄|||)

例えば、江部康二の2009年10月16日の午前8:30の、
空腹時手掌血糖値(毛細血管血)がSMBGで143mg/dl もあって、
びっくりしました。
それで丁度いい機会なので、30分後の午前9時過ぎに江部診療所で空腹時採血して、
微生物研究所に検査を依頼しました。
その結果は100mg/dlでした。
毛細血管血>静脈血ということを割り引いても、約20%の誤差ですね。

また、高雄病院に入院された糖尿人がSMBGを持っておられたら、
病院のデータと比較することがあります。
誤差は10~20mgていどまでのことも多いですが、
やはり食後の血糖値では、40~60mgの差があることがあります。

そういったことを承知の上で、上手に使えば、おおいに役に立つと思いますよ。
まあ、早朝空腹時血糖値は比較的安定してますし、
食前・食後血糖値の差を見るのには少々の誤差は問題ないと思います。

例えば、牛ロースステーキ200g(1000kcal)を食べても
食後血糖値は3mg未満しか上昇しませんが、
白ご飯1膳(150g)食べたら、食後血糖値は160mg以上上昇します。

こういった、通常はお医者さんが教えてくれないような生理学的事実が、
自分で確かめられるのは大きな利点といえます。

“self-monitoring of blood glucose”血糖自己測定、頭文字をとってSMBGといいます。

食事療法、運動療法、薬物療法につぐ糖尿病治療の第四の柱といわれる
血糖自己測定ですが、どんどん進歩して、
5秒程度の時間で、以前より少量の血液(0.3μL~0.6μL)で測定でき、
かなり便利になりました。
以前は、採血量が3μL必要で、測定結果も30秒必要でした。

「SMBGをすると、それ以前に比べてHbA1cが0.5%下がった」という米国の報告もあるようですので
糖尿人必須のアイテムかもしれませんね。 (^^)

いろんなメーカーが血糖自己測定器を発売していますが
痛くなくて早くてエラーがなく、使いやすいのは

ニプロフリースタイルフリーダム
アキュチェックアビバ
グルテストNEO

あたりかなと思います。
精度・誤差は、これらのメーカーにおいては、結局約20%となります。
これらに比し、韓国製のものは、調べた範囲では、
残念ながら誤差が大きいように思います。

1 痛くない
採血量が以前の機種が3μL必要なのに対して、

ニプロフリースタイルフリーダムは0.3μL
アキュチェックアビバ、グルテストNEOは0.6μL

と少ないです。これくらいの量だと、針で刺した皮膚の穴も小さくてすむので、
痛くないのです。

また、ほとんどの機種が指先からの採血なのですが、
ニプロフリースタイルフリーダムは、
指先以外に、手掌、前腕、上腕、太股、ふくらはぎでもOKです。
指先を使う仕事の人にはアドバンテージですね。

アキュチェックアビバ、ワンタッチウルトラも、
指頭だけでなく手掌でも測定できます。その分、採血時の痛みはほとんど無いです。

私自身の経験では、指先はやはり敏感な部位ですので、たまに痛いことがあります。
とくに3μL必要な旧型アセンシア・ブリーズではやや痛かったです。

最も簡単なのは手掌で、穿刺器具の針の深さは1(1~5まであります)と一番浅くして、外套を軽く押し込んで穿刺し、もう一回外套を軽く押して血液をしぼります。
ニプロフリースタイルフリーダムはこれで大丈夫です。

2 早い
ニプロフリースタイルフリーダムとアキュチェックアビバは測定時間5秒と、
おそらく全機種中最短です。
グルテストNEOも5.5秒で、ほとんど遜色なしですね。

3 エラーがない
やはり、採血量が少ないほどエラーも出ないと思います。
私もアセンシア・ブリーズのときは3μL必要なので、
検体量が足らない時にエラーがでました。
その意味では、ニプロフリースタイルフリーダムは0.3μLで最小の検体量ですね。


上述の特徴を参考にしていただいて、適宜選んでいただけば幸いです。


江部康二
コメント
ありがとうございます!
コメントで質問をさせていただいたゆうみでございます。
記事で取り上げていただけるとは思ってもみなかったので、とてもありがたく思っています。

先生の仰る通り、空腹時血糖は病院での検査時も73と落ち着いておりました。
hba1c、HOMA-R、HOMA-βも正常ですが、GAが17、負荷試験の1時間値が173、2時間値が153、インスリン分泌指数が0.27で境界型との診断でした。

市販のリブレも韓国製の機器も誤差が大きいんですね…。
ランニングコストの点から飛びついてしまったことを後悔しています。
先ほども動悸とめまいがひどいのに、リブレ→65、ケアセンス→89で困りましたので、先生や先生の病院がお使いのフリーダムライトを購入しようと思います。

お忙しい中、とても丁寧なご回答をいただき、ありがとうございました!
2018/09/20(Thu) 19:38 | URL | ゆうみ | 【編集
江部先生、こんにちは。
2か月半ほど減量に取り組んだ結果、8kg減り肝臓系の数値がとてもよくなりました。中性脂肪もまだ少し高いですが180程下がりました。

HbA1cはまだ6%と高めですが、6.3%から減りました。日勤、夜勤、休日出勤などがあり不規則な中、自分なりに取り組めたと思います。
まだまだ糖質制限がきちんとできていない部分は多いですが、糖質まみれの頃と比べて体が軽く、肩こりが減り、お肌の調子が良くなりました。

先生やここで頑張っている皆様のおかげです!ありがとうございます。

これからはもう少しストイックにやれるよう頑張ります!
2018/09/21(Fri) 11:33 | URL | あみ | 【編集
騎手
体重維持に苦しんでたベテラン騎手も糖質制限で体を作り変えたそうです。
http://news.netkeiba.com/?pid=column_view&cid=41275
2018/09/21(Fri) 14:57 | URL | しょーじ | 【編集
Re: タイトルなし
あみ さん

減量成功、中性脂肪・HbA1c改善・体調良好、良かったですね。

これからも美味しく楽しく末長く糖質制限食をお続け頂けば幸いです。
2018/09/21(Fri) 18:41 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 騎手
しょーじ さん

とても興味深い情報をありがとうございます。

小牧太騎手、糖質制限で減量成功で体調も良好とのこと、素晴らしいですね。
2018/09/21(Fri) 18:49 | URL | ドクター江部 | 【編集
誤差があっても必需品
忘れた頃に話題になる誤差ですね。
私は病院の静脈での血液検査の時、自分の簡易測定器を持ち込んで計測しました。キッチリ20パーセントくるってました。

電気系計測エンジニアの私からすると±20%は酷すぎ^ - ^

計測値に一喜一憂することは無いけど、これが無いと暗闇をやみくもに歩くことになるからやっぱり必需品かな。

もっと、おおらかに構えていきましょう。計測を続ければ改善しますから^ - ^
2018/09/22(Sat) 21:00 | URL | 悩めるおじさん | 【編集
Re: 誤差があっても必需品
悩めるおじさん 様

同感です。
誤差が少々あっても、SMBGはおおいに役立つと思います。
私も常に測定しています。
2018/09/23(Sun) 09:09 | URL | ドクター江部 | 【編集
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