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がんと血糖値とインスリン。発症予防には糖質制限食。
こんにちは。
現在、日本人の死因の一位はがんです。

今回はがんと血糖値とインスリンについて考察してみました。
合わせて、スーパー糖質制限食によるがん発症予防についても
検討してみました。

Ⅰ 血糖値上昇と発がんリスク

A)国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)2011年
「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
によれば、食後血糖値は1時間か2時間で測定すべきであり、
ピークで160mg/dlを超える食後血糖値は、
癌のリスクとなります。

B)JPHC研究によれば、
肝がんを除外すると、HbA1c値は直線的に全がんリスク上昇と関連していました 。
すなわちB型ウィルス、C型ウィルスという
ウィルス感染による特殊な発がんリスクを除外すると
『血糖値が高いほど、直線的に全がんになりやすい』
という、とても簡明な結論です。
ヘモグロビンA1c(HbA1c)とがん罹患との関連について。
多目的コホート研究(JPHC研究)。
(International Journal of Cancer 2015年11月WEB先行公開)
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3753.html


C)韓国のJee等は空腹時血糖値140mg/dl以上で、
男女とも悪性腫瘍の発症リスクが有意に上昇すると報告。(2005年)
JAMA. 2005;293(2):194-202.


Ⅱ インスリンと発がんリスク

A)インスリン注射をしている糖尿人は、メトグルコで治療している糖尿人に比べて
ガンのリスクが1.9倍というカナダの研究もあります。
2005年の第65回米国糖尿病学会、
カナダのSamantha博士等が、10309名の糖尿病患者の研究成果を報告、
その後論文化。コホート研究。
 「メトフォルミン(インスリン分泌を促進させない薬)を使用しているグループに比べて、インスリンを注射しているグループは、癌死亡率が1.9倍高まる。
SU剤(インスリン分泌促進剤)を内服しているグループは癌死亡率が1.3倍高まる。」 
Diabetes Care February 2006 vol. 29 no. 2 254-258

B)Cペプタイド値が高い男性は、低い男性に比べ最大で3倍程度、大腸癌になりやすい。
国立がん研究センター、「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果。
57%が空腹時、他は非空腹時で共に大腸癌群は高値。厚生労働省研究班が2007年、疫学調査結果を発表し英文論文化。研究班は、全国9地域で40-69歳の男女約4万人を、1990年から2003年まで追跡。                       
Int J Cancer. 2007 May 1;120(9):2007-12.

Ⅰ、Ⅱより、
『血糖値上昇と高インスリン血症は、発がんリスクとなる』
いうエビデンスがあります。
このように過剰インスリンの弊害を考慮すると、
インスリンは血糖コントロールができている限り少なければ少ないほど、
身体には好ましいことがわかります。

別の言い方をすれば、農耕開始後、精製炭水化物開始後、
特に第二次大戦後に世界の食糧事情が良くなってからの糖質の頻回・過剰摂取が、
インスリンの頻回・過剰分泌を招き、
がん発症リスクの元凶となった構造が見えてきます。

スーパー糖質制限食を実践すれば、
インスリンの分泌は必要最小限で済むようになり、
がん発症予防が期待できます。

ブログ読者の皆さんも、スーパー糖質制限食実践で、
必要最低限のインスリンで血糖コントロール良好を維持して、
健康ライフを送ってくださいね。

スーパー糖質制限食なら、血糖上昇が少なくて、インスリン分泌が少ないので、
理論的に、がん発症予防が期待できます。


糖質制限食とヒト発癌に関する考察

A)「スーパー糖質制限食で発癌のリスク上昇というエビデンスはない。」
B)「スーパー糖質制限食で発癌のリスク減少というエビデンスもない。」
C)「糖質摂取比率12%の集団と通常食の集団における癌の発生を、
長期間経過観察した臨床研究は、存在しない。」


1)スーパー糖質制限食で、明確な発癌リスクである高血糖と高インスリン血症は、
一日を通して確実に改善する。
2)スーパー糖質制限食で、発癌リスクを減らすHDL-Cが増加する。
3)スーパー糖質制限食を長期間続けて将来発癌リスクが上昇するとしたら1)2)の利点を帳消しにしてさらにそれを上回る何らかの発癌リスクがあると仮定するしかない。  →そのようなリスクは知られてない。


4) 1)2)3)を考慮すれば、あくまでも仮説であるが、糖質制限食により、西欧型癌の予防効果が期待できる。

江部康二
コメント
PET検査自体がブドウ糖投与でしたね
ガン細胞がブドウ糖大好きなことは、医師なら誰でも知っていますからね
2018/08/22(Wed) 16:23 | URL | らこ | 【編集
血糖値が下がらないのは?
初めて,コメント欄に書き込みをいたします。
当方、1年前に人間ドックに行き、血糖値が高かったので、何とかなければいけないと思い、いろいろ調べて江部先生のブログにたどり着き、その後、書籍も拝見しながら、自分なりにスーパー糖質制限食を試みてきました。(たまには、糖質20グラムを超えてしまったときもあったと思います。)
その後、1年経ったので、再度、同じ病院で人間ドックを受けてきました。結果は以下の通りです。Hは参考値を超えていることを表します。

左がH29年8月の数値、右がH30年8月の数値です。
空腹時血糖 120mg/dl(H) →  116mg/dl(H)
HbA1c 6.0%(H) → 5.7%(H)
インスリン精密測定 5.2μU/dl → 測定なし
中性脂肪 167mg/dl(H) → 73mg/dl
HDLコレステロール 50mg/dl → 69mg/dl
LDLコレステロール 150mg/dl(H) → 138mg/dl(H)
non-HDLコレステロール 測定なし → 149mg/dl
総コレステロール 測定なし → 218mg/dl(H)
尿酸 6.5mg/dl → 7.5mg/dl(H)

中性脂肪に関しては、劇的な変化があってホッとしました。また、全般的には改善傾向と考えていますが、空腹時血糖やHbA1cはいまだに参考値より高く、尿酸は高くなってしまいました。病院の講話では、境界型の糖尿病と判定されるということです。

今後もスーパー糖質制限食を続けますが、1年ぐらいだと、この程度の改善にとどまるのでしょうか。もう少し時間が経つと、さらに改善されるものでしょうか。もしくは、体質的なものなのでしょうか。

お忙しいところ大変恐縮ですが、ご意見を伺いたく、宜しくお願いいたします。

2018/08/23(Thu) 18:49 | URL | John | 【編集
Re: 血糖値が下がらないのは?
John さん

中性脂肪 167mg/dl(H) → 73mg/dl
HDLコレステロール 50mg/dl → 69mg/dl
LDLコレステロール 150mg/dl(H) → 138mg/dl(H)


脂質データは素晴らしい改善です。
薬物を飲んでもこういったデータにするのは困難です。

HbA1c 6.0%(H) → 5.7%(H)
こちらは、軽度改善ですが、元々が、6.0%と正常範囲でのやや高めというレベルなので
こんなものと思います。
元が、HbA1c10.0%とかなら、スーパー糖質制限食1ヶ月後には、8.0%くらいになり、2ヶ月後には6.0%
くらいの速度で改善します。

尿酸 6.5mg/dl → 7.5mg/dl(H)

こちらは、摂取エネルギーがやや少なめだったか、ストレスが多かったかとかが考えられます。
2018/08/23(Thu) 19:16 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございます
お忙しい中、早速のご回答をいただき、ありがとうございました。
脂質データが良いということで、一安心しました。
今後は、空腹時血糖と尿酸値を下げることを目標に、スーパー糖質制限食を続けていきます。
どうもありがとうございました。
2018/08/23(Thu) 19:51 | URL | John | 【編集
先生はじめまして。

がん細胞はブドウ糖を好み、どんどん消費すると聞きました。
高血糖のせいで癌ができてしまうのではなく、慢性的な高血糖を改善する目的の為に癌細胞が作り出されているとは考えられないでしょうか?
2018/09/05(Wed) 14:22 | URL |  | 【編集
Re: タイトルなし

人体が、慢性的な高血糖を処理するために、
血糖を大量に消費する組織を創世した可能性はあり得ると思います。

その血糖処理装置が、何らかの理由で
制御不能になったら「がん」誕生ということになりますね。
2018/09/05(Wed) 20:37 | URL | ドクター江部 | 【編集
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