糖質制限食。乳製品。人類の進化。癌。JPHC研究。
【18/07/08 Mari7270
チーズの摂取について。
初めまして。最近自分の妊活と健康、子供の食育のため糖質制限を始めました。29歳女です。肉魚チーズナッツ類が好きなので自分にぴったりな食事法だと思っています。糖質制限を進める上で不安に思っている点があるので質問させて頂きます。(『がんに負けないからだをつくる 和田屋のごはん」 』和田洋巳著)この本に乳製品をとる事でがんを育てるとかいてあったので、糖質制限食でチーズを積極的に取っても癌に関して問題ないのだろうかという点です。牛乳には多くのIGF-1が含まれており、これはがんを増殖させるmTORを活発にしてしまう。IGF-1を含んでいる乳製品をとる事でがんを育てる働きに、関与している考えられるとかいてありました。江部先生の糖質制限に関する本や宗田先生のケトン体の本には糖質ががんのエサになるから糖質制限はがんにも良いという趣旨の事は書いてあったと思いますがチーズとがんの関係性に関して触れてる箇所が見当たらなかったので、こちらで先生のご意見が伺えればと思いコメントさせて頂きました。昨年義理姉が31歳で癌で亡くなったので、がんにならない食生活を身に付けて続けていきたいと思っています。お時間ありましたらご回答いただければ幸いです。】


Mari7270 さん
食育と妊活に糖質制限食、とても良いと思います。

糖質制限食は、狩猟・採集時代、
700万年間の人類本来の食事であり人類の健康食です。
従って、がんを含めて、様々な生活習慣病の改善効果が期待できます。

人類が穀物を摂取開始したのは、
世界史的には、
現在の中東シリアの辺りでの麦の栽培からで、約10000年前からです。
日本では、稲作は弥生時代以降なので約2500年前からです。

このように、人類の進化の歴史から考えてみると
糖質制限食が極めて優れた疾病改善のポテンシャルを有していることは
当然のことと言えます。

和田洋巳医師の
「牛乳には多くのIGF-1が含まれており、これはがんを増殖させるmTORを活発にしてしまう。」
というのは、一個人の仮説であり、エビデンスではありません。
確かに体内の過剰なIGF-1は、がんを育てる作用がありますが
通常の食生活(乳製品も含む)で、過剰となることはありません。
IGF-1には、血糖を下げたり成長ホルモンの分泌を促すなど、
身体を健康に維持するなど好ましい働きがあるのです。

さて
『食後血糖値の上昇』『高インスリン血症』
活性酸素を発生させて、『酸化ストレスリスク』となります。
酸化ストレスは、
癌・糖尿病合併症・動脈硬化・老化・アルツハイマー病・パーキンソン病
などの元凶です。

『食後血糖値の上昇』と『高インスリン血症』を防ぐことができる
食事療法は『糖質制限食』だけです。

従って、糖質制限食実践により、
癌・糖尿病合併症・動脈硬化・老化・アルツハイマー病・パーキンソン病などの
予防が期待できると思います。

最後に、乳製品とがんについてのエビデンスは、以下が参考になります。


☆☆☆
国立がん研究センター
多目的コホート研究(JPHC Study)
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/317.html

【乳製品をよく摂取するグループで前立腺がんになりやすい】

今回の研究では、乳製品をたくさん摂取すると前立腺がんのリスクが高くなりましたが、
一方、乳製品の摂取が、骨粗鬆症、高血圧、大腸がんといった疾患に予防的であるという報告も多くあります。
したがって、乳製品の摂取を控えた方がいいかについては、総合的な判断が必要であり、
現時点では結論を出すことはできません。
今後、乳製品の利益と不利益のバランスを明らかにするような研究が期待されます。




江部康二
コメント
ケトン食論文集
「脳と発達」のケトン食に関する論文集

Vol. 44 (2012) No. 1 p. 50-54
Flumazenil-PET所見の変化からみたケトン食の抗けいれん作用についての考察
https://doi.org/10.11251/ojjscn.44.50

Vol. 45 (2013) No. 4 p. 288-293
ケトンフォーミュラによるケトン食療法中の血清セレン, 亜鉛, 銅の変化
https://doi.org/10.11251/ojjscn.45.288

49 巻 (2017) 6 号 p. 413-417
ケトン食療法が著効した徐波睡眠持続性棘徐波を呈する非定型良性部分てんかんの男児例
https://doi.org/10.11251/ojjscn.49.413

ケトン食療法が有効であった難治頻回部分発作重積型急性脳炎 (AERRPS) の1例
49巻(2017) 4号 283-284
https://doi.org/10.11251/ojjscn.49.283

ケトン食療法の有効性と課題
2018年50巻3号 p203-205
DOI https://doi.org/10.11251/ojjscn.50.203
2018/07/09(Mon) 21:04 | URL | 中嶋一雄 | 【編集
糖質制限の是非、誌上ディベート
2018/07/09(Mon) 21:20 | URL | 中嶋一雄 | 【編集
Re: ケトン食論文集
中嶋一雄 先生

たくさんのケトン食の論文情報をありがとうございます。
2018/07/10(Tue) 10:55 | URL | ドクター江部 | 【編集
特定の作業(仕事)と血糖値の変動について
いつもコメンとありがとうございます。
期間7ヶ月、1日平均50gの糖質制限をしているものです。
私は職業柄、コンピュータのプログラミングの作業をするのですが、作業開始後、特に午後に血糖値が急激に下がる事に気がつきました。他の作業(仕事)では下がることはありません。先日はリブレの測定値で40未満まで下がり、センサーの不良も考えたのですが、翌日には通常の血糖値に戻っています。再現性もあり、3度目です。
コンピュータプログラミングという特定の作業(頭脳労働)で血糖値が変動する事はあるのでしょうか。ケトン体のおかげか特に体調に変化はありません。
2018/07/10(Tue) 13:55 | URL | 西村典彦 | 【編集
Re: 特定の作業(仕事)と血糖値の変動について
西村典彦 さん

一般用のリブレは、かなり測定値に誤差があります。
医療機関用のリブレプロはそれほどの誤差はありません。

人体のメカニズムで、赤血球のために、血糖値を維持するシステムが糖新生です。
グルカゴン、成長ホルモン、副腎皮質ホルモン、グルカゴン、アドレナリン・・・多くのホルモンで
血糖値確保のために糖新生のバックアップをしています。
つまり、SU剤などの薬を飲んでいない限り、そう簡単に低血糖にはなりません。

一方、血糖値を下げるのはインスリンだけで、バックアップがありません。
700万年間、血糖値を下げる必要があまりなかったためと思われます。

従いまして、リブレで低血糖の数値が出たとき、血糖自己測定器で即確かめるのが確実と思います。
2018/07/10(Tue) 16:15 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 糖質制限の是非、誌上ディベート
中嶋一雄  先生

情報をありがとうございます。

「糖質制限の是非、誌上ディベート」は
アンチエイジング医学2018年6月号に掲載されました。
2018/07/12(Thu) 06:52 | URL | ドクター江部 | 【編集
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