fc2ブログ
糖質制限食による体重減少効果について。
こんにちは。
糖質制限食による体重減少効果に関して、
よく質問がありますので考察してみます。

スーパー糖質制限食なら、
運動量不変で、体脂肪が減ります。
例えば、血中総ケトン体の基準値は、
26~122μM/Lですが、スーパー糖質制限食実践中は、
400~1000~2000μM/Lくらいに上昇します。
肝臓で脂肪酸の分解物のアセチルCoAからケトン体を作ります。
ケトン体の上昇は、まさに脂肪が燃えている証拠ですね。

かくいう私も、52歳のとき、167cm、67kgから、スーパー糖質制限食実践で、
運動量は不変で、半年で57kgに減量し、学生時代の体重に戻りました。
階段は駆け上がるし、週1テニスは普通にしてましたので、
筋肉量は維持できていて、脂肪が燃えて減量できたと考えられます。
68歳現在も57kgで維持していて、階段は駆け上がります。
但し、4階くらいまでですが・・・。(^^;)
現在も筋肉は年齢相応ていどはあると思いますし、
歩く速度もかなり速いほうです。。
しかし筋肉量を増やすには筋トレが必要ですので、
増えてはいないと思います。


<インスリン>
それではまず、インスリンについて考えて見ます。

◇インスリンは脂肪細胞内の中性脂肪分解を抑制。
◇インスリンは血中の中性脂肪を分解し脂肪細胞内に蓄える。
◇インスリンは筋肉細胞に血糖を取り込ませるが、
  余剰の血糖は脂肪細胞に取り込ませ て中性脂肪として蓄える。
◇肥満のメカニズムはインスリンによる脂肪蓄積。


このようにインスリンには脂肪を蓄える作用があるので、
別名肥満ホルモンと呼ばれています。
そしてインスリンを大量に分泌させるのは、糖質のみです。
たんぱく質もインスリンを少し分泌させますが、脂質は分泌させません。

『糖質摂取→血糖上昇→インスリン分泌→脂肪蓄積』
このシステムは、狩猟・採集時代には、飢餓に対するセーフティーネットとして
おおいに役立っていたのですが、皮肉なことに現代では肥満の元凶となっています。


<スーパー糖質制限食の4つの利点>


◆<糖質制限食による体重減少効果>
①インスリン(肥満ホルモン)が基礎分泌以外ほとんど出ない。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食により、食事誘発熱産生(DIT)が亢進する。

高蛋白食は、摂食時の食事誘発熱産生(DIT)が通常食に比べて増加します。
DITによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質で30%です。

食事誘発熱産生(DIT)を、もっと簡単に説明すると、食事において
100キロカロリーの糖質だけを摂取した時は、6キロカロリーが、
100キロカロリーの脂質だけを摂取した時は、4キロカロリーが、
100キロカロリーのタンパク質だけを摂取した時は、30キロカロリーが
熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。


◆<糖質を摂取した場合>
A)血糖値が上昇してインスリン(肥満ホルモン)がたっぷり分泌される。
B)体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C)肝臓の糖新生はストップする。
D)高タンパク食よる亢進した食事誘発熱産生(DIT)はなくなる。

①②③④とA)B)C)D)両者を比べてみれば、高糖質食より糖質制限食の方が、
体重減少効果が高いことが一目でわかると思います。

たとえ低脂質食でカロリー制限していても、糖質を摂れば体重減少への利点がすべて消えてしまうわけです。
これは食べ物に含まれるカロリーとは無関係の生理学的な特質であり、あくまで糖質を摂るかどうかがカギとなります。


<摂取エネルギーと消費エネルギー>

1)摂取エネルギー > 消費エネルギー   → 体重増加
  摂取エネルギー = 消費エネルギー   → 体重不変
  摂取エネルギー < 消費エネルギー   → 体重減少

2)通常のカロリー制限食(高糖質食)なら
  「消費エネルギー=基礎代謝量+身体活動量(運動や家事)+食事誘発熱産生(DIT)

3)糖質制限食なら、高糖質食の時には無い
 「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
 「高蛋白食摂取」→食事誘発熱産生(DIT)の増加
 が認められる。

1)は生理学的事実です。
2)3)を比較すると糖質制限食の方が高糖質食に比し、体重が減少しやすいことは明白です。


<推定エネルギー必要量と糖質制限食>

減量を目指す時に、日本糖尿病学会推奨のように

男性:1400~2000kcal/日
女性:1200~1800kcal/日

といった、厳しいカロリー制限は必要ありません。
「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

推定エネルギー必要量/日
                  男性                  女性
15-17才         2500 2850 3150           2050 2300 2550kcal
18-29才         2300 2650  3050          1650  1950   2200
30-49才         2300 2650  3050            1750  2000  2300
50-69才         2100 2450  2800           1650  1900 2200 
70才           1850 2200  2500            1500  1750 2000

身体活動レベル    低い 普通 高い         低い  普通  高い

くらいが目安です。

このように、冷静に理論的に考えると、糖質制限食以外で減量することは極めて困難であることがわかると思います。



<基礎礎代謝が低い場合は?>
基礎代謝が低いタイプの人は
「糖質制限+カロリー制限」が必要です。
女性に時にあり、数%くらいの比率です。



<大食漢タイプの場合は?>
大食いの方々がおられます。やはり数%の比率です。
このタイプは
「糖質制限食+人並みの摂取カロリー」が必要です。



<減量できないときは?>

1)
いつのまにか、糖質制限が緩くなった可能性があります。

2)
何らかの理由で、基礎代謝が低下した可能性があります。

3)
知らぬ間に、摂取カロリーが多くなった可能性があります。

4)
すでに、BMI20以上~25未満で適正体重になっていることがあります。



江部康二
コメント
ご参考です
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100015/051500045/
芋焼酎と日本酒、ビール、食後の血糖値上昇が低いのはどれか?
2018/06/20(Wed) 16:10 | URL | yanosono | 【編集
いつもお世話になっております。
こんにちは。
いつも楽しく拝見しております。
過去に何度か糖質制限をしたことがありいつもある程度の成果を得ております。
今回も昨年、怪我とストレスで体重が増加してしまったので糖質制限を実施して4週間が経過しました。
46才男性事務職です。
毎朝5-10kmのランニングをしております。
今回は朝食抜き(もともとあまり食べることはない食生活)、昼はサラダ(海藻、きのこ類入)と鶏胸肉もしくは豚肉、夜は茶碗少なめ1杯の雑穀米や麺類少々を食べる時もある程度で主にストレスのない程度に家族とおかず中心の食事に低糖質の発泡酒等を350ml缶4-5本という感じで2食は主食抜きで間食やジュース類なし(もともとほとんど口にしない)の生活です。
3年ほど心拍計付の活動量計を腕に装着して記録しています。
今回、体重は平均して2.5kgマイナス、体脂肪率もマイナス2%とBMIは23台から22台へと順調に減量できているのですがひとつ問題が。
お酒に極端に弱くなりました。いつもの量を飲んでいるのにそのまま居間で眠ってしまうことが増え翌日も軽い二日酔い状態ということが増えました。
他サイトで水分量が減るので水分摂取を心がけるようにとあったので飲んでいる最中に炭酸水や烏龍茶を飲むようにしてこれは改善しました。
もうひとつは2週間経過したころから時折頭痛が出るようになりました。
思い当たるのはもともと軽度高血圧症なので測ってみると下が100前後で上が150近い数値でした。もともと似たような感じですが1年前に毎日計測していた時人比較すると若干高くなっています。
前述の活動量計の記録を確認すると安静時心拍数は糖質制限をはじめる前は52-54程度だったのが57-60と明確に上昇しております。糖質制限を開始した翌日から数値が上昇しています。
安静時心拍数の上昇、血圧の上昇(元々軽度高血圧症ではあるにしろ)は糖質制限となにか関係はありますでしょうか?またずばり間接的にでも頭痛を誘発することは考えられますでしょうか?よろしくお願いします。

PS 運動時の心拍数は糖質制限前後で特に上がりやすくなったとは感じていません。

2018/06/21(Thu) 11:05 | URL | 登山好きのランナー | 【編集
Re: いつもお世話になっております。
登山好きのランナー さん


「安静時心拍数の上昇、血圧の上昇」

は糖質制限とは無関係と思います。
糖質制限をすると、血圧は下がることが多いです。
糖質制限と心拍数の変動は聞いたことがありません。

原因としては、運動量のわりに、摂取エネルギーが少ない可能性があります。
2018/06/22(Fri) 07:36 | URL | ドクター江部 | 【編集
お返事ありがとうございます。
糖質制限による影響がないということがわかって安心しました。
が、心拍数に関しては聞いたことがないということですが糖質制限を開始したのとタイミングが同じでどこかに因果関係があるのでは?と素人ながら考えてしまいますね。
ありがとうございます。
目標体重まで減量できたら徐々にゆるやかな糖質制限食に戻そうと考えておりますのでその時に安静時心拍数がどう変化するのか確認してまたご報告させていただきます。
もうひとつ、以前の記事で登山でのシャリバテのことを書かれており実際自分もほとんど食べることなく登山をするのですがフルマラソン大会ではどうしても心配で栄養ゼリー等を補給します。糖質制限をしている時も糖質の補給は不要という記事も読みましたが市販の携行食やゼリーは糖質を多く含んだものばかりですがそういうものは逆に摂取すると悪影響でしょうか?携行するならこういうものが良いというものがあれば教えていただけますでしょうか?それとも結論的には水分補給のみで何も摂る必要はないと考えて良いのでしょうか?
2018/06/22(Fri) 11:05 | URL | 登山好きのランナー | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可