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『糖質制限食十箇条』 2018年6月版
こんにちは。

糖尿病の人や肥満・メタボリックシンドロームや生活習慣病の人の
治療と予防には 糖質制限食がベストの食事療法です。
そして 『糖質制限食』実践により、
糖尿病の人では
「食後高血糖(グルコーススパイク)」と「平均血糖変動幅増大」
が予防でき、血糖コントロール良好となります。
耐糖能正常型の人においても、「グルコースミニスパイク」が予防できるので、
生活習慣病の予防・治療ができます。
このことが食事療法において根源的に大切です。

今回は
『糖質制限食十箇条』2018年6月版
の紹介です。

『糖質制限食十箇条』
-糖尿病や肥満が気になる人に-

一、 糖質の摂取を減らす。可能なら一回の食事の糖質量は20g以下とする。
二、 糖質制限した分、タンパク質や脂質が主成分の食品は充分量食べる。
三、やむを得ず主食(ご飯、パン、麺類など)を摂るときは少量とする。
四、水、番茶、麦茶、ほうじ茶などゼロカロリー飲料はOK。果汁・清涼飲料水はNG。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類はOK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)、糖質ゼロ発泡酒はOK。辛口ワインも適量OK。
醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツはNG。
十、可能なら化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。

*糖尿病の人がやむを得ず糖質を摂取するときは、食直前に、「αGI剤」か「グリニド系薬剤」を内服すると、
食後高血糖がある程度防げる。
*牛乳は100mlくらいならOK。成分未調整豆乳は200mlくらいOK。
*昆布は出汁をとるのは良いが、食べるのは糖質含有量が多いのでNG。
*肉と魚貝の摂取量は<1:1>が目安。
*経口糖尿病薬やインスリン注射をしている糖尿人は、必ず医師と相談してください。

『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。1回の食事の糖質量は20g以下。
二、スタンダード糖質制限食は、一日一回(朝か昼)少量の主食あり。夕食は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。朝と昼は少量の主食あり。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。


抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。

魚貝・肉・卵・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べる。

糖質制限食実践後に好ましくない症状(力が入らない、しんどい、髪が抜ける、生理がとまる・・・など)が出現した人のほとんどにおいて、実際にはカロリー不足が認められます。

糖質制限食はカロリー制限食ではありません。
摂取カロリーの目安は厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」です。
摂取エネルギーが足りていれば、好ましくない症状が出現することはほとんどありません。

糖質制限食の理論的根拠
1、血糖値を直接上昇させるのは糖質だけで、たんぱく質・脂質は上昇させない。
2、糖質を摂取しなければ血糖値は上昇しない。
3、糖質制限食を実践すれば食後血糖値はほとんど上昇せず糖尿病は改善する。
4、食前・食後の血糖値血糖変動幅が少ないので生活習慣病の予防ができる。
5、食後血糖値の上昇が極めて少ないので、追加分泌インスリンも少量ですむ。
6、過剰なインスリンは肥満・がん・アルツハイマー病などのリスクとなるので、
 血糖コントロールができる限りで少量であるほど身体にはいい。
 

ということで、とてもシンプルです。
上記6つは、生理学的な事実やエビデンスがあることですので信頼度は高いです。

☆☆
なお本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため、既に経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は
低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、
以下の本などを参考にされて、
自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。

推奨著書
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」2015年(ナツメ社)
「糖質オフ!健康法」2016年3月(PHP研究所 )
「人類最強の糖質制限論」2016年4月(SB新書)
「増補新版食品別糖質量ハンドブック」2016年6月(洋泉社)
マンガでわかる「糖質オフ! 」健康法2016年12月、(PHP研究所 )
外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年(毎日新聞出版)
「江部康二の糖質制限革命」2017年(東洋経済新報社)

レシピ
「電子レンジで糖質オフの作りおき」 2016年10月(宝島社)
「やせぐせがつく糖質オフの作りおき 」2017年3月(宝島社)
「高雄病院の糖質制限作りおき 」2017年5月(洋泉社)
「作りおきおかずで簡単! 朝・昼・晩 糖質オフのダイエット献立」(家の光協会)2017年10月


江部康二
コメント
昆布の糖質
だし用の素干し昆布100gでだしを取った後の昆布の重量は約5倍になります。(柔らかくなるまで煮ると6倍)
よって、糖質は約25.1g/500g、100gあたり約5gとなります。

家庭(4~6人分)で素干し昆布20gを使って、だしを取った後の昆布の重量は約100gとなります。
(是非お試しください)

●利尻昆布/素干し(可食部100g当たり)
・エネルギー:138kcal
・水分:13.2g
・タンパク質:8.0g
・脂質:2.0
・糖質:25.1g
・食物繊維:31.4g
・灰分:20.3g
日本食品標準成分表2015年版(七訂)

私はだしを取った後の昆布を、刻んだり煮物にして、いつもおいしく食べています。
なお、一度に食べる量が25~50g(糖質1.25~2.5g)ですので、血糖値の上昇はほとんどありません。
2018/06/10(Sun) 23:12 | URL | オスティナート | 【編集
糖質制限食について
初めまして。宗田哲男先生の「ケトン体が人類を救う」、溝口徹先生の「オーソモレキュラー療法入門」から、江部先生のブログを知り、コメントさせて頂きました。
 
糖質制限食を行う場合、カゼイン不耐症の場合はどのように脂質を摂取したらよろしいでしょうか?

私は現在、尋常性乾癬を持っていまして、ドボベット軟膏(ビタミンD+副腎皮質ホルモン剤)による治療を行っています。皮膚のオーバーターンが速いので、赤み⇒丘疹⇒鱗屑落屑を4~5日周期でずっと繰り返していましたが、オーソモレキュラーを読んで、市販のヘム鉄+ビタミンB群+ビタミンCのサプリメントを摂取するようになってから(2週目)、頭皮に於いてですが、ほとんど赤みが無くなり今の所鱗屑は出来ていません。

自分でもとても驚いておりますが、臀部や鼠径部はまだ明らかな変化は見られません。

年齢は40歳、身長は167㎝で、体重は66キロから61.5まで落とすことが出来ました。(BMI22)

朝は、
豆乳、バナナ1本、チアシード、ホエイプロテインのスムージーのみ。

昼は、
納豆のみ

夜は、
ごはん半膳とタンパク質は多めに摂っています。

これに、体幹トレーニング等を併せて行っています。


頭皮の状態が良くなっていますので、軟膏の塗布頻度を毎日から2日に一回に減らしています。

お腹の状態は昔からよくなく、下痢が多くて一度痔の手術(ポリープ切除)を行っています。

腸内環境も良くないんじゃないかと思います。

先生方が提唱されている糖質の考え方に深く共感しています。
今まで(現在も)常識とされていることが間違えだったんだと深く気が付くことが出来ました。


私もケトン体代謝になれば、もっといろいろ改善していけそうな気がします。
いろいろ試していきたいですが、間違ったやり方にならないように江部先生のアドバイスを頂きたいです。

ご多忙だとは思いますが、何卒ご指導の程宜しくお願い致します。
2018/06/11(Mon) 18:43 | URL | osamu | 【編集
Re: 糖質制限食について
osamu さん

カゼインは牛乳や母乳にに含まれるたんぱく質です。

従って、牛乳や乳製品を避ければ、あとは普通に糖質制限で良いと思います。

尋常性乾癬は、スーパー糖質制限食で改善することが多いです。
バナナは糖質が多いです。
チアシードも糖質多めです。
従って、バナナやチアシードはスーパー糖質制限的にはNGです。

胃腸の具合も、スーパー糖質制限食で、改善することが多いです。
2018/06/12(Tue) 11:54 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質制限食について
江部先生

お返事いただき有難うございます!

尋常性乾癬は、スーパー糖質制限食で改善することが多いんですね!!ということは、他にも改善されている方は結構いらっしゃるんでしょうか??

難治性の疾患と言われているので、このままステロイド配合剤等をこれからも使用していくのか不安でした。表皮も薄くなり、痛みも出てきてたので、少し希望が持ててきました。

フルーツで太った人は見たことないと勝手に思っていましたが、やはり果糖も良くないんですね。

先生が出版された、「良く分かる!すぐできる!糖質オフ!健康法」を注文したので、是非スーパー糖質制限食を実践してみたいと思います。

スーパー糖質制限食で、この疾患が改善されれば、同じように悩んでいる方たちに大きな希望となると思います。

またいい経過があればご報告いたします。

本当に有難うございました!!
2018/06/12(Tue) 16:27 | URL | osamu | 【編集
Re: 糖質制限食について
osamu さん

症例数はまだ少ないですが、スーパー糖質制限食で、多くの場合尋常性乾癬が改善します。
尋常性乾癬も、伝統的食生活の頃のイヌイットにほとんど無かった病気の一つです。
イヌイットの伝統的食生活はまさに、スーパー糖質制限食でした。
2018/06/13(Wed) 13:12 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質制限食について
江部先生

そうなんですね!
イヌイットの様な食生活が出来るか自信ないですが、スーパー糖質制限食で限りなく近づけるように取り組んでいきます。

早速、江部先生の「食品別糖質量ハンドブック」を拝読させて頂いてます。

糖質30-60グラムに近づけるように、妻と協力しながら取り組みます。

ご多忙中、アドバイス頂き有難うございました!!
2018/06/13(Wed) 16:07 | URL | osamu | 【編集
糖質制限食について
江部先生

何度も申し訳ありません。
もう一つ質問なのですが、低血糖と言われている人には糖質制限食は禁忌なのでしょうか?
 
ケトン体エンジンになってない場合は無理に行わない方がよろしいでしょうか?

糖質エンジンからケトン体エンジンになったかどうかを判断するのは、血液検査で確定になるのでしょうか?

自己判断や、検査キットでの判別は可能でしょうか?

新たな疑問がいろいろ出てきまして・・・
2018/06/13(Wed) 17:45 | URL | osamu | 【編集
Re: 糖質制限食について
osamu さん

機能性低血糖症は、糖質摂取とそれに伴う、インスリン過剰・遷延分泌が原因です。
従って糖質制限食が有効です。

尿の試験紙で、ケトン体を測定できます。
また、血中ケトン体の測定キットもあります。

例えばアボット社の
プレシジョン エクシード
です。

2018/06/14(Thu) 18:32 | URL | ドクター江部 | 【編集
チアシードについて
江部先生

なるほどですね、よく理解できました!!
ケトン体測定キットもいろいろあるんですね、プレシジョンエクシード試してみたいと思います!
ありがとうございます。

あと、先日ご質問しましたチアシードについてなんですが、

私が使っていました、「ABSOLUTE ORGANIC チアシード1.5㌔」(ホワイトチアシードではなく黒)なんですが、成分表を見てみると、炭水化物は

Serving per pack: 50 / Serve size: 20g

per serve /   per 100g
Carbohydrate 1.8g 8.9g
-Fibre 6.6g 33.2g
-Sugars 0.04g 0.2g

と表記されていました。

チアシードは、
必須アミノ酸含む18種類のアミノ酸、食物繊維(グルコマンナン)、ω-3脂肪酸(α-リノレン酸)、ビタミン、ミネラル、ポリフェノールが含まれているらしいのですが、やはりこれは摂取しない方がベターなのでしょうか?

表記の通りであれば、大さじ1杯程度であれば糖質も許容範囲以下で、江部先生の提唱するスーパー糖質制限食で摂取しても良さそうな気がするのですが、やはり使用は控えた方がよろしいでしょうか?

2018/06/15(Fri) 13:59 | URL | osamu | 【編集
Re: チアシードについて
osamu さん

チアシード大さじ1杯くらいなら、糖質量も許容範囲と思います。
2018/06/15(Fri) 18:37 | URL | ドクター江部 | 【編集
チアシードについて
江部先生

分かりました、しばらく続けてみます!
ご多忙中ご返信いただき誠に有難うございました。
2018/06/18(Mon) 08:32 | URL | osamu | 【編集
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