うつ伏せ寝と仰向け寝
【18/05/16 稲田修三
うつ伏せ寝と仰向け寝
江部先生
大変お世話になっております。
数年前、夏井先生のホームページから江部先生のブログにたどり着き、以来毎日楽しく、興味深く拝見しております。
著書も購入させていただき、家族で糖質制限をしております。

さて、14日付のブログにて「うつぶせ寝」について書かれていましたので、歯科医師の立場から見解を述べさせていただきます。

私は、1歯科医師としまして「うつぶせ寝」は推奨しておりません。「仰向け寝」を推奨しております。

歯科医師の福岡雅先生は2015年恒志会会報の中「実は寝相で決まる歯並び」で次のように述べられています。
以下引用(要約)始め

様々な体癖・態癖のうち、ほとんどは昼間の癖です。人は昼間には様々な仕事をして身体の一部を酷使し、そこに潜む体癖・態癖によって身体が歪みます。心も疲れます。これが業務上のことであればやむを得ない場合のほうが多いでしょう。デスクワークで時々頬杖を突いたり、電話応対で斜頸になったり、歯科医師・歯科衛生士、理容師・美容師の右肩下がりなどその好例です。常態的頬杖のように意識して辞めさせるべき癖もあります。昼のことであれば意識下に置かれるので、注意して減らす~なくすことは可能で、口腔に及ぼす外力・害力はコントロールできます。
このうち睡眠態癖だけは、無意識化で長時間に及ぶものですので、よほどの注意が必要となります。うつぶせ寝を推奨される方もおられます。人類の基本的骨格は四足獣と大差なく、四足獣はうつぶせ寝が基本だからというのがその論拠のようですが、直立二足歩行をして進化した人類には人類の論理があってしかるべきです。
旭山動物園前園長・小菅正夫先生は「ゴリラやオランウータンのような高等な猿は上を向いて寝ますよ、樹上でね。」と言われました。人類は犬猫よりは猿を見習うべきでしょう。犬でも野生獣でも仰向けになることはあります。人が時々横向きやうつ伏せに寝転がるのは問題ないでしょう。しかし睡眠時には基本を仰向け寝相にし、時々横を向いても頬骨より下には何も当てないように工夫すること、そのような枕を選択することが肝要と考えます。


以上引用終わり

昔のアメリカインディアンは子供を「仰向け寝」で育てていた。
19世紀のアメリカの画家ジョージ・カトランは当時のアメリカインディアンの絵をたくさん残していますが、子供を包んで仰向け寝で育児をしている絵やデッサンを残しています。寝相が悪く口呼吸があるとどうなるかについても記されています。
私の感想ですが、部族の繁栄のために厳しい躾や掟が必要だったのでしょう。仰向け寝で鼻呼吸が最低限、必要とされたと思います。
小児矯正の成功は「うつ伏せ寝」を止めること。
子供が取り外しできるトレーナーという矯正装置を使って歯並びを良くしますが、「うつ伏せ寝」が「仰向け寝」に変えられない場合、歯列矯正治療は失敗すると書かれています。

愛知県犬山市、日本モンキーセンター所長松沢哲郎先生
「仰向け寝が人類の進化を育んだ」日経新聞2016年2月28日

以下一部抜粋始め

第1は対面のコミュニケーションである。顔と顔、目と目が合う。胸にしがみついていてはそうならない。子どもが安定してあおむけ姿勢を取れるから、見つめ合い、ほほ笑みあうコミュニケーションが発達した。
第2は、声を介したやりとりである。母親にしがみついているチンパンジーのあかんぼうは、ひもじくなれば自分で乳首を探す。人間のあかんぼうは母親と離れているので、声に出して呼ぶしかない。あかんぼうが夜泣きをするのは人間だけだ。呼ばれた母親も「ちょっと待ってね」「すぐ行くわよ」と声に出して応答する。母子の声のやりとりが、やがて子の発話につながっていく。
第3は両手の自由である。赤ん坊の体重は背中が支えているので、ガラガラやおしゃぶりを握ったり、口を介して持ちかえたりする。チンパンジーのあかんぼうの手は生後3ヵ月の間、母親の体毛を握りしめる役割しかない。人間の手は自由に物をつかみ、つまみ、指さす。生後すぐにさまざまな物を手で操ることが、後に道具を使う基盤となる。


以上一部抜粋終わり

他にもたくさんの論点がありますが、長くなるのでこの辺りにさせていただきます。

私は進化の結果として、現時点で「仰向け寝」が推奨されるべきだと思っているのですが、いかがでしょうか?

いなだ歯科医院   稲田修三】


こんばんは。
いなだ歯科医院の稲田修三先生から、
「うつ伏せ寝と仰向け寝」に関するコメントを頂きました。
とても参考になります。
ありがとうございます。

私自身、あまり本気で、「うつ伏せ寝と仰向け寝」について
考えたことがなかったので、おおいに勉強になりました。

旭山動物園前園長・小菅正夫先生は
「ゴリラやオランウータンのような高等な猿は上を向いて寝ますよ、樹上でね。」
と言われました。


なるほど、歯科医師の福岡雅先生の仰る通り、
人類は犬猫よりは猿を見倣うほうが、リーズナブルですよね。

私自身は、お酒をのむと
全面的に仰向きで寝ると、睡眠時無呼吸症候群の症状が出る恐れがあります。
なのに、まあ毎日お酒を呑んでいるわけです。(-_-;)
従って、抱き枕で横向き中心で、時々仰向けで寝ています。
これでかなり、睡眠時無呼吸が防げています。

稲田修三先生のコメントを読んで、
私自身は、兎も角として、睡眠時無呼吸症候群のない人は、
仰向けで寝る方がリーズナブルと思いました。

読者の皆さんは如何でしょう?


江部康二


コメント
NHKスペシャル
先生大変お世話になっております。余談ではありますが、NHKスペシャルで人類誕生という番組をやっていました。http://www.nhk.or.jp/special/jinrui/#summary
2018/05/17(Thu) 22:21 | URL | ギー | 【編集
うつ伏せ寝と仰向け寝についての考察
稲田先生の御指摘は一理あると思います。

確かに二足歩行を確立して新たな文化を形成したホモ・サピエンスにとって、仰向け寝は他の生物がなしえなかった新しい姿勢であり、それによって表情、発声、両手自由などの新たな発達要因が進化し、人類ならではの新たな文化への礎が形成されてきた側面は確かにあると思います。


その一方で、魚類→両生類→哺乳類と進化していく中で二足歩行を確立するまでの間、生物を基本としてきた解剖学的構造は 脊柱が上部に位置し、それを中心とした骨格がその内部に位置する種々の内臓が守られるように位置している腹臥位のポジショニングだと思います。このポジショニングが生存に最適となるように進化、というか結果的にこのポジショニングを作った生物が自然淘汰されずに生き延びてきたという事だと思います。それゆえ、腹臥位には排痰がしやすいとか、尿流停滞が起こらないとか、脊柱との位置関係で背中が圧迫されるよりお腹が圧迫される方が褥瘡ができにくいなどのメリットを生じうるのではないかと思います。

ですから人類はそうした腹臥位の初期条件に、仰臥位のオプションも加えて利用できるようにアップグレードされた生物だと解釈することができると思います。

ただどちらが長き時代の風雪に耐えてきたかと言えば腹臥位ポジションの方だと思います。システムとしてはこちらの方が安定しているので、私は仰臥位姿勢を否定するわけではありませんが、もしも仰臥位姿勢で何らかのトラブルを生じた時は、一度基礎的構造の腹臥位に立ち返ってみるというのが良いのではないかと思います。

それは高糖質食というオプションでトラブルを生じた際に基礎的である糖質制限状態に戻してみるとよいという話と共通構造を持っているように私は考えています。
2018/05/18(Fri) 08:39 | URL | たがしゅう | 【編集
寝姿
故日野原先生の推奨はうつ伏せ寝でした。ただし、グッズ使用ですね。恐れながら、私は、江部先生の寝方と同じでした。ところが、最近、起きがけに腰の上方に違和感を感じ、ベッドのへたりが原因かということで、TVショッピング的、マットを購入。すると、仰向けで寝ることが楽になりました。短時間睡眠で6時間以上寝ることはありませんが、人生100年219000時間の睡眠、奥が深いと思いました。
2018/05/18(Fri) 11:47 | URL | 北九州・東京 三島 | 【編集
Re: NHKスペシャル
ギー さん

情報をありがとうございます。

とても興味ある分野です。
見ようと思います。
2018/05/18(Fri) 18:34 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: うつ伏せ寝と仰向け寝についての考察
たがしゅう 先生

コメントありがとうございます。

「腹臥位には排痰がしやすいとか、尿流停滞が起こらないとか、脊柱との位置関係で背中が圧迫されるよりお腹が圧迫される方が褥瘡ができにくいなどのメリットを生じうるのではないかと思います。」

なるほど、こちらも説得力がありますね。

ともあれ私は、お酒を呑むので
睡眠時無呼吸症候群予防のために、
抱き枕で側臥位で寝てます。
時々仰向けです。

私の場合は、腹臥位では、何故か眠れないのです。

「人類はそうした腹臥位の初期条件に、仰臥位のオプションも加えて利用できるようにアップグレードされた生物」

とすると、あとは個人差でどの体位が、その個人にフィットするかですね。
2018/05/18(Fri) 19:22 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 寝姿
北九州・東京 三島 さん

コメントありがとうございます。

私の場合、今のところ、今の寝方で、どこも痛くないので、
合っているのかと思います。
2018/05/18(Fri) 19:24 | URL | ドクター江部 | 【編集
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