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ろかぼしぞ~か「第4回 糖質制限医療講座in静岡」のご報告
こんばんは。

静岡の糖質制限グループ「ろかぼしぞ~か」主催の講演会が
2018年5月13日(日)に開催されました。
講師は、田頭修悟先生と私の二人でした。

朝からあいにくの雨でしたが、鹿児島講演会と同様、約90名の参加者で
満員御礼となりました。
ブログ読者の皆さんにも大勢、ご参加頂き、ありがとうございました。 m(_ _)m
田頭先生が、挙手で確かめたところ、何と参加者の9割以上が糖質制限食実践中であり、
糖質制限食先進県静岡の面目躍如といったところでした。

会場は熱気に溢れて、質疑応答も活発で、
最後は時間切れとなり申し訳ありませんでした。

まず田頭先生が、70分間、
その後、私が70分間講演しました。

私は、糖質制限の最新知識や話題を提供し、
CGMの症例などを提示してお話しました。


たがしゅう先生のご講演は、
【糖質制限から学ぶ自然重視型医療】
という、演題でした。

まず最初に
130kg時代の写真と現在の90kgの写真をしっかりスライドで供覧しながら開始です。
講演会は、鹿児島に続いて2回目であり、
ご自分の体験談ですから、話しやすそうで堂々たるものでした。

体重減少だけでなく、うつ気分が改善し、食後の眠気がなくなり、
睡眠が良質となり、睡眠j無呼吸症候群から脱却し、
皮膚や歯の表面がつるつるになり、脂漏性皮膚炎が治り、
頭が冴えてきたということでした。

まさに糖質制限食の効果が集約されてますね。

ついで、糖質制限による様々な疾患(頭痛、浮腫み、うつ、アレルギー疾患、自己免疫疾患、認知症、神経変性疾患・・・)への幅広い改善・予防効果を解説されました。

【湿潤療法】
その後『湿潤療法』の実例を提示され、
湿潤療法は、身体の創傷治癒を
自然の状態に近づけつつ、少し人為的に手助けして
適切な被覆材で創面を覆うのがこつでと説明されました。

【人生を変える糖質制限】
専門医に足の切断しかないと言われていた糖尿病壊疽の男性が
「スーパー糖質制限食+湿潤療法」で
見事に治癒です。
まさに人生が変わる威力です。

そして、人間や哺乳類においては、腹臥位か側臥位が自然な睡眠姿勢であり、
仰向けは、外敵がない現代社会の特殊な産物と喝破されました。
私も賛成で、今は、抱き枕で側臥位で寝ています。

次に
【自然物と人工物】
糖質制限食は
魚貝類、肉類、卵類、野草、海藻、茸・・・など、
自然界にある食材が基本です。
すなわち、自然重視型の食事が糖質制限食の基本です。
糖質制限食は、加工品ではなく、自然な食材を中心に、
人為的に料理という手を加えるのがこつと説明され、おおいに納得しました。
自然な状態に少し、人為的に手を加える点は湿潤療法と同様ですね。

【医師主体の医療から患者主体の医療へ・・・糖質制限がその橋渡しとなる】
最後に
主体的治療と受動的治療というとても大切な概念を説明されました。
現代医療は、ほぼ「受動的医療」であり、受け身であり、
医師から処方された薬を内服し、「先生にお任せします」といったパターンです。

これに対して糖質制限は「主体的治療」となる可能性があるということです。
しかしながら「医師がしなさいというから仕方なく糖質制限している」といったスタンスでは、まだまだ受動的(他者依存)なのです。
自分自身が自分の頭で考えて良いと判断して糖質制限食を選択して実践するならば、
はじめて「主体的治療(自己責任)と」なるのです。

一方、現在の普通の食事である糖質たっぷり食は、加工品がほとんどです。
パン、菓子パン、クッキー、お菓子、清涼飲料水、練り製品、缶詰、レトルト食品
インスタント食品、冷凍食品・・・

こちらもたがしゅう先生のご提案ですが、
糖質制限は食生活において「自然」を取り戻すきっかけになるということです。
勿論私も同感です。

たがしゅう先生、good jobです。(^-^)v(^-^)v 
ご苦労様でした。お疲れ様でした。 


最後に
長谷川幸男先生をはじめ、講演会を主催して支えて頂いた
「ろかぼしぞ~か」の皆さんに深謝いたします。m(_ _)mV

江部康二

コメント
糖質の定義について質問させてください。
江部先生

はじめまして。
今年1月6日に糖尿病(空腹時血糖264、HbA1C10.0、体重約119キロ)と診断されました30歳の男です。
先生の本を4冊購入させていただき、糖質制限食+有酸素運動(1日1万歩以上)+たまの筋トレで、先日5月7日には食後1時間50分後血糖103、HbA1C5.4、体重約96キロとなり、以前よりは健康になれたかと思います。併せて、検査項目の数値もすべて正常となりました。先生には感謝しています。

質問をさせてください。

糖質制限が指す「糖質」とは何を指すのでしょうか。この糖質とは血糖を上下させるものなのか、糖質すべてとということなのでしょうか。
というのも、5月7日の検査では、ケトン体定性が陰性でした。(前回3月7日の検査では、陽性+2でした。3月頃の体重105キロ)
 4月中旬ごろから、フリースタイルリブレで、どういうものが血糖値を上げるかを人体実験しており、ロッテ0チョコレートや明治おいしいoff砂糖0チョコを食べました。血糖値がほとんど上がらなかったのでその後それらのチョコを間食でよく食べ、体重もほとんど増減しなくなりました。このチョコはマルチトールが甘味料として入っています。
 
(質問1)血糖値が上がらなかったとはいえ、マルチトールを多くとったため、尿ケトンが陰性だったのでしょうか。
(質問2)ケトン体定性が陰性ということは、血糖値が大きく上限していなくても、糖新生の状況が生まれず、ダイエットの効果がなくなり、体重が減少しなくなったということでしょうか。
(質問3)質問2の延長になりますが、スーパー糖質制限食は、血糖値の増や体内に取り入れられるかどうかにかかわらず、20グラムが上限ということでしょうか。例えば、この20グラムには、ラカントの糖質量も含まれるということでしょうか。

以上、お手すきでご回答お願い申し上げます。
2018/05/15(Tue) 15:07 | URL | 健康になりたい | 【編集
うつ伏せ寝と仰向け寝
江部先生
大変お世話になっております。
数年前、夏井先生のホームページから江部先生のブログにたどり着き、以来毎日楽しく、興味深く拝見しております。
著書も購入させていただき、家族で糖質制限をしております。

さて、14日付のブログにて「うつぶせ寝」について書かれていましたので、歯科医師の立場から見解を述べさせていただきます。

私は、1歯科医師としまして「うつぶせ寝」は推奨しておりません。「仰向け寝」を推奨しております。

歯科医師の福岡雅先生は2015年恒志会会報の中「実は寝相で決まる歯並び」で次のように述べられています。
以下引用(要約)始め

様々な体癖・態癖のうち、ほとんどは昼間の癖です。人は昼間には様々な仕事をして身体の一部を酷使し、そこに潜む体癖・態癖によって身体が歪みます。心も疲れます。これが業務上のことであればやむを得ない場合のほうが多いでしょう。デスクワークで時々頬杖を突いたり、電話応対で斜頸になったり、歯科医師・歯科衛生士、理容師・美容師の右肩下がりなどその好例です。常態的頬杖のように意識して辞めさせるべき癖もあります。昼のことであれば意識下に置かれるので、注意して減らす~なくすことは可能で、口腔に及ぼす外力・害力はコントロールできます。
このうち睡眠態癖だけは、無意識化で長時間に及ぶものですので、よほどの注意が必要となります。うつぶせ寝を推奨される方もおられます。人類の基本的骨格は四足獣と大差なく、四足獣はうつぶせ寝が基本だからというのがその論拠のようですが、直立二足歩行をして進化した人類には人類の論理があってしかるべきです。
旭山動物園前園長・小菅正夫先生は「ゴリラやオランウータンのような高等な猿は上を向いて寝ますよ、樹上でね。」と言われました。人類は犬猫よりは猿を見習うべきでしょう。犬でも野生獣でも仰向けになることはあります。人が時々横向きやうつ伏せに寝転がるのは問題ないでしょう。しかし睡眠時には基本を仰向け寝相にし、時々横を向いても頬骨より下には何も当てないように工夫すること、そのような枕を選択することが肝要と考えます。

以上引用終わり

昔のアメリカインディアンは子供を「仰向け寝」で育てていた。
19世紀のアメリカの画家ジョージ・カトランは当時のアメリカインディアンの絵をたくさん残していますが、子供を包んで仰向け寝で育児をしている絵やデッサンを残しています。寝相が悪く口呼吸があるとどうなるかについても記されています。
私の感想ですが、部族の繁栄のために厳しい躾や掟が必要だったのでしょう。仰向け寝で鼻呼吸が最低限、必要とされたと思います。
小児矯正の成功は「うつ伏せ寝」を止めること。
子供が取り外しできるトレーナーという矯正装置を使って歯並びを良くしますが、「うつ伏せ寝」が「仰向け寝」に変えられない場合、歯列矯正治療は失敗すると書かれています。

愛知県犬山市、日本モンキーセンター所長松沢哲郎先生
「仰向け寝が人類の進化を育んだ」日経新聞2016年2月28日
以下一部抜粋始め
第1は対面のコミュニケーションである。顔と顔、目と目が合う。胸にしがみついていてはそうならない。子どもが安定してあおむけ姿勢を取れるから、見つめ合い、ほほ笑みあうコミュニケーションが発達した。
第2は、声を介したやりとりである。母親にしがみついているチンパンジーのあかんぼうは、ひもじくなれば自分で乳首を探す。人間のあかんぼうは母親と離れているので、声に出して呼ぶしかない。あかんぼうが夜泣きをするのは人間だけだ。呼ばれた母親も「ちょっと待ってね」「すぐ行くわよ」と声に出して応答する。母子の声のやりとりが、やがて子の発話につながっていく。
第3は両手の自由である。赤ん坊の体重は背中が支えているので、ガラガラやおしゃぶりを握ったり、口を介して持ちかえたりする。チンパンジーのあかんぼうの手は生後3ヵ月の間、母親の体毛を握りしめる役割しかない。人間の手は自由に物をつかみ、つまみ、指さす。生後すぐにさまざまな物を手で操ることが、後に道具を使う基盤となる。
以上一部抜粋終わり

他にもたくさんの論点がありますが、長くなるのでこの辺りにさせていただきます。

私は進化の結果として、現時点で「仰向け寝」が推奨されるべきだと思っているのですが、いかがでしょうか?

いなだ歯科医院   稲田修三
2018/05/16(Wed) 00:07 | URL | 稲田修三 | 【編集
Re: 糖質の定義について質問させてください。
健康になりたい さん

健康増進法によれば
①栄養表示基準上は、たんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。
②炭水化物=糖質+食物繊維
③糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
④糖類=単糖類+二糖類

1)
その可能性はあります。
2)
糖質制限食を開始して、3ヶ月から半年経過すると、身体が血中ケトン体をよく利用するようになり
 血中ケトン体が1000くらいあっても、尿中には出なくなります。
 正確には血中のケトン体を測定する必要があります。
3)
エリスリトールなど血糖値を上昇させない糖質は、糖質量にカウントしなくて良いです。
一回の食事の糖質量20g以下がスーパー糖質制限食の目安です。

私自身は、一回の食事の糖質量は10gくらいで、昼夕の一日2食です。
朝はブラックコーヒーあるいは「コーヒー+少量の生クリーム」です


2018/05/16(Wed) 20:40 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: うつ伏せ寝と仰向け寝
稲田修三 先生

大変参考になります。
コメントをありがとうございます。
2018/05/16(Wed) 20:44 | URL | ドクター江部 | 【編集
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