2018年05月11日 (金)
こんにちは。
18/05/01の本ブログ記事で
『喫煙がなければ、飲酒で顔が赤くなるタイプでも、
飲酒単独では、大量に呑んでも食道ガンのリスクにならない。
喫煙指数20以上のヘビースモーカーでは影響が現れる。』
と述べました。
げにタバコの害、恐るべしです。
喫煙の量を示す国際的な指標として、喫煙指数 Pack-yearsがあります。
Pack years=(1日の喫煙本数/20本)×喫煙年数という計算法です。
すなわち「1日のタバコの箱数×年数」という意味です。
今回は、飲酒とがん全体の発生率について、考えてみます。
私は、タバコは吸いませんが、お酒はそこそこ飲むので、
おおいに気になるところです。
結論としては、喫煙がなければ、
飲酒量が増えても、がんの発生率は不変ということです。
タバコを吸わない酒飲みには、とても嬉しいお話しですね。 (^_^)
以下、
国立がん研究センター
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/269.html
飲酒とがん全体の発生率との関係について
から、要約してみました。
【―多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果報告―
平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、アンケート調査。
そのうち、40~59歳の男女約73,000人について、
その後平成13年(2001年)まで追跡した調査結果に基づいて、
飲酒とがん全体の発生率との関係について調べた結果を、
論文発表。(British Journal of Cancer 2005年92巻182-187ページ)。
お酒も量が過ぎれば将来がんになりやすい
調査開始時の飲酒の程度により6つのグループに分けて、
その後のがん全体の発生率を比較。
調査開始から約10年間の追跡期間中に、
調査対象者約73,000人のうち約3,500人が何らかのがんに罹患。
時々飲酒しているグループと比べると、
男性では、アルコール摂取量が日本酒にして1日平均2合未満のグループは、
がん全体の発生率は変わりなし。
一方、飲酒の量が1日平均2合以上3合未満のグループは、
がん全体の発生率が1.4倍、
1日平均3合以上のグループは、1.6倍。
(日本酒1合と同じアルコール量は、焼酎で0.6合、泡盛で0.5合、ビールで大ビン1本、ワインでグラス2杯(200ml)、ウイスキーダブルで1杯。)
女性では、定期的に飲酒する人が多くないためか、
はっきりした傾向がみられず。
飲酒と喫煙が重なるとがんの発生率が高くなる
この結果を、たばこを吸う人と吸わない人とに分けてみてみたところ、
たばこを吸わない人では、飲酒量が増えても、がんの発生率は不変。
ところが、たばこを吸う人では、飲酒量が増えれば増えるほど、
がんの発生率が高くなり、ときどき飲むグループと比べて、
1日平均2-3合以上のグループでは1.9倍、
1日平均3合以上のグループでは2.3倍がん全体の発生率が増加。
このことから、飲酒によるがん全体の発生率への影響は、
喫煙によって助長されることがわかる。
もちろん、口唇・口腔・咽頭・食道・肝・喉頭(注)など、
飲酒と特によく関連していると考えられているがんだけでみてみると、
喫煙していなくても飲酒量が増えればがんの発生率が高くなるが、
喫煙が重なることにより、さらに発生率が高くなるという結果になった。
飲酒と喫煙が重なるとなぜいけないのか
お酒に含まれているエタノールは分解されてアセトアルデヒドになるが、
これががんの発生にかかわると考えられている。
そして、喫煙者では、エタノールをアセトアルデヒドに分解する酵素が、
たばこの煙の中に含まれる発がん物質を
同時に活性化してしまっているとも考えられている。
やはり多量飲酒はよくない
この研究からは、何らかのがんになりにくくするには、
日本酒換算で一日平均2合以上の多量飲酒は慎んだ方がいいといえる。
しかし、同じ多目的コホート研究からの結果では、
最近増加している糖尿病や大腸がんなら、
一日平均1合を超えると危険性が高くなるという結果となっている。
いろいろな生活習慣病をまとめて予防しようと考えると、
お酒は日本酒換算で一日1合(ビールなら大びん1本、ワインならグラス2杯)程度までに控えておいた方がよいといえる。】
(注)
食道癌に関しては、上述のように、
喫煙なしで飲酒単独だと、リスクとなりません。
江部康二
18/05/01の本ブログ記事で
『喫煙がなければ、飲酒で顔が赤くなるタイプでも、
飲酒単独では、大量に呑んでも食道ガンのリスクにならない。
喫煙指数20以上のヘビースモーカーでは影響が現れる。』
と述べました。
げにタバコの害、恐るべしです。
喫煙の量を示す国際的な指標として、喫煙指数 Pack-yearsがあります。
Pack years=(1日の喫煙本数/20本)×喫煙年数という計算法です。
すなわち「1日のタバコの箱数×年数」という意味です。
今回は、飲酒とがん全体の発生率について、考えてみます。
私は、タバコは吸いませんが、お酒はそこそこ飲むので、
おおいに気になるところです。
結論としては、喫煙がなければ、
飲酒量が増えても、がんの発生率は不変ということです。
タバコを吸わない酒飲みには、とても嬉しいお話しですね。 (^_^)
以下、
国立がん研究センター
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/269.html
飲酒とがん全体の発生率との関係について
から、要約してみました。
【―多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果報告―
平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、アンケート調査。
そのうち、40~59歳の男女約73,000人について、
その後平成13年(2001年)まで追跡した調査結果に基づいて、
飲酒とがん全体の発生率との関係について調べた結果を、
論文発表。(British Journal of Cancer 2005年92巻182-187ページ)。
お酒も量が過ぎれば将来がんになりやすい
調査開始時の飲酒の程度により6つのグループに分けて、
その後のがん全体の発生率を比較。
調査開始から約10年間の追跡期間中に、
調査対象者約73,000人のうち約3,500人が何らかのがんに罹患。
時々飲酒しているグループと比べると、
男性では、アルコール摂取量が日本酒にして1日平均2合未満のグループは、
がん全体の発生率は変わりなし。
一方、飲酒の量が1日平均2合以上3合未満のグループは、
がん全体の発生率が1.4倍、
1日平均3合以上のグループは、1.6倍。
(日本酒1合と同じアルコール量は、焼酎で0.6合、泡盛で0.5合、ビールで大ビン1本、ワインでグラス2杯(200ml)、ウイスキーダブルで1杯。)
女性では、定期的に飲酒する人が多くないためか、
はっきりした傾向がみられず。
飲酒と喫煙が重なるとがんの発生率が高くなる
この結果を、たばこを吸う人と吸わない人とに分けてみてみたところ、
たばこを吸わない人では、飲酒量が増えても、がんの発生率は不変。
ところが、たばこを吸う人では、飲酒量が増えれば増えるほど、
がんの発生率が高くなり、ときどき飲むグループと比べて、
1日平均2-3合以上のグループでは1.9倍、
1日平均3合以上のグループでは2.3倍がん全体の発生率が増加。
このことから、飲酒によるがん全体の発生率への影響は、
喫煙によって助長されることがわかる。
もちろん、口唇・口腔・咽頭・食道・肝・喉頭(注)など、
飲酒と特によく関連していると考えられているがんだけでみてみると、
喫煙していなくても飲酒量が増えればがんの発生率が高くなるが、
喫煙が重なることにより、さらに発生率が高くなるという結果になった。
飲酒と喫煙が重なるとなぜいけないのか
お酒に含まれているエタノールは分解されてアセトアルデヒドになるが、
これががんの発生にかかわると考えられている。
そして、喫煙者では、エタノールをアセトアルデヒドに分解する酵素が、
たばこの煙の中に含まれる発がん物質を
同時に活性化してしまっているとも考えられている。
やはり多量飲酒はよくない
この研究からは、何らかのがんになりにくくするには、
日本酒換算で一日平均2合以上の多量飲酒は慎んだ方がいいといえる。
しかし、同じ多目的コホート研究からの結果では、
最近増加している糖尿病や大腸がんなら、
一日平均1合を超えると危険性が高くなるという結果となっている。
いろいろな生活習慣病をまとめて予防しようと考えると、
お酒は日本酒換算で一日1合(ビールなら大びん1本、ワインならグラス2杯)程度までに控えておいた方がよいといえる。】
(注)
食道癌に関しては、上述のように、
喫煙なしで飲酒単独だと、リスクとなりません。
江部康二
先生大変お忙しいなか返信誠にありがとうございます。先生は毎日飲むのでしょうか?それとも、日にちを決めてですか?また推奨されている量は守っているのですか?飲み過ぎてしまうこともありますか?わたしは少ないのですが毎日飲んでしまいます。ちなみにわたしは焼酎をロックでちびちび飲むのが好きです。
2018/05/12(Sat) 00:06 | URL | ギー | 【編集】
ギー さん
毎日飲酒ですが、
若い頃に比べて、酒量はだいぶ減りました。
今の季節なら、例えば
糖質ゼロ発泡酒350mlを1缶、
25%焼酎の水割りを2~3杯、
最後に25%焼酎のロックをチビチビです。
若い頃はよく二日酔いになっていましたが、
近年はまず二日酔いはありません。
米国糖尿病学会推奨量よりは多いと思います。(-_-;)
毎日飲酒ですが、
若い頃に比べて、酒量はだいぶ減りました。
今の季節なら、例えば
糖質ゼロ発泡酒350mlを1缶、
25%焼酎の水割りを2~3杯、
最後に25%焼酎のロックをチビチビです。
若い頃はよく二日酔いになっていましたが、
近年はまず二日酔いはありません。
米国糖尿病学会推奨量よりは多いと思います。(-_-;)
2018/05/12(Sat) 14:24 | URL | ドクター江部 | 【編集】
そうなんです、私もあまり酔わなくなりました。お酒美味しいですよね。やめられないですね。
2018/05/12(Sat) 22:08 | URL | ギー | 【編集】
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