2018年05月06日 (日)
おはようございます。
セル・メタボリズムという信頼度の高い科学雑誌に
マウスとケトン食の論文が2つ掲載されました。
ケトン食は、スーパー糖質制限食よりさらに糖質が少ない食事です。
①
高齢マウスにおいて、
ケトン食は、死亡率減少効果と記憶力向上効果が認められた。
https://www.cell.com/cell-metabolism/fulltext/S1550-4131(17)30489-8
2017年9月
②
成体マウスにおいて、
ケトン食は健康寿命を延ばす効果があった。
https://www.cell.com/cell-metabolism/fulltext/S1550-4131(17)30490-4
2017年9月
以下は2つの論文の日本語の解説があるサイトです。
https://wired.jp/2017/10/15/ketogenic-diets-make-mice-live-longer/
セル・メタボリズム(Cell Metabolism)は、
インパクトファクターが19.786と高くて
信頼度の高い科学雑誌です。
ブリティッシュ・ジャーナルとアナルズ・オブ・インターナル・メディスン
の間レベルのインパクトファクターです。
東北大大学院農学研究科 都築毅准教授 の
「マウスにおいて糖質制限食が老化を早める」
という研究は 2018年3月17日に
日本農芸化学会 で発表されました。
発表だけで、まだ論文化もされていない段階です。
査読を受けて論文化されて雑誌に掲載されて
初めてエビデンスとなります。
査読とは、
「学術雑誌などで、寄せられた原稿を編集者側でまず読み、誤りの有無や掲載の適否について判断意見を出すこと。」
です。
つまり、研究者の独りよがりの論文は査読の過程で
振り落とされることもあるわけです。
それなのに、いろんなマスコミが
まるでエビデンスがあるかのような誤った報道をしているのが現状で、困ったものです。
ケトン食(糖質制限食)とマウスの研究で、
A)ケトン食が『死亡率減少、記憶力向上、健康寿命延長』
というポジティブな研究結果がある一方で、
B)『糖質制限食がマウスの老化を早める』
という異なる結論の研究もあることとなります。
A)は、セル・メタボリズムという信頼度の高い学術雑誌の査読を経て論文化されており
エビデンスレベルも高いです。
一方、
B)は、査読も論文化もされておらず、到底エビデンスとは言えません。
つまりエビデンスレベルはまだ存在さえもしていないということです。
結論です。
マスコミは、面白おかしく話題として怪しいことでも取り上げる傾向があります。
エビデンスレベルや信頼度をしっかり見極めて、自分の頭で考えて、
惑わされないようにしましょう。
今回は、私のブログ記事の内容を読んで頂き、自分の頭で考えて、
どちらの主張がリーズナブルかを選んでいただければ幸いです。
☆☆☆
インパクトファクター
一般に「世界五大医学ジャーナル」と呼ばれるジャーナルの
2016年のインパクトファクターは以下のとおりです(かっこ内は昨年の数値)。
The New England Journal of Medicine: 72.4 (59.6)
The Lancet: 47.8 (44.0)
Journal of American Medical Association: 44.4 (37.7)
British Medical Journal (BMJ): 20.7 (20.0)
Annals of Internal Medicine: 17.1 (16.4)
江部康二
セル・メタボリズムという信頼度の高い科学雑誌に
マウスとケトン食の論文が2つ掲載されました。
ケトン食は、スーパー糖質制限食よりさらに糖質が少ない食事です。
①
高齢マウスにおいて、
ケトン食は、死亡率減少効果と記憶力向上効果が認められた。
https://www.cell.com/cell-metabolism/fulltext/S1550-4131(17)30489-8
2017年9月
②
成体マウスにおいて、
ケトン食は健康寿命を延ばす効果があった。
https://www.cell.com/cell-metabolism/fulltext/S1550-4131(17)30490-4
2017年9月
以下は2つの論文の日本語の解説があるサイトです。
https://wired.jp/2017/10/15/ketogenic-diets-make-mice-live-longer/
セル・メタボリズム(Cell Metabolism)は、
インパクトファクターが19.786と高くて
信頼度の高い科学雑誌です。
ブリティッシュ・ジャーナルとアナルズ・オブ・インターナル・メディスン
の間レベルのインパクトファクターです。
東北大大学院農学研究科 都築毅准教授 の
「マウスにおいて糖質制限食が老化を早める」
という研究は 2018年3月17日に
日本農芸化学会 で発表されました。
発表だけで、まだ論文化もされていない段階です。
査読を受けて論文化されて雑誌に掲載されて
初めてエビデンスとなります。
査読とは、
「学術雑誌などで、寄せられた原稿を編集者側でまず読み、誤りの有無や掲載の適否について判断意見を出すこと。」
です。
つまり、研究者の独りよがりの論文は査読の過程で
振り落とされることもあるわけです。
それなのに、いろんなマスコミが
まるでエビデンスがあるかのような誤った報道をしているのが現状で、困ったものです。
ケトン食(糖質制限食)とマウスの研究で、
A)ケトン食が『死亡率減少、記憶力向上、健康寿命延長』
というポジティブな研究結果がある一方で、
B)『糖質制限食がマウスの老化を早める』
という異なる結論の研究もあることとなります。
A)は、セル・メタボリズムという信頼度の高い学術雑誌の査読を経て論文化されており
エビデンスレベルも高いです。
一方、
B)は、査読も論文化もされておらず、到底エビデンスとは言えません。
つまりエビデンスレベルはまだ存在さえもしていないということです。
結論です。
マスコミは、面白おかしく話題として怪しいことでも取り上げる傾向があります。
エビデンスレベルや信頼度をしっかり見極めて、自分の頭で考えて、
惑わされないようにしましょう。
今回は、私のブログ記事の内容を読んで頂き、自分の頭で考えて、
どちらの主張がリーズナブルかを選んでいただければ幸いです。
☆☆☆
インパクトファクター
一般に「世界五大医学ジャーナル」と呼ばれるジャーナルの
2016年のインパクトファクターは以下のとおりです(かっこ内は昨年の数値)。
The New England Journal of Medicine: 72.4 (59.6)
The Lancet: 47.8 (44.0)
Journal of American Medical Association: 44.4 (37.7)
British Medical Journal (BMJ): 20.7 (20.0)
Annals of Internal Medicine: 17.1 (16.4)
江部康二
マサチューセッツ工科大学の生物学者らは、断食が腸幹細胞の再生能力を向上させることを明らかにした。サイトMedicalXpressが伝えた。
https://jp.sputniknews.com/science/201805064851159/?utm_source=https://twitter.com/i/cards/tfw/v1/993091861484105729?cardname=summary_large_image&autoplay_disabled=true&forward=true&earned=true&edge=true&lang=ja&card_height=344&scribe_context=%7B%22client%22%3A%22web%22%2C%22page%22%3A%22home%22%2C%22section%22%3A%22home%22%2C%22component%22%3A%22tweet%22%7D&bearer_token=AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAPYXBAAAAAAACLXUNDekMxqa8h%252F40K4moUkGsoc%253DTYfbDKbT3jJPCEVnMYqilB28NHfOPqkca3qaAxGfsyKCs0wRbw&utm_medium=short_url&utm_content=hzHH&utm_campaign=URL_shortening
https://jp.sputniknews.com/science/201805064851159/?utm_source=https://twitter.com/i/cards/tfw/v1/993091861484105729?cardname=summary_large_image&autoplay_disabled=true&forward=true&earned=true&edge=true&lang=ja&card_height=344&scribe_context=%7B%22client%22%3A%22web%22%2C%22page%22%3A%22home%22%2C%22section%22%3A%22home%22%2C%22component%22%3A%22tweet%22%7D&bearer_token=AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAPYXBAAAAAAACLXUNDekMxqa8h%252F40K4moUkGsoc%253DTYfbDKbT3jJPCEVnMYqilB28NHfOPqkca3qaAxGfsyKCs0wRbw&utm_medium=short_url&utm_content=hzHH&utm_campaign=URL_shortening
げっ歯類の主食は穀物などの糖質だから老化が促進されると以前ブログで読みました。ケトン食は糖質制限食を上回る糖質制限なので、更に寿命を縮めることになるのではないでしょうか?
2018/05/06(Sun) 21:48 | URL | k.n | 【編集】
sasaki44 さん
興味深い情報をコメント頂き、ありがとうございます。
マウスの研究ですが
「グルコースの代わりに脂肪酸の分解に切り替わった。」
ご指摘通り、ケトン代謝のことと思われます。
ケトン代謝で、マウスの腸幹細胞が若返ったということです。
興味深い情報をコメント頂き、ありがとうございます。
マウスの研究ですが
「グルコースの代わりに脂肪酸の分解に切り替わった。」
ご指摘通り、ケトン代謝のことと思われます。
ケトン代謝で、マウスの腸幹細胞が若返ったということです。
2018/05/07(Mon) 07:25 | URL | ドクター江部 | 【編集】
k.n さん
ご指摘通り、
本来の主食と異なる餌を、マウスに与えれば、代謝に不利と考えていました。
一方、ケトン食で「死亡率減少、記憶力向上、健康寿命延長」というのは
信頼度の高い論文(セル・メタボリズム)の結論です。
従って、血中ケトン体高値が、一定の不利を乗り越えて
「死亡率減少、記憶力向上、健康寿命延長」をもたらしたと考えられます。
大変興味深いことですので、記事にしたいと思います。
ご指摘通り、
本来の主食と異なる餌を、マウスに与えれば、代謝に不利と考えていました。
一方、ケトン食で「死亡率減少、記憶力向上、健康寿命延長」というのは
信頼度の高い論文(セル・メタボリズム)の結論です。
従って、血中ケトン体高値が、一定の不利を乗り越えて
「死亡率減少、記憶力向上、健康寿命延長」をもたらしたと考えられます。
大変興味深いことですので、記事にしたいと思います。
2018/05/07(Mon) 07:33 | URL | ドクター江部 | 【編集】
先生大変お世話になります。今日NHKの朝イチで異所性脂肪についてやっていたのですが、わたしはこの異所性脂肪というのは知りませんでした。筋肉のなかに脂肪がたまってしまうとのことということらしいのですが、朝イチでは油のとりすぎを原因の一つとして上げていましたがそれは普通に糖質をとっている人がと思うのですが、糖質制限食はこの異所性脂肪にも当然いいと思うのですが、糖質制限食で無くなるのでしょうか?また、異所性脂肪が糖尿病の原因になるときいて怖いと思ったのですが、膵臓などについたりしたらインスリンの分泌が悪くなってしまうこともあるのでしょうか?先生がこの異所性脂肪について知ってる情報がありましたら教えていただきたいのですがよろしくお願いいたします。
2018/05/07(Mon) 09:59 | URL | ギー | 【編集】
ギー さん
脂肪毒性とか異所性脂肪という概念が近年、注目されています。
私自身は異所性脂肪も脂肪毒性も、スーパー糖質制限食なら、おおいに改善すると思いますが、
残念ながら、研究論文はありません。
脂肪毒性についてあまり知りませんでした。
調べてみて、比較的い信頼できるサイトの解説が以下です。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/100/4/100_983/_article/-char/ja/
「遊離脂肪酸はエネルギー基質であると同時にさまざまなシグナル分子の基質でもあり,インスリン作用,インスリン合成・分泌に影響を与える.肥満症にともなう過剰な遊離脂肪酸は,耐糖能を悪化させる.遊離脂肪酸によるインスリン作用の障害を(広義の)脂肪毒性,インスリン分泌能に及ぼす悪影響を膵β細胞脂肪毒性(狭義の脂肪毒性)と呼ぶ.最近,脂肪組織以外の臓器に蓄積する脂肪(異所性脂肪)の動態に注目が集まっており,各臓器で何らかの病的意義を有する可能性がある.」
脂肪毒性とか異所性脂肪という概念が近年、注目されています。
私自身は異所性脂肪も脂肪毒性も、スーパー糖質制限食なら、おおいに改善すると思いますが、
残念ながら、研究論文はありません。
脂肪毒性についてあまり知りませんでした。
調べてみて、比較的い信頼できるサイトの解説が以下です。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/100/4/100_983/_article/-char/ja/
「遊離脂肪酸はエネルギー基質であると同時にさまざまなシグナル分子の基質でもあり,インスリン作用,インスリン合成・分泌に影響を与える.肥満症にともなう過剰な遊離脂肪酸は,耐糖能を悪化させる.遊離脂肪酸によるインスリン作用の障害を(広義の)脂肪毒性,インスリン分泌能に及ぼす悪影響を膵β細胞脂肪毒性(狭義の脂肪毒性)と呼ぶ.最近,脂肪組織以外の臓器に蓄積する脂肪(異所性脂肪)の動態に注目が集まっており,各臓器で何らかの病的意義を有する可能性がある.」
2018/05/07(Mon) 18:26 | URL | ドクター江部 | 【編集】
先生、大変お忙しいなかありがとうございます。異所性脂肪が糖尿病と重要な関わりがあるとしり、驚いています。テレビでは分かりやすいようにボードに描いてある絵で説明してたのですが、皮下脂肪は一つ一つカプセルのなかに入っているのに、異所性脂肪はべっとりとした餅みたいになっていました。脂肪でも違うようですね。先生にも是非見ていただきたかったですね。ありがとうございました。
2018/05/08(Tue) 11:37 | URL | ギー | 【編集】
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