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高インスリン血症は発ガンのリスク。
こんばんは。
今回は、高インスリン血症と発ガンリスクのお話しです。

インスリンは、分泌されていないと、生命の危険があります。
1921年にカナダの整形外科医フレデリック・バンティングと
医学生チャールズ・ベストがインスリンの抽出に初めて成功しました。
1922年に当時14才の1型糖尿病患者、
レナード・トンプソン少年に初めて注射し、血糖コントロールに成功しました。
1型糖尿病はインスリンの登場までは、診断後平均余命6ヶ月の致命的な病気でしたが、
インスリンにより生命を保つことが可能となりました。

その後、インスリンを注射しておけば糖質を摂取しても血糖値が上昇しないことが、
徐々に周知されるようになりました。

その結果、正常人なみに糖質を食べても、
インスリンさえ打っておけばいいという流れとなっていき、
米国糖尿人の糖質摂取量は徐々に増えていきました。

しかし、近年、インスリンの弊害がいろいろ周知されるようになりました。
例えば、高インスリン血症が発ガンのリスクになることも明らかとなりました。
日本の論文と米国の論文を紹介します。

1)
「Cペプタイド値が高い男性(高インスリン血症の男性)は、
低い男性に比べ最大で3倍程度、大腸癌になりやすい」という疫学調査が、
厚生労働省研究班により2007年発表され論文として掲載されました。
( Int J Cancer. 2007 May 1;120(9):2007-12.)


こちらは、日本の論文ですが、男性では高インスリン血症の発ガンリスクが
明白となりました。
男性では、C‐ペプタイドの値の最も高いグループの大腸がんリスクは、
最も低いグループの3.2倍で、
値の高いグループほどリスクがだんだん高くなる関連がみられました。
女性では、関連がみられませんでした

2)
2009年にInt J Cancerに掲載された米国の論文があります。(☆)
Women's Health Initiative clinical trialsから5450人を平均8年
間経過をみて、190人が乳ガンを発症しました。
(International Journal of Cancer
Volume 125, Issue 11, pages 2704-2710, 1 December 2009)
閉経後の女性において、空腹時高インスリン血症は乳がんのリスクとなりましたが、
高血糖は関連がなかったという結論です。


空腹時高インスリン血症ということは、米国の女性ですから、
肥満によるインスリン抵抗性がおおいに関連していると思います。
インスリン抵抗性による高インスリン血症の米国女性に、
乳ガンリスクがあるということです。


空腹時高インスリン血症の日本女性は、そんなにいないと思います。
しかし日本女性でも
「肥満・インスリン抵抗性・高インスリン血症」のある人は、乳ガン要注意ですね。

高インスリン血症による発癌の機序は、
インスリンが各種組織の成長因子であることが関わるとされています。

動物実験では、高インスリン血症が、
各種癌細胞の形成や増殖に関与するとの報告があります。

ともあれ、高インスリン血症は
男性の大腸ガン、女性の乳ガンのリスクとなることは間違いないようです。

糖質を摂取すれば、食後血糖値は上昇し、高インスリン血症となります。
糖質制限食なら、高インスリン血症を防ぐことができます。



(☆)
International Journal of Cancer
Volume 125, Issue 11, pages 2704-2710, 1 December 2009

要約

実験や疫学的なエビデンスによれば、血液中の血糖やインスリンは、
乳がんの発がんを促す可能性がある。

しかしながら乳がん発がんリスクと血中グルコースやインスリンと
の関連を検討したコホート研究はほとんどない。そして、過去の研
究の測定はベースライン1回だけである。

我々は、「women in the Women's Health Initiative clinical tr
ials 」の6%のランダムなサンプルを使用してベースラインと1、3、
6年後の空腹時血液サンプルの血糖値とインスリン値を解析して閉
経後の乳がんリスクの縦断的な研究を実施した。

さらに観察研究として1%の女性の、ベースライン時と3年目の空腹
時血液サンプルで測定されたグルコース値とインスリン値を分析に
含めた。

我々はコックス比例ハザードモデルを使って、乳癌リスクとベース
ライン及び経過時の血清グルコース値およびインスリン値の関連を
ハザード比の95%信頼区間を評価した。

全ての統計的テストは2面的にした。ベースラインの血糖値とイン
スリン値を測定した5450人の女性の中で平均8年間の観察期間中に1
90人の乳がんが確認された。

全母集団において最高の三分位のベースラインインスリングループ
は最も低いグループに比べて倍の乳がん増加リスクがあった。(多
変量ハザード比2.22、95%信頼区間1.39?3.53)

そして介入試験に登録されていない女性に比べると3倍のリスクが
あった。
(多変量ハザード比3.15、95%信頼区間1.61?6.17)

血糖レベルはリスクと無関係であった。繰り返し測定の分析は、
ベースライン分析の結果を支持した。これらのデータは、血清イン
スリンレベル上昇は、閉経後乳がんの危険因子である可能性を示唆
している。

閉経後乳がんのリスクは、肥満と糖尿病で増加し、この両者はイン
スリン抵抗性の増加で特徴付けられ、結果として循環血中のインス
リンとブドウ糖が増加する。

インスリンは、細胞増殖を促進し、動物モデルにおける乳がん成長
を強める。

一方、ブドウ糖はインスリン抵抗性を悪化させ、悪性クローンに恩
恵を与えがん細胞に発育の利点を供給する。それ故に比較的高レベ
ルのブドウ糖やインスリンは乳がんの病因となるというのはうなづ
ける。

過去の少数の研究では空腹時血糖値・インスリン値と閉経後乳がん
発症リスクの関連を直接調査しているが、相反する結果が得られた。

しかしながら、これらの研究は1回のベースラインの測定のみに基
づいている。繰り返した計測の解析により経過観察期間中、これら
の要素の乳がんの発達における役割および関連の評価の精度を上げ
ることができる。

それゆえに我々は乳がんリスクの縦断的研究を実施し、「Women's
Health Initiative clinical trial」の参加者の6%の空腹時血糖
値・インスリン値を、ベースライン、1、3、6年後に測定した(WHI-
CT)。

そして観察研究として1%の女性のベースラインと3年目の測定を実
施した(WHI-OS)。


江部康二
コメント
糖質制限とアルコールについて
糖質制限を始めて5ヶ月、FreeStyleリブレで測定を始めて4週間になります。
私の場合、食後血糖値を140以下にするには1食当たり15gである事が分かり出来る限り実践中です。
先日、ゴールデンウィークという事もあり、いつもよりアルコール摂取量(蒸留酒)が多くなり(アルコール量で60cc)翌朝、少し二日酔いでした。リブレの計測値を確認すると夜間に60台まで下がり軽い低血糖であった事が分かりました。
これは肝臓がアルコール分解を優先した事により、糖新生が低下したという事かと思っていますが、その考えで正しいでしょうか。アルコールは二日酔いにならない程度なら大丈夫かと思っています。
2018/05/01(Tue) 08:14 | URL | 西村典彦 | 【編集
白ワインが!?
初めまして!糖尿病ではありませんが、私もフリースタイルリブレを装着している者です。江部先生のブログを参考に日々糖質制限にいそしんでおります(笑)。

実は、牧田善二先生の著書に「白ワインは血糖値を下げる」という記述があり、データを取ってみたところ、記述のとおり糖質を摂って上がり始めた血糖値が毎回面白いようにスルスルと下がります。

ここで疑問がひとつ。白ワインのおかげで血糖値が下がってインスリンが出ないということは、取り込まれなかった糖質はいったいどこへ行くのでしょうか。

一度夕食にわざと多めにパンを摂って寝た翌朝は瞼が浮腫んでいたので、体内に糖質は残っているのだとは思いますが、リブレの数値は一貫して100を超えませんでした。尿に出ているのか試したいと思いつつ試験紙を買ったのですが、そうそうまたパンを多めに食べるというのはちょっと気が進まず・・。

よろしければ教えていただければと思います。よろしくお願いします。
2018/05/01(Tue) 14:34 | URL | かあこ | 【編集
献血
江部 先生 大変お世話になっています
本日 糖質制限 1周年を記念して
献血を行いました。
赤十字 の方に問題ないかたずねても ?
な感じでした
毎月定期的に 空腹時 a1c は測定し問題
は無いようです。a1c 5.5
400ccを献血しても変わったようすが無いので
問題無いと考えます

あまり 糖尿病 がある者は献血しない方が良いでしょうか。
2018/05/01(Tue) 15:50 | URL | t m 糖尿人 | 【編集
Re: 糖質制限とアルコールについて
西村典彦 さん

「肝臓がアルコール分解を優先した事により、糖新生が低下したという事」


それで良いと思います。
アルコールに関しては、5/1の、本ブログ記事をご参照頂けば幸いです。
2018/05/02(Wed) 08:23 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 白ワインが!?
かあこ さん

「白ワインを飲むと、翌朝の血糖値が下がる」
と、牧田氏は述べておられると思います。

従って、夜間の糖新生が、アルコールにより、少し減るということと思います。



2018/05/02(Wed) 08:34 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 献血
t m 糖尿人 さん

献血したら、グリコアルブミン(GA)を測定してくれると思います。

グリコアルブミンは、過去2週間の平均血糖値を反映する検査です。

GAなど7項目の生化学検査成績と8項目の血球計数検査が、献血時にサービスでして貰えます。
頼めば、結果を郵送して貰えます。
2018/05/02(Wed) 08:39 | URL | ドクター江部 | 【編集
お忙しいところご返信ありがとうございました!

リブレでは、糖質を摂取する前78だった数値が白米90g摂取で130程度に上がり、白ワインを50cc摂ってから15分後には90程度まで下がります(飲まない場合は140を超えてしまいます)。

タイムリーに下がるため、その糖質はどこに行くのかなと思いました。

パン摂取の翌朝の瞼の件は例えで書かせていただきました。

分かりづらくて申し訳ありません。
2018/05/02(Wed) 09:50 | URL | かあこ | 【編集
Re: タイトルなし
かあこ さん

それは不思議ですね。

他の焼酎とか、ハイボールでは如何でしょう?
2018/05/02(Wed) 14:03 | URL | ドクター江部 | 【編集
妊娠糖尿病
江部先生

コメント失礼します。
只今赤十字に通院しています。
妊娠糖尿病26週妊婦です。
インスリン単位
朝3昼2夜3でインスリン開始していますが、私的に糖質制限でいける範囲だと思っていますが赤十字のドクターはインスリン必須といいます。
それでも、色々検索し糖質制限しインスリン回避している方も最近多く見かけ、最近こっそり糖質制限しインスリンの単位を下げていますが、今日朝2単位
サラダに糖質12のパンで60分後144出ました。
朝一は上がりやすいとでてたので
朝一は炭水化物無しの方がいいのでしょうか?この場合低血糖になったりしないのか不安です。
このまま糖質制限しインスリンを無くしたいですが、何に気をつけて糖質制限をすればいいのかわからなく。
私は兵庫県の姫路エリアですが、妊娠糖尿病の糖質制限に理解ある病院がわからず独自で糖質制限やっていますが危険ですか?
ご意見お聞かせください。
宜しくお願い致します。
2018/05/03(Thu) 10:30 | URL | seico | 【編集
Re: 妊娠糖尿病
seico さん


妊娠糖尿病の妊婦さんが、インスリンを打って、糖質を食べると、
血糖値の乱高下が起こって、母子共に危険です。

食前インスリンの量が足らなければ、食後高血糖になります。
かといって食前インスリンの量が多すぎれば、低血糖になります。
なかなか、糖質の摂取量と食前のインスリンの単位をピッタリマッチングさせることは、至難の技なのです。

その点、糖質制限食なら、インスリンなしで、スーパー糖質制限なら
血糖値の乱高下は生じず、一日を通して安定した血糖値となり、母子ともに安全です。

インスリンなしのスーパー糖質制限食なら、自己管理OKで、極めて安全です。
2018/05/03(Thu) 12:40 | URL | ドクター江部 | 【編集
妊娠糖尿病
Re:江部先生
コメントありがとうございます。
早速スーパー糖質制限に切り替えようと思います。
今のインスリンも開始と同時に全てやめても大丈夫ってことですよね?
朝一の食前は75〜80ぐらいです。
2018/05/03(Thu) 17:50 | URL | seico | 【編集
Re: 妊娠糖尿病
seico さん


インスリンを打って糖質を食べるのは、極めて高リスク(血糖の乱高下)です。

インスリンなしのスーパー糖質制限食なら、極めて安全で、
血糖コントロールも容易です。


<妊娠中の血糖値コントロール目標>

朝食前血糖値:70~100mg/dl未満
食後2時間血糖値:120mg/dl未満
GA(グリコアルブミン)15.8%未満


妊娠中の血糖値コントロール目標は
「妊娠糖尿病」「妊娠中の明らかな糖尿病」「糖尿病合併妊娠」
の3つとも上記となります。
できれば、食後1時間血糖値:140mg/dl未満もクリアすることが望ましいです。

HbA1c6.2%未満も目標なのですが、
妊婦で鉄欠乏状態があると、HbA1cは正確な数値を示さないので、
GA(グリコアルブミン)の方が頼りになるのです。
2018/05/03(Thu) 20:50 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re,妊娠糖尿病 seikoさんへ
都内河北 鈴木です。

私は男63歳ですが、「糖尿病」最終時インスリン1日(8・6・6)投与し
服用薬もありました。
「糖質制限理論」実践により、翌日より改善実感有りましたので継続して人体実験しながら、2年足らずで「糖尿病・服用薬全て自主離脱」!!

糖尿病重症化(右眼眼圧破裂失明・脳梗塞発症)する病態で、
服用薬増量して行く21年間が、「糖質制限理論」実践で翌日より効果有り、
3か月足らずでヘモグロビン正常化!!
(後半7年間は、世界医学情報、「糖質制限理論」を、隠蔽されていました。)

seikoさんとは病態が違いますが、インスリン投与量を見まして
「糖質制限理論」の「生還、覚醒」者として
時代進化解明をネット活用して
「既成概念打破」して実践してみるべきだと思いました。

「糖質制限理論・生還、覚醒・証明者」として更なる継続して改善目指して行くべきだと、現在7年目にして更なる「改善・覚醒」をして思います。

そして私は「日本糖尿病学会」へ、更なる「改善・覚醒」目指して質問して行きます。(笑)

私は面識無く、利害関係無い、
江部先生「糖質制限理論」で、医学界も時代進化解明して行く事を知り
「生還し、覚醒」して行く事実を御承知おき下さい。

江部先生には、感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具
2018/05/03(Thu) 21:25 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
Re: 妊娠糖尿病
例えば、このようなFacebookを利用してみてはどうですか

◇妊娠糖尿病を乗り越えよう

https://www.facebook.com/maternitygdm/
2018/05/04(Fri) 21:33 | URL | XYZ | 【編集
Re: Re: 妊娠糖尿病
XYZ さん

情報をありがとうございます。
2018/05/05(Sat) 12:34 | URL | ドクター江部 | 【編集
白ワインの件で
質問させて頂いた、かあこです。

その後パン実験をなかなか出来なかったので、遅くなりました。

やはりハイボールでは下がりませんでした。食べた量が前回より少なかったのですが。

白ワインは15分程度で56下がり、リブレで低グルコースとアナウンスが出たのですが、ハイボールは上がり方がジリジリ横ばいになっただけでした。

ただ数値が下がれば良いというものではないですものね。

今度は尿を調べてみたいです。
2018/05/09(Wed) 16:52 | URL | かあこ | 【編集
Re: 白ワインの件で
かあこ さん

実験、ありがとうございます。
白ワインで血糖が下がり、ハイボールでは不変ということですね。

これは不思議です。
理屈的には、白ワインの成分の中に直接血糖値を下げるものがあるということになりますが、
聞いたことがありません。
2018/05/10(Thu) 18:30 | URL | ドクター江部 | 【編集
牧田先生の本には有機酸が下げる効果があるとあった気がします。

出先で確認しないままの書き込みすみません!!帰ったら確認します
2018/05/21(Mon) 11:09 | URL | かあこ | 【編集
間違いでした!
酒石酸でした・・。失礼しました。
2018/05/30(Wed) 10:35 | URL | かあこ | 【編集
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