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「動物実験でヒトの食物代謝の研究を行うことの是非」
【18/03/21 中嶋一雄
動物実験について

1) 厚生労働省の食事摂取基準に引用された文献は、すべてヒトの研究論文です。
私が読んだ限り、動物実験の論文は一切引用されてません。

2) 薬の致死量の決定には、動物実験が有用です。
人間データは、731部隊が唯一のものです。

3) サリドマイドは当初ラットで催奇形性がないため安全と思われていました。
ところがヒトで催奇形性が報告されたので、
いろんな動物を用い実験をやりなおしました。
その結果哺乳類の実験動物で、唯一ウサギのみ催奇形性が確認できました
 つまり、サリドマイドは哺乳類の中で、
ウサギとヒトのみに催奇形性を示すわけです。
これ以後催奇形性の実験には、すべてウサギが用いられるようになりました。

4) マタタビはネコ科動物に陶酔作用を示します。
ネコ科以外の動物にはこの作用を示しません。
ましてやヒトに対しては示しません。】


おはようございます。
「動物実験でヒトの食物代謝の研究を行うことの是非」
について、中嶋一雄先生から、貴重なご意見をコメントして頂きました。
ありがとうございます。

以前のブログ記事で、
『薬物の作用や毒性をネズミ類で動物実験するのは、
研究方法として特に問題はないと思います(動物実験自体の是非は置いておきます)。
しかし、本来ヒトと主食が全く異なるマウス・ラットなどネズミ類で、
人類の食物代謝の研究を行うのは、
出発点から根本的に間違っている可能性が高いので注意が必要です。』


と書いたことがあります。
しかし、中嶋一雄先生のコメントを読んで、
『薬物の作用や毒性をネズミ類で動物実験するのは、
研究方法として比較的問題は少ないと思います(動物実験自体の是非は置いておきます)。
しかし、本来ヒトと主食が全く異なるマウス・ラットなどネズミ類で、
人類の食物代謝の研究を行うのは、
出発点から根本的に間違っている可能性が高いので注意が必要です。』


に訂正したいと思います。


【 1) 厚生労働省の食事摂取基準に引用された文献は、すべてヒトの研究論文です。
私が読んだ限り、動物実験の論文は一切引用されてません。】


厚生労働省もなかなかの見識ですね。
やはり、動物実験でヒトの食物代謝の研究を行うことには、
否定的な見解なのだと思われます。


【2) 薬の致死量の決定には、動物実験が有用です。
人間データは、731部隊が唯一のものです。】


薬の毒性については、動物実験が一定有用と思われます。
というかヒトではそのような研究は基本的に不可能ですから、
動物実験以外にないです。


【3) サリドマイドは当初ラットで催奇形性がないため安全と思われていました。
ところがヒトで催奇形性が報告されたので、
いろんな動物を用い実験をやりなおしました。
その結果哺乳類の実験動物で、唯一ウサギのみ催奇形性が確認できました
 つまり、サリドマイドは哺乳類の中で、
ウサギとヒトのみに催奇形性を示すわけです。
これ以後催奇形性の実験には、すべてウサギが用いられるようになりました。】

これは、極めて興味深いです。

以前マウスとヒトの代謝の違いを調べたことがあります。
それで、少なくとも脂質代謝に関しては、
「ヒトの血中コレステロールはLDLが主でり、マウスではHDLが大半である」
「マウスはリポ蛋白質代謝の回転が速い」
「マウスは肝臓を中心に脂質代謝の制御幅が広いので、血中コレステロール値は食事負荷などの外因性変動を受けにくい」
など、かなり大きな違いがあります。

一方、脂質代謝に関してヒトと類似しているのは、ウサギです。

脂質代謝に関連する酵素は ヒ トとマ ウスや ラッ トで大 き く異な り、
ウ サギはヒ トに類似 しています。

脂質代謝だけで、全体の代謝を語ることはできないのですが、
サリドマイドは哺乳類の中で、ウサギとヒトのみに催奇形性を示すという
興味深い事実を一定説明してくれると思います。


江部康二
コメント
以前、糖質制限をすると、記憶力がアップして寿命が延びるかもしれない:研究結果
https://wired.jp/2017/10/15/ketogenic-diets-make-mice-live-longer/

・・を引用したものです。

一つ質問なんですが、先生は・・・

>厚生労働省もなかなかの見識ですね。
>やはり、動物実験でヒトの食物代謝の研究を行うことには、
>否定的な見解なのだと思われます。

・・・と言われておりますが、厚労省の食事摂取基準の見識としては、それらの引用論文から・・・「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書の「炭水化物」の項で「・・・・炭水化物については推定平均必要量(並びに推奨量)も耐容上限量も設定しな い。同様の理由により、目安量も設定しなかった。」となっております。
また、「今後の課題」として、「1糖の健康影響はその種類によって同じではない。・・・それぞれの糖の目標量の設定に資する研究(観察研究または介入研究)を進める必要がある。」となっています。
要するに、この厚労省の食事摂取基準を信用していいのかどうなのかということなんですが、いかがなものなんでしょうか?
2018/03/23(Fri) 11:53 | URL | 質問者 | 【編集
CPRについて
はじめましてこんにちは。
先日、インシュリンの抗体検査をしましたところ
CPR0.7で普通の人より分泌量が少ないと言われました。
このままでいくと、糖尿病になってしまうのでしょうか?
また、改善方法はあるのでしょうか?
あるとしたらどのようにすればよいのでしょうか?

よろしくお願いいたします。
2018/03/23(Fri) 13:11 | URL | サクラ咲く | 【編集
Re: タイトルなし
質問者 さん

「ケトジェニック・ダイエットで、マウスの記憶力がアップして、寿命が延びた。」

こういう研究もあるのですね。
情報をありがとうございます。

「厚労省の食事摂取基準を信用していいのかどうなのか」

厚労省の言っていることは、炭水化物についてについて、

「エビデンスがないので、必要量・推奨量・上限量も設定しない。」
ということなので、この件に関しては、ニュートラルな態度と思います。

同様の理由で、タンパク質の上限量に関しても、設定してないと思います。

今後の課題のほうも、現時点では、望ましい態度と思います。
2018/03/23(Fri) 17:20 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: CPRについて
サクラ咲く さん

血中C-ペプチドの基準値は、
1.5~3.5とか
1.1~4.4ng/mlくらいでしょうか?

おそらく空腹時の検査と思いますが、空腹時血糖値はどのくらいでしょう?
2018/03/23(Fri) 17:26 | URL | ドクター江部 | 【編集
科学や論文のインチキはコレステロールが教えてくれる
ariyaさんの「試してみたらこうなった」の記事
『科学や論文のインチキはコレステロールが教えてくれる』
http://ariya-step.com/322.html
から、1ヶ所だけ抜粋します。

-------------------------
ウサギにコレステロールを含んだエサを与えると、そのまま小腸に到達し、小腸の粘膜から無差別に吸収されてしまうのです。与えられたコレステロール分だけほぼ100%吸収され、そのまま血液中に放出されて、血液濃度が正常の10倍、20倍、30倍になって超高脂血症が起きてくるわけです。

一方、ライオンなど肉食動物はいくらコレステロールを大量に与えても、1回の食餌、1日の食餌量から小腸が吸収するコレステロール量は決まっています。必要な分だけ吸収して、それ以外は便から体外に排出されるので、血中のコレステロールも上昇しません。

つまり、肉食動物の場合、小腸におけるコレステロール(脂肪)に対する“バリア”の機能が高いのに対し、草食動物の場合はその機能が低い、もしくはほとんどないのです。
-------------------------

ほんの一部で、全文はなかなかのボリュームですが、非常に良く纏められている秀逸な記事です。
2018/03/23(Fri) 21:32 | URL | 福助 | 【編集
Tarzan No.738
江部先生

山田先生との特別対談読みました。

なかなか噛み合わないのかなと思いつつ、読み進めていくと、エビデンスで少々危うい展開に…
と思いきや

「エビデンスは任せた!(笑)」

ときましたか!(笑)

勿論私も江部先生に1票です。
エビデンスがなければ何も語れないようでは…アカンわ。
2018/03/23(Fri) 21:54 | URL | 福助 | 【編集
低炭水化物ダイエットへの警鐘

発売日: 2017年11月02日頃

【著者情報】
キャンベル,T.コリン(Campbell,T.Colin)
コーネル大学栄養生化学部名誉教授。
50年以上栄養科学研究の第一線で活躍し、「栄養学分野のアインシュタイン」と称される世界的権威。

【内容情報】
アトキンス、ゾーン、サウスビーチ、パレオ…糖質(炭水化物)を制限して
動物性タンパク質と脂質を過剰摂取するダイエット法の欺瞞と危険性

史上最大の疫学調査「チャイナ・スタディ」を主導した
栄養学の世界的権威が訴える「食と健康」の真実。
日本語版には食事療法で疾病を治癒した症例を掲載。
https://books.rakuten.co.jp/rb/15223100/
2018/03/24(Sat) 01:58 | URL | westman | 【編集
CPRについて
おはようございます。
返信ありがとうございます。

食前で空腹時で75でした。
75グラムの糖負荷検査で
2時間後の血糖値の下がりが158で境界型だと言われ、検査しました。

今後何かをすることにより通常に戻ることはあるのでしょうか?
また、普通のインシュリン量に戻ることはあるのでしょうか?

よろしくお願いいたします。
2018/03/24(Sat) 08:04 | URL | サクラ咲く | 【編集
westman さんへ
キャンベルの胡散臭さについては、下記ブログが参考になると思います。

https://ameblo.jp/yujikiyokotaro003/entry-12113131281.html
https://ameblo.jp/yujikiyokotaro003/entry-12348645998.html
https://ameblo.jp/yujikiyokotaro003/entry-12267346959.html

「コリン・キャンベルは、ヨボヨボになりフラついている」そうです。
2018/03/24(Sat) 08:07 | URL |  | 【編集
Re: CPRについて

サクラ咲く さん

空腹時Cペプチドが0.7とやや低値でも
空腹時血糖値が75mg/dlと正常なので
とても好ましいです。

少量のインスリンで血糖コントロールができるほど身体に優しいです。
過剰のインスリンは、肥満、老化、がん、アルツハイマー病などのリスクです。

血糖コントロールが良好なら、インスリン分泌量は少なければ少ないほど
身体には良いのです。
2018/03/24(Sat) 08:19 | URL | ドクター江部 | 【編集
CPRについて
返信ありがとうございます。

緩やかな糖質制限をしてるのですが
このまま今の生活で大丈夫でしょうか?

また、インシュリンの量は増えていかないのでしょうか?
2018/03/24(Sat) 08:28 | URL | サクラ咲く | 【編集
Tarzan気になっていたのですが、噛み合ってないんですか?
ちょっと苦笑い...
2018/03/24(Sat) 08:34 | URL | 迷える子豚 | 【編集
CPRについて
返信ありがとうございます。

緩やかな糖質制限をしております。
今後、普通のインシュリン量に戻ることはあるのでしょうか?
また、境界型とのことで
正常に改善されることはあるのでしょうか?

どのような方法でインシュリンの量と境界型は改善されますでしょうか?

よろしくお願いいたします。
2018/03/24(Sat) 13:05 | URL | サクラ咲く | 【編集
Re: CPRについて
サクラ咲く さん

インスリンは血糖コントロールができている限り少ないほど良いので、増えない方がいいのです。

空腹時血糖値が75mgで、インスリン(Cペプチド)の量が、<0.7→1.5>の基準値内になったとしたら
それは改善ではなくて、悪化と思います。
即ちインスリンの効きが悪くなったということになります。

私は、狩猟・採集時代のご先祖のインスリンの基準値は
現行「3~15」に対して、「1.5~5」くらいだったと思っています。

2018/03/24(Sat) 17:54 | URL | ドクター江部 | 【編集
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