fc2ブログ
低炭水化物介入のほうが低脂肪介入より優位に体重を減少させる。
こんにちは。

2018年3月5日の
糖尿病ネットワークに
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2018/027840.php

「低糖質 vs 低脂肪」どちらの食事療法が優れている? 議論に決着

低糖質ダイエットと低脂肪ダイエットのどちらかを支持している糖尿病の人には失望をもたらすかもしれない研究が発表された。
結果は「どちらのダイエットも体重減少については差がない」というものだった。
「食事療法にも多様性が求められいる」と研究者は指摘している。

Low-fat or low-carb? It's a draw, study finds(スタンフォード大学 2018年2月20日)
Effect of Low-Fat vs Low-Carbohydrate Diet on 12-Month Weight Loss in Overweight Adults and the Association With Genotype Pattern or Insulin SecretionThe DIETFITS: Randomized Clinical Trial(JAMA 2018年2月20日)


という記事が載りました。
この研究、18~50歳の男女609人を対象に、
低糖質ダイエットを行うグループ(304人)と、
低脂肪ダイエットを行うグループ(305人)の2つに無作為に分けて、
1年間、指示された食事法を続けています。
低糖質ダイエットグループは、ベースラインよりは糖質は減っていますが
1年間の期間の終了時には、132g/日の糖質を摂取しています。
従って、ギリギリではありますが、厳密には
そもそも『130g/日以下』という糖質制限食の基準を満たしていません。
またこの記事の元となった論文は一つのRCT論文に過ぎず、
エビデンスレベルはそこそこです。


これに対して、以下のランセットの論文は、
330の研究論文を調べて、280は除外し、
条件を満たす53のRCTで、メタアナリシスをしたものです。

『システマティック・レビュー/53RCTのメタアナリシス』なので、
エビデンスレベルは最も上位で信頼度は今回の論文とは比べものになりません。


結果は「体重減少試験において、低炭水化物介入のほうが、低脂肪介入より、優位に体重を減少させる」です。

Effect of Low-Fat Diet Interventions Versus Other Diet Interventions on Long-Term Weight Change in Adults:
  A Systematic Review and Meta-Analysis 
Lancet Diabetes Endocrinol 2015 Dec 01;3(12)968-979,
 DK Tobias, M Chen, JE Manson, DS Ludwig, W Willett, FB Hu


結論です。

極めて信頼度の高い
『システマティック・レビュー/53RCTのメタアナリシス』
において、体重減少に関して、低炭水化物食の優位性が証明されました。



江部康二

コメント
日本農業新聞の記事
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180316-00010002-agrinews-bus_all

何とも呆れた記事が出ましたね。
農林水産省の策略でしょうか。
またこれを読んで、やっぱり糖質は摂った方がいいんだと都合の良いように解釈する人が増えるんだろうなと思います。

久しぶりにコメントさせていただきましたが、同じHNの方がいらっしゃったので少し変えました。
2018/03/16(Fri) 20:19 | URL | 粉ミルク | 【編集
痩せ型女性の境界型糖尿病について
初めてメールさせていただきます。
私は37歳女性、身長158、体重46キロ痩せ型です。
昨年二人目妊娠時に妊娠糖尿病を指摘され、食事制限のみで出産し、5か月後負荷試験で境界型糖尿病と言われました。(ただ、二人目妊娠前の検診で、1度HbA1c5.7がありますので以前から高かったのだと思います)

[負荷試験結果]
時間/ Glu / IRI
0分/ 75 / 2.4
30分 / 147 / 35.60
60分 / 203 / 45.30
120分 / 145 / 24

HOMA-IR 0.44
インスリン指数 0.46
HbA1c 5.4

その後、食後高血糖が怖くなりスーパー糖質制限に近い食事しか取れなくなったところ、体重が2キロ減り(おそらく筋肉)、これではいけないと、この2か月弱は、糖質15〜30g/食、タンパク質70〜90g/日 、オリーブオイルやナッツやチーズで脂質もとり、エネルギー不足にならないよう気をつけてみました。ですが、今回の採血結果で、またエネルギー不足を指摘されました。因みに今、子供は離乳食と母乳をあげています。


[採血結果]
食前血糖 69
IRI 1.9
グリコアルブミン 11.8

総ケトン 895.0μmol/l
アセト酢酸 97.3
3-ヒドロキシ酪酸 798.0
TP 7.5
アルブミン 4.9
総ビリルビン 0.6
直接ビリルビン 0.2
尿素窒素 15.4
クレアチニン 0.41
尿酸 3.5
総コレステロール 263
HDL 110
中性脂肪 28
LDL 147
AST 22
ALT 20
γGTP 10
CK 112

先生からは、
1、ケトンが高いからエネルギー不足になっている
2、グリコアルブミンが低いのは低血糖の時間が長い

なので、分食で糖質を少しとって、エネルギー不足にならないようにしてみては、とアドバイスいただきました。ですが、日中は糖質量20〜30gで食後2時間の血糖値が100〜120あります。食後3時間でようやく100を切るくらいですが、ここで補食したらダラダラ血糖値が高い状態が続くのではないかと不安です。先生からは140以下であれば問題ないと言われましたが、問題ないのでしょうか。追加分泌が1日に何回もおこると、また膵臓が疲れてしまいそうですが、糖質量10gでも追加分泌は起こるのですか?

あと、玄米70gにオリーブオイルたっぷりのチャーハンを食べたとき、食後3時間の血糖値が130位ありました。高値が3時間続くのも良くないので、このような食事の取り方もしない方がいいのでしょうか。
糖の吸収をゆっくりにしようと思ったら、逆にゆっくりあがりすぎたり、どうしたらいいのか分からなくなりました。

先生もお仕事でお疲れのところ、長文乱文で本当に申し訳ありません。

毎日糖のことで頭がいっぱいです。二人のかわいい子供の顔をみると、こんなママでごめんね、と情けなくなります。間違った方向に努力することは避けたく、すがる思いでメールいたしました。
ご回答の程よろしくお願い致します。
2018/03/16(Fri) 23:33 | URL | はる | 【編集
Re: 日本農業新聞の記事
粉ミルク さん

情報をありがとうございます。

これはひどいですね。
記事にして反論したいと思います。
2018/03/17(Sat) 07:31 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 痩せ型女性の境界型糖尿病について
はる さん

体重が減少してないなら、今のデータで、問題ないと思います。
従って、今の食事で、基本は大丈夫です。

今の食事で、もう少し摂取エネルギーを増やして、体重を1~2kg増加させましょう。

食前血糖 69
IRI 1.9
グリコアルブミン 11.8

総ケトン 895.0μmol/l
アセト酢酸 97.3
3-ヒドロキシ酪酸 798.0
TP 7.5
アルブミン 4.9
総ビリルビン 0.6
直接ビリルビン 0.2
尿素窒素 15.4
クレアチニン 0.41
尿酸 3.5
総コレステロール 263
HDL 110
中性脂肪 28
LDL 147
AST 22
ALT 20
γGTP 10
CK 112


とても良いデータと思います。
2018/03/17(Sat) 07:53 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございます
お忙しい中ご回答ありがとうございました。
これからも予防に気をつけて過ごしたいと思います。
2018/03/17(Sat) 14:46 | URL | はる | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可