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食後一旦下がった血糖値が再び上昇。何故?。蛋白質とグルカゴン。
【18/02/06 けん
血糖値の推移について
江部先生のブログをいつも拝見しています。
以前も食後高血糖について質問させていただき、
おかげさまで徐々にコントロールができてきています。

今回は私の血糖の推移について教えて下さい。

食前116mg 食後45分158mg 60分後146mg 90分後114mg 120分後99mg
180分後113mgという結果でした。
普段から3時間から4時間後に一度下がった血糖が再度上昇しています。
順調に下がった血糖値が3、4時間後に上昇しているのは何故なのでしょうか。
低血糖の様な症状はなく糖新生とも考えにくいと思っています。

この日は夕食で、メニューは鶏むね肉175g、玉ねぎの酢のもの20g、
アボカド70g、キャベツの千切り130g、玄米150g、納豆1パック、生卵1個でした。
測定条件は、食後安静の状態、使用した機器はグルテストNeoアルファになります。
年齢は30歳で、普段からウェイトトレーニングを行なっていて筋肉質です。
普段の食事は高タンパクで、不飽和度脂肪酸を多く、
炭水化物は200g程度(PFCバランス 25.50.25)となっています。】



こんにちは。

けんさんから、
『食後一旦下がった血糖値が再び上昇したが、何故?』
という、コメント・質問を頂きました。

a)
血糖値に直接影響を与えるのは糖質のみです。
蛋白質・脂質は直接血糖値に影響を与えることはありません。

b)
蛋白質は、グルカゴンによる糖新生を介して、
間接的に血糖値を上昇させますが、同時にインスリンも分泌されるので
通常は作用が相殺されることが多いですが、上昇させることもあります。

c)
脂質は、直接的にも間接的にも血糖値を上昇させません。



A)
2型糖尿病のAさん 60代男性 内服薬なし HbA1c:5.9% 糖質セイゲニスト
2017/2月
          血糖値    インスリン   グルカゴン
8:30      139     8.0(3~15)      151
ささみ200g摂取(210kcal。46.0gの蛋白質)
30分後       140    7.7         190
60分後       151    23.3       257
2時間後       147    26.2        195
3時間後       137    7.5        144
4時間後       127    5.7        100

Aさんは、
①グルカゴン作用 > インスリン作用 →血糖値上昇
タイプで、蛋白質が糖新生で血糖値を上昇させています。
1gの糖質が、ピーク0.26mg/dl血糖値を上昇させています。

②グルカゴン作用 = インスリン作用 → 血糖値上昇なし
③グルカゴン作用 < インスリン作用 → 血糖値低下

①のタイプは結構おられます。
③はまれです。

けんさんは、食前116mgと境界型ですが、①のタイプと思われます。
蛋白質をしっかり摂取して、脂肪もしっかり摂取なので
消化吸収がゆっくりで、蛋白質摂取による糖新生の影響が 3~4時間後と
やや遅れてでたのだと思います。


B)

1型のBさん 10代男性 インスリン強化療法(持続型1回+食前3回)。
HbA1c:6.0% 糖質セイゲニスト 食前のインスリンなしで以下検査。

2017/2月
           血糖値     CPR       グルカゴン
8:30       115     0.6(1.5~3.5ng/ml) 128(70~174pg/ml)
ささみ200g摂取  
30分後       160    1.0         229
60分後       176    1.3         186
2時間後       193    1.3         154
3時間後       167    1.2         173
4時間後       159    0.9         122

1型のBさんの場合は、内因性インスリン分泌能がかなり低下しているので
グルカゴン作用がより目立っており、血糖値の上昇も大きいです。
グルカゴン作用 >> インスリン作用 →血糖値上昇
1gの蛋白質が、ピーク1.7mg/dl血糖値を上昇させています。



江部康二
コメント
コレステロール
総コレステロールはどれらいまでだと大丈夫でしょうか?
2018/02/07(Wed) 17:49 | URL | ゆうり | 【編集
血糖値の推移について
江部先生、ご丁寧に回答していただきありがとうございます。
これらのことを踏まえて、どの様な対策をすればよいのでしょう。
糖質を摂るなら、タンパク質を減らす。糖質を減らせば、タンパク質を増やしてもよいということでしょうか。
また、起床時の空腹時血糖が大体100mgくらいで少し高めなことも気になっています。これも糖新生の影響なのでしょうか。もし、対策できることがあるなら教えて頂きたいです。
2018/02/07(Wed) 22:01 | URL | けん | 【編集
Re: コレステロール
ゆうり さん

①HDLコレステロールが多い
②中性脂肪が低い


①②があれば、LDLコレステロールは標準の大きさであり、
コレステロールという細胞膜の原料を末梢組織に運ぶ役割を有す善玉です。
善玉であれば、少々多くても大丈夫ということです。

A)HDLコレステロールが低い
B)中性脂肪が多い


A)B)があれば、小粒子LDLコレステロール、酸化LDLコレステロールが多いので危険です。

2018/02/08(Thu) 18:15 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 血糖値の推移について
けん さん


1回の食事の糖質量が40gくらいの「緩やかな糖質制限食」実践で
健康度が高まると思います。
2018/02/08(Thu) 18:19 | URL | ドクター江部 | 【編集
健常人との比較データ
江部先生

貴重なデータを公開してくださり非常に興味を持ちました。このようなデータをもっと見ることはできるでしょうか。例えば、糖質50グラムとってから4時間で、血糖値、インスリン値、グルカゴン値がそれぞれどのように推移しているのか、糖尿人、糖尿病予備軍、健常人で比較したものなどです。それがあれば、糖尿病予備軍の人は、インスリンの追加分泌量が少ないのか、それとも、追加分泌の時間が健常人より遅れるだけなのかなど、いろいろなことが分かると思います。宜しくお願いします。
2018/02/12(Mon) 10:08 | URL | ジョー | 【編集
Re: 健常人との比較データ
ジョー さん

いろいろ調べたいところですが、
なにせ、時間もかかり、患者さんの負担も大きいのでなかなか困難です。


いろんなデータという意味では、
私の友人田頭秀悟先生のサイト、

「たがしゅうブログ」のカテゴリーの「人体実験」が
面白いですよ。
2018/02/12(Mon) 18:18 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 健常人との比較データ
江部先生

ブログの紹介ありがとうございます。早速RSSの登録しました。“人体実験”の記事でもありましたが、やはり血糖値だけでなく、インスリンとグルカゴンの値があると、実際体内で何が起こっているのかがよく分かります。引き続き、そのようなデータを追っている研究を探してみます。ありがとうございました。
2018/02/13(Tue) 08:37 | URL | ジョー | 【編集
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