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インフルエンザワクチンの効果は?2018年1月。
おはようございます。

インフルエンザが、流行しています。
国立感染研究所によれば、
2017年 第52週 (12月25日~12月31日) 2018年1月5日現在
2017年第52週の定点当たり報告数は17.88(患者報告数85,976)となり、
前週の定点当たり報告数12.87よりも増加しました。

 全国の保健所地域で警報レベルを超えている保健所地域は70箇所(1道2府23県)、
注意報レベルを超えている保健所地域は314箇所(1都1道2府41県)となりました。
京都府も警報レベルです。
 定点医療機関からの報告をもとに、定点以外を含む全国の医療機関をこの1週間に受診した患者数を推計すると
約101万人(95%信頼区間:99~103万人)となり、前週の推計値(約66万人)よりも増加しました。

さて、インフルエンザワクチンを接種した人も接種してない人もいると思います。
今年のワクチンは、4種類のインフルエンザウイルス株が含まれています。

是非、知っておいて欲しいことは、インフルエンザワクチンは万能ではないということです。

感染防御力は基本的になくて、重症化を防ぐことが期待されるていどの効能です。

ワクチンを打っている人も打っていない人も、手洗い、うがい、マスクがインフルエンザ予防の基本ですね。

特に、手洗いが思った以上に有効です。

ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、 自分の手にもウイルスが付着している可能性があります。

外出先から帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。

咳やくしゃみで飛んだ飛沫が服についても、数時間で感染力を失うとされています。

外出から帰宅したら着替えすることも予防に役立ちます。

以下の青字は、厚生労働省サイトの記載です。

インフルエンザの予防にはみんなの「かからない」、「うつさない」という気持ちが大切です。
手洗いでインフルエンザを予防して、かかったら、マスク等せきエチケットも忘れないでください。

インフルエンザにかかった人は、必ずマスクをして他人にうつさないように配慮が必要です。

<インフルエンザワクチンの有効性>

インフルエンザワクチンは、A型にもB型にも対応しています。

しかし、実は現行のインフルエンザワクチンには、
水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。

感染した後、重症化を防ぐ効果が期待されるという程度なので、過信するのは禁物です。

理論的に考えても、ワクチンを接種することによりIgG抗体が血液・体液中に産生されますが、
粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。

従って、インフルエンザウィルスが、咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、
はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。

欧米では、鼻への噴霧ワクチンで、粘膜面のIgA抗体をつくる試みもされていますが
あまり上手くいっていません。
IgA抗体を充分量増やす技術が難しいようです。

下記の青字は国立感染研究所のホームページからの抜粋です。
http://www0.nih.go.jp/niid/topics/influenza01.html
【7.インフルエンザワクチンの問題点

(2)「現行ワクチンの感染防御効果や発症阻止効果は完全ではありませんので、ワクチン接種を受けてもインフルエンザに罹患する場合があり、この場合には患者はウイルスを外部に排泄し、感染源となります。従って、集団接種を行っても社会全体のインフルエンザ流行を完全に阻止することは難しいと考えられます。」

(6)「現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、インフルエンザウイルスの感染防御に中心的役割を果たすと考えられる気道の粘膜免疫や、回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。これは、インフルエンザウイルスの感染そのものを防御すると言う面では大きな短所であると考えられています。

しかし、この様な欠点を持ちながらも、先に述べたように、ハイリスク群に対する現行インフルエンザワクチンの効果は明らかに認められています。また、ワクチンの皮下接種でも血中の抗体産生は十分に刺激できるので、インフルエンザに続発する肺炎などの合併症や最近問題となっているインフルエンザ脳炎・脳症の発生を抑えることには期待出来ると考えられています。」】

<集団感染>

 東京・練馬区の特別養護老人ホームで、入所者49人が年末から年始(2017/2018)にかけて相次いでインフルエンザに感染していることがわかりました。
このうち、症状が重かった6人が医療機関に入院したということですが、現在は回復しているということです。
 前橋市は2017年12月28日、同市内の病院の入院棟にいた入院患者26人と職員4人の計30人がインフルエンザに集団感染し、このうち80代の女性が死亡したと発表しました。

これらの集団感染において、ほとんどの人はインフルエンザワクチンを接種していました。

このように、感染防御にはワクチンは、実際にまったく無力だったことが明らかとなりました。

そもそもインフルエンザワクチンは「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」ということが効能です。

感染を防ぐためには、「手洗い、うがい、マスク」が必須です。


<誤解>


ところが、相変わらず多くの患者さんや医師が、ワクチンを接種していれば、水際で感染防御できると誤解しておられるのです。

私は、過去10年間以上、友人の医師などに、感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、皆なかなか信じてもらえませんでした。どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。

ここ数年、新聞などでもやっと、「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。

逆に言えば、過去10年以上、あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、そのことに関して自己批判も反省もないのは如何なものでしょう。

インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、私はこのことを説明して、

「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」

と付け加えます。

<必要性>


別に私は、ワクチンが無意味といっているのではありません。

65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、接種する意味はありますね。


<感染防御>

①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。
 診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。
 マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクをして乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクをする。
  その一人は、違う部屋で寝る。
⑥咳で飛沫が飛ぶのは約1mであるので当事者から距離を取る。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは、
 できればノンタッチごみ箱に廃棄すること

ブログ読者の皆さん、インフルエンザワクチンを接種している人も、感染防御効果はないことをしっかり認識して、
上記①~⑦を励行してくださいね。

これが実行されていれば、上述のような院内感染が猛威をふるうことはなかったでしょう。


<終わりに>

インフルエンザワクチン接種に、賛成の人も反対の人もあると思います。

ブログ読者の皆さんには、インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて今回記事にしました。


江部康二

コメント
肺炎
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180114-00000004-spnannex-ent
柳家小蝠さん42歳が、肺炎で亡くなったそうです。
長年糖尿病を患っていて、インフルエンザからの肺炎とのこと。
肺炎というのは高齢者のイメージですが、中年や若者でも亡くなっているんですね。
名前は存じ上げないのですが、同世代ということで気にかかりました。
肺炎について少し調べてみようと思います。
肺炎とはどういう病気か教えていただけたらと思います。
2018/01/14(Sun) 17:49 | URL | 独身中年大學一年生 | 【編集
Re: 肺炎


独身中年大學一年生 さん

柳家小蝠さん、残念です。
42歳で肺炎で亡くなられたのは、やはり糖尿病の影響と思われます。

インフルエンザで弱っている状態に、細菌感染が合併し、「細菌性肺炎」で亡くなられたのだと思います。

肺炎を起こす細菌は、肺炎球菌が有名ですが、
ブドウ球菌、クレブシエラ菌、インフルエンザ菌(インフルエンザウィルスとは異なります)などがあります。

肺に炎症があれば肺炎です。
肺炎の原因には、細菌、ウィルス、マイコプラズマ(生物学的には細菌に分類)、真菌などの感染症、
アレルギーや放射線による肺炎もあります。
2018/01/14(Sun) 18:14 | URL | ドクター江部 | 【編集
リブレの文献
リブレの文献をupしました

◇血糖管理はHbA1cを見るだけでは不十分

https://yahoo.jp/box/6A3PiG
2018/01/14(Sun) 22:26 | URL | 中嶋一雄 | 【編集
ワクチン
ワクチンは怖くない(光文社新書)
岩田 健太郎

http://amzn.asia/aP7ySqU

 岩田先生は、ワクチンに対してはポジティブな発言が多いです。インフルエンザワクチンを評価しています。

 ただし、肺炎球菌ワクチンは、小児には効果的ですが、成人にはあまり効果がないと書いてます
2018/01/14(Sun) 22:36 | URL | 中嶋一雄 | 【編集
糖質制限容認の循環器科
江部先生
大変お世話になります
その後、病院は見つかりそうでしょうか?
私もネット検索していますが、大阪には理解のある医師はないんでしょうか?
現在、q10のサプリを飲んですごしています。
胸の違和感が時々あるため、不安な夜を過ごしています。
毎日、泣いて過ごすのを小さな子供たちも不安そうに見守ってくれています。
糖質制限8年目ですが、インスリン注射に切り替えて、間違った治療に従うしか道はないのでしょうか?
江別先生の診療所に通院していますが、江別先生に受診していただくことはできないでしょうか?
先生のお返事がなく、不安でたまらず、コメントさせていただきましたことお許しください。
非公開コメントが無理でしたのて、公開コメントにしています。
2018/01/14(Sun) 23:26 | URL | 小福 | 【編集
Re: リブレの文献
中嶋一雄 先生

血糖変動、血糖トレンドが注目されていますね。
リブレの文献up、ありがとうございます。
2018/01/15(Mon) 07:28 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ワクチン
中嶋一雄 先生

疫学や統計は、結構バイアスが入りやすいです。
従って、簡単に信じることはできません。
インフルエンザワクチンに関しても、統計的には有効とされていますが、信頼度は??ですね。

単純に科学的に思考してみると、
インフルエンザワクチンは理論的には、IgG抗体を産生しますが、IgA抗体は産生できません。
従って、理論的には、感染防御力はあり得ません。
感染した後に、重症化を防ぐ効果が期待できるということに尽きます。



2018/01/15(Mon) 07:35 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 糖質制限容認の循環器科
小福 さん

循環器の糖質制限賛成派の医師、捜してみたのですが、大阪、神戸で把握できませんでした。


地元の内科の先生ならより詳しい情報があると思います。
吉田光範先生にご相談頂けば幸いです。

吉田内科クリニック
所在地: 兵庫県芦屋市業平町5-2-601
TEL: 0797-38-7210
URL: http://www.yoshida-naika-cl.com


院長自らスーパー糖質制限食を実行中で、10㎏減量に成功しておられます。
2018/01/15(Mon) 07:43 | URL | ドクター江部 | 【編集
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