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農耕前、果物の果糖は貴重な中性脂肪蓄積材料。しかし果糖は危険?
こんばんは。

今回は、果糖と中性脂肪とAGEsについて考えてみます。

果物に含まれる糖質の主成分の果糖ですが、実におもしろい性質を持っています。

果糖が脂肪合成を誘導しやすい糖質であることは、以前から知られています。

ヒトにおいて、高果糖食が肝臓での脂肪合成を促進し、血中の中性脂肪濃度を上昇させ、
インスリン抵抗性を生じることが報告されています。

果物中の果糖は、GLUT5によって吸収されますが、
血糖にはほとんど変わらずに肝臓まで運ばれ、ブドウ糖代謝系に入ります。
このとき果糖は、ブドウ糖より急速に代謝されるという特徴があります。
果糖は、ブドウ糖よりも約10倍AGEsを生成しやすいので、
急速に代謝する必要があるのかと思われます。

果糖は、肝臓での脂肪合成酵素群の発現を促進させる作用も持っており、
急速に代謝されることと合わせて、とても中性脂肪に変わり易いのです。

このように、果糖は中性脂肪をためやすく肥満しやすい性質をもっているので、
現代では果物は、要注意食材といえます。
特に品種改良により糖度が高くて、大きくなった果物は危険です。

また、フルクトースコーンシロップが砂糖よりもコストが安価なので
米国で大量に使用されるようになりました。
例えばコーラなど清涼飲料水の原材料の一つとして
「果糖ブドウ糖液糖」がよく使用されます。
果糖ブドウ糖液糖のフルクトースコーンシロップの含有率は50%~90%です。
当然、フルクトースコーンシロップも
砂糖の10倍くらいAGEsを生成しやすく危険な食材です。


さて、それではここで、
農耕前、狩猟・採集時代の人類の食生活を考えてみましょう。

果物には果糖、ブドウ糖、ショ糖などの糖質が含まれています。
当時の果物は野生の小さな糖度の低いものと考えられますが、
10万年、20万年、100万年・・・前に、
アフリカの人類のご先祖が、運良く果物にありついたとき、

A)『ブドウ糖やショ糖→血糖値上昇→インスリン追加分泌→
GLUT4が脂肪細胞表面に移動して血糖を取り込んで中性脂肪に変えて蓄積』

B)『果糖→インスリンとは無関係にGLUT5により小腸内に吸収→肝臓に運ばれて速やかに中性脂肪合成』

これらA)B)の2つのシステムが稼働したはずです。

A)B)の2つのシステムは、農耕以前の人類の食生活と生存競争において、
極めて重要な意味を持っていたと考えられます。

即ち、体に中性脂肪を蓄えることは、ご先祖にとって、
飢餓に備えるための唯一無二のセーフティーネットであったからです。

果糖がインスリンに依存せずに、肝臓でブドウ糖より速く代謝され中性脂肪に変わるのも、
農耕以前の人類においてはとても大きな利点であったと考えられます。

人類の歴史を紐解くと
アルディピテクス、アウストラロピテクス・アファレンシス(アファール猿人)、
パラントロプスなど・・・そしてホモ属(ヒト属)・・・
ホモ属(ヒト属)には、ジャワ原人、北京原人、ネアンデルタール人などがいました。

これらの多種の人類が、栄枯盛衰を繰り返し進化して淘汰され、
唯一現世人類(ホモ・サピエンス)だけが生き残りました。

体脂肪を多く蓄えることができるのが、現世人類の大きな特徴です。
特に現世人類の女性の乳房とお尻は、
脂肪の蓄積装置としてはとても優れたものであり、
現世人類が多種の人類の中で唯一生き残った大きな理由の一つと言えます。

現世人類のごく普通の体型の女性なら、その体脂肪により、
水さえあれば母子ともに2ヶ月くらいは生存可能という
大きなアドバンテージがあるのです。



江部康二
コメント
ビッグインパクト!です。
女性の強さを、改めて知り、畏怖を覚えます。
水だけで2か月ですか・・・。
そりゃ、オスはダメですね。
2017/12/01(Fri) 21:32 | URL | クワトロ | 【編集
Re: ビッグインパクト!です。
クワトロさん

150cm 50kg 体脂肪率20%
の女性なら、体脂肪は10kgです。

そうすると飢餓に対する備蓄が、9万キロカロリーあります。
最低限大雑把に一日1500kcal必要として、60日分に相当します。

男性でも現代なら、備蓄の多い人がたくさんいますね。( ̄_ ̄|||)
2017/12/02(Sat) 07:38 | URL | ドクター江部 | 【編集
Higher brain glucose levels may mean more severe Alzheimer’s
お知らせしておきます。

糖尿病と認知症が似る理由解明か
剖検脳の検討、解糖系の低下と高度病変関連

国際医学短信2017年11月30日(木)配信

長期縦断研究参加者の剖検を含む検討で、脳の解糖系の異常がアルツハイマー型認知症(AD)に見られるアミロイドプラークの形成や神経原線維変化の進展に関連するとの世界初の知見が報告された。米国立衛生研究所(NIH)が11月6日、Alzheimer’s & Dementia: the Journal of the Alzheimer’s Association誌の掲載論文を紹介した。同研究はNIHの関連組織の助成を受けて実施された。
研究グループは、ボルチモア老化縦断研究(BLSA)参加者の剖検脳組織を詳しく調査した。生前にアルツハイマー型認知症と診断され、死後の病理検査で確定診断された群と健康対照群、そして生前は無症状だったが死後病理検査でアルツハイマー型認知症の所見が確認された群に層別化。アルツハイマー型認知症で病変が生じやすい脳領域(前頭葉および側頭葉皮質など)とそうでない脳領域(小脳など)のグルコースレベルを比較した。
検討の結果、アルツハイマー型認知症の重症度と脳の解糖系の異常に明らかな関連が見られた。アルツハイマー型認知症患者の脳に見られるアミロイドプラーク形成と神経原線維変化が高度であるほど、脳の解糖効率の低下と脳内グルコースレベルの上昇が亢進していた。さらに、脳の解糖系の減衰が高度であるほど、生前のアルツハイマー型認知症の臨床症状がより顕著であったことも分かった。
これまでも糖尿病とアルツハイマー型認知症が類似の機序を持つと考えられてきたが、脳は糖を利用する際にインスリンを必要としないため、評価が難しかった。研究グループは今回、脳での糖利用を追跡するために3つのアミノ酸(セリン、グリシン、アラニン)とグルコースの比率を計測し、解糖系の効率を評価した。この検討からは、正常な脳組織に比べアルツハイマー型認知症患者の脳では解糖系に重要な役割を果たすこれらの酵素の活性が低下していること、そして酵素活性が低下しているほど、脳におけるアルツハイマー型認知症の病変や症状が重症であったことが明らかになった。
また、プロテオミクスによる検討では正常な人の脳に比べアルツハイマー型認知症患者の脳では糖輸送体GLUT3の発現が低下しており、低下の程度と病変の進行が関連しているとの結果も得られた。さらに、今回の対象者が死亡する数年前の検査で血糖値の上昇が大きいほど、死亡時点の脳局所のグルコースレベルが高かった。
研究グループは、今回の結果がアルツハイマー型認知症に見られる脳の解糖系の低下に着目した新しい治療標的の開発につながるかもしれないと期待を示している。

Higher brain glucose levels may mean more severe Alzheimer’s

https://www.nih.gov/news-events/news-releases/higher-brain-glucose-levels-may-mean-more-severe-alzheimers
2017/12/02(Sat) 13:10 | URL | 産婦人科医師 | 【編集
不安です
ドクター江部様、初めてコメントさせていただきます。30歳女性、身長は169センチで55キロです。
初めて血液検査をしたのですが、空腹時の血糖値が99、HbA1cが5.4でした。親族に糖尿病はいません。
チョコレートが大好きで、一時期毎日食べており、糖尿病が心配になり専門医に行き血液検査をしました。
年齢の割に空腹時の血糖値が高めということで75gOGTTをやってみようと予約を入れました。しかし、いざ受けるとなると、糖尿病と診察されるのではないかと不安になり、検査を受けるのを迷っています。
甘えた質問で恐縮ですが、私が糖尿病の可能性は高いのでしょうか?75gOGTTは受けた方が良いのでしょうか?不安で夜も眠れなくなってしまい、毎日が辛いです。
2017/12/02(Sat) 15:42 | URL | 30歳女性 | 【編集
生存可能な飢餓の期間
過去に投稿したコメントがあります。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3703.html

抜粋
生存可能な飢餓の期間は、主としてヒトのトリアシルグリセロール貯蔵量によって決まる。

貯蔵したトリアシルグリセロールが使い果たされた時にはどうなるのだろう。
残された唯一の燃料源はタンパク質である。
タンパク質の分解が加速し、心臓、肝臓、腎臓の機能が失われて否応なく死に至る。

参考にしていただけたら幸いです。
2017/12/02(Sat) 21:55 | URL | オスティナート | 【編集
Re: Higher brain glucose levels may mean more severe Alzheimer’s
産婦人科医師 さん

貴重な情報をありがとうございます。
2017/12/03(Sun) 17:12 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 不安です
30歳女性 さん

糖尿病の可能性はそう高くないと思います。
しかし心配性なら、今後の食生活のために、一度受けておけばいいと思います。
2017/12/03(Sun) 17:16 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 生存可能な飢餓の期間
オスティナート さん

ありがとうございます。
記事に追加しました。
2017/12/03(Sun) 17:17 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございます。
ドクター江部様
糖尿病の可能性がそう高くないという事で少し安心しました。ただ、可能性がゼロではないとのことで、検査を受けるか迷ってはいます、、、。75g糖化検査を受けない場合、どのくらいの頻度で血液検査をすべきでしょうか?
2017/12/04(Mon) 09:13 | URL | 30歳女性 | 【編集
Re: ありがとうございます。
30歳女性 さん

気にするタイプなら、さっさと一度は「75g経口ブドウ糖負荷試験」を実施して
現在の耐糖能を明確にするのが安心です。

気にしないタイプなら、1/年の健康診断検査でよいと思います。
2017/12/04(Mon) 20:46 | URL | ドクター江部 | 【編集
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