2017年10月22日 (日)
【17/10/21 おりーぶママ
LDLコレステロールが366!
はじめまして。
私は57才の女性です(身長159cm、体重51kg)。10年ほど前から血圧が高くなり、昨年の9月1日から夫と共に糖質制限食を始めました。
その結果、2014年には175-90ほどだった血圧が、今週受けた人間ドックでは126-88に下がり、さらに今朝自宅では117-78程度でした。夫もすっかりお腹が細くなり、血圧も下がり、揃って健康になった感じがして喜んでいます。
糖質制限食を始めるに当たり、江部先生の『やせる食べ方』や『食品別糖質量ハンドブック』を参考にさせて頂き、特に後者は、食事の用意をする時には手放せないものになりました。さらにうれしいのは、太りたくないと思ってずっと我慢していた油物や、大好きなバター、チーズ、ワイン、オリーブオイル等々を食べてもいいんだとわかり、かえって糖質制限前より、おいしく食事を楽しむことが出来ていると感じています。体重も3キロほど減り、もう少しスリムになれるかなぁとこのままの食事を続けていこうと思っています。
ところが、数日前に受けた人間ドックで、衝撃を受けています。LDLコレステロールがなんと366と異常値を示していました(総コレステロールは491)。正しくは異常値というのかわかりませんが、例えばコレステロールが高いと江部先生のブログに訴えているどの方を見ても、あるいはアメリカなどのコレステロール値と心筋梗塞発症率予測(ちょっと正確ではないかもしれません)のグラフなどでさえ、LDLは280が上限だったりして、私が参考になるものが見当たらず途方に暮れております。
人間ドックのあと、医師の診断で早速スタチンを勧められましたが、以前から宗田哲男先生の著書でコレステロール降下薬は飲むな、ということを読んでおりましたし、薬なしの人生を目指して、12年間ランニングを続けゼイゼイ言いながらも走ることが人生の一部になった生活をしているにもかかわらず、あっさり薬を勧めてくる医師に憤りを感じています。
宗田先生は次男の出産をして頂いた優しい,すばらしい先生でした。今でも感謝しています。先生の言うことに間違いはないと思っていますし、江部先生のブログを拝見すると、HDL-Cが高くて中性脂肪が低かったら、LDL-Cが高くても良いLDL-Cだという記述が至るところに出てくるので、ちょっと救われています。
しかし、それにしても値があまりにも高いのではないかと思い、不安でいっぱいです。わらをもつかむ思いです。江部先生、教えて頂けませんでしょうか?私は何らかのコレステロール降下薬を飲まなければいけないのでしょうか?
来週中に頸動脈エコー検査をします。動脈硬化を見るんでしょうか。
さらに1ヶ月後に再度血液検査をして、医師の診断はその時下るのだろうと思われます。
これまでのコレステロールの検査値は次の通りです。
’14/10 ’15/8 ’16/9/29 ‘17/10/17
T-CHO 261→ 283 →323 →491
HDL-C 116→ 102 →106 →116
LDL-C 126→ 166 →208 →366
中性脂肪 55→ 54 →46 →58
糖質制限食は2016/9/1より始めました。
よろしくお願い致します。】
こんばんは。
オリーブママさんから、LDLコレステロール値が
糖質制限食で急上昇というコメントを頂きました。
14/10 15/8 16/9/29 17/10/17
T-CHO 261 → 283 →323 →491
HDL-C 116 → 102 →106 →116
LDL-C 126 → 166 →208 →366
中性脂肪 55 → 54 →46 →58
2016年9月1日から、糖質制限食開始で、
総コレステロールとLDL-Cが急上昇しています。
一方、糖質制限1年ちょっとで、血圧・体重が改善で良かったです。
確かに私は、
「HDL-C値が高くて中性脂肪値が低かったら、
LDL-C値が高くても良いLDL-Cだ」
と、常々ブログで述べています。
でも、
LDL-C 126 → 166 →208 →366
という数値をみると、誰でもやや不安になりますよね。
しかし、結論から言うと、経過をみて良いと思います。
オリーブママさんのLDLコレステロールは
肝臓から末梢組織に、
コレステロールという細胞膜の材料を運んでくれる善玉LDL-Cです。
悪玉の小粒子LDLはほとんどないパターンです。
現在のLDLコレステロール高値は、
「糖質制限食実践により食事由来のコレステロールが増加したが、
肝臓でのコレステロール合成量の低下がまだ追いついていない」
状態に加え、
「糖質制限食により小粒子LDLが減り、
大粒子LDL(通常のLDL)が増えることで(LDLの粒子数は不変だが)LDLの質量が増えた」
結果だと考えられますので、心配ないと思われます。
上記仮説は、きよすクリニックの伊藤喜亮先生からご教示いただきました。謝謝。
実際、
「小粒子LDL-Cが多いほど総死亡率は上昇するが、
標準の大きさのLDL-Cは多いほど総死亡率が下がる傾向がある」
という英文論文もあります。
また、現在LDLコレステロール値は直接測定する場合と、
計算式で求める方法がありますが、直接法は精度があまり高くなく、
計算式の方が一般的であり、通常Friedwaldの式を使います。
この式を利用して計算されたLDL-Cは、中性脂肪値が低い場合は
過大な数値となることがあります。
つまり本当はそんなに高くないのに、計算式の問題で、
見かけ上高値にみえるという場合もあるわけです。
そして、糖質セイゲニストは、中性脂肪値が低いです。
Friedwaldの式
LDLコレステロール= [総コレステロール] – [HDLコレステロール] – [中性脂肪]÷5
幸い、頸動脈エコーを検査されるということなので、
万一プラークが見つかれば、薬を考慮する必要がありますが
まずプラークはないと思いますよ。
プラークがなければ、例えLDL-Cが高値でも現実の血管に害を及ぼしてないのですから
問題はないわけで、経過をみてよいと思います。
1年、2年~数年レベルで経過をみれば、肝臓が調整するので
LDL-Cや総コレステロールも、もともとの、糖質制限開始前のデータに戻ると思います。
万一、薬を考慮する場合も、スタチンではなくゼチーアが良いです。
すなわち、食材からのコレステロールが増加して、血中コレステロールが上昇したのは
明らかなので、理論的に食材からのコレステロールをブロックするゼチーアのほうが
適切です。
江部康二
LDLコレステロールが366!
はじめまして。
私は57才の女性です(身長159cm、体重51kg)。10年ほど前から血圧が高くなり、昨年の9月1日から夫と共に糖質制限食を始めました。
その結果、2014年には175-90ほどだった血圧が、今週受けた人間ドックでは126-88に下がり、さらに今朝自宅では117-78程度でした。夫もすっかりお腹が細くなり、血圧も下がり、揃って健康になった感じがして喜んでいます。
糖質制限食を始めるに当たり、江部先生の『やせる食べ方』や『食品別糖質量ハンドブック』を参考にさせて頂き、特に後者は、食事の用意をする時には手放せないものになりました。さらにうれしいのは、太りたくないと思ってずっと我慢していた油物や、大好きなバター、チーズ、ワイン、オリーブオイル等々を食べてもいいんだとわかり、かえって糖質制限前より、おいしく食事を楽しむことが出来ていると感じています。体重も3キロほど減り、もう少しスリムになれるかなぁとこのままの食事を続けていこうと思っています。
ところが、数日前に受けた人間ドックで、衝撃を受けています。LDLコレステロールがなんと366と異常値を示していました(総コレステロールは491)。正しくは異常値というのかわかりませんが、例えばコレステロールが高いと江部先生のブログに訴えているどの方を見ても、あるいはアメリカなどのコレステロール値と心筋梗塞発症率予測(ちょっと正確ではないかもしれません)のグラフなどでさえ、LDLは280が上限だったりして、私が参考になるものが見当たらず途方に暮れております。
人間ドックのあと、医師の診断で早速スタチンを勧められましたが、以前から宗田哲男先生の著書でコレステロール降下薬は飲むな、ということを読んでおりましたし、薬なしの人生を目指して、12年間ランニングを続けゼイゼイ言いながらも走ることが人生の一部になった生活をしているにもかかわらず、あっさり薬を勧めてくる医師に憤りを感じています。
宗田先生は次男の出産をして頂いた優しい,すばらしい先生でした。今でも感謝しています。先生の言うことに間違いはないと思っていますし、江部先生のブログを拝見すると、HDL-Cが高くて中性脂肪が低かったら、LDL-Cが高くても良いLDL-Cだという記述が至るところに出てくるので、ちょっと救われています。
しかし、それにしても値があまりにも高いのではないかと思い、不安でいっぱいです。わらをもつかむ思いです。江部先生、教えて頂けませんでしょうか?私は何らかのコレステロール降下薬を飲まなければいけないのでしょうか?
来週中に頸動脈エコー検査をします。動脈硬化を見るんでしょうか。
さらに1ヶ月後に再度血液検査をして、医師の診断はその時下るのだろうと思われます。
これまでのコレステロールの検査値は次の通りです。
’14/10 ’15/8 ’16/9/29 ‘17/10/17
T-CHO 261→ 283 →323 →491
HDL-C 116→ 102 →106 →116
LDL-C 126→ 166 →208 →366
中性脂肪 55→ 54 →46 →58
糖質制限食は2016/9/1より始めました。
よろしくお願い致します。】
こんばんは。
オリーブママさんから、LDLコレステロール値が
糖質制限食で急上昇というコメントを頂きました。
14/10 15/8 16/9/29 17/10/17
T-CHO 261 → 283 →323 →491
HDL-C 116 → 102 →106 →116
LDL-C 126 → 166 →208 →366
中性脂肪 55 → 54 →46 →58
2016年9月1日から、糖質制限食開始で、
総コレステロールとLDL-Cが急上昇しています。
一方、糖質制限1年ちょっとで、血圧・体重が改善で良かったです。
確かに私は、
「HDL-C値が高くて中性脂肪値が低かったら、
LDL-C値が高くても良いLDL-Cだ」
と、常々ブログで述べています。
でも、
LDL-C 126 → 166 →208 →366
という数値をみると、誰でもやや不安になりますよね。
しかし、結論から言うと、経過をみて良いと思います。
オリーブママさんのLDLコレステロールは
肝臓から末梢組織に、
コレステロールという細胞膜の材料を運んでくれる善玉LDL-Cです。
悪玉の小粒子LDLはほとんどないパターンです。
現在のLDLコレステロール高値は、
「糖質制限食実践により食事由来のコレステロールが増加したが、
肝臓でのコレステロール合成量の低下がまだ追いついていない」
状態に加え、
「糖質制限食により小粒子LDLが減り、
大粒子LDL(通常のLDL)が増えることで(LDLの粒子数は不変だが)LDLの質量が増えた」
結果だと考えられますので、心配ないと思われます。
上記仮説は、きよすクリニックの伊藤喜亮先生からご教示いただきました。謝謝。
実際、
「小粒子LDL-Cが多いほど総死亡率は上昇するが、
標準の大きさのLDL-Cは多いほど総死亡率が下がる傾向がある」
という英文論文もあります。
また、現在LDLコレステロール値は直接測定する場合と、
計算式で求める方法がありますが、直接法は精度があまり高くなく、
計算式の方が一般的であり、通常Friedwaldの式を使います。
この式を利用して計算されたLDL-Cは、中性脂肪値が低い場合は
過大な数値となることがあります。
つまり本当はそんなに高くないのに、計算式の問題で、
見かけ上高値にみえるという場合もあるわけです。
そして、糖質セイゲニストは、中性脂肪値が低いです。
Friedwaldの式
LDLコレステロール= [総コレステロール] – [HDLコレステロール] – [中性脂肪]÷5
幸い、頸動脈エコーを検査されるということなので、
万一プラークが見つかれば、薬を考慮する必要がありますが
まずプラークはないと思いますよ。
プラークがなければ、例えLDL-Cが高値でも現実の血管に害を及ぼしてないのですから
問題はないわけで、経過をみてよいと思います。
1年、2年~数年レベルで経過をみれば、肝臓が調整するので
LDL-Cや総コレステロールも、もともとの、糖質制限開始前のデータに戻ると思います。
万一、薬を考慮する場合も、スタチンではなくゼチーアが良いです。
すなわち、食材からのコレステロールが増加して、血中コレステロールが上昇したのは
明らかなので、理論的に食材からのコレステロールをブロックするゼチーアのほうが
適切です。
江部康二
糖質制限ダイエット中に発症した色素性痒疹の1例
徳島赤十字病院医学雑誌Vol.22(2017年発行)
http://www.tokushima-med.jrc.or.jp/hospital/14/2017pdf/012.pdf
徳島赤十字病院医学雑誌Vol.22(2017年発行)
http://www.tokushima-med.jrc.or.jp/hospital/14/2017pdf/012.pdf
2017/10/22(Sun) 19:42 | URL | 中嶋一雄 | 【編集】
こんばんは、私も糖質制限を始めて5年目ですがLDLコレステロールが正常値から跳ね上がり、ずっと400を超えています。肝臓が調節してくれる気配はなく、年々高くなってます。でも、中性脂肪が低いので、気にしないでおりますー
2017/10/22(Sun) 23:27 | URL | | 【編集】
中嶋一雄 先生
ありがとうございます。
極めて興味深い文献です。
この文献で、低カロリー食が色素性痒疹の元凶ということがよくわかります。
記事にしたいと思います。
ありがとうございます。
極めて興味深い文献です。
この文献で、低カロリー食が色素性痒疹の元凶ということがよくわかります。
記事にしたいと思います。
2017/10/23(Mon) 07:19 | URL | ドクター江部 | 【編集】
素朴な疑問なんですが赤ワインはコンビニやスーパーで売っているもので大丈夫なんでしょうか?ご意見お願い致します。
2017/10/23(Mon) 08:57 | URL | yuki yoshi | 【編集】
今でも定期的にこういう記事は上がってきますね。
「炭水化物抜きダイエット」に潜む、2つの落とし穴とは…
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6258484
どうもカロリーを中心に話されているようです。付いているコメントも色々ですが、中には糖質セイゲニストの方もおられるようですね。
「炭水化物抜きダイエット」に潜む、2つの落とし穴とは…
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6258484
どうもカロリーを中心に話されているようです。付いているコメントも色々ですが、中には糖質セイゲニストの方もおられるようですね。
2017/10/23(Mon) 14:21 | URL | TAK | 【編集】
yuki yoshi さん
『日本食品標準成分表2015(七訂)』によれば
一般的な赤ワインは、100ml中に糖質が1.5gです。
よほど甘くない限りは、そんなものと思います。
『日本食品標準成分表2015(七訂)』によれば
一般的な赤ワインは、100ml中に糖質が1.5gです。
よほど甘くない限りは、そんなものと思います。
2017/10/23(Mon) 17:37 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生、
早速のご返事をいただきありがとうございました。
動脈エコーはドキドキですが、先生のお言葉を胸に受けに行ってきます。
お忙しいところ、分かりやすい丁寧なご説明をいただき誠にありがとうございました。
昨夜台風が通り過ぎて行き、関東地方は私の心のように晴天が続きそうです。
早速のご返事をいただきありがとうございました。
動脈エコーはドキドキですが、先生のお言葉を胸に受けに行ってきます。
お忙しいところ、分かりやすい丁寧なご説明をいただき誠にありがとうございました。
昨夜台風が通り過ぎて行き、関東地方は私の心のように晴天が続きそうです。
今年の1月からスタンダード糖質制限してました
中性脂肪とコレステロールが高いので5年前からトライコアを投与してました
今年の6月からトライコアを中断してまして
7月血液検査総コレステロール値280
中性脂肪値が345
トライコア投与中は中性脂肪値は184
プロテインは6月末から1日40g
今年8月に主治医は様子を見ると言われトライコアは出ませんでした
ナイアシン フラッシュフリーから
本日ナイアシン 100×1から始めます
3ヶ月くらいで中性脂肪値が下がるといいなと思っております!
それと
主治医からプロテインはNGと言われました
はいと返事だけして
プロテインを摂取しております
出来ればトライコアを中断したままで
プロテインを摂取して
糖質制限続けていきまたいのです
ご指導などアドバイスでも是非
ご指南頂けますと幸いです
中性脂肪とコレステロールが高いので5年前からトライコアを投与してました
今年の6月からトライコアを中断してまして
7月血液検査総コレステロール値280
中性脂肪値が345
トライコア投与中は中性脂肪値は184
プロテインは6月末から1日40g
今年8月に主治医は様子を見ると言われトライコアは出ませんでした
ナイアシン フラッシュフリーから
本日ナイアシン 100×1から始めます
3ヶ月くらいで中性脂肪値が下がるといいなと思っております!
それと
主治医からプロテインはNGと言われました
はいと返事だけして
プロテインを摂取しております
出来ればトライコアを中断したままで
プロテインを摂取して
糖質制限続けていきまたいのです
ご指導などアドバイスでも是非
ご指南頂けますと幸いです
きくさん
トライコアはフィブラート系の薬物です。
ナイアシンのほうが副作用は少ないのでいいですね。
スーパー糖質制限食で、10時間以上絶食しての朝の採血なら、
ほとんどの人は中性脂肪値は正常下限になることが多いです。
食後だと食品中の中性脂肪が数時間は血中に残ります。
家族性の高中性脂肪血症の場合は薬が必要かもしれません。
トライコアはフィブラート系の薬物です。
ナイアシンのほうが副作用は少ないのでいいですね。
スーパー糖質制限食で、10時間以上絶食しての朝の採血なら、
ほとんどの人は中性脂肪値は正常下限になることが多いです。
食後だと食品中の中性脂肪が数時間は血中に残ります。
家族性の高中性脂肪血症の場合は薬が必要かもしれません。
2018/08/16(Thu) 09:09 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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