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動物性タンパク質
おはようございます。

昨夜は、京都市左京区下鴨の疎水に、初蛍が飛んでいたそうです。下鴨の江部診療所のスタッフTさんからの情報です。日本の夏の風物詩蛍、いよいよ暑くなりそうですね。

さて今回は、トミーさんから、動物性タンパク質の摂取についてコメント・質問をいただきました。

『動物性たんぱくについて
肉、卵、などの動物性たんぱく質を摂ると腸内の悪玉菌が増えて 健康に悪いという記事があったのですが、心配です。主人の糖尿病と私のダイエットのため、たんぱく質中心にしているのですが、いかがでしょうか?
2008/05/22(木) 15:19:58 | URL | トミー 』

トミーさん。
コメント・質問ありがとうございます。

糖質制限食を実践すると相対的に高タンパク・高脂質になります。動物性タンパク質糖質制限食ではたっぷり摂取します。巷で一部言われているように、はたして動物性タンパク質は、人の健康に悪いのでしょうか?

この疑問に答えるべく、「人類本来の食生活とはどんなものなのか?」ということを考えてみましょう。
そうすると、農耕以前の人類は、そもそも糖質制限食を日常的に摂取していたことに思い至ります。

人類400万年の歴史の中で、農耕が始まって1万年、定着して4000年です。ということは、人類は399万6000年は糖質制限食が本来の食生活であり、農耕が定着した最近の4000年間だけが穀物を主食としているわけです。

従って、人類の歴史の中で穀物を主食としているのはわずか1/1000の期間に過ぎないことがわかります。

つまり高タンパク・高脂質の糖質制限食は、人類が999/1000の期間、日常的に摂取していた食生活に戻るだけということになります。ちなみにアラスカやグリーンランドのイヌイットの食生活は、まさに糖質制限食ですね。

糖質制限食がどれくらい健康によいかというと、血糖値中性脂肪HDL-コレステロール内臓脂肪血圧が改善し基本的に代謝すべてが良い方に向きます。

これらの指標は、メタボリック・シンドローム代謝症候群)の指標そのものですが、糖質制限食で全て改善します。ということは、糖質の過剰摂取こそがメタボリック・シンドロームの根本要因だったと考えられます。

ご質問の動物性タンパク質と腸内細菌ですが、人類本来の食生活に戻るわけなので、慣れの問題だけです。糖質制限食でいったん便秘したり下痢したりする人がいますが、1~3ヶ月で慣れて快便となることが多いです。もちろん当初から便通OKの人もいます。

結論です。

糖質制限食を実践すれば、動物性タンパク質の摂取は相対的に増加しますが、人類本来の食生活にもどり代謝全てが安定するので、健康に良いと考えられます。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
最近の4千年に注目することが大事なのでは?
うちの父親は、牛乳・チーズ・ヨーグルトを中年から毎日朝食でとり続けて糖尿病になりました。ご飯はあまり好きではなくパンが多かったです。
2011/11/09(Wed) 12:22 | URL | tatsuro | 【編集
Re: タイトルなし
tatsuro さん。

農耕開始の1万年前には、ホモ・サピエンスの人体の構造・生理・代謝・消化システムは完成していました。
その後の4000年ではもうおおきな変化はありません。
2011/11/09(Wed) 23:05 | URL | ドクター江部 | 【編集
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