2017年09月22日 (金)
「糖尿病疑い1000万人 厚労省推計2012年から50万人増」
炭水化物摂取比率が減少して、糖尿病の増加が縮小し、糖尿病予備軍は減少。
2017年9月21日に厚生労働省が発表です。
厚生労働省は、毎年国民健康・栄養調査を実施しています。
その中で、4~5年に1回、糖尿病有病数を集計しています。
今回2016年の糖尿病有病数は、2012年に比し、約50万人増加で、前回と同じぐらいです。

1990年:560万人
1997年:690万人(130万人増加)
2002年:740万人(50万人増加)
2007年:890万人(5年間で150万人増加)
2012年:950万人(5年間で60万人増加)
2016年:1000万人(4年間で50万人増加)
これで見ると、2002年→2007年の増加数が、半端じゃないですね。
2007年→2012年の増加は、60万人で
1997年→2002年の増加、50万人と似たようなもので、
2002年→2007年の増加、150万人に比しかなり少ないです。
2012年→2016年の増加、4年間で50万人は前回と同じくらいです。
糖尿病予備軍は、2012年に約1100万人で、2007年から約220万人減少で、
国民健康・栄養調査が始まって以来の初めての減少でした。
さらに2016年は糖尿病予備群は約1000万人で、
2012年から約100万人減少で、前回と同様の傾向です。
冷静に考えて、糖尿病増加の勢いが、弱まったことになります。
実はずっと増え続けいた炭水化物摂取比率が、
2008年から2010年にかけて、60.4%から59.4%に減っています。
2010年から2012年にかけては、59.4%から59.2%に減っています。
2012年から2015年にかけて、さらに59.2%から58.4%に減っています。
そして、ずっと減少傾向だった脂質摂取比率が、
2008年から2010年にかけて、24.9%から25.9%に増えているのです。
さらに2010年→2012年→2015年と、25.9→26.2→26.9%と増えています

そして、これを受けて、20007年から2012年にかけて糖尿病の増加が急減して、
糖尿病予備群は220万人も減少しているのです。
2012年から2016年も糖尿病は増加していますが、歯止めがかかっていて
予備群も前回の調査に続いて減少です。
保健所や一般の医師・栄養士の食事指導は、
旧態依然たる日本糖尿病学会推奨で唯一無二のカロリー制限食で、
数十年来不変ですので、今更この影響はないと思います。
なお、2000年~2015年まで日本の人口は
1億2700万~1億2800万くらいで大きな変化はありません。
そして、この間、高齢化はどんどん進んでいるので、普通に考えると
高齢者に多い病気である糖尿病は、より増加し易い状況だったと言えます。
それが歯止めがかかったというわけです。
平成12(2000) 126926人
平成17(2005)127768
18 127901
19 128033
20 128084
21 128032
22 128057
23 127799
24 127515
25 127298
26 127038
平成27(2015) 127095人
こうなると、あくまでも仮説ですが、炭水化物摂取が減って脂質摂取が増えて、
糖尿病の激増に歯止めがかかったのは、
糖質制限食の影響の可能性がありえますね。(^^)
☆☆☆
国民健康・栄養調査|厚生労働省
エネルギー 脂肪エネルギー比率 炭水化物エネルギー比率
2010年 1849kcal 25.9% 59.4%
2011 1840 26.2 59.2
2012 1874 26.2 59.2
2013 1873 26.2 58.9
2014 1863 26.3 59.0
2015 1889 26.9 58.4
江部康二
炭水化物摂取比率が減少して、糖尿病の増加が縮小し、糖尿病予備軍は減少。
2017年9月21日に厚生労働省が発表です。
厚生労働省は、毎年国民健康・栄養調査を実施しています。
その中で、4~5年に1回、糖尿病有病数を集計しています。
今回2016年の糖尿病有病数は、2012年に比し、約50万人増加で、前回と同じぐらいです。

1990年:560万人
1997年:690万人(130万人増加)
2002年:740万人(50万人増加)
2007年:890万人(5年間で150万人増加)
2012年:950万人(5年間で60万人増加)
2016年:1000万人(4年間で50万人増加)
これで見ると、2002年→2007年の増加数が、半端じゃないですね。
2007年→2012年の増加は、60万人で
1997年→2002年の増加、50万人と似たようなもので、
2002年→2007年の増加、150万人に比しかなり少ないです。
2012年→2016年の増加、4年間で50万人は前回と同じくらいです。
糖尿病予備軍は、2012年に約1100万人で、2007年から約220万人減少で、
国民健康・栄養調査が始まって以来の初めての減少でした。
さらに2016年は糖尿病予備群は約1000万人で、
2012年から約100万人減少で、前回と同様の傾向です。
冷静に考えて、糖尿病増加の勢いが、弱まったことになります。
実はずっと増え続けいた炭水化物摂取比率が、
2008年から2010年にかけて、60.4%から59.4%に減っています。
2010年から2012年にかけては、59.4%から59.2%に減っています。
2012年から2015年にかけて、さらに59.2%から58.4%に減っています。
そして、ずっと減少傾向だった脂質摂取比率が、
2008年から2010年にかけて、24.9%から25.9%に増えているのです。
さらに2010年→2012年→2015年と、25.9→26.2→26.9%と増えています

そして、これを受けて、20007年から2012年にかけて糖尿病の増加が急減して、
糖尿病予備群は220万人も減少しているのです。
2012年から2016年も糖尿病は増加していますが、歯止めがかかっていて
予備群も前回の調査に続いて減少です。
保健所や一般の医師・栄養士の食事指導は、
旧態依然たる日本糖尿病学会推奨で唯一無二のカロリー制限食で、
数十年来不変ですので、今更この影響はないと思います。
なお、2000年~2015年まで日本の人口は
1億2700万~1億2800万くらいで大きな変化はありません。
そして、この間、高齢化はどんどん進んでいるので、普通に考えると
高齢者に多い病気である糖尿病は、より増加し易い状況だったと言えます。
それが歯止めがかかったというわけです。
平成12(2000) 126926人
平成17(2005)127768
18 127901
19 128033
20 128084
21 128032
22 128057
23 127799
24 127515
25 127298
26 127038
平成27(2015) 127095人
こうなると、あくまでも仮説ですが、炭水化物摂取が減って脂質摂取が増えて、
糖尿病の激増に歯止めがかかったのは、
糖質制限食の影響の可能性がありえますね。(^^)
☆☆☆
国民健康・栄養調査|厚生労働省
エネルギー 脂肪エネルギー比率 炭水化物エネルギー比率
2010年 1849kcal 25.9% 59.4%
2011 1840 26.2 59.2
2012 1874 26.2 59.2
2013 1873 26.2 58.9
2014 1863 26.3 59.0
2015 1889 26.9 58.4
江部康二
江部先生
本当に糖質制限がじわじわと国民の食生活の中に浸透し、良い影響を与えているようですね。
02年から07年にかけて150万人もの糖尿病有病数増加の原因は、玄米や全粒粉などの健康ブームのためではないでしょう。
アメリカでも90年代に、ヘルシー志向として低脂肪と繊維質の重要性が強調され、全粒粉のパンなどがブームになりました。確かに心臓病や脳梗塞などの心血管病は減ったのですが、皮肉なことに糖尿病患者が急増しました。
原因は言うまでもなく、全粒粉のパンなどを繊維質が豊富で健康に良いと思い込んでばくばく食べていたためで、食べれば食べるほど良いと信じられていたほどです。
今世紀に入ると、それまでの脂肪を減らし、繊維質を多く摂りましょうというヘルシー志向は、糖質制限へと移り、全粒粉であろうとなかろうと炭水化物、特にグルテンを含む小麦の摂取を控え、良質なオメガ3などの油とタンパク質の摂取が強調されるようになりました。
もちろんこんなことは、先生や賢明な読者の方は既によくご存知の常識に過ぎませんが、病気というものが、健康志向によって移り変わっていくというのは興味深いことです。
そしてこのまま、脂肪が見直され、糖質制限が浸透していくに従って糖尿病はどこまで減るのだろうか。そして極度に炭水化物を禁忌する糖質制限によって、新たな疾患が逆に増えることはないのだろうか?そういう視点を持つことも大事だと思います。
例えば、糖尿病を耐糖能異常ととらえるならば、糖質制限は耐糖能を改善しないばかりか、悪化させてしまうケースもあると言われています。実際あまりに極端な糖質制限をしていて、たまに炭水化物をとると危険なアレルギーショックのような症状が現れるそうです。
また、グルコーススパイク、つまり、空腹時や2時間後の血糖値は正常に近くても、おにぎり一個で食後1時間の血糖値が200mg/dlを超える食後高血糖を起こす人が急増していますが、糖質制限だけではこれを改善することはできません。むしろ悪化させるという人もいます。
勿論その原因は、膵臓のβ細胞の破壊やインスリン抵抗性で説明されていますが、本当にそれだけが真の原因であるのか。少なくとも1~2万年も農耕に従事してきた人類のβ細胞が、何故そんな簡単に破壊されてしまうのか。炭水化物の割合が非常に高かったと思われる先祖たちのβ細胞が破壊されなかったのは何故か?
こうして疑問は次から次へと生まれます。糖質制限は糖尿病の対症療法に過ぎず、何ら根本的な解決策を示していないのではないか。そんなふうにさえ思えてくるのです。
最後は何か糖質制限に対する批判めいた口調になってしまい、失礼致しました。いつも記事を投稿されるだけでなく、コメントへの返信をしてくださる先生には本当に頭が下がります。本当にどうもありがとうございます。
本当に糖質制限がじわじわと国民の食生活の中に浸透し、良い影響を与えているようですね。
02年から07年にかけて150万人もの糖尿病有病数増加の原因は、玄米や全粒粉などの健康ブームのためではないでしょう。
アメリカでも90年代に、ヘルシー志向として低脂肪と繊維質の重要性が強調され、全粒粉のパンなどがブームになりました。確かに心臓病や脳梗塞などの心血管病は減ったのですが、皮肉なことに糖尿病患者が急増しました。
原因は言うまでもなく、全粒粉のパンなどを繊維質が豊富で健康に良いと思い込んでばくばく食べていたためで、食べれば食べるほど良いと信じられていたほどです。
今世紀に入ると、それまでの脂肪を減らし、繊維質を多く摂りましょうというヘルシー志向は、糖質制限へと移り、全粒粉であろうとなかろうと炭水化物、特にグルテンを含む小麦の摂取を控え、良質なオメガ3などの油とタンパク質の摂取が強調されるようになりました。
もちろんこんなことは、先生や賢明な読者の方は既によくご存知の常識に過ぎませんが、病気というものが、健康志向によって移り変わっていくというのは興味深いことです。
そしてこのまま、脂肪が見直され、糖質制限が浸透していくに従って糖尿病はどこまで減るのだろうか。そして極度に炭水化物を禁忌する糖質制限によって、新たな疾患が逆に増えることはないのだろうか?そういう視点を持つことも大事だと思います。
例えば、糖尿病を耐糖能異常ととらえるならば、糖質制限は耐糖能を改善しないばかりか、悪化させてしまうケースもあると言われています。実際あまりに極端な糖質制限をしていて、たまに炭水化物をとると危険なアレルギーショックのような症状が現れるそうです。
また、グルコーススパイク、つまり、空腹時や2時間後の血糖値は正常に近くても、おにぎり一個で食後1時間の血糖値が200mg/dlを超える食後高血糖を起こす人が急増していますが、糖質制限だけではこれを改善することはできません。むしろ悪化させるという人もいます。
勿論その原因は、膵臓のβ細胞の破壊やインスリン抵抗性で説明されていますが、本当にそれだけが真の原因であるのか。少なくとも1~2万年も農耕に従事してきた人類のβ細胞が、何故そんな簡単に破壊されてしまうのか。炭水化物の割合が非常に高かったと思われる先祖たちのβ細胞が破壊されなかったのは何故か?
こうして疑問は次から次へと生まれます。糖質制限は糖尿病の対症療法に過ぎず、何ら根本的な解決策を示していないのではないか。そんなふうにさえ思えてくるのです。
最後は何か糖質制限に対する批判めいた口調になってしまい、失礼致しました。いつも記事を投稿されるだけでなく、コメントへの返信をしてくださる先生には本当に頭が下がります。本当にどうもありがとうございます。

ジョー さん
糖質制限をあるていどの期間続けた正常人が、いきなり、ブドウ糖負荷試験あるいは糖質一人前摂取で、
耐糖能低下のように見えるデータがでることが、時にあります。
これは、追加分泌インスリンを出す必要がほとんどない糖質制限食を続けていた場合には、
通常量の糖質摂取に対して、β細胞が準備ができていない状態であった可能性があります。
それで、75g経口ブドウ糖負荷試験実施前3日間は、
150g/日以上の糖質摂取が、日本糖尿病学会の推奨となっています。
つまり、正常人が糖質制限中にいきなり糖質摂取したとき、一見耐糖能が低下したようなデータが出ることがありますが、
これは本当にβ細胞が障害されて耐糖能が落ちたのではないので、心配ないということです。
糖質制限食実践者においては、食後高血糖によるβ細胞の障害はないので、
本当にインスリン分泌能が低下するということは考えられません。
人類の狩猟・採集の時代は、穀物のない食生活で、700万年間です。
農耕開始して、穀物を食べ始めたのは、わずか1万年間に過ぎないことをお忘れ無く。
糖質制限をあるていどの期間続けた正常人が、いきなり、ブドウ糖負荷試験あるいは糖質一人前摂取で、
耐糖能低下のように見えるデータがでることが、時にあります。
これは、追加分泌インスリンを出す必要がほとんどない糖質制限食を続けていた場合には、
通常量の糖質摂取に対して、β細胞が準備ができていない状態であった可能性があります。
それで、75g経口ブドウ糖負荷試験実施前3日間は、
150g/日以上の糖質摂取が、日本糖尿病学会の推奨となっています。
つまり、正常人が糖質制限中にいきなり糖質摂取したとき、一見耐糖能が低下したようなデータが出ることがありますが、
これは本当にβ細胞が障害されて耐糖能が落ちたのではないので、心配ないということです。
糖質制限食実践者においては、食後高血糖によるβ細胞の障害はないので、
本当にインスリン分泌能が低下するということは考えられません。
人類の狩猟・採集の時代は、穀物のない食生活で、700万年間です。
農耕開始して、穀物を食べ始めたのは、わずか1万年間に過ぎないことをお忘れ無く。
2017/09/23(Sat) 09:08 | URL | ドクター江部 | 【編集】
たまに糖質を摂るだけで急激に血糖値を上げてしまうなら、糖質制限はダイエットには不向きですし、ましてや子供には危険すぎますね。
隔離された世界でしか使えないのでは?
糖尿病患者以外は薬も出せないですし、ダイエットしてる者や子供が糖質を摂る度に薬を服用するなんて危険すぎるでしょう。
隔離された世界でしか使えないのでは?
糖尿病患者以外は薬も出せないですし、ダイエットしてる者や子供が糖質を摂る度に薬を服用するなんて危険すぎるでしょう。
2017/09/23(Sat) 09:38 | URL | 熊鷹 | 【編集】
早速ご回答ありがとうございます。
僕は週末にプチ断食をよくするのですが、まさに先生の仰る通り、断食あけに、厚切りトーストやおにぎりを食べようものなら一気に血糖値が上がります。
インスリンの追加分泌が遅れるようで、その代わり出始めると一気に下がります。酵素(砂糖水) 断食や復食にお粥などというのは要注意ですね。
食後高血糖について調べていたら、ご存知かもしれませんが、食後数時間の血糖値の推移を実測されているサイトを見つけました。グルコーススパイクを起こさない食べ方を学んでいきたいと思います。
http://呉からの風.jp/category/糖質関連/血糖値持続測定/
僕は週末にプチ断食をよくするのですが、まさに先生の仰る通り、断食あけに、厚切りトーストやおにぎりを食べようものなら一気に血糖値が上がります。
インスリンの追加分泌が遅れるようで、その代わり出始めると一気に下がります。酵素(砂糖水) 断食や復食にお粥などというのは要注意ですね。
食後高血糖について調べていたら、ご存知かもしれませんが、食後数時間の血糖値の推移を実測されているサイトを見つけました。グルコーススパイクを起こさない食べ方を学んでいきたいと思います。
http://呉からの風.jp/category/糖質関連/血糖値持続測定/
熊鷹 さん
糖尿病の人は、スーパー糖質制限食以外は、食後高血糖を生じて、合併症のリスクとなります。
糖尿病でない人や子供は、緩やかな糖質制限で大丈夫です。
糖質摂取量が、一回の食事で30~40gですが、糖尿人でなければ、それで糖質の害は大分減ります。
あるいは、プチやスタンダード糖質制限食でもOKです。
これらなら、たまに糖質を摂るだけで急激に血糖値上昇ということはありません。
例えば縄文人は、ドングリや栗を食べているので、緩やかな糖質制限食レベルだったかと思います。
糖尿病の人は、スーパー糖質制限食以外は、食後高血糖を生じて、合併症のリスクとなります。
糖尿病でない人や子供は、緩やかな糖質制限で大丈夫です。
糖質摂取量が、一回の食事で30~40gですが、糖尿人でなければ、それで糖質の害は大分減ります。
あるいは、プチやスタンダード糖質制限食でもOKです。
これらなら、たまに糖質を摂るだけで急激に血糖値上昇ということはありません。
例えば縄文人は、ドングリや栗を食べているので、緩やかな糖質制限食レベルだったかと思います。
2017/09/23(Sat) 11:01 | URL | ドクター江部 | 【編集】
ジョー さん
興味深いサイト
をご紹介いただき、ありがとうございます。
各種食材や組み合わせの食後血糖値のデータなど、
とても参考になるサイトですね。
興味深いサイト
をご紹介いただき、ありがとうございます。
各種食材や組み合わせの食後血糖値のデータなど、
とても参考になるサイトですね。
2017/09/23(Sat) 11:16 | URL | ドクター江部 | 【編集】
| ホーム |