現代ビジネスの糖質制限食批判記事への反論。
【17/09/11 yanosono
糖質制限の真実への批判
https://newspicks.com/news/2484791?ref=search&ref_q=%E7%B3%96%E8%B3%AA&ref_t=top
先生はどう思われますか?
私は、何が真実かがよくわからなくなってきました。】


yanosono さん

山田悟医師の著書『糖質制限の真実―日本人を救う革命的食事法ロカボのすべて.』 2015: 幻冬舎.

に対する文化人類学者の磯野真穂さんの批判記事ですね。

現代ビジネス 2017/9/10
シャリなし寿司は健康的か? 「糖質制限が日本人を救う」への疑問
磯野 真穂 文化人類学者
国際医療福祉大学大学院講師
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52704


従いまして、
糖質制限食への批判というより、
山田悟医師の著書『糖質制限の真実』に記載されている断定的な表現への批判が
多くを占めています。
その磯野真穂さんの主張には、私も一理あると思います。

一方で、糖質制限食全般に対する主観的な批判は如何なものかと思いますので
以下、反論します。


<磯野真穂さんへの反論1。ランセットの論文>
『炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇』
という衝撃的な内容の論文が、
ランセット誌のオンライン版(2017/8/29)に掲載されました。

1)炭水化物摂取量の多さは全死亡リスク上昇と関連。
2)総脂質および脂質の種類別の摂取は全死亡リスクの低下と関連。
3)総脂質および脂質の種類は、心血管疾患(CVD)、心筋梗塞、CVD死と関連していない。
4)飽和脂質は脳卒中と逆相関している。


1)2)3)4)が、今回、
ランセット誌のオンライン版(2017/8/29)に掲載された論文で確認されました。
18ヵ国の13万5千例以上を約7年半追跡した研究で、ランセットに掲載なので
信頼度は極めて高いです。
この論文を考慮すれば、糖質制限食の意義は大きいですね。


<磯野真穂さんへの反論2。生理学的事実1、糖尿病と食後血糖値>
A)、血糖値を直接上昇させるのは糖質のみ
B)、糖尿人において食後高血糖と平均血糖変動幅が酸化ストレスリスクの元凶
C)、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を生じるのは糖質だけ
D)、食後高血糖と平均血糖変動幅増大が糖尿病合併症の元凶


A)C)は生理学的事実であり論争の余地はありません。
B)D)は世界の医学界において、エビデンスが認められています。
従いまして、『糖質制限食』は糖尿病合併症を予防できる唯一の食事療法です。


<磯野真穂さんへの反論3。糖化>
糖化とは、ブドウ糖などの糖が直接たんぱく質と結合する反応のことです。
最終的に「終末糖化産物」(AGEs=advanced glycation endproducts)となります。

【糖尿病】
体内で作られるAGEsが糖尿病合併症を引き起こします。
  (1)細小血管合併症(2)大血管合併症
「高血糖の記憶」:現在コントロール良好でも、以前の消えない借金( AGEs)が蓄積していると、合併症を生じます。
AGEsによる糖尿病合併症発症のリスクは、「血糖値×持続期間」によります。
コントロールの悪い糖尿病患者は、AGEsの産生が高まります。
糖尿病は老化病とも言われていて、コントロールが悪いと老化が進みやすいです。
糖質制限食なら、血糖コントロール良好となり、糖尿病でもAGEsを減らせますので、
(1)細小血管合併症(2)大血管合併症を予防できる可能性が高いです。

【正常人】
糖尿病なしでも、「加齢→AGEsが蓄積→老化」というパターンが成り立ちます。
「糖質制限食→糖化反応が最小限→AGEsの蓄積も最小限→老化予防」となります。
体内の血糖により産生された「AGEs」は、
動脈硬化、老化、がん、歯周症、アルツハイマー病などのリスクとなります。
正常人が糖質制限食を実践すれば、糖化に伴う老化をかなり予防できます。

【糖尿人・江部康二】
ちなみに、江部康二は糖尿人ですが、
52歳からスーパー糖質制限食を開始して15年間が経過しました。
67歳現在、歯は全部残っていて、身長も全く縮んでいません。
夜中にトイレにも行きませんし、目は裸眼で広辞苑が読めます。
聴力もほとんど低下していません。
糖質制限食実践により、糖化に伴う老化をかなり予防できている実例と思われます。



江部康二
コメント
コメントをありがとうございます。
江部先生 ありがとうございました。
先生の反論に対する著者の意見を聞きたいと思います。
2017/09/11(Mon) 18:06 | URL | yanosono | 【編集
最近の江部先生の論調を拝見してますと、スーパー糖質制限じゃないと残念だという感じを強く感じさせるのですが、じゃあなぜプチ、スタンダードなどの何段階かの糖質制限の設定を作ったのかなと疑問に思います。
あと、糖化は個人差があると思うのですが。
血糖値さえ上がらなければ糖質を摂っていいと考えていいのでしょうか。
2017/09/11(Mon) 18:15 | URL | 鹿星 | 【編集
本日の記事について
江部先生こんばんは

私も一理あると思います。
しかし、結論の出し方が強引ですね。

ブログ読者の皆様はご存知だと思いますが、
この方が考えているより糖質制限はもっと奥が深いものです。

磯野真穂さんの記事の中で誤解を受けそうな箇所がありましたので指摘します。

【この論文において死亡率が高いとされたグループは1日の7割以上のカロリーを糖質から摂っていることも注意したい。これだけの糖質を1日にとるためには、ざっと見積もってもご飯茶碗5杯以上5が必要だ。[1日の必要カロリーを1800kcalとし、ご飯茶碗1杯を140グラム=235kcalとして計算した]
これだけの糖質を日々摂取している女性がいまどれだけいるかがそもそも疑問であるが、この研究に従えば「あまり運動もせず1日ご飯茶碗5杯以上を食べる女性は少しご飯を減らしましょう」という提言のほうが適切と言えるだろう。】

現在、糖質はご飯だけではありません。

パン・麺類:パスタ
果物や野菜、特に根菜類。
市販の煮物・天ぷら・揚げ物などの総菜。
みりん・日本酒・砂糖などを使った日本独特の甘じょっぱい味付け。(これがおふくろの味)
スナック菓子・ペッボトル飲料、ジュース、スイーツやビール・日本酒などの嗜好品。

1日の必要カロリー1800kcalの7割のカロリーを糖質から取った場合の糖質量315gは、ご飯5杯以上食べなくても達成できるし、ご飯をまったく食べなくても軽く達成できます。
2017/09/11(Mon) 19:20 | URL | オスティナート | 【編集
糖質制限の批判へ。
都内河北 鈴木です。

本日記事読み、
私はじめ「数々の方々の改善報告」をどのように考えるのでしょう?

ネットグロ~バル時代に
「世界へ通用する視野で物事を思考したいですね!!」

江部先生の御苦労は耐えませんね。

私は命救われ何度でもコメントします!!
私が21年間重症化してゆくのが、3ヶ月で正常化し以降
「改善以上、生還、覚醒」して行く5年後現在は、
江部先生「糖質制限理論」に出会えたからです!!
でなければ、現在の私はありません!!

江部先生には感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具
2017/09/11(Mon) 21:57 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
Re: タイトルなし

鹿星 さん

1)スーパー糖質制限が、現世人類にとって最適の食事と、現在私は思っています。
 1回の食事の糖質量は「10~20g以下」
2)一方、プチ、スタンダード、緩やかもありです。
3)普通の食生活なら、1回の食事の糖質量は「80~100g」くらいです。
4)糖化=「血糖値×持続期間」


2)に関しては、3)よりははるかに、「糖化・酸化ストレス・老化」などに関して少なくてすむので
  実践する価値はあります。
私は、情報を提供しています。
それを受けとめて自分の頭で考えて、選択して実践するのは読者の皆さんご自身です。

糖化に関しては、4)が基本です。
正常人でも糖質を摂取すれば、必ず血糖値が上昇します。
上昇の程度には個人差があります。
ある正常人のCGMを検査したところ、
従来の糖尿病食は、<空腹時90mg→食後140mg~150mg>を1日3回生じていました。
スーパー糖質制限食は、<空腹時90mg→食後100mg>で、ほとんど血糖変動なしでした。

正常人でも
<空腹時90mg→食後140mg~150mg>を1日3回
年余に渡り繰り返すことが「糖化・老化・酸化ストレスリスク」になっていると考えられます。
2017/09/12(Tue) 09:00 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 本日の記事について
オスティナート さん

コメントありがとうございます。

「この方が考えているより糖質制限はもっと奥が深いものです。」

同感です。
糖質制限食は、生活習慣病(糖質病)を改善するだけではなく、
ヒトの心身の健康度を高めると思います。
2017/09/12(Tue) 09:04 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 糖質制限の批判へ。
都内河北 鈴木 さん

コメントありがとうございます。

「頚動脈プラ~ク減少改善」「眼底所見の改善」「脳梗塞所見の改善」

などが、さらに良くなればいいですね。
2017/09/12(Tue) 09:13 | URL | ドクター江部 | 【編集
実証とは?
こんにちは

糖尿人歴・糖質制限歴(たまに逸脱)8年です。高雄病院通院歴5年になりました。お世話になっています。

糖質制限についてだけでなく、よく感じることをちょっと。

エビデンスというのが、結構、一般的には誤解を生む原因になっているかも?という疑問です。

科学の定義にもよりますが、自称(社会)科学者としては、次のように捉えています。
一定の仮説を提示し、それが実証できていること(学問分野)

で、100%完全に実証できる仮説は、実際にはあり得ない、と私は思っています。仮にできるとすれば、それは単なる事実。検証の必要がない、ということになるかと思います。

ただ、医学とか病気や健康について、人は一般に100%の実証を求めがちのように思います。しかし、それはあり得ない。だから、100%実証できてないじゃないか?という反論には、実は意味がほぼない、と私は考えています。

じゃ、どうするのか?ですが、科学者(仕事にしている人)はさておき、個人レベルでは、自分で実証(検証)してみるしかないんじゃないでしょうか?

世の中には、糖質に限らず、人の生存に不要なものが氾濫しています。極端に言えば、電気とかパソコンとか、生存自体には不要かもしれません。なので、使いたくない人は、つかわなければよい、というレヴェルの話が一般論じゃないでしょうかねぇ? 糖質について、同列に扱うのは極端かもしれませんが・・・。

ただ、糖尿だったり、なんらかの問題が抱えていると自覚している人、診断された人が、どうすればよいのか? は、その人にかかっていると思います。主治医を信じるのか、自分で、いろいろ試してみて(実証や検証する)、判断するしかないと思います。自分についても、100%実証するのは不可能とも自覚しながら、ですかねぇ?

長文失礼しました。ちょっと、糖質制限についてはセンセーショナルな見出しの本や記事が多すぎるのかな?とおもいまして・・・。
2017/09/12(Tue) 10:11 | URL | (自称 社会科学者)もえ | 【編集
混乱
糖質制限食がむしろ糖尿病を悪化させているという記事を見ました。

妊娠時高血糖になり、出産後しばらくしてhba1cが糖尿病と診断されるレベルになってしまったので糖質制限を実践しているアラフォー主婦です。

先程、衝撃の記事を読んで混乱しています。
糖質制限食がむしろ糖尿病患者を増やしているというのです。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170912-00000014-pseven-life
今のところ私は糖質制限で食後血糖が100をほとんど越えず安定していますが、長い目でみるとどうなんだろうと、素人なので不安でたまりません。
江部先生、どうかお時間のある時にご一読頂きご意見を賜れたらと思います。
宜しくお願い致します。
2017/09/12(Tue) 11:54 | URL | イーター | 【編集
回答ありがとうございます。
さらなる質問をしたいとこなのですが、なにやら月曜日発売の週刊ポストに糖質制限で糖尿病が増えたとかハーバード大の驚きの調査とかあったのでコンビニか書店で買って読んでみようと思います。
ネットでは見出ししか見れないので買ってみます。
2017/09/12(Tue) 12:01 | URL | 鹿星 | 【編集
Re: 実証とは?
もえ さん

科学は、近似値に過ぎないので、100%実証とかは不可能というのは、
私もそう思います。

まあ、この地球上において「血糖値に直接影響を与えるのは糖質のみ」とかは、生理学的事実としていいと思います。
2017/09/12(Tue) 14:35 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 混乱
イーター さん

週刊ポスト 2017/9/11号の記事ですね。

2017/9/12の本ブログ記事が、週刊ポストの記事への反論です。

長い目でみても、糖質制限食は良いことづくめです。
2017/09/12(Tue) 14:41 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 実証とは?
 江部先生、早速のコメントをありがとうございます。

 まぁ、身もフタもないことを書いてしまいました。

 「血糖値に直接影響を与えるのは糖質のみ」というテーゼ(十分条件)には、(失礼ながら)全面的に賛成します。私の自己血糖検査でも、まったくその通りです。

 ただ、逆テーゼ(?必要条件)「血糖値には糖質の他は直接影響を与えない」(おそらく、まともな方は誰もそんなことは言っていないと思いますが・・・)には、反論はあり得そうです。私の場合、糖質はおろか何も摂取しなくても、自己血糖測定をこまめにしていたときには、急激に血糖値が上昇したことが何度もありました(今もあるのでしょう)。様々な要因が考えられますが(単なる機械の誤作動、摂取したことを忘れている、などなど)、こんなのを論拠に糖質制限の効果を全面否定する、とかいうことになったら、もう科学の範疇を超えますね。

 失礼しました。そして、たびたびありがとうございます。
2017/09/12(Tue) 15:18 | URL | (自称 社会科学者)もえ | 【編集
Re: Re: 実証とは?
もえ さん

失礼しました。

不眠でも興奮でも緊張でも血糖値は上昇します。

私の意図は、
「食材のタンパク質・脂質・糖質の3つのなかで、
血糖に直接影響を与えるのは糖質だけである」
という意味です。
2017/09/12(Tue) 15:57 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: Re: 実証とは?
 江部先生、ご丁寧に回答をいただき、重ねてありがとうございます。

 ついでに(すいません)書きますと、今回、いろいろコメントさせていただいたのは、糖質制限を巡っていろいろセンセーショナルな記事や番組がありますが、どうしても自分自身で確信(に近いもの)をもちたければ、自分で実証(検証)するしかないのでは?と言いたかっただけです。

 まぁ、おそらくセンセーショナルな論争を(無意識的にか、意識的にははさておき)楽しんでいる人もいるのかな?とも思います。

 私は、糖質制限(糖質摂取はなくてもよいが、最大でも一食20g未満に抑える(江部先生のお考え通り))を、基本的に実践しています。まったく問題ないどころか、よいことが多い(個人的な状況から、よいことばかりではないのが辛いところです)と実感しています。糖質制限はしないよりは、した方がよい、と信じて疑っていません。

 また、コメントしまくることがあるかもしれません。その時も、できればよろしくお願いします。

 繰り返しですが、江部先生には感謝しかないです。
2017/09/12(Tue) 16:09 | URL | (自称 社会科学者)もえ | 【編集
食後高血糖を治癒することは不可能?
先生ご自身の体調をシェア下さり、またこちらの記事も読ませて頂き、とても参考になりました。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3879.html

そこで一つ質問があるのですが、肥満や脂肪肝の全くない、インスリン分泌不足が主でインスリン抵抗性が従の糖尿病の場合、長年スーパー糖質制限を続けても、インスリン分泌不足だけでなく、インスリン抵抗性についても全く改善されないということでしょうか。つまり、肥満や脂肪肝でもない限り、食後高血糖を改善する方法は全く見つかっていないのでしょうか。まさか、糖質制限を続けている限り食後高血糖は治らないということではないと思うのですが、改善もしないということでしょうか。もし、肥満や脂肪肝が改善したわけでもないのに、食後高血糖が寛解した例がありましたらお教え下さい。

2017/09/13(Wed) 00:41 | URL | ジョー | 【編集
Re: Re: Re: 実証とは?
もえ さん

そうですね。
基本的には、自分で実践して効果を確かめるのがいいです。
糖質制限食に関してもその通りと思います。
2017/09/13(Wed) 19:43 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 食後高血糖を治癒することは不可能?
ジョー さん

「インスリン分泌不足+インスリン抵抗性」で糖尿病を発症します。

1)インスリン分泌不足が主でインスリン抵抗性はあまりないタイプ
2)インスリン抵抗性が主で、インスリン分泌能力はまだ保たれているタイプ

日本人は1)で、欧米人は2)と言われています。

例えば私は1)でして、インスリン抵抗性は全くありません。
インスリン抵抗性の指数は完全に正常です。

しかし、すでに私のβ細胞は発症時にすでに2~3割くらい壊れていますので
一生治ることはありません。
糖質を一人前摂取すれば、必ず血糖値は200mgを超えます。

一方、スーパー糖質制限食なら、私は正常人です。
しかし、一旦壊れたβ細胞は、決して元に戻ることはありません。
2017/09/13(Wed) 20:19 | URL | ドクター江部 | 【編集
臨床医学
そもそも生理学や生化学といった基礎医学は科学ですが、
内科学のような臨床医学は厳密な意味での科学ではありません。

山田医師はコホート研究やらエビデンスレベルやらいろいろおっしゃいますが、
あくまでも「相関関係」を示しているだけです。

相関関係だけで判断すると40年前のアメリカのように「脂質を控えましょう」といった間違った結論を導き出してしまうことが多々あります。

正しいアプローチとしては「血糖値を直接上昇させるのは糖質のみ」といった生理学的事実を、
一人ひとりに当てはめていくのが肝要です。
2017/09/14(Thu) 13:06 | URL | A | 【編集
Re: 臨床医学
A さん

同感です。
2017/09/14(Thu) 17:23 | URL | ドクター江部 | 【編集
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