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βヒドロキシ酪酸(ケトン体の一種)がラットの「うつ」を改善
【17/08/21 まちこ
βヒドロキシ酪酸
21日発表されたそうですが、
肝臓で、脂肪から生成される物質の「βヒドロキシ酪酸」が、
鬱病の発症を抑える働きがあると、動物実験で明らかになった。
鳥取大学の岩田正明准教授らのグループが発見し、
英国の医学雑誌に論文が掲載されたそうです。】



☆☆☆追加
スーさん から、興味深いコメントを頂きました。
ありがとうございます。
『運動するときスポーツドリンクを飲んではいけない (廣済堂健康人新書) 』
の著者、清水泰行先生のブログの紹介です。
「うつ病の大きな原因のひとつは炎症である」
という記事が、大変参考になりました。
『ドクターシミズのひとりごと』
http://promea2014.com/blog/?p=2381
ブログ読者の皆さん、是非、覗いてみてください。



こんにちは。
まちこさんから
βヒドロキシ酪酸(ケトン体の一種)がラットの「うつ」を改善
という興味深い情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。

産経 WEST
2017.8.21
http://www.sankei.com/west/news/170821/wst1708210068-n1.html
に、
鳥取大学の岩田正明准教授らのグループの研究報告が記事として
掲載されました。


以下、産経 WEST 記事の要約です。

抗鬱作用持つ物質を発見 鳥取大、肝臓で生成

鳥取大は21日、肝臓で脂質から生成される物質βヒドロキシ酪酸(ケトン体の一種)に、
ラットの実験で、うつ病を抑制する作用があることを発表しました。

 βヒドロキシ酪酸を投与したラットと、投与していないラットに、
ストレスを与え、行動の変化を観察しました。
投与したラットはうつ症状のラットに見られる行動が少なく、
また脳内の炎症を引き起こし、うつ病の原因とされる炎症性物質「インターロイキン1β」の発生が抑えられていました。

 うつ病は、ストレスなどで脳内に炎症が発生し、
神経と神経を連絡する脳内物質が正常に分泌されなくなるのが原因とされています。
これまでの治療は脳内物質を増加させる薬物を使用していましたが、
一部の患者には十分な効果が得られませんでした。

 βヒドロキシ酪酸(ケトン体の一種)は脳内炎症性物質の増加を抑えるものです。
岩田准教授は
「体内で生成される物質であるため、副作用も抑えられるのでは」
と分析しています。』


通常は、ラットなどの動物実験の成果が、人間に応用されるまでに
数年以上かかることが多く、また結局、実用化できないケースも多いのです。

しかしβヒドロキシ酪酸(ケトン体の一種)に関しては、
人類全てにおいて、糖質を食べていようと制限していようと
空腹時や睡眠時には、日常的に「心筋や骨格筋」の主たるエネルギー源として
利用されていることが、判明しています。

またケトン体の安全性は、近年、確立されており、
ケトン体高値が、脳・心・腎などの臓器保護作用を有すことも
近年の研究により示唆されています。

本ブログにおいても、複数の方から
『糖質制限食で、うつ症状が改善した。』
というコメントを頂いています。
今までは、「血糖値の乱高下がないことが、心理的安定につながる。」
という側面が大きいと考えていましたが、
ケトン体高値そのものが、シンプルに脳内炎症性物質の増加を抑えるなら、
それによりスーパー糖質制限食によりうつ症状が改善するのもおおいにありと思います。

以前、本ブログで記事にしましたが、
「βヒドロキシ酪酸は内在性のヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤として酸化ストレスの抑制に寄与する」
という大変興味深いScience の論文がありました。(☆)
サイエンスですから、インパクトファクター30前後と高いです。

興味がある人は、著者による日本語訳
http://first.lifesciencedb.jp/archives/6286
を見ていただけばいいですが、難しいです。

専門的過ぎて、私にもよくわからない部分が多いです。

ともあれ、マウスの実験ではありますが、
「ケトン体が酸化ストレスの抑制に寄与する」という糖質セイゲニストにとって、
大変ありがたい結論であることは確認できました。

酸化ストレスは、動脈硬化や老化やがん、パーキンソン病やアルツハイマー病や認知症にも深く関わっています。

酸化ストレスが抑制できればこれらの病気のリスクが減ることにつながります。

βヒドロキシ酪酸(ケトン体の一種)なかなかの優れものですね。

(☆)
Suppression of oxidative stress by β-hydroxybutyrate, an endogenous histone deacetylase inhibitor.
Tadahiro Shimazu, Matthew D. Hirschey, John Newman, Wenjuan He, Kotaro Shirakawa, Natacha Le Moan, Carrie A. Grueter, Hyungwook Lim, Laura R. Saunders, Robert D. Stevens, Christopher B. Newgard, Robert V. Farese Jr., Rafael de Cabo, Scott Ulrich, Katerina Akassoglou, Eric Verdin
Science, 339, 211-214 (2013)



江部康二
コメント
うつは炎症
江部先生こんばんわ。
うつにケトン体の一種が効果があるということですが、最近先生が取り上げていた、ドクター清水のひとりごとにも、うつの原因は炎症の可能性があることが書いてました。
ちょと難しい内容でしたが、納得できました。
サプリメントばかりすすめる先生の「うつの原因は鉄不足」というのよりよっぽど説得力があります。
やはり糖質のとりすぎはいろいろと悪影響があるのですね。
http://promea2014.com/blog/?p=2381
2017/08/22(Tue) 19:53 | URL | スーさん | 【編集
Re: うつは炎症
スーさん

ありがとうございます。

『運動するときスポーツドリンクを飲んではいけない (廣済堂健康人新書) 』
の著者

清水泰行先生のブログですね。
大変参考になりました。
2017/08/22(Tue) 21:46 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部洋一郎先生が亡くなったというのは本当でしょうか? 以前京都在住時代に高雄病院で洋一郎先生のお世話になっていた者です。
2017/08/22(Tue) 22:08 | URL | westman | 【編集
文献
横からですみません。
私の記事についてコメントしていただきありがとうございます。
ケトン体がNLRP3インフラマソームを阻害するという文献は
Nature Medicine 21, 263–269 (2015)の
「The ketone metabolite β-hydroxybutyrate blocks NLRP3 inflammasome–mediated inflammatory disease」
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25686106
です。
NLRP3インフラマソームや炎症がうつ病などの疾患に関連するとする文献は多数ありますが、今回の私のブログの記事の内容は次の文献です。
「The inflammasome: Pathways linking psychological stress, depression, and systemic illnesses」
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23261775
です。
英文ですがご興味がある方は読んでみてください。
2017/08/23(Wed) 07:15 | URL | ドクターシミズ | 【編集
Re: タイトルなし
westman さん

兄、江部洋一郎は、2017年5月16日、永眠しました。
2017/08/23(Wed) 07:28 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 文献
清水泰行 先生

英文論文のご教示、ありがとうございます。
2017/08/23(Wed) 07:30 | URL | ドクター江部 | 【編集
βヒドロキシ酪酸が動物実験で抗うつ作用があるという論文は追い風ですね。
うつだけでなく、自閉症の症状に改善にも効果があるのではないかと思っています。
しかし、血糖値の乱高下によるメンタルの不安定さ、あるいは鉄欠乏によりセロトニンなどのモノアミンの産生障害などもうつ症状を悪化させる原因ではないかと思います。
「うつパニックは鉄不足が原因」というのは、書籍の題名特有の誇張であり「鉄不足がうつパニックの原因のひとつ(あるいは多くを占める)」というのが、科学的に正確な言い方だと思います。
さて「サプリメントばかりすすめる先生の云々」というのはいかがかと思います。藤川徳美先生は決して「サプリメントばかりすすめ」てはおりません。糖質制限が前提です。さらにその上で鉄不足があれば、鉄剤を補っておられます。
たしかに最近サプリに走っておられますが、サプリばかり勧めておられるわけではありません。
真の敵は糖質過剰摂取を容認し看過し勧めさえする集団や社会です。
細かな違いは有ってもみんな仲良くしていきまっせんか。
2017/08/23(Wed) 09:30 | URL | おかだ | 【編集
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