2017年08月15日 (火)
こんばんは。
医療ニュース m3.com において、2017年8月12日 (土)
重症低血糖で搬送、年2万件…薬の誤使用原因か
という記事が載りました。(☆)
2015年7月に、日本糖尿病学会が631施設にアンケートを送付して
調査した結果です。
調査結果をまとめた兵庫医科大学病院の難波光義院長は
「重症低血糖の原因として、インスリンを注射で補充するタイミングや使用量の誤り、
薬の飲み間違いなどが多い。
高齢などで発症リスクが高い患者には、服薬指導に加え、
生活面も含めた指導を行う必要がある」と話している。
ということですが、もう少し整理して、より具体的な方策を立てないと
重症低血糖を減らすことは困難と思います。
ともあれ、インスリン注射かSU剤を内服している糖尿人が、
重症低血糖のほとんどを占めていると思います。
1)<インスリン注射>
当たり前のお話しですが、
インスリン注射の単位が多いほど低血糖になりやすいです。
糖質制限食なら、インスリンの単位は必要最低限ですむので
低血糖になりにくいです。
従来の糖尿病食は、高炭水化物食となるので、必要なインスリンの単位数が多くなり
その分、低血糖になりやすいのです。
2)<SU剤>
アマリール、グリミクロン、オイグルコンなどがSU剤です。
SU剤は、多くの場合、「食後高血糖は防げず、空腹時低血糖を生じる」
ということが、CGMの普及により、確認されるようになりました。
それを受けて、現在SU剤の使用は、日本中で激減しています。
SU剤の処方割合は
2005年 50%
2015年 20%
で、半減以下です。
もともとSU剤は、疲れたβ細胞を鞭打つ側面がありますから、
本来、少量投与に越したことはないのです。
そしてもし、グリペンクラミド(オイグルコン、ダオニール:第2世代SU剤)や
第一世代のSU剤(ジメリンなど)を服用しておられる方がいたら、
心筋障害のリスクがあるので即刻中止することをお奨めします。
アマリールやグリミクロン(第3世代)も、
HbA1cの改善効果だけはあるものの、上述の様に
食後高血糖をマッチング良く防ぐことができないことと、
空腹時には低血糖を招きやすい欠点が、CGMにより明らかとなってきました。
SU剤は12~24時間と作用時間が長いのも低血糖になりやすい理由の一つです。
3)<糖質制限食で低血糖予防>
糖質制限食なら、99%、SU剤は不必要です。
そもそも、高齢者の糖尿人には、低血糖リスクの高いSU剤は
基本的に処方しないほうが無難です。
それなら、経口糖尿病薬による低血糖発作は、激減すると思います。
同様に、インスリン注射をしている場合も、単位が少ないほど
低血糖発作は起こしにくいです。
糖質制限食なら、従来の糖尿病食に比し、食前のインスリン注射は1/3以下となりますので、
低血糖発作のリスクはおおいに減少します。
江部康二
(☆)
【医療ニュース m3.com
https://www.m3.com/news/general/551108?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170812&dcf_doctor=true&mc.l=240276073
重症低血糖で搬送、年2万件…薬の誤使用原因か
臨床 2017年8月12日 (土)配信読売新聞
薬で治療中に血糖値が下がりすぎる糖尿病患者の「重症低血糖」で、年間の救急搬送数が約2万件に上る可能性があることが、日本糖尿病学会による初の実態調査で分かった。
同学会は、高齢などで低血糖を起こしやすい患者の重症化予防に力を入れる。
重症低血糖は、けいれんや意識消失などを引き起こす。認知症や心臓病、脳 梗塞こうそく の発症リスクを高め、命にかかわる危険な状態だ。
高齢者は、冷や汗やふるえなどの低血糖症状が出にくく、本人も気付かないまま重症化することがある。
学会は2015年7月、糖尿病の診療体制が充実した631施設にアンケートを送付。救急部がある149施設の回答を分析したところ、
14年4月から15年3月までの1年間の救急搬送数は、1施設当たり4962件で、このうち重症低血糖は0.34%、17件だった。
これを全国の救急搬送件数に当てはめるなどして、国内全体で年間約2万件と推計した。
調査結果をまとめた兵庫医科大学病院の難波光義院長は
「重症低血糖の原因として、インスリンを注射で補充するタイミングや使用量の誤り、薬の飲み間違いなどが多い。
高齢などで発症リスクが高い患者には、服薬指導に加え、生活面も含めた指導を行う必要がある」と話している。】
医療ニュース m3.com において、2017年8月12日 (土)
重症低血糖で搬送、年2万件…薬の誤使用原因か
という記事が載りました。(☆)
2015年7月に、日本糖尿病学会が631施設にアンケートを送付して
調査した結果です。
調査結果をまとめた兵庫医科大学病院の難波光義院長は
「重症低血糖の原因として、インスリンを注射で補充するタイミングや使用量の誤り、
薬の飲み間違いなどが多い。
高齢などで発症リスクが高い患者には、服薬指導に加え、
生活面も含めた指導を行う必要がある」と話している。
ということですが、もう少し整理して、より具体的な方策を立てないと
重症低血糖を減らすことは困難と思います。
ともあれ、インスリン注射かSU剤を内服している糖尿人が、
重症低血糖のほとんどを占めていると思います。
1)<インスリン注射>
当たり前のお話しですが、
インスリン注射の単位が多いほど低血糖になりやすいです。
糖質制限食なら、インスリンの単位は必要最低限ですむので
低血糖になりにくいです。
従来の糖尿病食は、高炭水化物食となるので、必要なインスリンの単位数が多くなり
その分、低血糖になりやすいのです。
2)<SU剤>
アマリール、グリミクロン、オイグルコンなどがSU剤です。
SU剤は、多くの場合、「食後高血糖は防げず、空腹時低血糖を生じる」
ということが、CGMの普及により、確認されるようになりました。
それを受けて、現在SU剤の使用は、日本中で激減しています。
SU剤の処方割合は
2005年 50%
2015年 20%
で、半減以下です。
もともとSU剤は、疲れたβ細胞を鞭打つ側面がありますから、
本来、少量投与に越したことはないのです。
そしてもし、グリペンクラミド(オイグルコン、ダオニール:第2世代SU剤)や
第一世代のSU剤(ジメリンなど)を服用しておられる方がいたら、
心筋障害のリスクがあるので即刻中止することをお奨めします。
アマリールやグリミクロン(第3世代)も、
HbA1cの改善効果だけはあるものの、上述の様に
食後高血糖をマッチング良く防ぐことができないことと、
空腹時には低血糖を招きやすい欠点が、CGMにより明らかとなってきました。
SU剤は12~24時間と作用時間が長いのも低血糖になりやすい理由の一つです。
3)<糖質制限食で低血糖予防>
糖質制限食なら、99%、SU剤は不必要です。
そもそも、高齢者の糖尿人には、低血糖リスクの高いSU剤は
基本的に処方しないほうが無難です。
それなら、経口糖尿病薬による低血糖発作は、激減すると思います。
同様に、インスリン注射をしている場合も、単位が少ないほど
低血糖発作は起こしにくいです。
糖質制限食なら、従来の糖尿病食に比し、食前のインスリン注射は1/3以下となりますので、
低血糖発作のリスクはおおいに減少します。
江部康二
(☆)
【医療ニュース m3.com
https://www.m3.com/news/general/551108?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170812&dcf_doctor=true&mc.l=240276073
重症低血糖で搬送、年2万件…薬の誤使用原因か
臨床 2017年8月12日 (土)配信読売新聞
薬で治療中に血糖値が下がりすぎる糖尿病患者の「重症低血糖」で、年間の救急搬送数が約2万件に上る可能性があることが、日本糖尿病学会による初の実態調査で分かった。
同学会は、高齢などで低血糖を起こしやすい患者の重症化予防に力を入れる。
重症低血糖は、けいれんや意識消失などを引き起こす。認知症や心臓病、脳 梗塞こうそく の発症リスクを高め、命にかかわる危険な状態だ。
高齢者は、冷や汗やふるえなどの低血糖症状が出にくく、本人も気付かないまま重症化することがある。
学会は2015年7月、糖尿病の診療体制が充実した631施設にアンケートを送付。救急部がある149施設の回答を分析したところ、
14年4月から15年3月までの1年間の救急搬送数は、1施設当たり4962件で、このうち重症低血糖は0.34%、17件だった。
これを全国の救急搬送件数に当てはめるなどして、国内全体で年間約2万件と推計した。
調査結果をまとめた兵庫医科大学病院の難波光義院長は
「重症低血糖の原因として、インスリンを注射で補充するタイミングや使用量の誤り、薬の飲み間違いなどが多い。
高齢などで発症リスクが高い患者には、服薬指導に加え、生活面も含めた指導を行う必要がある」と話している。】
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