FC2ブログ
アクトス(ピオグリタゾン)。男性の膀胱癌リスクあり?なし?
こんばんは。
今日は、アクトスについて考えて見ます。

武田薬品のアクトス(ピオグリタゾン)は、
ビグアナイド系薬(メトホルミンなど)と同じように
インスリン抵抗性を改善させる薬です。

発売前の研究において、
雄ラットで膀胱がんを増やす作用が報告されています。
しかし、この作用は雌ラットでは確認されていません。


仏国内の保健データベース内の約150万人の糖尿病患者(年齢40~79歳)に関する
2006~09年のデータを用いて、
膀胱がんの発症率を検討した後ろ向きコホート研究フランスの疫学調査において、
男性においてのみ、
アクトスで膀胱癌のリスクが有意差をもって認められたということです。
男性に膀胱がんリスクがあるということで、
フランスでは2011年以降、同薬の新規処方を中止しています。

FDA(米食品医薬品局)は2010年に膀胱がん患者に対しては投与すべきでないとし、
膀胱がん既往者に対しては慎重投与とする勧告を出しました。

これらを考慮して、私も、基本的に男性には投与しないようにしてきました。


KPNC(Kaiser Permanente Northern California)試験は、
米食品医薬品局(FDA)の要請を受けて
武田薬品工業が米国カリフォルニア州で実施している
アクトスとと膀胱がんの関係を評価するための疫学研究です。

10年間の試験期間が予定されており、
今年(2011年)4月号のDiabetes Careに
その5年時での中間解析結果が報告されました(Diabetes Care 2011; 34: 915-922)。

それによると,1997~2002年に登録された19万3,099人の患者のうち、
アクトス内服患者3万173人を
アクトス非内服糖尿病患者16万2,926人と比較したところ、
全体では有意な膀胱がんの増加は認められなかったものの、
2年以上使用している患者ではぎりぎりで有意なリスクの増加が認められました。


2014年、100万例以上の大規模コホート研究で、
ピオグリタゾン(アクトス)と膀胱がんに
関連は認められなかったと
Diabetologia(2014年12月3日オンライン版)で報告されました。

さらなる研究が必要であることは言うまでもないのですが、
肥満のない糖尿病患者には、
アクトスは、今までより少し使いやすくなったと言えます。


上述のように、フランス政府の決定はありましたが、
欧州医薬品庁(EMA)や米国医薬品庁(FDA)は、
アクトス使用には制限を加えず、モニタリングを続けるということです。

アクトスは、体重増加、浮腫、心不全などの副作用が一定懸念され私自身は、
もともとほとんど使っていません。

一方、前医で処方され副作用もなく経過がいい糖尿人(女性)で、
糖質制限食がキッチリできない人には、そのまま継続処方することがあります。

糖質制限食がキッチリできる人もいれば、できない人もいます。

上述のようにアクトス投与で、
男性の膀胱癌に関してリスクありとする報告となしとする報告があります。

私は男性には今まで通りに基本投与しないという
スタンスで、いきたいと思います。

一方、痩せ型の女性糖尿人には、
体重増加作用を期待して、アクトス投与も選択肢の一つかとは思います。



江部康二
コメント
『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』藤川徳美さん
江部先生こんばんは。

光文社新書から、
『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』藤川徳美さん
が出版されております。

藤川先生は、江部先生の著書を見て、
自分で糖質制限を始められたそうです。
ご自身も減量などを体験され、医療現場で活用されているようです。
精神科医の立場から、糖質を減らして、タンパク質と鉄をしっかり食べて!
と何度も何度も訴えられています。

江部先生の“後輩”が全国で活躍されています。
個人の感想として、全ての女性に読んでほしい内容でした。
2017/07/22(Sat) 20:17 | URL | イナガキ | 【編集
Re: 『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』藤川徳美さん
イナガキ さん

情報をありがとうございます。

私も本を送って頂いたので、読んでみます。
2017/07/23(Sun) 09:51 | URL | ドクター江部 | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可