糖質摂取とインスリン追加分泌。
こんにちは。

糖質を摂取して 血糖値が上昇すると、
即インスリン追加分泌が起こるのですが、
どのくらいの糖質量に対して反応するのでしょう。

例えば、野菜などに含まれる数グラムの糖質に対しては
インスリン追加分泌は、どのていど出るのでしょう。

通常の食事とスーパー糖質制限食では、
追加分泌インスリンの量はどのくらい差があるのでしょう。

通常糖尿病食とスーパー糖質制限食で、
食前・食後の血糖値・インスリン値の推移をみたデータがあるので
検討してみます。

通常糖尿病食は350kcal 糖質60%で約52.5g

糖質制限食は350kcal 糖質10%で約8.75g


< ケースA:  58才女性 2型糖尿病 Aさん>


通常糖尿病食血糖値、通常糖尿病食IRI   ◆糖質制限食血糖値、糖質制限食IRI
食前: 121mg/dl、2.2μU/ml     ◆124mg/dl、3.5μU/ml  
30分後: 206、6.2          ◆ 140、4.6
60分後: 304、19.1          ◆ 142、6.7
90分後: 250、23.1          ◆ 129、6.9
120分後: 198、21.6          ◆ 135、5.2

通常糖尿病食で糖質を52.5g摂取したときは、
Aさんの血糖値の上昇はかなりです。

それに伴い、糖尿病で分泌能力はやや低下していますが、
それなりにピークは、基礎分泌の10倍くらい
追加分泌インスリンが分泌されています。
しかし血糖コントロールはよくありません。

一方、糖質制限食で糖質8.75g(野菜分)なら、
血糖値の上昇は極めて少なく、インスリンの分泌もピークで2倍です。


< ケースB:  57才女性 2型糖尿病 Bさん>
通常糖尿病食血糖値、通常糖尿病食IRI   ◆糖質制限食血糖値、糖質制限食IRI

食前: 108mg/dl 、3.8μU/ml      ◆ 113mg/dl、4.1 μU/ml
30分後: 148、35.2           ◆ 115、10.1
60分後: 189、58.5           ◆ 116、11.7
90分後: 142、55.1           ◆ 108、10.6
120分後: 126、24.9           ◆107、13.5

Bさんの場合、1年間の糖質制限食実践で、
糖尿病型から正常型に耐糖能が改善しています。

通常糖尿病食で糖質を52.5g摂取したときは、
血糖値の上昇はみられますが、大量のインスリン追加分泌により、正常型で済んでいます。

ピークのインスリン分泌は基礎分泌の15倍と大量にでています。
BさんはAさんに比しインスリン分泌能力がしっかり残存しています。

一方、糖質制限食で糖質8.75g(野菜分)なら、血糖値の上昇は極めて少なく、
インスリンの分泌もピークで3倍です。

このように糖尿人でも正常人でも、
糖質摂取量により、インスリン追加分泌には、
はっきり差があります。

また膵臓のβ細胞のダメージの程度により、
同じ2型糖尿人でもインスリン分泌能力に差があります。

ちなみに、脂質摂取ではインスリン分泌なしで、
タンパク質摂取では少量インスリンが分泌されます。

インスリンは、人体で唯一血糖値を下げるホルモンで、
膵臓のランゲルハンス島のβ細胞でつくられ分泌されます。

24時間少量持続的に出ている基礎分泌のインスリンと、
糖質を摂取して食後血糖値が上昇したときに、
その10~30倍の量が出る追加分泌のインスリンがあります。

追加分泌のインスリンには、
即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。

正常人は、血糖値が上昇し始めたら即インスリンが追加分泌されます。

この第1相反応は、もともとプールされていたインスリンが5~10分間分泌されて、
糖質摂取時の急激な食後高血糖を防いでいます。

その後、膵臓のベータ細胞は、
第2相反応と呼ばれる持続するインスリン分泌を行います。

これは、食事における糖質の残りをカバーしています。
即ち、糖質を摂取している間は、第2相のインスリン分泌が持続します。

2型糖尿人は、通常、第1相反応が低下或いはなくなっていることが多いようです。
従って、糖質摂取時に血糖値の急激な上昇(グルコーススパイク)が起きてしまいます。

また、第二相も低下していることが多いので、糖質を摂取する限り、
一旦上昇した血糖値はなかなか下がってきません。

糖質制限食ならば、野菜分のごく少量の糖質だけなので、
2型糖尿人においても、食後高血糖はほとんど生じません。

追加分泌インスリンも、ごく少量ですみます。
追加分泌インスリンが少量なら、勿論、数時間後の機能性低血糖も生じません。

ただ、スーパー糖質制限食で、
食前より食後の血糖値の方が少し低くなる糖尿人が時におられます。

これは、追加分泌第一相のインスリン量が
摂取した少量の糖質分の血糖上昇をカバーして少し余ったということですが、
もちろん低血糖にはなりません。

なお、B)さんの事例で言えることですが、
正常人が普通に糖質を摂取すると上述のように大量の追加分泌インスリンが出ます。
インスリンは活性酸素を発生させ、酸化ストレスリスクとなります。
インスリンは人体に絶対必要であり、基礎分泌インスリンがなければヒトは死にます。
しかし、インスリン過剰分泌には
『発ガン・老化・アルツハイマー病・パーキンソン病・酸化ストレスなど』のリスクがあるので、
少量ですむにこしたことはないのです。

江部康二
コメント
本日も納得です!!
都内河北 鈴木です。

本日記事内容は、言われてみればですよね!!

「日本糖尿病専門医」ならば尚更ですよね。
しかし、してません!!

しかしネットグロ~バル時代です!!
「真理の無い専門医肩書きだけの器」では致し方ないかと考えますが、、、、。

何しろ私は21年間の重症化(右目失明・脳梗塞)して行く中で、前病院閉院の為、2005転院後2012,9中旬自力で知り得た
江部康二医師の「糖質制限理論」を2012,10,1、より実践で3ヶ月で
インスリン自主離脱し、ヘモグロビン改善以上、生還できた訳です。

私の様に、担当医が後ろ向き知能で被害にあっては、
どの様に結末を迎えるのか不思議?です。

現在4年9ヶ月迄には、
・後遺症の頚動脈プラ~ク減少改善!
・眼底網膜改善!
などもあり、糖尿病だけでなく後遺症にも改善効果あります!!

何故、「日本糖尿病学会信者医療者」は
「悪意限り」の何の可能性無い医療方法を信仰しているのか不思議?です?

私のコメントには全て裏付けあります!!

江部先生の御活躍には、今後ともよろしく御願いいたします!!
ありがとうございます!!
敬具
2017/07/04(Tue) 20:33 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
はじめまして。47歳女性です。155センチ、49キロです。
本日 健康診断の結果がでて、ヘモグロビンa1 cが5.6でした。毎年0.1上がってます。中性脂肪は84でした。
タモキシフェン服用しているのその影響もあるのでしょうか。
昼休みには早歩きのウォーキングをしていたのに。
甘いものも適度に食べてます。まずは甘いものの見直しですよね。
2017/07/04(Tue) 21:50 | URL | み | 【編集
Re: 本日も納得です!!
都内河北 鈴木 さん

・後遺症の頚動脈プラ~ク減少改善!
・眼底網膜改善!


インスリン離脱も凄いですが、
糖尿病合併症も改善ですので、素晴らしいです。


2017/07/05(Wed) 07:24 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
み さん。

「甘いものも適度に食べてます。まずは甘いものの見直しですよね。」

そうですね。
糖質制限OKな甘い物もありますので、試すのもいいです。
2017/07/05(Wed) 07:32 | URL | ドクター江部 | 【編集
初めまして。いつも先生のブログと著書で、糖質制限食について、勉強させていただいています。

医学につては全く無知ですので、稚拙な質問となりますが、ふと疑問に思ったので、お忙しいところご教示いただけたらとおもいます。

私は糖尿病ではないのですが、メタボと肝臓の数値が高いため、糖質制限食を始めました。

体重は10キロ減り、肝臓の数値も正常値になりました。

さて、先日なのですが、風邪でひどく倦怠感がつづき、病院で点滴をうけました。血液検査に異常はなかったのですが、倦怠感がひどかったのでお願いしました。

ただ点滴液の成分が糖質だということに気づき、看護師さんに、糖尿病の方がこれを受けたら血糖値はあがりますよね、と訊きましたら、そうですというお返事でした。

点滴液とはいえ、様々な種類があるのだとは思うのですが、糖質制限に理解のないお医者さまのもと、糖質制限をされている糖尿病のかたが、糖質の多い点滴を強制されることは、ないのでしょうか。

本当に稚拙な疑問で、申しわけありません。
2017/07/05(Wed) 11:55 | URL | 千春 | 【編集
ケトン体について
江部先生、こんにちは。
5年ほど前に糖質制限を行い、標準体重である62キロまで落とし、その後も1、2キロ増えたり減ったりを繰り返しています。その後一年ぐらい前から普通に炭水化物を三食食べる様にしていたら、体重は其れ程変化していないのですが、中性脂肪が倍近くになり、先月からスーパー糖質制限を始めました。功を奏したのか、頬やお腹周りが大分スッキリし、中性脂肪も120まで落ちました。そこでケトン体がどうなのか試薬で測定した所、薄い肌色でした。その後数日間測定していますが、やはり薄い肌色のままです。濃い紫にならないという事は、やはり正常なケトニックスになっていないという事なのでしょうか?ご教示頂けましたら幸いです。よろしくお願い申し上げます。
2017/07/05(Wed) 12:16 | URL | ちあき | 【編集
Re: タイトルなし
千春 さん

拙著のご購入、ありがとうございます。

10kgの減量成功、良かったですね。

糖尿病の人が点滴が必要な場合
生理的食塩水やラクテックなら、血糖値が上昇しないです。
2017/07/05(Wed) 12:56 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ケトン体について
ちあき さん

ケトスティックが
薄い肌色なら、

0.5mmol/Lくらいのケトン体なので

500μmol/Lです。そんなものと思います。

濃い紫は、
8mmol/Lくらいのケトン体なので、8000μmol/Lです。
なかなかそこまでは行きません。

2017/07/05(Wed) 13:08 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございます
江部先生
ご教示ありがとうございます。
これぐらいが標準ならば、薄い肌色状態をキープして行きたいと思います。
2017/07/05(Wed) 13:57 | URL | ちあき | 【編集
血糖コントロールとインスリン量の優先度について
江部先生こんにちは!1型糖尿病のもらです。
2017年2月に糖尿病が発見されA1c10.7だったのですが、スーパー糖質制限&インスリン注射により、2017年6月でA1c5.4、GA値も12.1まで下がりました!先生には何度も何度も質問にご解答頂き、本当にありがとうございました!

普通の人と同じような血液状態まで戻せたので、
最近は血糖をコントロールしつつ外食も楽しむようになりました。
そこで質問なのですが、
例:【外食】つばめグリルのハンブルグステーキ(主食抜き)
このハンバーグを食べるのに、

A: 食前ラピッド3単位を打ったところ、

食前血糖値:75

食後1.5h血糖値:123

食後3h血糖値:117

食後6h血糖値:84
 でした。



別の日に同じものを食べたのですが、

B: 食前ラピッド3.5単位を打ったところ、
食前血糖値:99

食後1.5h
血糖値:116

食後6h血糖値:110 でした。

どちらも6時間後には食前血糖値近くまで戻るのですが、

A: 正常人の血糖変動内であれば、インスリン量を極力減らすことを優先

B: 範囲内であっても極力、血糖値変動を減らすことを優先


このA,Bにつきまして、どちらがいいのか、、悩んでおります。
先生はどちらが良いと思いますでしょうか?

ご見解頂けたらうれしいです、どうぞ宜しくお願いします!
2017/07/13(Thu) 13:24 | URL | もら | 【編集
Re: 血糖コントロールとインスリン量の優先度について
もら さん

「2017年6月でA1c5.4、GA値も12.1」
これは、素晴らしいデータです。

A: 正常人の血糖変動内であれば、インスリン量を極力減らすことを優先
B: 範囲内であっても極力、血糖値変動を減らすことを優先


こちらも、極めて良好なデータで、とても贅沢な悩みですね。
3単位を3.5単位に増やしたら、血糖変動幅がほとんどないです。
0.5単位というごく少量のことですので、しいて言えば、Bです。

正常人でも、Aていどの血糖変動はごく普通にあります。
もら さんの血糖コントロール状況は、正常人を上まわるレベルと言えます。
2017/07/13(Thu) 19:29 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございます!
B、なんですね!!!ありがとうございます!スッキリしました。
正常の人が普段どれくらいのインスリンを出しているのかと思いつつ、まずは極力打つのを減らしていたのですが、今後は自分でコントロールできるMAX3.5単位の範囲内でやってみようと思います!!

また、先生のお優しい言葉、励みになります。
これからも糖質制限頑張れそうです〜!
2017/07/14(Fri) 18:20 | URL | もら | 【編集
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