インスリン、インスリン抵抗性。リポタンパクリパーゼ、中性脂肪。
こんばんは。

今回は、
「インスリン、インスリン抵抗性。リポタンパクリパーゼ、中性脂肪」
のお話しです。

筋肉細胞や脂肪細胞の毛細血管の壁には、
リポタンパクリパーゼ(LPL)があります。

毛細血管壁のリポタンパクリパーゼ(LPL)が、
血中のキロミクロンやV-LDLの積み荷の中性脂肪を、
脂肪酸とグリセロールに分解して、
筋肉細胞や脂肪細胞に取り込ませてエネルギー源として利用させます。
脂肪細胞では、リポ蛋白リパーゼによって分解されて取り込まれた脂肪酸は、
余剰のものは中性脂肪に再合成して蓄えるのです。
リポ蛋白リパーゼは脂肪細胞内の中性脂肪貯蔵を促進する方向に働きます。

健康でスリムな体型で内臓脂肪も正常範囲の人が、
主食で糖質を摂取して、あと普通におかずで脂質も摂取したと仮定します。

糖質摂取で血糖値が上昇して、
追加分泌インスリンが大量にでます。
脂質摂取でキロミクロン(積み荷は中性脂肪)も出現します。

インスリンは、
A)筋肉中のリポタンパクリパーゼ(LPL)を抑制します。
B)脂肪細胞中の リポタンパクリパーゼ(LPL)を活性化します。


筋肉細胞の毛細血管壁では、
インスリンによりリポタンパクリパーゼ(LPL)が抑制されるので、
血中の脂肪酸・ケトン体をエネルギーとして使えなくなるので、
もっぱらブドウ糖を利用します。
それで血糖値は下がります。

一方、脂肪細胞の毛細血管壁のリポタンパクリパーゼ(LPL)は、
インスリンにより活性化されるので、
血中の中性脂肪を脂肪酸とグリセロールにどんどん分解します。
分解された脂肪酸は脂肪細胞に取り込まれてエネルギー源として利用されますが、
余剰のものは、中性脂肪に再合成して脂肪細胞に蓄えます。

このようにして、食事由来の血液中の中性脂肪は、
徐々に基準値に下がります。

健康でスリムな体型で内臓脂肪も正常範囲の人は、
このように、糖質や脂質を食べても血糖値も正常にコンロトールされますし、
中性脂肪値も空腹時には基準値内に戻ります。


一方、肥満などでインスリン抵抗性がある人が、
主食で糖質を摂取して、あと普通に脂質も摂取したと仮定します。

インスリン抵抗性の本質は、何らかの理由で、
「生理的なインスリン濃度では、本来の作用が発揮できないこと」
とされています。


インスリン本来の作用とは、「筋肉・肝臓・脂肪におけるエネルギーの蓄積」です。

インスリン抵抗性があると、生理的なインスリン濃度では、
脂肪細胞の毛細血管壁のリポタンパクリパーゼ(LPL)が充分に活性化されず、
血中の中性脂肪は分解されにくい状況であり、
脂肪細胞内にそれ以上エネルギー蓄積をできない状態となっています。
それでキロミクロンの積み荷の中性脂肪は減りません。

そして、脂肪細胞が脂肪酸を細胞内に蓄えることができなくなると、
肝臓に過剰に供給されます。
肝臓でもインスリン抵抗性があり、
過剰な遊離脂肪酸は中性脂肪の合成を促進して、
VLDLとして血中に放出されますので食後高中性脂肪血症となります。

肝臓でのVLDL合成は、通常はインスリン濃度が増えれば抑制されますが、
インスリン抵抗性があるため、抑制がきかず合成されるのです。


一方、筋肉細胞にもインスリン抵抗性はあり、
血糖値を取り込みにくくなっていますが、
追加分泌インスリンにより
筋肉の毛細血管壁の中のリポタンパクリパーゼ(LPL)は抑制されます。

糖尿病になっていない段階なら、
筋肉細胞は脂肪酸を取り込めない代わりに、
ブドウ糖を取り込んで血糖値は下がりますが、
中性脂肪は分解されず血中に残ります。


このようにインスリン抵抗性がある人が、
<糖質+脂質>を摂取すれば、
食事由来のキロミクロンと肝臓由来のVLDLの両方で
血中の中性脂肪が高値となります。
この場合、食後高中性脂肪血症は遷延して、
空腹時中性脂肪値も高値となることが多いです。

インスリン抵抗性がある人が、
スーパー糖質制限食を摂取した時は、
追加分泌インスリンは極少量しか出ません。
従いまして、筋肉中のリポタンパクリパーゼは、
食中・食後もよく働いて
キロミクロンの中性脂肪を分解して筋肉細胞に取り込みます。
そして血中の中性脂肪値は減少するわけです。 (^^)


いやはや食後脂質代謝は、なかなか複雑で難しいです。
あるていど自分に理解できたことを説明してみましたが、
まだまだ不十分と思います。(・・?)


江部康二
コメント
よく分かりました
先生説明ありがとうございます。
インスリン抵抗性とは、インスリンが効かない状態ですね。インスリンの働きが阻害されるから肝臓の中性脂肪合成に抑制が効かない。などの事が起こるわけですよね。
では、インスリンが極端に少ない場合はどうですか?
例えば基礎分泌、私の場合先日は空腹時インスリン量は2.1でした。基準値を割っています。そこに、糖質制限食は高脂肪食になりますから、食事由来の中性脂肪は多く、またインスリンがそもそも少なければ、肝臓でもどんどん合成されているという事にはなりませんか?
インスリン抵抗性は無いが、例えば筋肉組織が少ない痩せ型女性で、インスリン分泌が非常に節約出来ている場合。いかがでしょう?
2017/06/27(Tue) 06:09 | URL | サワ | 【編集
Re: よく分かりました
サワ さん

空腹時のインスリンが基準値より少なくても、空腹時血糖値が正常なら、
インスリンの効きがよいわけで、とても好ましい状況です。

血糖コントロールができている限り、インスリンは少なくてすむほど身体には優しいです。

サワさんは、インスリン抵抗性はなくて、インスリンの効きが良い好ましい状態です。

中性脂肪も基準値内の変動なので、このまま経過をみて、問題ないです。
2017/06/27(Tue) 08:09 | URL | ドクター江部 | 【編集
皮膚病について
こんにちは。

糖質制限は皮膚病にも効きますか?
本やネットなどで調べると玄米菜食が良いって書いてあるのですが、どうにも眠くなってだるくなってしまうのです。

糖質制限すると体調もよくなるしイライラもしません。でも皮膚はよくも悪くもならないというか…。このまま続けても良いのか迷ってます。
分かりにくくてすみません。よろしくお願いします。
2017/06/27(Tue) 15:07 | URL | ちひろ | 【編集
本日記事、昨夜から読んで、、、。
都内河北 鈴木です。

糖尿病の事自体が魑魅魍魎なんですね!!
対応知識として感動です!!

私自身、糖尿病学会公認信者医者達とは2012年9月迄21年間の間に何の改善・完治への会話がなかったからだと再確認しました。

重症化(右目失明・脳梗塞頚動脈)するも只「カロリ~制限食」厳守のみでしたが、
2005年から転院以降も診療時会話に疑問あり何を訊いても
「カロリ~制限食」のみでした。

2013年末には、東京都病院協会会長経営病院と信者医者達から明らかに
「逆ギレ状態の信者医者、信者病院の悪態と圧力三昧」
(上記は全て裏付けあり)

でしたが本日記事は、改善への更なる知識として理解把握しておくべきだと考えます!!

江部先生の御活躍に助けられている患者さんは日増しに増えています。
今後とも更なる健康への知識提供を宜しく御願いいたします!!

私的には糖尿病から
更なる頚動脈プラ~ク減少改善!!
視力改善!!
もあり、更なる改善への毎日を目指しています。
敬具


2017/06/27(Tue) 15:30 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
Re: 皮膚病について
ちひろ さん

アトピー性皮膚炎
尋常性乾癬
尋常性ざ瘡

など皮膚の病気にも、糖質制限食は有効です。
2017/06/27(Tue) 16:06 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございます
しばらく様子見、しっかり糖質制限をしていきたいと思います!ありがとうございます!
2017/06/27(Tue) 19:43 | URL | サワ | 【編集
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