2017年06月23日 (金)
こんばんは。
血液による腎機能検査には、
・尿素窒素(BUN):8~20mg/dl
・クレアチニン:0.6~1.1mg/dl
・血清シスタチンC:0.53~0.95mg/dl
などがあります。
数値は、検査機関により差がありますが、およその基準値です。
糖質制限食実践により、尿素窒素(BUN)がやや高値となることがあります。
これは糖質制限食により、相対的に高蛋白食になるためで、
生理的範囲内で心配要りません。
細胞内の蛋白質が限度まで満たされると、体液中のアミノ酸は分解され、
エネルギーとして使われたり、主に脂質あるいは、
わずかながらグリコーゲンとして貯蔵されます。
この大部分は、肝臓で行われます。
アミノ酸分解産物であるアンモニアが、そのままでは神経毒性を有するため、
肝で尿素サイクルの代謝をうけて尿素が産生されます。
尿素のほとんどは、腎臓の糸球体で濾過されて尿中に排泄されますが、
その一部は再吸収され、血中に戻されます。
一部再吸収されるので、
高タンパク食(糖質制限食)により
血中尿素窒素(BUN)が高値となることはありますが、
これは生理的な現象で、腎機能障害ではありません。
血中クレアチニン値や血中シスタチンCの値が正常であれば問題ありません。
また、厚生労働省によれば、
高タンパク食(糖質制限食)で、
正常な腎臓に負担がかかるというエビデンスはありません。
クレアチニン値は、
尿素窒素よりは腎機能以外の要素の影響は受けにくいのですが、
筋トレなどをしていて筋肉量が多い人は、やや高値となります。
逆に筋肉量が少ない高齢者では、見かけ上の低値となるので、注意が必要です。
運動後などでもクレアチニン値は高値となることがあります。
この場合は、クレアチニン値が高値でも腎機能傷害ではありません。
このようなとき、血清シスタチンCを検査すれば本当の腎機能がわかります。
つまり、血清クレアチニン値が上昇でも、血清シスタチンCが正常ならば、
腎機能は正常と考えられ、心配はいりません。
血清シスタチンCは、血清クレアチニンよりは、
かなり鋭敏な腎機能検査の指標で、
初期の腎機能障害を拾い上げることができます。
つまりクレアチンが異常値になった段階はすでに、
腎障害はあるていど進んでいる段階なので要注意なのです。
血清クレアチニン値は、GFRが30ml/min前後に低下する時期から上昇するのに対し、
血清シスタチンC値はGFR 70ml/min前後に低下したころから上昇します。
したがって、シスタチンCはクレアチニンより初期の段階から
腎機能障害をチェックできる利点があります。
シスタチンCを用いた、eGFR (eGFRcys) は、
食事や筋肉量、運動の影響を受けずに、糸球体濾過量を反映するので、
実際の腎機能を示す最もよい指標と考えられます。
グーグルで、「シスタチンC eGFR」で
http://www.hdtool.net/99_blank006.html
などのサイトがでます。
年齢、性別、数値をいれれば、簡単に計算できます。
『CKD診療ガイド2012』において、
「るいそうまたは下肢切断者などの筋肉量の少ない場合には、
eGFRcysがより適切である」と、
クレアチニンを用いた場合よりも
シスタチンCを用いたeGFRが望ましいとされています。
江部康二
血液による腎機能検査には、
・尿素窒素(BUN):8~20mg/dl
・クレアチニン:0.6~1.1mg/dl
・血清シスタチンC:0.53~0.95mg/dl
などがあります。
数値は、検査機関により差がありますが、およその基準値です。
糖質制限食実践により、尿素窒素(BUN)がやや高値となることがあります。
これは糖質制限食により、相対的に高蛋白食になるためで、
生理的範囲内で心配要りません。
細胞内の蛋白質が限度まで満たされると、体液中のアミノ酸は分解され、
エネルギーとして使われたり、主に脂質あるいは、
わずかながらグリコーゲンとして貯蔵されます。
この大部分は、肝臓で行われます。
アミノ酸分解産物であるアンモニアが、そのままでは神経毒性を有するため、
肝で尿素サイクルの代謝をうけて尿素が産生されます。
尿素のほとんどは、腎臓の糸球体で濾過されて尿中に排泄されますが、
その一部は再吸収され、血中に戻されます。
一部再吸収されるので、
高タンパク食(糖質制限食)により
血中尿素窒素(BUN)が高値となることはありますが、
これは生理的な現象で、腎機能障害ではありません。
血中クレアチニン値や血中シスタチンCの値が正常であれば問題ありません。
また、厚生労働省によれば、
高タンパク食(糖質制限食)で、
正常な腎臓に負担がかかるというエビデンスはありません。
クレアチニン値は、
尿素窒素よりは腎機能以外の要素の影響は受けにくいのですが、
筋トレなどをしていて筋肉量が多い人は、やや高値となります。
逆に筋肉量が少ない高齢者では、見かけ上の低値となるので、注意が必要です。
運動後などでもクレアチニン値は高値となることがあります。
この場合は、クレアチニン値が高値でも腎機能傷害ではありません。
このようなとき、血清シスタチンCを検査すれば本当の腎機能がわかります。
つまり、血清クレアチニン値が上昇でも、血清シスタチンCが正常ならば、
腎機能は正常と考えられ、心配はいりません。
血清シスタチンCは、血清クレアチニンよりは、
かなり鋭敏な腎機能検査の指標で、
初期の腎機能障害を拾い上げることができます。
つまりクレアチンが異常値になった段階はすでに、
腎障害はあるていど進んでいる段階なので要注意なのです。
血清クレアチニン値は、GFRが30ml/min前後に低下する時期から上昇するのに対し、
血清シスタチンC値はGFR 70ml/min前後に低下したころから上昇します。
したがって、シスタチンCはクレアチニンより初期の段階から
腎機能障害をチェックできる利点があります。
シスタチンCを用いた、eGFR (eGFRcys) は、
食事や筋肉量、運動の影響を受けずに、糸球体濾過量を反映するので、
実際の腎機能を示す最もよい指標と考えられます。
グーグルで、「シスタチンC eGFR」で
http://www.hdtool.net/99_blank006.html
などのサイトがでます。
年齢、性別、数値をいれれば、簡単に計算できます。
『CKD診療ガイド2012』において、
「るいそうまたは下肢切断者などの筋肉量の少ない場合には、
eGFRcysがより適切である」と、
クレアチニンを用いた場合よりも
シスタチンCを用いたeGFRが望ましいとされています。
江部康二
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