2017年06月18日 (日)
おはようございます。
今回の記事は、
グリコアルブミン(GA)とグリコヘモグロビン(HbA1c)を比較してみます。
<GAとHbA1cのそれぞれの意義>
HbA1cは赤血球の寿命が120日であるため4ヵ月前から採血時まで、
一般には、過去2ヶ月の平均血糖値を反映します。
GAはアルブミンの半減期が17日であるため17日前から採血時まで、
一般には、過去2週間の平均血糖値を反映します。
高雄病院の糖尿病学校(14日間入院)では、
糖質制限入院時と退院時のGAを検査します。
必ず退院時GAが改善しますので患者さんに説明しやすいです。
HbA1cは2週間では、血糖コントロール良好でも変化はありません。
従って、退院時のHbA1cは検査しません。
<GAとHbA1cの測定原理と食後高血糖の反映度合い>
HbA1cとグリコアルブミン(GA)は、血液中のヘモグロビンとアルブミンが、
それぞれ血糖と結合して変化したものの割合を示す検査値で、原理は同じです。
血液中のブドウ糖は、いろんなものにへばり付く性質があり、ヘモグロビン(赤血球の中にあるタンパク質)にくっついて変化したものがHbA1cで、アルブミンという血清中のタンパク質にくっついて変化したものが、グリコアルブミン(GA)ということです。
そして、同じ HbA1C値の糖尿病患者さんでも、食後高血糖が頻回にある患者さんの方が、グリコアルブミンが高くなりやすいことが分かりました。
アルブミンが血糖と結合してグリコアルブミンになるスピードは、
ヘモグロビンが血糖と結合して HbA1Cになるスピードより、
9倍くらい速いと推測されています。
そのため、ごく短時間だけ現れる高血糖に対しては、
グリコアルブミン値の方が HbA1C値より敏感に反応しやすいと考えられます。
ごく短時間だけ現れる高血糖は、通常は糖質摂取後の高血糖です。
これが、「グリコアルブミン検査は食後高血糖の評価に適している」とされる理由です。
<GA/HbA1cの比が大きいと食後高血糖が頻回>
食後高血糖の存在をよりはっきりとさせる方法として、
グリコアルブミン値を HbA1C値で割って両者の比を計算する方法があります。
血糖コントロールが良いにしろ悪いにしろ、それが安定している場合、
両者の比は、およそ3:1です。(但しHbA1cはJDS値)
つまりGA値が HbA1C(JDS)の約3倍です。
この約3倍というのは昔のHbA1c(JDS値)で計算したらぴったりですが、
HbA1c(NGSP値)の場合は少し小さくずれます。
従って、GA/HbA1c比の計算をするときは、
JDS値のHbA1cにするとよいです。
*JDS値+0.4=NGSP値
*NGSP値-0.4=JDS値
食後血糖値の変動が大きい糖尿人では、
先ほど述べたようにグリコアルブミンの方が上昇しやすいため、
GA/HbA1c比が大きくなります。
食後高血糖が頻回の場合は、GA/HbA1c比が4:1に近付いたり、
それ以上に差が開くこともあるようです。
この差が大きいほど、
合併症が進行しやすくなることを示した研究報告が最近増えてきました。
<糖質制限食なら、GA/HbA1cの比が小さい>
江部康二の検査データ
HbA1c(NGSP):5.8%(基準値4.6~6.2%)
HbA1c(JDS):5.4%(基準値4.3~5.8%)
グリコアルブミン(GA):13.9%(基準値11.8~16.0%)
上記、江部康二の検査データ(2017年6月)だと、
JDS値で計算して、GA/HbA1c比は、2.57:1とかなり低いです。
食後高血糖が極めて少ないことを示しています。
一方、
ある50代男性糖尿人Aさんの検査では
HbA1c(NGSP):5.8%
HbA1c(JDS):5.4%
グリコアルブミン(GA):18.0%
でした。
江部康二とAさんと、HbA1cは全く同じです。
一方AさんのGAも20%未満と、コントロール良好ではあるのですが、
私のデータと比べるとかなり高値です。
Aさんの、GA/HbA1c比は、3.33:1で、私よりかなり高いです。
つまりAさんは、私に比べると食後高血糖が一定あったこととなります。
よくよくAさんに聞いてみると
「麺類が好きで時々食べていました」
ということでした。
麺類を止めて貰ったら、GAも16.0%をきるようになりました。
すなわち、食後高血糖のない質の良いHbA1cと、食後高血糖のある質の悪いHbA1cとを、
GA/HbA1c比によって、区別し評価できるということになります。
GAとHbA1cは同じ月には保険請求できませんので、
やや安価なHbA1cのほうを実費で保険外で調べればいいと思います。
私費で、HbA1cは¥500-くらいと思います。
HbA1cより、有用なので、グリコアルブミン検査は今後、
もっと普及して欲しいと思います。
それによりグリコアルブミンと合併症の関係がさらに明確になることでしょう。
江部康二
今回の記事は、
グリコアルブミン(GA)とグリコヘモグロビン(HbA1c)を比較してみます。
<GAとHbA1cのそれぞれの意義>
HbA1cは赤血球の寿命が120日であるため4ヵ月前から採血時まで、
一般には、過去2ヶ月の平均血糖値を反映します。
GAはアルブミンの半減期が17日であるため17日前から採血時まで、
一般には、過去2週間の平均血糖値を反映します。
高雄病院の糖尿病学校(14日間入院)では、
糖質制限入院時と退院時のGAを検査します。
必ず退院時GAが改善しますので患者さんに説明しやすいです。
HbA1cは2週間では、血糖コントロール良好でも変化はありません。
従って、退院時のHbA1cは検査しません。
<GAとHbA1cの測定原理と食後高血糖の反映度合い>
HbA1cとグリコアルブミン(GA)は、血液中のヘモグロビンとアルブミンが、
それぞれ血糖と結合して変化したものの割合を示す検査値で、原理は同じです。
血液中のブドウ糖は、いろんなものにへばり付く性質があり、ヘモグロビン(赤血球の中にあるタンパク質)にくっついて変化したものがHbA1cで、アルブミンという血清中のタンパク質にくっついて変化したものが、グリコアルブミン(GA)ということです。
そして、同じ HbA1C値の糖尿病患者さんでも、食後高血糖が頻回にある患者さんの方が、グリコアルブミンが高くなりやすいことが分かりました。
アルブミンが血糖と結合してグリコアルブミンになるスピードは、
ヘモグロビンが血糖と結合して HbA1Cになるスピードより、
9倍くらい速いと推測されています。
そのため、ごく短時間だけ現れる高血糖に対しては、
グリコアルブミン値の方が HbA1C値より敏感に反応しやすいと考えられます。
ごく短時間だけ現れる高血糖は、通常は糖質摂取後の高血糖です。
これが、「グリコアルブミン検査は食後高血糖の評価に適している」とされる理由です。
<GA/HbA1cの比が大きいと食後高血糖が頻回>
食後高血糖の存在をよりはっきりとさせる方法として、
グリコアルブミン値を HbA1C値で割って両者の比を計算する方法があります。
血糖コントロールが良いにしろ悪いにしろ、それが安定している場合、
両者の比は、およそ3:1です。(但しHbA1cはJDS値)
つまりGA値が HbA1C(JDS)の約3倍です。
この約3倍というのは昔のHbA1c(JDS値)で計算したらぴったりですが、
HbA1c(NGSP値)の場合は少し小さくずれます。
従って、GA/HbA1c比の計算をするときは、
JDS値のHbA1cにするとよいです。
*JDS値+0.4=NGSP値
*NGSP値-0.4=JDS値
食後血糖値の変動が大きい糖尿人では、
先ほど述べたようにグリコアルブミンの方が上昇しやすいため、
GA/HbA1c比が大きくなります。
食後高血糖が頻回の場合は、GA/HbA1c比が4:1に近付いたり、
それ以上に差が開くこともあるようです。
この差が大きいほど、
合併症が進行しやすくなることを示した研究報告が最近増えてきました。
<糖質制限食なら、GA/HbA1cの比が小さい>
江部康二の検査データ
HbA1c(NGSP):5.8%(基準値4.6~6.2%)
HbA1c(JDS):5.4%(基準値4.3~5.8%)
グリコアルブミン(GA):13.9%(基準値11.8~16.0%)
上記、江部康二の検査データ(2017年6月)だと、
JDS値で計算して、GA/HbA1c比は、2.57:1とかなり低いです。
食後高血糖が極めて少ないことを示しています。
一方、
ある50代男性糖尿人Aさんの検査では
HbA1c(NGSP):5.8%
HbA1c(JDS):5.4%
グリコアルブミン(GA):18.0%
でした。
江部康二とAさんと、HbA1cは全く同じです。
一方AさんのGAも20%未満と、コントロール良好ではあるのですが、
私のデータと比べるとかなり高値です。
Aさんの、GA/HbA1c比は、3.33:1で、私よりかなり高いです。
つまりAさんは、私に比べると食後高血糖が一定あったこととなります。
よくよくAさんに聞いてみると
「麺類が好きで時々食べていました」
ということでした。
麺類を止めて貰ったら、GAも16.0%をきるようになりました。
すなわち、食後高血糖のない質の良いHbA1cと、食後高血糖のある質の悪いHbA1cとを、
GA/HbA1c比によって、区別し評価できるということになります。
GAとHbA1cは同じ月には保険請求できませんので、
やや安価なHbA1cのほうを実費で保険外で調べればいいと思います。
私費で、HbA1cは¥500-くらいと思います。
HbA1cより、有用なので、グリコアルブミン検査は今後、
もっと普及して欲しいと思います。
それによりグリコアルブミンと合併症の関係がさらに明確になることでしょう。
江部康二
先生のブログでいつも勉強させて頂いております。
ありがとうございます。 m(_ _)m
いつもお忙しくされていますのに、申し訳けございませんが、一つお願いしたい事がございます。
今日の主題の一つ、GAの検査についてです。
以前、先生がGAについて教えて下さいましたので、早速、次の高雄病院の診察日に、HbA1cと合わせて検査して頂きました。お陰様で数値は良好でとても嬉しく安心致しました。ありがとうございました。(*'▽'*)
ただ、先日早朝空腹時の血糖値が134もあったものですから (何も悪い事はしていないつもりなのですが (~_~;)、又GAの検査を受けたいと思いました。
ただ、残念なことに当日検査結果が出ないんですね。
自宅から片道2時間半かかりますし仕事もしていますので、結果が気になってもなかなか病院まで行けません。
なんとか当日教えて頂ける様にはなりませんでしょうか。日数がかかる検査であれば、電話をして教えて頂く事ができれば大変助かります。
勝手を申しまして誠に申し訳けございません。m(_ _)m
何か良い手段が有りましたら、とてもとても嬉しいです。
ありがとうございます。 m(_ _)m
いつもお忙しくされていますのに、申し訳けございませんが、一つお願いしたい事がございます。
今日の主題の一つ、GAの検査についてです。
以前、先生がGAについて教えて下さいましたので、早速、次の高雄病院の診察日に、HbA1cと合わせて検査して頂きました。お陰様で数値は良好でとても嬉しく安心致しました。ありがとうございました。(*'▽'*)
ただ、先日早朝空腹時の血糖値が134もあったものですから (何も悪い事はしていないつもりなのですが (~_~;)、又GAの検査を受けたいと思いました。
ただ、残念なことに当日検査結果が出ないんですね。
自宅から片道2時間半かかりますし仕事もしていますので、結果が気になってもなかなか病院まで行けません。
なんとか当日教えて頂ける様にはなりませんでしょうか。日数がかかる検査であれば、電話をして教えて頂く事ができれば大変助かります。
勝手を申しまして誠に申し訳けございません。m(_ _)m
何か良い手段が有りましたら、とてもとても嬉しいです。
都内河北 鈴木です。
ブログ記事の昨日・本日を読んでいて思いますが、私の場合糖尿病重症化(右目失明・脳梗塞)21年が、
薬不要「糖質制限理論」食生活実践で3ヶ月で正常化してからも脳梗塞後遺症あるからかもしれませんが、記憶障害は否めません。
しかし昨日・本日記事内容には諭されます!!
更なる改善への志向への改善を目指して行きたいと考えて行きたいと心に記憶して行きます。
江部先生には、感謝!感謝!の日が継続してます!!
ありがとうございます!!
敬具
ブログ記事の昨日・本日を読んでいて思いますが、私の場合糖尿病重症化(右目失明・脳梗塞)21年が、
薬不要「糖質制限理論」食生活実践で3ヶ月で正常化してからも脳梗塞後遺症あるからかもしれませんが、記憶障害は否めません。
しかし昨日・本日記事内容には諭されます!!
更なる改善への志向への改善を目指して行きたいと考えて行きたいと心に記憶して行きます。
江部先生には、感謝!感謝!の日が継続してます!!
ありがとうございます!!
敬具
2017/06/18(Sun) 17:18 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集】
江部先生
本日の立川講演会有り難うございました。
さて、質疑応答のとき、江部先生の大腸ポリープ切除の入院経験のお話をお聞きしました。
私も昨年同じ手術で入院しました。通常は内視鏡検査時にもし見つかればその場で切除して日帰りできるところ、私は不整脈が有り、血液サラサラ薬のワーファリンを日頃服用してるため、そのまま服用しながら出血用心対策として
1週間入院しました。入院当日から絶食、点滴が始まり翌日の手術に備えました。手術後は、点滴→重湯→3分粥→5分粥→7分粥→全粥→普通食に戻りました。後半はジュースやフルーツも出され、血糖値は高目でした。バナナが出た時は遂に200mg/dl越えでした。常に空腹でもあり、量といい内容といい勝手なものを食べても治療に影響有っても困るし、出されたものだけを貪り食べていました。
本日の江部先生のお話ではコンビニ行って豆腐などを調達して食べるべしとのことでしたが、血糖値対策からやはりそうするべきだったのでしょうか。注意事項は何かありますか。
ポリープが出来るタチとわかり、今後も入院治療はあり得ることのようですので。
本日の立川講演会有り難うございました。
さて、質疑応答のとき、江部先生の大腸ポリープ切除の入院経験のお話をお聞きしました。
私も昨年同じ手術で入院しました。通常は内視鏡検査時にもし見つかればその場で切除して日帰りできるところ、私は不整脈が有り、血液サラサラ薬のワーファリンを日頃服用してるため、そのまま服用しながら出血用心対策として
1週間入院しました。入院当日から絶食、点滴が始まり翌日の手術に備えました。手術後は、点滴→重湯→3分粥→5分粥→7分粥→全粥→普通食に戻りました。後半はジュースやフルーツも出され、血糖値は高目でした。バナナが出た時は遂に200mg/dl越えでした。常に空腹でもあり、量といい内容といい勝手なものを食べても治療に影響有っても困るし、出されたものだけを貪り食べていました。
本日の江部先生のお話ではコンビニ行って豆腐などを調達して食べるべしとのことでしたが、血糖値対策からやはりそうするべきだったのでしょうか。注意事項は何かありますか。
ポリープが出来るタチとわかり、今後も入院治療はあり得ることのようですので。
こんばんは。
18日、朝日カルチャー立川教室・江部康二先生講座「糖尿病・生活習慣病と糖質制限食」に出席させて頂きました。
レジュメに添ってご説明くださり、とても充実した内容だったと思います。
いつものように満席で、最後20分間の質疑応答は大幅に延長され大盛況でした。
私も質問しようかと思いましたが、徒然日記のコメント欄で質疑応答の続きをよろしくお願い致します。
(質問)
近頃、夕食後筋トレへ通っていて、その効果は抜群で、朝空腹時の血糖値100mg/dL前後、HbA1cも徐々に下がっております。
しかし、残念なことに体重は以前より1.5㎏~2㎏ほど太ってしまいました。
その原因として医学的に考えられることがございましたら、ご教示くださいますようお願い申し上げます。
(特に暴飲暴食しているわけではございませんが、夜食の糖質0ビールやおつまみナッツ類のカロリーが加算されているようにも思います)
18日、朝日カルチャー立川教室・江部康二先生講座「糖尿病・生活習慣病と糖質制限食」に出席させて頂きました。
レジュメに添ってご説明くださり、とても充実した内容だったと思います。
いつものように満席で、最後20分間の質疑応答は大幅に延長され大盛況でした。
私も質問しようかと思いましたが、徒然日記のコメント欄で質疑応答の続きをよろしくお願い致します。
(質問)
近頃、夕食後筋トレへ通っていて、その効果は抜群で、朝空腹時の血糖値100mg/dL前後、HbA1cも徐々に下がっております。
しかし、残念なことに体重は以前より1.5㎏~2㎏ほど太ってしまいました。
その原因として医学的に考えられることがございましたら、ご教示くださいますようお願い申し上げます。
(特に暴飲暴食しているわけではございませんが、夜食の糖質0ビールやおつまみナッツ類のカロリーが加算されているようにも思います)
2017/06/19(Mon) 00:47 | URL | 質疑応答延長 | 【編集】
まちこ さん
以前は、GAは外注でしたが、今は高雄病院内でできるようになりました。
現在、HbA1cもGAも、約20-30分で、結果がでます。
以前は、GAは外注でしたが、今は高雄病院内でできるようになりました。
現在、HbA1cもGAも、約20-30分で、結果がでます。
2017/06/19(Mon) 07:13 | URL | ドクター江部 | 【編集】
yamaサン 様
私は、『声帯ポリープ』の手術です。
いわゆる歌手病ですね。(^^)
私は消化管は関係ないので、食事は普通食でした。
ご飯は、やめて、おかずだけ食べて、あとはコンビニで豆腐とかおでんとかゆで卵とかを食べました。
大腸ポリープの場合は、消化管の安静ということで重湯、お粥ですが、
豆腐や、おでんの大根や、茶碗蒸し(具なし)、白身魚など糖質制限な食材もいけると思います。
私は、『声帯ポリープ』の手術です。
いわゆる歌手病ですね。(^^)
私は消化管は関係ないので、食事は普通食でした。
ご飯は、やめて、おかずだけ食べて、あとはコンビニで豆腐とかおでんとかゆで卵とかを食べました。
大腸ポリープの場合は、消化管の安静ということで重湯、お粥ですが、
豆腐や、おでんの大根や、茶碗蒸し(具なし)、白身魚など糖質制限な食材もいけると思います。
2017/06/19(Mon) 07:22 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生 こんにちは。
いつも勉強させていただいています。
私は3年前に糖尿病と診断され、即、スーパー制限食に切り替えました。12近くあったHbA1cは3ヶ月ほどで6%台に下がり、その後も6%の半ばから後半を行ったり来たりしていましたが、昨年春頃から悪化し始め、7%台に乗ってしまいました。
2014年6月時点では2.1だったIRI(1.5~12)が、2016年の3月には3.9になり、膵臓の細胞が休養できて、少しは元気になってくれたのかと喜んでいたところでしたのに、そのころからの悪化・・・。
素人には、IRIの数値が良くなる=血糖値のコントロールも、以前よりはうまくいくようになる・・・という考えしかなかったので、困惑しています。
インスリンの出方が、少しは良くなったということではなかったのでしょうか?
この状態での悪化には、どんな原因が考えられますでしょうか?
糖質の摂り方や運動の量を特に変えたという認識はありません。
以前は、例えば早朝空腹時血糖値が135だとすると昼食前は20下がって115。そして夕食前は20上がって135。翌朝また135という感じで推移していたのですが、今は150ー150-170で、翌朝150。以前は下がっていた昼食前が下がらない分だけ(昼食前と夕食前の差が20なのは同じ)高くなってしまっています。
そして、ベースが高いため、ずっと高い数値のまま、ぐるぐる回っている状態なのです。
朝食後の血糖値の推移を見ても、以前は1時間後くらいだったピークが、今は1時間半~2時間になってしまっています。
(ちなみに、通院などで朝食を抜いても、早朝と昼食前の血糖値はほぼ同じです。糖新生のせいでしょうか)
自分のパターンは分かっているのですが、とにかく、一刻も早く、今のこの「高い」ベースを下げたく、でも、運動を増やしても食事を減らしてもなかなかうまくいかず・・・。
そこでSGLT2阻害薬についてお尋ねしたいのです。
先生は、最近は積極的に投与されているとのこと。
この薬が出た当初は、死亡例があったりと、怖いイメージがありましたが、今は心配ないのでしょうか。
また、以前、短期間だけの服用が好ましいというお話がありましたが、今、先生の患者さんには、やはり半年くらいだけで取りやめるとか、何日か服用し、何日か休む・・・などといった処方をされているのでしょうか?
現在、ジャヌビアとメトグルコを一日1錠づつ服用しています。
主治医は糖質制限を全く認めない人なので、SGLT2阻害薬のことを相談する前に、江部先生にアドバイスをいただけたら幸いと思い、コメントいたしました。
どうぞよろしくお願いします。
いつも勉強させていただいています。
私は3年前に糖尿病と診断され、即、スーパー制限食に切り替えました。12近くあったHbA1cは3ヶ月ほどで6%台に下がり、その後も6%の半ばから後半を行ったり来たりしていましたが、昨年春頃から悪化し始め、7%台に乗ってしまいました。
2014年6月時点では2.1だったIRI(1.5~12)が、2016年の3月には3.9になり、膵臓の細胞が休養できて、少しは元気になってくれたのかと喜んでいたところでしたのに、そのころからの悪化・・・。
素人には、IRIの数値が良くなる=血糖値のコントロールも、以前よりはうまくいくようになる・・・という考えしかなかったので、困惑しています。
インスリンの出方が、少しは良くなったということではなかったのでしょうか?
この状態での悪化には、どんな原因が考えられますでしょうか?
糖質の摂り方や運動の量を特に変えたという認識はありません。
以前は、例えば早朝空腹時血糖値が135だとすると昼食前は20下がって115。そして夕食前は20上がって135。翌朝また135という感じで推移していたのですが、今は150ー150-170で、翌朝150。以前は下がっていた昼食前が下がらない分だけ(昼食前と夕食前の差が20なのは同じ)高くなってしまっています。
そして、ベースが高いため、ずっと高い数値のまま、ぐるぐる回っている状態なのです。
朝食後の血糖値の推移を見ても、以前は1時間後くらいだったピークが、今は1時間半~2時間になってしまっています。
(ちなみに、通院などで朝食を抜いても、早朝と昼食前の血糖値はほぼ同じです。糖新生のせいでしょうか)
自分のパターンは分かっているのですが、とにかく、一刻も早く、今のこの「高い」ベースを下げたく、でも、運動を増やしても食事を減らしてもなかなかうまくいかず・・・。
そこでSGLT2阻害薬についてお尋ねしたいのです。
先生は、最近は積極的に投与されているとのこと。
この薬が出た当初は、死亡例があったりと、怖いイメージがありましたが、今は心配ないのでしょうか。
また、以前、短期間だけの服用が好ましいというお話がありましたが、今、先生の患者さんには、やはり半年くらいだけで取りやめるとか、何日か服用し、何日か休む・・・などといった処方をされているのでしょうか?
現在、ジャヌビアとメトグルコを一日1錠づつ服用しています。
主治医は糖質制限を全く認めない人なので、SGLT2阻害薬のことを相談する前に、江部先生にアドバイスをいただけたら幸いと思い、コメントいたしました。
どうぞよろしくお願いします。
2017/06/19(Mon) 10:16 | URL | pearl | 【編集】
質疑応答延長 さん
立川講演会へのご参加、ありがとうございます。
体重が1.5~2kg増加とのことですが、
体脂肪率はどう変化したのでしょうか?
スーパー糖質制限食なら、脂肪がしっかり燃焼するので、
よほどの大食でない限り、体脂肪が増えることはまれと思われますが・・・。
立川講演会へのご参加、ありがとうございます。
体重が1.5~2kg増加とのことですが、
体脂肪率はどう変化したのでしょうか?
スーパー糖質制限食なら、脂肪がしっかり燃焼するので、
よほどの大食でない限り、体脂肪が増えることはまれと思われますが・・・。
2017/06/19(Mon) 19:03 | URL | ドクター江部 | 【編集】
pearl さん
IRIが、2.1から3.7に増えたのに、空腹時血糖値が135から150に上昇というのは、
何らかの理由でインスリン抵抗性が増したと考えられます。
そのため、夜間の糖新生が制御できずに『暁現象』を起こしていると思われます。
SGLT2阻害薬は、米国の信頼度の高い2つの研究で、臓器保護作用があるとされました。
そして血中ケトン体が上昇することが、その理由と考えられ、ケトン体がとても良い作用をもつ物質と
位置づけられました。
これにより、スーパー糖質制限食でケトン体が上昇することも、良いことということになりますので
我々としても追い風と捉えています。
そして、SGLT2阻害薬は、薬物による『糖質制限食J』という見方もできるので
私も、脱水にさえ注意すれば、大変有効な存在と位置づけるようになりました。
私も、現在は長期投与も含めて、必要なら積極的に『SGLT2阻害薬』を処方しています。
IRIが、2.1から3.7に増えたのに、空腹時血糖値が135から150に上昇というのは、
何らかの理由でインスリン抵抗性が増したと考えられます。
そのため、夜間の糖新生が制御できずに『暁現象』を起こしていると思われます。
SGLT2阻害薬は、米国の信頼度の高い2つの研究で、臓器保護作用があるとされました。
そして血中ケトン体が上昇することが、その理由と考えられ、ケトン体がとても良い作用をもつ物質と
位置づけられました。
これにより、スーパー糖質制限食でケトン体が上昇することも、良いことということになりますので
我々としても追い風と捉えています。
そして、SGLT2阻害薬は、薬物による『糖質制限食J』という見方もできるので
私も、脱水にさえ注意すれば、大変有効な存在と位置づけるようになりました。
私も、現在は長期投与も含めて、必要なら積極的に『SGLT2阻害薬』を処方しています。
2017/06/19(Mon) 19:15 | URL | ドクター江部 | 【編集】
はじめまして、いつもブログを拝見させて勉強させていただいております。
30代半ばですが、昨年の9月に1型の糖尿病と診断されました。当時は空腹時血糖値600、HbA1cが13.2と命からがらだったのですが、先生の糖質制限を見習い実施して、4月でA1cが5.6まで改善されました。この改善された状況で、かかりつけの医師からは、HbA1cを6.0-7.0程度まで引き上げたいという通達がありました。理由は低血糖症状を引き起こさないためということですが、合併症のリスクが高まるようで、ためらっております。ちなみに今まで一度も低血糖が生じたことはございません。HbA1Cを高めに照準を合わせるのは正しいことなのでしょうか。差支えなければご意見をお伺いできればと思います。
また、1型の糖尿人が読むべきおすすめの本とかはございますか。巷で読む本は2型のケースがほとんどで、参考にすべきか迷ったりすることがあります。
30代半ばですが、昨年の9月に1型の糖尿病と診断されました。当時は空腹時血糖値600、HbA1cが13.2と命からがらだったのですが、先生の糖質制限を見習い実施して、4月でA1cが5.6まで改善されました。この改善された状況で、かかりつけの医師からは、HbA1cを6.0-7.0程度まで引き上げたいという通達がありました。理由は低血糖症状を引き起こさないためということですが、合併症のリスクが高まるようで、ためらっております。ちなみに今まで一度も低血糖が生じたことはございません。HbA1Cを高めに照準を合わせるのは正しいことなのでしょうか。差支えなければご意見をお伺いできればと思います。
また、1型の糖尿人が読むべきおすすめの本とかはございますか。巷で読む本は2型のケースがほとんどで、参考にすべきか迷ったりすることがあります。
たかりえる さん
糖質制限食で、血糖コントロール良好、良かったです。
インスリンは、打っておられますか?
打っておられるなら、何を打っておられますか?
糖質制限食なら、仮にインスリンを打っていても、単位数が少ないので
低血糖になりにくいです。
現実に低血糖発作なしですし、今のA1cが5.6%で、よいと思います。
1型糖尿病の参考になる本は
『バーンスタイン医師の糖尿病の解決』
2016/5/23
リチャード・K・バーンスタイン (著), 柴田 寿彦 (翻訳)
がよいと思います。
糖質制限食で、血糖コントロール良好、良かったです。
インスリンは、打っておられますか?
打っておられるなら、何を打っておられますか?
糖質制限食なら、仮にインスリンを打っていても、単位数が少ないので
低血糖になりにくいです。
現実に低血糖発作なしですし、今のA1cが5.6%で、よいと思います。
1型糖尿病の参考になる本は
『バーンスタイン医師の糖尿病の解決』
2016/5/23
リチャード・K・バーンスタイン (著), 柴田 寿彦 (翻訳)
がよいと思います。
2017/06/21(Wed) 11:34 | URL | ドクター江部 | 【編集】
お忙しい中返信ありがとうございます。最終的には自己判断ではありますが、現状のまま継続していこうと思います。
インスリンはノボラビットを朝・昼・晩 で3・2・2単位で打っています。飲み薬は飲んでおりません。
おすすめいただいた本、早速読んでみたいと思います。
ありがとうございました。
インスリンはノボラビットを朝・昼・晩 で3・2・2単位で打っています。飲み薬は飲んでおりません。
おすすめいただいた本、早速読んでみたいと思います。
ありがとうございました。
2017/06/21(Wed) 13:39 | URL | たかりえる | 【編集】
先生、こんばんは!1型糖尿病のもらです。
実は先日、血液検査の内容について、GAとHbA1cを両方測ってほしいと担当医にお願いしたところ、保険では妊娠糖尿病の人しか同じ月にはできない。と言われてしまいました。。
前に先生のブログで1型糖尿病の人は同じ月にこの2つの検査をできると読んだ気がするのですが、保険できますでしょうか?
ネットで探してみたのですが、担当医に証明できるようなものが見つからず、、教えて頂けたら幸いです!
どうぞよろしくお願いいたします。
実は先日、血液検査の内容について、GAとHbA1cを両方測ってほしいと担当医にお願いしたところ、保険では妊娠糖尿病の人しか同じ月にはできない。と言われてしまいました。。
前に先生のブログで1型糖尿病の人は同じ月にこの2つの検査をできると読んだ気がするのですが、保険できますでしょうか?
ネットで探してみたのですが、担当医に証明できるようなものが見つからず、、教えて頂けたら幸いです!
どうぞよろしくお願いいたします。
2017/06/22(Thu) 03:14 | URL | もら | 【編集】
たかりえる さん
「色付きの文字インスリンはノボラビットを朝・昼・晩 で3・2・2単位」
ごく少量で、素晴らしいです。
1型ですが、自分自身の内因性インスリンがあるていど、分泌されているのではないでしょうか?
トレシーバやランタスなどの長時間作用型のインスリンはなしですか?
「色付きの文字インスリンはノボラビットを朝・昼・晩 で3・2・2単位」
ごく少量で、素晴らしいです。
1型ですが、自分自身の内因性インスリンがあるていど、分泌されているのではないでしょうか?
トレシーバやランタスなどの長時間作用型のインスリンはなしですか?
2017/06/22(Thu) 19:52 | URL | ドクター江部 | 【編集】
もら さん
1型糖尿病なら、GAとHbA1cを両方とも保険で検査できますので、
高雄病院では両者を請求してます。
* 厚生労働省サイトの掲載ページ
第1節検体検査料
D005 血液形態・機能検査
(8) 「9」のヘモグロビンA1C (HbA1C)、血液化学検査の「14」のグリコアルブミン又は同区分「17」の1,5-アンヒドロ-D-グルシトール(1,5AG)のうちいずれかを同一月中に併せて2回以上実施した場合は、月1回に限り主たるもののみ算定する。ただし、妊娠中の患者、1型糖尿病患者、経口血糖降下薬の投与を開始して6月以内の患者、インスリン治療を開始して6月以内の患者等については、いずれか1項目を月1回に限り別に算定できる。(保医発第0305001号)
1型糖尿病なら、GAとHbA1cを両方とも保険で検査できますので、
高雄病院では両者を請求してます。
* 厚生労働省サイトの掲載ページ
第1節検体検査料
D005 血液形態・機能検査
(8) 「9」のヘモグロビンA1C (HbA1C)、血液化学検査の「14」のグリコアルブミン又は同区分「17」の1,5-アンヒドロ-D-グルシトール(1,5AG)のうちいずれかを同一月中に併せて2回以上実施した場合は、月1回に限り主たるもののみ算定する。ただし、妊娠中の患者、1型糖尿病患者、経口血糖降下薬の投与を開始して6月以内の患者、インスリン治療を開始して6月以内の患者等については、いずれか1項目を月1回に限り別に算定できる。(保医発第0305001号)
2017/06/22(Thu) 20:26 | URL | ドクター江部 | 【編集】
発症当初はランタスを使用してましたが、すぐにノボラビットに移行しました。
内因性インスリンは僅かですが、出ているようです。ただそのインスリンに依存しないよう、これからも糖質制限は続けていくつもりです。
あと、私の場合昼ごはん前に空腹時血糖が120-130くらいまで上がります。朝の食後1.5時間の血糖値は90-120までで収まります。しかしその後デスクワークのみで、もちろん間食もなしで、血糖が上がることがあります。こういった症例ってありますでしょうか?数字だけ見ると気持ち凹んでしまいますので、何か対策があれば教えて下さい。
内因性インスリンは僅かですが、出ているようです。ただそのインスリンに依存しないよう、これからも糖質制限は続けていくつもりです。
あと、私の場合昼ごはん前に空腹時血糖が120-130くらいまで上がります。朝の食後1.5時間の血糖値は90-120までで収まります。しかしその後デスクワークのみで、もちろん間食もなしで、血糖が上がることがあります。こういった症例ってありますでしょうか?数字だけ見ると気持ち凹んでしまいますので、何か対策があれば教えて下さい。
2017/06/22(Thu) 22:55 | URL | たかりえる | 【編集】
たかりえる さん
ランタスが中止ということは、基礎分泌インスリンがあるていど出ていて、
早朝空腹時血糖値は正常範囲ということですね。
ノボラピッドの作用は、10~20分で発現して、最大作用時間は1~3時間です。
ノボラピッドの作用効果が低下してきて、昼前の血糖値が上昇する可能性はあります。
ランタスが中止ということは、基礎分泌インスリンがあるていど出ていて、
早朝空腹時血糖値は正常範囲ということですね。
ノボラピッドの作用は、10~20分で発現して、最大作用時間は1~3時間です。
ノボラピッドの作用効果が低下してきて、昼前の血糖値が上昇する可能性はあります。
2017/06/23(Fri) 07:43 | URL | ドクター江部 | 【編集】
先生、お返事ありがとうございます!
また、主治医にも見せられる証明もご教授いただき恐縮です!早速次回の検診で見せようと思います。
先生の存在は心強くて、本当にいつもありがとうございます!!!
また、主治医にも見せられる証明もご教授いただき恐縮です!早速次回の検診で見せようと思います。
先生の存在は心強くて、本当にいつもありがとうございます!!!
2017/06/26(Mon) 02:21 | URL | もら | 【編集】
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