日本人も高糖質食を食べると糖尿病になる。奥田昌子医師への反論。
【17/06/02 るる
こちらの書籍の内容は?
江部様

初めまして、いつもブログを拝見し、日々糖質制限にて健康を取り戻しています。
自身の状況についてはまたお話したいと思いますが、母が糖尿病&膵臓癌なこともあり、以下の書籍が目に留まりました。

日本人の体質
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170602-00532401-bookbang-life

こちらの概要に疑問を感じたのですが、いかがでしょうか?

情報が色々で混乱しますね…
よろしくお願い致します。】



こんばんは。
るるさんからコメントをいただきましたが、
奥田昌子医師が、最近よくマスコミに登場されます。
「日本人の体質」(講談社、2016年)の著者です。

この本の「はじめに」において
『③糖尿予防やダイエットのために炭水化物(糖質)を控えている』

は間違いであると、書いてあります。
これは糖質制限食に対する無根拠な批判ですので、反論します。


欧米人と日本人は、人種が違うというのは当たり前ですが、
人類という範疇では同一です。

そもそも、日本人も含めて、人類には過剰の糖質摂取は適さないのです。
人類は700万年の狩猟・採集時代(糖質制限食時代)を経て、
このわずか1万年間が農耕時代(穀物、糖質摂取時代)になったに過ぎないというのが
歴史的事実です。

ともあれ、奥田昌子医師の土俵である、日本人について考察してみます。
日本人と糖質摂取と糖尿病に関する信頼度の高いエビデンスを、
まず一つ上げてみましょう。

Ⅰ)
奥田昌子医師の主張
『日本人は炭水化物を取らないと、糖尿病のリスクを高めてしまう。』


これは、奥田昌子医師が明確に間違っています。
事実は真逆で、「日本人も炭水化物を多く摂取すると糖尿病になる」が正解です。

ご著書に「多目的コホート研究(JPHC研究)」のことも書いておられるのに
以下の信頼度の高い論文をご存じないのか、
あえて無視されたのか、不可思議です。

実は、国立がん研究センター「多目的コホート研究(JPHC研究)」において

『米飯をたくさん摂取すると糖尿病発症が多くなる』

という結果が、2010年にすでに報告されています。
JPHC研究は、信頼度の高い研究です。

米飯摂取と糖尿病との関連について、国立がん研究センター、がん予防・検診研究センター研究部による
「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果で、

がん予防・検診研究センター研究部のサイト
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2418.html

で正式に、発表されています。


AJCNという一流雑誌に論文として掲載されました。
(American Journal of Clinical Nutrition 2010年12巻1468-77)

お茶碗1杯が約140gとして、1日に420g以上の米飯を食べる女性は、
有意に糖尿病発症が多いです。
さらに1日に560g以上の米飯を摂取する女性は、もっと糖尿病発症が多いです。


Ⅱ)
『・・・インスリンが少なくても、炭水化物の摂取が多ければブドウ糖を必要なだけ細胞に取り込むことができました。・・・』
「日本人の体質」の70ページを見ると、上記の記載があり、奥田昌子医師は、
インスリンと炭水化物摂取に関して、根本的に間違った認識を持っておられます。

人類における生理学的事実として
1)炭水化物摂取で大量のインスリンが分泌される。
2)タンパク質摂取では、あるていどの量のインスリンとグルカゴンが分泌される。
3)脂肪摂取では、インスリンは分泌されない。

この基本的な1)2)3)を奥田昌子医師は、理解されていません。
日本人であろうと、白人であろうと
炭水化物を摂取したときにのみ、大量のインスリンが分泌されますが、
これは生理学的事実です。
すなわち、炭水化物の摂取が多ければ、必然的に大量のインスリン分泌が必要となるということです。


Ⅲ)
NIPPON DATA 80の研究成果が論文として、英文雑誌に掲載されました。
Br J Nutr. 2014 Sep 28;112(6):916-24.

NIPPON DATA 80の29年間の追跡結果データを検討したものです。
NIPPON DATA(National Integrated Project for Prospective Observation of Non-communicable Disease And its Trends in the Aged)は、日本の前向きコホート試験です。

日本全国から選ばれた13771人の30歳以上の住民が対象で、
登録に同意した10546人をその後、経過観察しました。

1980年に基礎調査が行われたコホートがNIPPON DATA80です。

今回の研究報告は、2009年の時点での死亡データを解析したものです。

登録時のデータがない者、登録時点で心血管イベントの既往のあった者、経過観察ができなかった者を除いて、9200人(女性5160人、男性4040人)での解析が行われました。

9200人を29年間追跡して、

第1分位:糖質を一番摂取している群:糖質摂取比率は総摂取エネルギーの72.7%
第2分位~第9分位
第10分位:糖質制限を一番している群:糖質摂取比率は総摂取エネルギーの51.5%

糖質を一番摂取している群から順番に一番摂取してない群まで10群に分けて検討です。

その結果、

第10分位(糖質摂取比率51.5%)のグループは、
第1分位(糖質摂取比率72.7%)のグループに比べて、

女性においては心血管死のリスクが59%、
総死亡のリスクが79%しかないという素晴らしい結論です。

緩やかな糖質制限食でも、
女性では、糖質たっぷり食に比べたら4割以上、心血管死が減る
ということです。

男女合わせた解析でも心血管死リスクが74%、総死亡リスクが84%と低下しました。
糖質制限食にとって、画期的な信頼度の高いエビデンスと言えます。

この研究は糖質摂取が多くなるほど、心血管死、総死亡リスクが増えるというエビデンスであり、
奥田昌子医師の主張とは真逆です。


Ⅳ)久山町の研究、従来の糖尿病食(高糖質食)で糖尿病が激増
<総説>
糖尿病、久山町の悲劇と糖質制限法
糖質制限は人類本来の食事、人類の健康食
江部康二
J. Lipid Nutr. Vol.26, No.1(2017)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jln/26/1/26_47/_pdf
51~52ページ
『従来の糖尿病食(エネルギー制限・高糖質食)は糖尿病を増加させる ―久山町研究 久山町は、福岡市の東に隣接する、人口 8,000 人足らずの町である。1961 年から九 州大学医学部が、ずっと継続して 40 才以上の全住民を対象に研究を続けている。5 年 に一度の健康診断の受診率は約 80%で、他の市町村に比し高率である。また、死後の 剖検率も 82%の住民において実施されていて、精度の高い研究の支えとなっている。 1961 年当時、日本の脳卒中死亡率は非常に高く問題となっていたが、久山町の研 究により、高血圧が脳出血の最大の原因であることが判明した。それを受けて、食事 の減塩指導や降圧剤の服用で血圧のコントロールを行ったところ、久山町の脳卒中は 1970 年代には 1/3 に激減した。 その後、久山町では、糖尿病が最重要研究テーマとなっている。その研究の結果、 糖尿病は心筋梗塞、脳梗塞、悪性腫瘍、アルツハイマー病などの発症要因となること が判明した。1988 年と 2002 年に 40 ~ 79 才の年齢層の 80%近い住民を対象に 75g 経 口血糖負荷試験を用いた糖尿病の有病率調査が行われた。1988 年の時点で、想定さ れていたより、糖尿病や境界型の比率が多かったのを受けて、「食事指導+運動療法」 による介入が実施され、糖尿病の発症を予防しようと試みられた。 しかし、その結果は、表 2、表 3 にみられるように、糖尿病および予備軍発症予防 は失敗し、著明な増加が認められた 8)。実際 14 年間の努力にも関わらず、糖尿病の確 定診断がついた人が男性で 15.0 から 23.6%、女性で 9.9 から 13.4%と著明に増加した。 また男性では、40 歳以上の久山町住人の約 6 割が、予備軍を含めた耐糖能異常という、 数字に増えていた。研究責任者の九州大学・清原裕教授も 2007 年 7 月 27 日(金)の 毎日新聞朝刊 で「1988 年以後、運動や食事指導など手を尽くしたのに糖尿病は増え る一方。どうすれば減るのか、最初からやり直したい」とのコメントを述べた。 久山町で指導された食事療法・運動療法は、当然、日本糖尿病学会推奨のもので ある。即ち、食事療法は、カロリー制限の高糖質食(糖質 60%、脂質 20%、タンパク 質 20%)である。運動は本来、糖尿病発症予防に悪いわけがない。従って、日本糖尿 病学会推奨の「糖質 60%、脂質 20%、タンパク質 20%」で食事指導を行う限りは、運動療法を少々頑張っても糖尿病発症の増加をくい止めることはできないということが、 証明されたわけである。「カロリー制限重視の高糖質食で 14 年間指導した結果、糖尿 病が激増した」ということが久山町研究という信頼度の高いデータから導き出される 結論である。』

Ⅰ)Ⅲ)Ⅳ)は信頼度の高い疫学的研究であり、
高糖質食の危険性を証明する有力なエビデンスです。

Ⅱ)
は、基本的な生理学的知識であり、このこともご存じない奥田昌子医師には
糖尿病を語る資格はないと私は思います。


江部康二
コメント
全面的に同意ですが、タイトルは、日本人「も」高糖質食を食べると糖尿病になる、のほうが正確かなと思いましたw
2017/06/02(Fri) 22:27 | URL | ひで | 【編集
本記事、奥田昌子医療者に思います
都内河北 鈴木です。

本記事の奥田昌子さんは以前も頓珍漢理論自慢げにメディアなどで発言していましたが、

「私は江部先生と面識無く、利害関係無く、
自力で糖質制限理論を知り得た事から
改善以上生還し、更なる脳梗塞頚動脈プラ~ク減少改善結果ありました。」

以上の事から、奥田昌子さんも能書きだけでなく、
奥田昌子さんの能書き理論からの改善・生還・更なる改善などの結果を提示して理論発言するべきだと私は考えます!!

病態苦しむネット活用環境ない患者を惑わすだけです!!

この様な理論で明らかなる改善・生還・更なる改善など結果出したのでしょうか??

結果をもって理論構築してほしいですね!!

何故この様な医療者がメディアで取り上げるのか不思議です??
何等かのズブズブな関係なんですかね??

この様な肩書きだけの医療者に私の生還デ~タを解明してほしいですね!!
生命左右する肩書きだけの医療者は精査されるべきです!!
被害者増えるばかりです!!

江部先生、御苦労でしょうが理路整然な論破説明を今後もよろしく御願いいたします。
敬具






2017/06/03(Sat) 03:08 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
Re: タイトルなし
ひで さん

そうですね。
私も、「も」にするか「が」にするか、悩みました。
炭水化物の高摂取は糖尿病のリスクを高めることが諸外国の研究で報告されていますので、「も」のほうが正確ですね。
「も」に、直します。

2017/06/03(Sat) 07:38 | URL | ドクター江部 | 【編集
素直な心で
おはようございます。
るるさまへ
ひび糖質制限にて健康をとりもどしています。
と記載してあり、結果は良い方へ出ていて糖質制限を認めておられるのですから、真逆のことに拘ることなく、信じるところをしっかりやれば、心身共により健康的な生活ができると思うのですが・・・いかがでしょう。
2017/06/03(Sat) 08:41 | URL | 素人 | 【編集
都内河北 鈴木さんの意見、
「何故この様な医療者をメディアで取り上げるのか?
私も同感です!

エビデンスに基づいた正しい情報を、
冷静に発信し続けて下さる江部先生に感謝します。
2017/06/03(Sat) 08:48 | URL | Etsuko | 【編集
糖質制限がもっともっと広まってほしいです。
奥田先生の本などを参考にして、間違った知識や食事療法が広まることだけは本当にやめていただきたいと思いました。

改めまして、江部先生、こんにちは。
以前、5/23の記事に取り上げていただいたみぃと申します。

5/1にHbA1c5.9%、翌日から糖質制限を始めて、5/4にHbA1c5.6%、一カ月後の今日再診で、食後約2時間後103mg/dl、HbA1c5.5%でした。1ヶ月間、スーパー糖質制限を実施したので、もう少し下がって(5.3か5.4くらい)いるかなと期待していたので、少し残念でした(^^;;まぁ2ヶ月前までの血糖値も反映するので仕方ないですね。ただ、確実に質の良いA1cにはなったと思います。
先週受けた網膜症検査も問題なく、安心したところです。体重は、頑張って食べて夜には38kgちょっとになっても、翌朝には約1kg減って…を繰り返し、なかなかBMI18.5まではほど遠いのですが、体調は良いので、このくらいでもいいのかなとやや諦めの境地です(笑)カロリー不足には気をつけていますが。

前置きが長くなりましたが、一つ母のことについてご相談させて下さい。
母(58歳、痩せ型)はHbA1c6%程度で、2ヶ月に1度糖内フォローしています。先日外食でご馳走を食べた後の採血で初めて血糖値200を超えたそうで、糖尿病域に足を踏み入れたところのようです。
元々コレステロールが高めで、前回の採血で、
総コレステロール 319
LDLコレステロール 197
HDLコレステロール 112
中性脂肪 48
(元々LDLとHDLは高く、中性脂肪は低いようです)
と、今までで一番高くなっており、クレストール2.5mgを処方されたようです。ちなみに、糖質制限はしていません。

先生の著書やブログを参考にすれば、この値はHDLが高く、中性脂肪が低いので、問題ない、内服しなくてもいいのでは?と思うのですが、いかがでしょう。先生のご意見を参考にさせていただければと思います。

母にも糖質制限を勧めていますが「コレステロールが高いから(脂質はたくさん摂れない)」「年齢的にタンパク質もたくさん摂るとだめだから」となかなか受け入れてもらえないので、江部先生の著書『人類最強の糖質制限論』を送りました。
やはり長年の食習慣や昔の知識を変えるのは難しいようですね。早く糖質制限の良さを理解し、緩やかでも始めてくれるといいのですが。

長くなりましたが、コレステロールに関して、何度も記事にされてきていますが、アドバイスいただけたらと思います。

【追伸】 主人も糖質制限をしているのですが、職場の同僚にも広めているらしく、徐々に興味を持ち、やってみようかな、という人が増えてきているようです。こうやって少しずつでも確実に広まっていくといいですね。

長文失礼しました。
2017/06/03(Sat) 11:29 | URL | みぃ | 【編集
文藝春秋にも
この方は,文藝春秋5月号にもまったく同じ内容のことを書いていましたね. 文藝春秋の記者が医療や薬の関係に疎いことは自明ですが,それにしても,奥田昌子さんの周囲には『糖質を摂らないと,膵臓はもっとたくさんインスリンを出そうとがんばる,なんて非常識なことを,後日まで残る出版物に書くのはやめなさい. 恥をかくのはあなたなのだから』と,忠告してくれる人はいないのでしょうかね.
2017/06/03(Sat) 12:57 | URL | しらねのぞるば | 【編集
Re: 糖質制限がもっともっと広まってほしいです。
みぃ さん

総コレステロール 319
LDLコレステロール 197
HDLコレステロール 112
中性脂肪 48


このデータであれば、私ならスタチンなしで経過をみます。
あとは、各医師の考え方ですね。
2017/06/03(Sat) 15:28 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 文藝春秋にも
しらねのぞるば さん

そうですね。
全く、同感です。
2017/06/03(Sat) 15:29 | URL | ドクター江部 | 【編集
炭水化物たべる理由
奥田昌子医師は、糖質制限が幅をきかせる中、白米をはじめとした炭水化物を食べたい方々の救世主として人気が出そうですね。
奥田医師の書籍が、amazonのガン関連書籍で一位になっています。

私の義父が横浜のがんセンターに短期間手術入院してたのですが、その際の病院食が見事に白米中止だったのを思い出しました。あんなにタンパク質すくなく糖質まみれの給食で長期入院する患者さんは、良くなりようがないと思います。
苦しい治療と白米中心の生活。そんな中で民族差と白米信仰を揺さぶられたら、それにすがるしか無いのかなと悲しくなります。
自分で調べて考えないと、その罠から抜け出せません。特に高齢者でスマホを持たない人達、人に聞けば良いと思っている人達は、自分で調べる必要性をあまり感じていません。
そういう人たちは、残念だけどそれが運命なのではないかと思います。
そうさせてしまう医療の問題もかなり深刻ではありますが。

ガン患者のみならず、糖質制限に踏み切れないどころか、米を食べながら健康でいたい人の作り出した幻想。奥田医師の主張は、残念ながらそうしたものではないでしょうか。

江部先生のブログに1人でも多くたどり着きますように。
2017/06/03(Sat) 15:43 | URL | なか | 【編集
Re:
早速のご回答ありがとうございます。
医師によって見解は様々ですよね。
とりあえず母には伝えます。
スタチン内服はともかく、糖質制限にはぜひ踏み切ってほしいものです。
2017/06/03(Sat) 18:46 | URL | みぃ | 【編集
同感!
こんばんは。
私もETSUKOさんのコメントに同感です。
ちなみに私もえつこで、似てますね。(握手)
2017/06/03(Sat) 23:56 | URL | 素人 | 【編集
奥田昌子氏の文春5月号の糖質制限否定論
 宮坂@さいたま市です。江部先生や諸先生方のご著書やメルマガ等を拝読して糖質制限に取り組んでいます。
 奥田昌子氏はアンチ糖質制限の著述を繰り返していますが、その論拠は、文芸春秋2017年5月号288~9頁(糖質制限に問題あり)のようです。総カロリーのうちの炭水化物の摂取割合が高ければインスリンの効きが良い、という論には素人の私にも粗雑に感じられますが、いかがでしょうか? 同氏は、多くの著述で糖質制限否定論を発信しています。炭水化物の摂取割合を下げない方が糖尿病患者を減らすことができるという同氏の持論は危ないですね。
 以下、文芸春秋5月号288~9頁の骨子です。
 『 百年前の日本人は総カロリーの80%を炭水化物で摂っていた。それだけ多ければ少量のインスリンでも必要なブドウ糖を体内に蓄積でき、インスリンの効きがよいので血糖値も正常に保たれていた。ところが、現在、炭水化物は総摂取カロリーの50~60%にまで減り、ブドウ糖を十分に確保するため膵臓は多くのインスリンを分泌しようと頑張るが次第に疲れて機能が低下し血糖値が上がり2型糖尿病が増えていった。更に、脂肪摂取増につれ、インスリンの働きを低下させるTNF-αを分泌する内臓脂肪が増え、糖尿病患者も増えた。』
2017/06/04(Sun) 09:54 | URL | 宮坂公雄 | 【編集
ブルーバックスもここまで落ちたかと
ネットを見ると,奥田昌子さんの『日本人は遺伝的に欧米人とは異なる』というのが共感を呼んだようで,「やっぱりそうか」という反応が多いようですね.

それで思い出したのですが,最近は聞かなくなったものの,『日本人は,欧米人に比べて腸が長い. だから米食に適応していて,肉食には向かない』という,トンデモ都市伝説を以前はよく見かけましたね.

この説を出した人は,『日本人の小腸の長さは7m,欧米人は4mと医学書に書いてあった』というのですが,実は日本でも欧米でも,解剖学の教科書には「小腸の長さは7m」と書いてあります.4mというのは腸間膜が弛緩していない状態であって,弛緩状態で7mというのは,全人種で同じです.

しかし日本人は,この『日本人と欧米人とは体質が違う.日本人だけは特別なのだ』と言われると 無条件に信じてしまう傾向があり,この書籍があちこちで取り上げられたのもそういう理由だと思います.

Amazonのレビューなどを見ても,絶賛が8割,デタラメだというのが2割くらいですが,ほとんどの人は,『糖質を摂らないと,膵臓に負担がかかる』とか『脂肪摂取すればすぐ体について血糖値が上がり』という驚天動地の箇所を読み落としているのでしょう. 我々糖質セイゲニストは真っ先にここに目がいくのですが.

講談社のブルーバックスシリーズは,一般人には難しい科学を,わかりやすく しかし正確に解説することで定評があったのですが,こんなひどい記述がある本をチェックもせずに出してしまうようでは,レベルが落ちたと言わざるを得ません.
2017/06/04(Sun) 10:39 | URL | しらねのぞるば | 【編集
Re: 奥田昌子氏の文春5月号の糖質制限否定論
宮坂公雄 さん

コメントありがとうございます。

日本人でも欧米人でも、人類が
炭水化物を多く食べれば、大量のインスリンが、追加分泌されます。

この単純な生理学的事実を奥田昌子医師は、ご存じないようですね。
2017/06/04(Sun) 14:40 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ブルーバックスもここまで落ちたかと
しらねのぞるば さん

コメントありがとうございます。

『糖質を摂らないと,膵臓に負担がかかる』とか『脂肪摂取すればすぐ体について血糖値が上がり』


まさに驚天動地ですね。

ただ、自分の頭で考えない人は、この記述が「驚天動地」の「とんでも」であることに気がつかないのかもしれません。

『糖質を摂ると血糖値が上昇して、膵臓のβ細胞がインスリンを大量に分泌するので、膵臓に負担がかかる』
『脂肪を摂取しても血糖値は全く上昇しない』


それにしても、奥田昌子医師は、このような生理学的事実をご存じないとは、とんでもな方ですね。
2017/06/04(Sun) 14:50 | URL | ドクター江部 | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可